分社・持株会社制への移行とグループ経営体制の変更について
当社は、本年10月1日から、中核となる全事業を分社化した「分社・持株会社制」に移行する準備を進めてまいりましたが、本日開催の取締役会で、下記の通り、当社事業を会社分割により7つの分社に承継させるとともに、経営の透明性と迅速性を高めるため、執行役員制度の導入、取締役の少数化および経営諮問委員会の設置など経営体制の変更を図ることを決議し、定時株主総会に付議することにいたしましたので、お知らせします。
1.会社分割の目的 | |||||||||||||||||
: | 当社は、各事業が環境変化に迅速に対応できる体制の徹底と責任・権限の明確化を図るため、会社分割により中核となる全事業を7つに分社した「分社・持株会社制」に移行することとしました。 新体制移行後は、各分社で「スピード経営」と「自主自立経営」を徹底した事業運営を行う一方、当社は持株会社として「グループ全体戦略の立案」、「グループ資源の最適配分」、「グループ経営執行の監督」、「コーポレートR&D」に機能を特化し、グループ価値の更なる向上を目指します。 | ||||||||||||||||
2.会社分割の要旨 | |||||||||||||||||
(1)日程 | |||||||||||||||||
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(2)会社分割の方式 | |||||||||||||||||
新体制への移行手続き等を円滑に進めるため、当社を分割会社、当社の完全子会社である旭化成せんい株式会社、旭化成ケミカルズ株式会社、旭化成ライフ&リビング株式会社、旭化成建材株式会社、旭化成ホームズ株式会社、旭化成エレクトロニクス株式会社、旭化成ファーマ株式会社をそれぞれ承継会社とする吸収分割(物的分割)の方法により分社を行います。 | |||||||||||||||||
(3)株式の割当 | |||||||||||||||||
会社分割に伴い承継会社である各分社が発行する株式は、すべて分割会社である当社に割り当てます(なお、旭化成ホームズ株式会社は新株の発行を行いません)。 | |||||||||||||||||
(4)分割により減少する資本の額等、株式の消却方法、分割交付金 | |||||||||||||||||
該当事項はありません。 | |||||||||||||||||
(5) 承継会社が承継する権利義務の内容 | |||||||||||||||||
各分社が当社から承継する権利義務は、本件分割にかかる分割契約書に定める事項を除き、分割期日における下記の営業に関する一切の資産、負債及びこれらに付随する権利義務、契約上の地位とします。 | |||||||||||||||||
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(6) 債務の履行見込み | |||||||||||||||||
当社及び各分社は、分割期日以降に履行期が到来する債務について、本件分社後もその履行を担保するに足る責任財産を有するので、当社及び各分社の負担すべき債務の履行の確実性は問題ないものと判断します。 | |||||||||||||||||
3 .持株会社(分割会社)および各分社(承継会社)の概要・・・<別添資料-1 参照> | |||||||||||||||||
4 .グループ経営体制の変更(コーポレートガバナンス)・・・<別添資料-2 参照> | |||||||||||||||||
(1)基本的な考え方 | |||||||||||||||||
当社グループは分社・持株会社制移行にあわせ、執行機能と監督機能を分離し、執行権限と責任の明確化を徹底した経営体制に変更することにより、グループ経営全体の迅速性と透明性を高め、一層の企業価値向上と収益拡大を目指します。 持株会社及び各分社は執行役員制度をそれぞれ導入し、分社経営に関する執行権限と責任は分社社長をはじめとする分社執行役員が、持株会社及びグループ経営の執行権限と責任は持株会社社長をはじめとする持株会社執行役員が担うこととします。その上で、分社社長及び分社経営の執行状況の監督は持株会社社長が、持株会社社長及びグループ経営の執行状況の監督は持株会社の取締役会が行います。 また、持株会社及び各分社の取締役、執行役員は必要最小限の人数にとどめ、すべての任期を1年とすることで、年度毎に業績責任を問える仕組みとします。さらに経営諮問委員会を設置し、社外有識者の助言を経営に反映させることにより透明性を高め、コーポレート・ガバナンスの充実に努めていきます。 |
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(2)持株会社の経営体制 | |||||||||||||||||
@取締役会 | |||||||||||||||||
持株会社取締役会は、グループの経営執行の監督及びグループ基本方針・経営戦略の承認並びに経営戦略会議提案による重要事項の審議決定を主要任務とします。 取締役会議長は会長が務め、取締役は極力少数(10名程度)とします。 |
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A経営戦略会議(現行経営会議の改正) | |||||||||||||||||
