(2001/10/25 丸紅発表)

   インドネシア/チャンドラ・アスリ社の財務リストラ案合意について

当社は、インドネシアでの合弁石油化学会社チャンドラ・アスリ社の財務リストラ案に関し、本日インドネシア側主要債権者であるインドネシア銀行再編庁(IBRA)との間で、改訂基本合意に達し、正式に覚書を交わしたことをお知らせ致します。
財務リストラ案につきましては、2000年6月にIBRAとの間で基本合意に達し、覚書に調印致しましたが、その後、関係当事者間の正式関連契約の調印、実行に至らず、2001年4月末に一部内容を変更し、再度合意致しました。しかしながら、その後、合意内容の実行がなされないまま経過し、再度内容を見直し、今回の最終合意に至ったものであります。

最終合意内容

インドネシア側融資金約5.4億ドルの内約4.4億ドルの株式化、日本側融資金約7.8億ドルの内約1.5億ドルの株式化。(尚、これにより、株式化後の出資比率はインドネシア側75.8%、日本側24.2 %となる)
   
日本側融資金の残額約6.3億ドルならびにインドネシア側融資金残額約1億ドルについては、今後15年間で返済される。
   
インドネシア側及び日本側の株式化後の残存融資金にかかる金利率は、年率 LIBOR+1.25%とする。

メガワティ政権発足後、改めてチャンドラ・アスリ社の財務リストラの早期実現が重要であるとの共通認識に立ち、今回の合意に至ったものであり、当社としては、今回の合意は、最終合意であると確信しております。 又、このリストラ案の実行により、チャンドラ・アスリ社は大幅な金利負担の軽減による財務体質の改善が図られ、健全且つ安定した経営体質に転換できることになります。

チャンドラ・アスリ社は、2000年エチレン生産実績51万トンと、フル生産を行っており、又、今回の財務リストラに引き続き、小額の効率的な追加投資にてエチレンプラントの能力増強(エチレン51万トンから56万トン/年)の実施を計画しており、これにより、チャンドラ・アスリ社は製造コストを更に下げることができ、より一層国際競争力を持つ企業となる予定です。

今回の財務リストラ案の合意に関して、当社社長辻 亨のコメントは下記の通りです。

長期に亘る交渉でしたが、インドネシア・日本両国関係者各位のご協力もあり、漸く合意に至ることができました。今回の財務リストラにより、チャンドラ・アスリ社の財務体質は大きく改善され、2002年度より健全且つ安定した経営体質に転換できるものと確信しております。また、当社の経営においても、最大の重荷であったチャンドラ・アスリ社の問題解決は、当社のこれからの業績の改善に寄与するものと考えております。

 


参考 過去2回の合意内容

 1)2000年6月末の合意内容

−インドネシア側融資金全額約4.6億ドル及び日本側融資金の内、1億ドルの株式化。
−日本側融資金の残額について、今後12年間で返済される。
−日本側融資金にかかる金利率は、年率 LIBOR+2.5%とする。

 2)2001年4月末の合意内容

−インドネシア側融資金の内、約4.1億ドル及び日本側融資金の内、1億ドルの株式化。
−日本側融資金の残額について、今後15年間で返済される。
−日本側融資金にかかる金利率は、年率 LIBOR+1.5%とする。


(日本経済新聞 2001/10/26)

   
丸紅とインドネシア当局 石化合弁再建で合意 借入金圧縮黒字化めざす

 インドネシア銀行再建庁(IBRA)と丸紅は25日、両者が出資するインドネシアの石油化学合弁メーカー、チャンドラ・アスリの再建策で基本合意したと発表した。双方がチャンドラ向け融資のうち計5億9千万ドル(約725億円)をチャンドラ株に転換することで、チャンドラの借入金を圧縮するのが柱。チャンドラは金利負担を軽減、早期の黒字化を目指す。

 合意内容は@インドネシア側が5億4千万ドルの融資のうち4億4千万ドルを、丸紅が主導権を握る日本側が7億8千万ドルの融資のうち1億5千万ドルをチャンドラの株式に転換Aチャンドラは残った借り入れ7億3千万ドルを15年間で返済B残った借り入れの金利はロンドン銀行間取引金利(LIBOR)に1.25%を上乗せした水準とする−−など。融資を株式に切り替える結果、日本側の出資比率は現在の23.8%から24.2%に高まる。

