(2001/11/13 日本ゼオン発表)
日本ゼオン、ブタジェン製造技術供与先との第10回技術交流会議を開催
日本ゼオンは、11月8日より13日までの間、大阪全日空ゲートタワーホテルにおいてブタジエン製造技術供与先との技術交流会議を開催した。これは、当社が開発したブタジエン製造技術(GPB法)を供与した先との技術交流会議であり、3年に1回開催しており、今回で10回目を迎えた。会議では、米国同時テロの影響で参加を取り止めた米国勢を除き、欧州、アジア、南アメリカ等世界19社50人の技術者が集り、各社のトピックスを披露するとともに「GPBファミリー」として世界の石油化学工業に関する情報交換、ブタジェン関連ビジネスの将来等について議論を深め、成功裏に終了した。
合成ゴムの大手メーカーである当社は独自技術でGPB法を開発し、1970年からこれまでに世界18カ国、47基のプラントの技術供与を行ってきている。現在、世界のブタジェン生産能力は約800万トンであり、その約40%がGPB法で生産されている。最近5年間では、新設ブタジエンプラント能力の70%はこのGPB法が採用されており、本法は低製造コスト、運転の容易さ、低公害性等多くの面
で世界中の評価を得ている。また、30年もの長きにわたる技術供与先との定期的交流会議は珍しく、製造法の優位
性に加えてライセンス後のきめ細かいフォローも、GPB法採用の一因となっている。
独創的技術でグローバルN0.1シェアを目指す当社は、今後ともGPB法の更なる技術供与を進めるとともに、既存プラントの能力増強のための改造設計や、消費エネルギーをより削減するための高度運転制御技術の販売等に積極的に取り組んでいく。
ブタジェン製造方法
ナフサ分解で得られるC4留分中にはブタジェンが56〜38%の濃度で含まれており、ブタジェン以外に沸点が近似した多くのブタン、ブテン、アセチレン類が含まれている。
ブタジェンの工業的精製方法は、主に2段抽出蒸留法が採用されており、第1段抽出蒸留にてブタン、ブテン類を除去し、次の2段目にてアセチレン類を安全に除去した後、精留して高純度のブタジェンを得る。
抽出蒸留法の選択溶剤としては、日本ゼオンのGPB法がジメチルフォルムアミド、BASF社のNメチルピロリドン、Shell社のアセトニトリルなどが用いられる。
ブタジェンの用途
SBR,NBR,BR等の合成ゴムやラテックスの原料として主に使用され、その他ABS樹脂、ポリブタジェン樹脂、有機合成化合物等の原料として使用される。
2008/12/5 三菱化学
ブタジエンの新規製造技術を開発
三菱化学株式会社(本社:東京都港区、社長:小林
喜光)は、自社開発した触媒を用いてブテン類からブタジエンを製造する新技術を開発し、水島事業所のパイロットプラントにおいて検討を続けてきましたが、この度、工業化技術確立の目処が付きました。今後はプロセス設計等を行い、来年度に技術パッケージ化を図る計画であります。
ブタジエンは、ナフサ分解から得られる成分の約11%(エチレンの約3割程度の量に相当)のC4
留分のうち約40%を占め、C4 留分から抽出する方法によって製造されています。
ブタジエンの主な用途は合成ゴム原料などで、最近、自動車タイヤ用途を中心としてその需要は拡大しております。
一方、ブタジエン抽出後のC4 留分の約30%を占めるノルマルブテン類は、種々の用途に使用されておりますが、燃料やナフサクラッカー原料として消費される量も少なくありません。当社の新技術は、このブテン類を原料としてブタジエンを製造するもので、ナフサ分解によって得られるブテン類だけでなく、石油精製におけるFCC(流動接触分解)設備(オレフィン収率の高い次世代FCC
設備を含む)から得られるブテン類にも適用可能です。
ブタジエンをナフサ分解C4
留分からの抽出以外の方法で製造する技術で、現在商業的に実施されているものはほとんどありませんが、当社は、本技術の高いコスト競争力を活かし、自らブタジエンの製造を行うことを検討するとともに、国内外の多くのナフサ分解炉、FCC
設備からのブテン類を利用してブタジエンを製造することを企図する会社への技術供与も併せて検討することとしており、今後、ブタジエン 事業に関心ある会社、エンジニアリング会社等との協力関係の構築に向けた協議を開始いたします。
当社は、ブタジエンを原料とする1,4-ブタンジオールとその誘導品(C4
ケミカル製品)事業を成長戦略のための集中事業の一つに位置付けておりますが、この度のブタジエン新規製造技術によって本事業の一層の強化を図って参りたいと考えております。