持株会社及びグループ全体の経営に関する重要事項について審議・決定をします。議長は社長が務め、構成員は社長が指名し、取締役会が承認する持株会社執行役員及び分社社長とし、監査役代表1名及び社長が指名する者をオブザーバーとします。決定事項については、出席構成員で審議を尽くした上で、社長が決定します。 | |||||||||||||||||
B経営諮問委員会 | |||||||||||||||||
グループの経営全般に関する持株会社取締役会の諮問機関として設置し、会長、社長、社外有識者及び必要に応じて社内有識者で構成します。 | |||||||||||||||||
(3)分社の経営体制(分社取締役会及び分社経営会議) | |||||||||||||||||
分社取締役会は法定事項を中心に分社経営に関する特に重要な事項を審議決定し、議長は分社社長が務めます。 分社経営会議は、分社経営に関する重要事項を審議決定します。議長は分社社長が務め、構成員は、分社社長、分社取締役、分社執行役員及び分社社長が指名する者とし、分社監査役をオブザーバーとします。 |
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(4)グループ全体の調整・シナジーの発揮(グループ経営会議) | |||||||||||||||||
グループ経営会議は、グループの重要情報の伝達及び情報交換並びに持株会社・分社間及び分社間の要調整事項の協議等を行います。持株会社社長、分社社長並びに持株会社社長が指名する持株会社執行役員及び分社執行役員で構成し、監査役代表1名と持株会社社長が指名する者をオブザーバーとします。 | |||||||||||||||||
5 .持株会社および各分社の体制について・・・<別添資料-3 参照> | |||||||||||||||||
別添資料−1
1
.旭化成株式会社(分割会社)の概要:2003年3月31日現在
商号 | 旭化成株式会社 |
設立年月日 | 1931年5月21日 |
本店所在地 | 大阪市北区堂島浜一丁目2 番6 号 |
代表者 | 代表取締役社長山本一元(2003年4月1日より 蛭田史郎) |
資本金 | 103 ,388 百万円 |
発行済株式数 | 1 ,442 ,616 千株 |
株主資本 | 334 ,502 百万円 |
総資産 | 1 ,016 ,759 百万円 |
決算期 | 3月31日 |
従業員数 | 11 ,659 人(会社分割後は約1 ,400 人) |
2
.旭化成株式会社(分割会社)の最近3事業年度の業績 略
3 .各分社(承継会社)の概要
(1)旭化成せんい株式会社(会社分割後の概要)
商号 | 旭化成せんい株式会社 |
事業内容 : | ポリウレタン弾性繊維「ロイカ」、不織布(スパンボンド「エルタス」、 人工皮革「ラムース」、キュプラ不織布「ベンリーゼ」など)、キュプラ繊維 「ベンベルグ」、ナイロン66 繊維「レオナ」、ポリエステル長繊維などの製 造、加工及び販売 |
本店所在地 | 大阪市北区堂島浜一丁目2 番6 号 |
代表者 | 代表取締役社長 坂本正樹 |
資本金 | 30 億円 (2003年3月31日現在 10百万円) |
総資産 | 約894 億円 (2003年3月31日現在 13百万円) |
決算期 | 3月31日 |
従業員数 | 約1 ,500 人 (2003年3月31日現在 0人) |
株主構成 | 旭化成株式会社100 % |
(2)旭化成ケミカルズ株式会社(会社分割後の概要)
商号 | 旭化成ケミカルズ株式会社 |
事業内容 : | 有機・無機工業薬品、合成樹脂、合成ゴム、高度化成肥料、塗料原料、ラテッ クス類、医療・食品用添加剤、火薬類、感光性樹脂・製版システム、分離膜・ 交換膜等を用いたシステム・装置などの製造、加工及び販売 |
本店所在地 | 東京都千代田区有楽町一丁目1 番2 号 |
代表者 | 代表取締役社長 藤原健嗣 |
資本金 | 30 億円 (2003年3月31日現在 10百万円) |
総資産 | 約3 ,612 億円 (2003年3月31日現在 14百万円) |
決算期 | 3月31日 |
従業員数 | 約4 ,500 人 (2003年3月31日現在 0人) |
株主構成 | 旭化成株式会社100 % |
(3
)旭化成ライフ&リビング株式会社(会社分割後の概要)
商号 | 旭化成ライフ&リビング株式会社 |
事業内容 : | 「サランラップ」、「ジップロック」、各種フィルム・シート、発泡体などの製 造、加工及び販売 |
本店所在地 | 東京都千代田区有楽町一丁目1 番2 号 |
代表者 | 代表取締役社長 能村義広 |
資本金 | 30 億円 (2003年3月31日現在 10百万円) |
総資産 | 約372 億円 (2003年3月31日現在 11百万円) |
決算期 | 3月31日 |
従業員数 | 約800 人 (2003年3月31日現在 0人) |
株主構成 | 旭化成株式会社100 % |
(4
)旭化成建材株式会社(会社分割後の概要)
商号 | 旭化成建材株式会社 |