 チャンドラはインドネシア政府が石化製品の国内一貫生産体制を構築するために設立、1995年にエチレンプラントの操業を開始した。生産能力は同国では最大級の年約51万トン。現在はフル稼働中だが、97年の通貨危機などの影響で、元利金の返済が経営を圧迫。2000年12月期決算は9800万ドルの最終赤字だった。
 丸紅とインドネシア政府は昨年6月、丸紅がチャンドラ向け融資のうち1億ドル、インドネシア側が同4億6千万ドルを株式化し、チャンドラが残った借入金を9年間で返済することを柱とした再建計画をまとめた。しかしその後、インドネシア政府が合意内容の見直しを求め、今年4月の計画改定後も履行されない状態が続いていた。

懸案解決へ一歩
 丸紅はチャンドラ・アスリの再建策についてインドネシア政府と基本合意したことで、業績の足かせになってきた「最大の懸案」(同社首脳)の解決に向け一歩前進することになる。チャンドラが最終赤字を計上していたのは、13億2千万ドルにのぼる借入金の金利負担が重かったため。2000年12月期の最終赤字は9800万ドルだが、金利負担は1億2千万ドル強にのぼっていた。今回の再建策でチャンドラの借入金は7億3千万ドルに減少、借入金利も減免され、金利負担は年3千万−4千万ドルに圧縮されるもようだ。
 丸紅は過去2回、チャンドラの再建策を巡ってインドネシア金融部門政策委員会(FSPC)と合意に達していた。しかし、同じ政府機関のインドネシア銀行再建庁(IBRA)が二度とも合意内容を履行しないという異常事態が続いていた。今回はIBRAとの間で合意に達しており、意味合いは重い。
 チャンドラは丸紅の連結対象会社で、ここ数年、丸紅の連結最終利益を年20億−30億円押し下げる要因となっていた。再建策の効果は今期決算には寄与しないが、2003年3月期以降は赤字要因が大幅に減る見通しだ。
 ただ世界景気が低迷する中、チャンドラの本業が軌道に乗るかは予断を許さない。チャンドラは今後、生産能力を増強、コスト競争力を高める方針だが、丸紅にとって優良投資先となるには課題も残されている。

 


Platts  2002/8/28

Marubeni creates group to manage Chandra Asri debt

 Japan's Marubeni Corp has set up a group to manage the debt restructuring of Indonesia's sole ethylene producer, PT Chandra Asri, in which the trading house owns a stake, a Marubeni official said Wednesday. The new group, Chandra Asri Petro Center, will officially begin working Sep 1. CAPC consists of personnel from various divisions of Marubeni. The creation of CAPC follows the Mar 5 signing by Chandra Asri and its creditors--Marubeni and the Indonesian Bank Restructuring Agency--of a "Term Sheet" on Chandra Asri's debt restructuring. The term sheet specifies the terms under which the debt is to be restructured.
 According to the agreement, $440-mil of IRBA's $540-mil loans and $150-mil of Marubeni's $780-mil loans would be converted to common shares. The remaining amount would be repaid to both parties over 15 years at an interest rate of 1.25% over the international LIBOR benchmark. Chandra Asri runs a cracker in Merak with ethylene and propylene capacities of 510,000 mt/yr and 270,000 mt/yr. The ethylene line supports a 300,000 mt/yr polyethylene plant.


中原 洋 「寛容の大河インドネシア 発展への課題」より

 中小規模の民間投資認可のケースでは、少々の出費ですんだから問題はなかった。ほとんどの海外企業は経済危機前、インドネシアヘの進出によって利益を上げたはずである。スハルト体制による政治の安定と経済成長が成功を支えたといえよう。
 しかし問題は、目につくような大規模事業のケースだった。
 これこそがケタはずれの巨額汚職を生んだのである。

 大規模事業では、大臣や政府高官のレベルをこえて、大統領自身か、そのファミリーに直接莫大な裏金を払わなければ認可を取得することができなかった。それでも認可を取りたい会社は、この裏金をつくるためにいろいろな工夫をした。
 典型的は方法は、
建設費の水増しだった。
 たとえば、日本やアメリカでつくれば13億ドルで建設できるプロジェクトの設備費を、周辺インフラ整備のためコストがかかるという理由で
5億ドルほど水増しする。これで総建設費は18億ドルとなり、銀行に融資を申請する。銀行はプロジェクトのポートフォリオを見るだけで、実際の建設コストに対する鑑識眼を持たないから、そういうプロジェクトにも疑いをもたないで融資した。
 しかし実際の建設費は13億ドルだから、融資を受けたプロジェクトの操業会社は差額の5億ドルを自由に使うことができる。5億ドルというのは、1ドル100円でもじつに500億円である。1ドル120円なら600億円にもなる。そうとう使いでがあったに違いない。
 もちろんこれを使うのはインドネシアのローカルパートナーかフィクサーだ。
 だからプロジェクトの投資会社は、そういう実態を知っていても知らないということができた。この意味では、大規模投資をおこなった一部の会社には相当の問題があったと言わざるをえない。
 この5億ドルの見かえりとして、政府は国内産業保護のためと称する高率の製品輸入関税を設置したり、あるいはまた製品の国内引渡し価格を異常に高く設置したりした。
 言いかえれば、統制された汚職のもとでものごとが決まり、それなりに事態は動いていたのである。スハルト時代は、ある意味でわかりやすい時代でもあった。
 しかし5億ドルもの水増しをしてつくられた設備を持つ会社が、きびしい国際競争のなかで利益を上げられるはずがない。プロジェクトの操業会社はたちまち破産の危機におちいり、投資会社は巨額の赤字をかかえることになった。銀行は貸しつけた資金の回収が不能となり、不良債権化した。
 ついでに不良債権に関していうと、銀行の鑑識眼が甘かった例はこういう大規模プロジェクトにとどまらない。
 ある中規模の工場では、生産プロセスから出る廃棄物がはなはだしい公害を引きおこすことがはっきりわかっていながら、その処理設備がまったく計画されていなかった。それでも政府が認可したので、銀行は融資をおこなった。
 工場が操業を始めると、不法に投棄された廃棄物はたちまち周辺環境を破壊し、住民の生活が危機にさらされた。しかし政府はなにもしない。住民が自衛のために立ちあがり、実力で操業を妨害する行動に出た。その結果、会社は物理的に操業できない状態におちいった。けっきょく銀行が貸しつけた資金は回収不能となり、不良債権化したのである。
 こうした例を考えてみると、国家的規模での汚職というものは、決して政府によって一方的に強制的におこなわれたのではない。それどころか、
それに協力する会社や銀行があったからこそ存在したということがわかる。もしこういう会社の巨額赤字や不良債権を救うために税金が使われるとしたら、マクロの経済政策としては理解できても、市民感情としてはいささか納得しにくい気もする。


中国・ASEANニュース速報 2004/5/13

【インドネシア】丸紅の石化合併、06年までに行末決定

丸紅は
10日の決算会見で、インドネシアの石化合弁事業であるチャンドラ・アスリ・ペトロケミカル・センターについて、同社が03年4月〜06年3月まで進める経営計画(Vプラン)の終了までに、何らかの結論を下したいとの見解を明らかにした。

勝俣宣夫社長は、チャンドラ・アスリは「コア事業ではない」と述べているが、記者から撤退もあるのかとの問いに対し、「選択肢の一つではある」と答えている。

丸紅の
04年3月期連結当期利益は過去最高の346億円だったが、チャンドラ・アスリの持ち分損失は前年より22億円悪化の42億円に達している。

丸紅は
2002年3月、チャンドラ・アスリの財務リストラ案に関し、インドネシア側主要債権者である銀行再編庁(BPPN:当時)との間で再編条件の合意書に調印している。合意内容は、チャンドラ・アスリは、インドネシア側への債務5億4,000万米ドルのうち4億4,000万米ドル、丸紅など日本側への債務7億8,000万米ドルのうち1億5,000万米ドルをそれぞれ株式化し、残額を償還期間15年、年率ロンドン銀行間金利(LIBOR)プラス1.25%で返済するというもの。丸紅はこの結果、チャンドラ・アスリの株式24.6%を保有する。

コラン・テンポが伝えたところによると、チャンドラ・アスリのディディット取締役はコメントを避けているが、同社のゲラルド元社長は、丸紅が株主だけでなく債権者であることから撤退は容易ではないと指摘している。

チャンドラ・アスリは
1989年、国内唯一のオレフィンセンターとして西ジャワ州チレゴン地区に資本金105,000万米ドルで設立。現在生産規模はエチレンが年51万トン、プロピレンが同24万トン、ポリエチレンが同30万トン。2003年通期の決算では、売上高3億9,000万米ドル、税引き後損益7,000万米ドルを計上している。