事業内容 : | 軽量気泡コンクリート(「ヘーベル」など)、パイル、断熱材(「ネオマフォー ム」など)、人工魚礁などの製造、販売 |
本店所在地 | 東京都港区芝大門二丁目5 番5 号 |
代表者 | 代表取締役社長 佐次洋一 |
資本金 | 30 億円 (2003年3月31日現在 800百万円) |
総資産 | 約438 億円 (2003年3月31日現在 12 ,707百万円) |
決算期 | 3月31日 |
従業員数 | 約1 ,300 人 (2003年3月31日現在 352人) |
株主構成 | 旭化成株式会社100 % |
(5
)旭化成ホームズ株式会社(会社分割後の概要)
商号 | 旭化成ホームズ株式会社 |
事業内容 : | 「ヘーベルハウス」、「ヘーベルメゾン」などの設計・監理・請負、マンショ ン事業、リフォーム事業、不動産流通事業、都市開発事業など |
本店所在地 | 東京都新宿区西新宿二丁目3 番1 号 |
代表者 | 代表取締役社長 岡本利明 |
資本金 | 32 億5 千万円 (2003年3月31日現在 3 ,250百万円) |
総資産 | 約1 ,283 億円 (2003年3月31日現在 44 ,541百万円) |
決算期 | 3月31日 |
従業員数 | 約3 ,800 人 (2003年3月31日現在 2 ,664人) |
株主構成 | 旭化成株式会社100 % |
(6
)旭化成エレクトロニクス株式会社(会社分割後の概要)
商号 | 旭化成エレクトロニクス株式会社 |
事業内容 : | 感光性ポリイミド樹脂「パイメル」、感光性ドライフィルムレジスト「サンフ ォート」、ホール素子、半導体集積回路、プリント基板用ガラス長繊維織物な どの製造、販売 |
本店所在地 | 東京都墨田区錦糸三丁目2 番1 号 |
代表者 | 代表取締役社長 鴻巣誠 |
資本金 | 30 億円 (2003年3月31日現在 10百万円) |
総資産 | 約425 億円 (2003年3月31日現在 11百万円) |
決算期 | 3月31日 |
従業員数 | 約400 人 (2003年3月31日現在 0人) |
株主構成 | 旭化成株式会社100 % |
(7
)旭化成ファーマ(会社分割後の概要)
商号 | 旭化成ファーマ株式会社 |
事業内容 : | 医薬品、医薬品原料、飼料添加物、診断薬、医療機器(人工腎臓など)などの 製造、販売 |
本店所在地 | 東京都千代田区神田美土代町9 番地1 |
代表者 | 代表取締役社長 中岡 靖晶 |
資本金 | 30 億円 (2003年3月31日現在 30百万円) |
総資産 | 約713 億円 (2003年3月31日現在 172百万円) |
決算期 | 3月31日 |
従業員数 | 約1 ,900 人 (2003年3月31日現在 0人) |
株主構成 | 旭化成株式会社100 % |
日本経済新聞 2003/12/5
旭化成が連結納税 持ち株会社「赤字」常態化
来期から導入 税負担増 最小眼に
旭化成は2005年3月期から連結納税制度を導入する。持ち株会社制度への移行に伴う税法上の負担増を最小限に抑えるのが狙いだ。
旭化成は今年10月から持ち株会社制に移行した。従来の旭化成本体から事業部門を分社し、旭化成せんいなどの事業子会社を新たに設立。本体は事業を持たない純粋持ち株会社に変わった。
この結果、純粋持ち株会社としての旭化成には事業収入がなくなり、事業子会社からの配当が主な収益源となる。会計上は黒字になるが、税法上は配当収入は所得とみなされないため、経費を賄いきれずに「赤字」が常態化する。
持ち株会社移行前に比べると、グループ内で税法上の経費が偏在。グループ全体での税負担が大幅に増えてしまうが、連結納税制度を利用すれば事業子会社の所得と相殺でき、全体の税負担増を抑えられる。
地方税は連結納税の対象外で、持ち株会社制移行に伴うグループ全体での税負担増加は避けられない。ただ、連結納税制度を導入しない場合に比べ、単純計算では税負担を年間30億円程度軽減できるという。
日本経済新聞 2004/1/15
転機の税務戦略
親子間取引悩み絶えず 公正な価格どう設定
「“料金表”を作るのもひと苦労だった」。昨年10月、持ち株会社制に移行した旭化成の伊藤一郎取締役専務執行役員はほっと一息つく。
特許の申請や財務諸表作成の代行料金、設備投資資金の融資の金利、ブランド使用料、工場用地の賃貸料ーー。旭化成本体の化学、住宅、繊維など事業部門が分社してできた7つの子会社が、新体制下で親会社に支払う料金はざっと20種類。さらに各子会社の収益・財務内容や所在地の物価に応じて金額が細かく明示されている。内部の専任チームが外部コンサルタントの助言を得ながら、1年がかりで作成した労作だ。
事業を持たない持ち株会社は、子会社から配当や様々な手数料を受け取り、それを元手に株主に配当する。連結決算が浸透した財務会計上はこうした親子間取引は内部消去され、料金の価格設定は利益に影響しないが、税法は各法人の利益に課税するため、親子間取引は納税額を左右する。連結納税を採用していても、まず会社ごとに利益額を計算するやり方は同じだ。
うかつに有利な利率や低い料金を認めれば当局から市場価格との差を「寄付」「贈与」とみなされ、課税対象になりうる。「価格設定一つで余計に税金をとられかねない」(伊藤氏)ため、手は抜けない。
(以下略)