日本経済新聞 2005/3/18

丸紅 チャンドラ社からの撤退損 株の売却益で相殺へ

 丸紅、最後の大物不良資産を株の含み益で整理へーー。丸紅は長年の懸案となっていたインドネシアの石油化学合弁プロジェクト、チャンドラ・アスリからの撤退で見込まれる最大220億円規模の損失を、株式売却益で相殺する方針を固めた。昨年12月末で800億−900億円ある上場株の含み益を活用する。
 丸紅は2006年3月期末までに、24.6%を出資するチャンドラ・アスリの保有株を売り切るため、現在売却交渉を詰めている。一方で、来期に連結純利益を500億円(今期見通し370億円)に増やす目標を掲げているため、チャンドラ社関連の損を株式売却益で穴埋め、利益目標の達成を優先する。
 1995年に操業したチャンドラ社に、丸紅は投資と融資で430億円ずつ、計860億円を投じた。これまでに投資分で390億円の損失を取り込むとともに、50億円の貸倒引当金を計上。簿価で400億円の融資担保の実勢価値を半値と見積もり、残り220億円を現在のリスク額と丸紅は見ている。
 2002年3月期から今期までに、赤字事業からの撤退や固定資産の減損処理などで計上するリストラ費用は計3千億円規模に達する見通しで、チャンドラ社が最後の大物不良資産とみられている。チャンドラ社は石油化学品市況の回復で今上期、13億円の黒字だが、「商社として5−7年周期のブームを待てない」と判断、撤退する。


2005/4/26 日本経済新聞夕刊            丸紅発表

インドネシア 丸紅が石化合弁撤退 前期売却損200億円

 丸紅は商社業界で「最後の大型不良資産」といわれていたインドネシアの石油化学合弁事業から完全撤退する。経営不振の合弁会社のチャンドラ・アスリについて、1年前倒しして2005年3月期に200億円規模の売却損を計上し、全保有株を今夏に売却する。一方で、同国の紙・パルプ関連企業2社の株式を取得して子会社化し、経営資源を集中させる。26日午後の決算発表で公表、処理の遅れていた負の遺産の一掃を鮮明にする。

不良資産処理前倒し
 チャンドラは1995年操業でポリエチレンなどを生産。丸紅の現在の持ち株比率は24.6%。投資や融資で総額860億円を投じてきたが、97年のアジア通貨危機やコスト競争力の低下などで事業は低迷していた。赤字が続いたため、丸紅はこれまでチャンドラ向けに約400億円の損失計上を強いられるなど、経営の重荷になっていた。
 丸紅は今夏に、保有するチャンドラ株すべてを独コメルツ銀行グループの信託会社に売却。売却損は200億円規模で発生する見通しだが、期初見込みに比べ堅調に推移している他の事業の利益で吸収する。売却する代わりに、強みを持つ紙パ事業の拡充をめざし、既に出資している植林と製紙用紙パルプを手掛ける現地2社の株式をコメルツから取得。それぞれ出資比率を60%以上に高めて子会社化し、主導権を握る。2社の年商は250億円程度を見込む。
 チャンドラは素材価格の高騰などで04年12月期には150億円程度の最終利益を計上、初めて黒字となったものの、丸紅は既に同社を中核事業から外す方針を決定済み。06年3月期までに株式を売却して完全撤退する意向だったが、素材・エネルギー事業の拡大などで業績好調な前期段階での前倒し処理に踏み切ることにした。 
 丸紅は他の大手商社が不良資産の処理を急ぐなかで業績不振が長引き、「リストラでは周回遅れ」(業界関係者)とも指摘されていた。内外景気の回復など経営環境の好転で不良資産の処理が着実に進み、今回、懸案事業に区切りをつけ「負の遺産の一掃」を宣言。得意分野への投資を加速するなど攻めに転じる。

チャンドラ・アスリ
 1989年設立。エチレンやプロピレン、ポリエチレンを生産するインドネシアの総合石化企業。当時のスハルト大統領の肝いりで計画が進められた。丸紅は93年に資本参加した。現在の合弁相手はインドネシアの民間企業やマレーシアの投資会社。04年12月期の売上高は8億3800万ドルで最終利益は1億4700ドル。

2005/4/26 丸紅

インドネシア事業の再構築について
《チャンドラ・アスリ事業からの撤退とムシパルプ事業の経営権取得》
http://www.marubeni.co.jp/news/nl/nl050426d.pdf

 当社の子会社である日本インドネシア石油化学投資(株)は、チャンドラ・アスリ(CA)石油化学事業関連の投融資資産を、コメルツバンク・インターナショナル・トラスト社(Commersbank International Trust (Singapore) Ltd.、「CITS社」)に売却し、その対価として、ムシパルプ事業関連の株式等を取得することにつき、本日、基本合意に達しました。今後、関連契約書の整備と並行してインドネシア関係官庁の許認可および本邦関係者の最終的な同意を取得の上、数ヶ月以内に正式契約を締結する予定です。
 本件の経緯と取引の詳細は下記の通りですが、今回の取引により、当社グループは、懸案であった「CA石油化学事業」からの完全撤退と、ムシパルプ事業の経営権取得による紙パルプ事業の拡充を同時に実現することになります。
 なお、今回の一連の取引実施を前提として、当社は、本日別途公表した2005年3月期の決算において、連結決算で213億円、単独決算で208億円の税引前損失を計上しております。

1.本件の経緯と当社グループの狙い
 日本・インドネシアの大型経済協力プロジェクトとして、1995年に操業を開始したCA事業は、10年にわたる操業を通じた技術・ノウハウの移転と人材の育成を進めた結果、現在では、インドネシア側による操業体制が完全に確立されています。また、CA事業の業績は、アジア通貨危機を主因とするアジア全体の景気停滞の影響もあり、苦しい運営を強いられ、当社において多額の損失を計上する状態が続きましたが、生産効率の改善などによる収益性の向上に努める一方、多くの関係先の支援の下、抜本的な財務リストラを断行して、経営基盤の大幅な改善を実現しました。さらに2004年度には市況の好転もあって、操業開始以来、初めての黒字転換を果たしました。
 しかしながら、当社グループとしては、本事業が、原料と製品の双方が市況りスクに晒される事業でおり、また、少数株主としてその発言権も著しく限定されていることより、これをノンコア事業と位置付け、業績の改善に注力する一方で、昨年来、現地側パートナーとともに、複数の石化事業者等との間で、当社グループの撤退に向けた方策を模索して参りました。
 一方、当社はかねてより、重点分野の事業としてバリト・パシフィック・ティンバー社(PT Barito Pacific Timber、「BPT社」)と共同出資している、ムシパルプ事業の経営権取得を目的として、段階的な出資比率の引き上げなど、布石を打って参りました。そのような中、BPT社が、債務リストラの一環として、大口債権者であるシンガポ一ルのClTS社に対して、ムシパルプ事業の関連資産への転換オプション付き社債を発行するとの動きが出てきたことから、当社としては、CA事業とムシパルプ事業の関連資産を実質的に入れ替えることで、懸案の「CA事業からの撤退」と、「ムシパルプ事業の経営権の取得」という2つの課題を同時に達成すべく、C1TS社と交渉を行い、今般、ClTS社との間で基本合意に至ったものです。
 ムシパルプ事業は、パルプ生産会社であるタンジュンエニム・レスタリーパルプ&ぺ一パー社(PT Tanjungenim Lestari Pulp & Paper、「TEL社」)とパルプ用原木植林会社であるムシ・フタン・ペルサダ社(PT Musi Jutan Persada、「MHP社」)からなる、アジアにおける唯一の100%植林原木を使用した、環境に優しいパルプ製造事業です。今回の取引により、当社グループは、TEL社とMHP社を子会社化し、ムシパルプ事業の経営権を取得することになります。当社グループとしては、約19万ヘクタールとインドネシア最大級の植林可能面積を持つMHP社と、MHP社からの安定的な原料供給を受けて年間45万トンのパルプ生産能力を持つTEL社を一体的に運営することにより、ムシパルプ事業の経営効率を高め、収益カの一段の向上を図って参ります。 
 当社グループでは、重点分野の一つである紙パルプ分野において、「植林・チップ」、「パルプ」、「製紙」、「販売」という、原料から製品までのバリューチェーンを展開しておりますが、今回のムシパルプ事業の経営権取得は、その強化を狙うものです。ムシパルプ事業をバリューチェーンに組み込み、その意義と効果を極大化するために、当社では今回の経営権取得を機に、事業の所管を従来の「電カ・プラント部門」から「資材・紙パルプ部門」に移管します。また、今後需要拡大が見込まれる中国などを中心に、この分野におけるアジア市場でのプレゼンスをより一層高めるとともに、当社グループが優位性を持つ紙パルプ事業のさらなる強化・拡充に注カして参ります。

2.主な譲渡予定資産
 インドネシア石油化学投資(株)が保有する、CA社株式の24.59%及び同社向け融資581百万ドル

3.主な取得予定資産
 ClTS社が保有する、インドネシアの木材・合板製造グループであるBPT社が発行した以下の資産への転換オプション付社債
・TEL社株式の40%及び同社向け融資80百万ドル
・MHP社株式の39.55%

 当該社債取得後、直ちに転換オプションを行使し、上記資産を取得する予定です。また、MHP社については、上記以外に少数株主持分の6%についても取得の予定であり、その結果、当社グループは既保有分(直接、間接を含む)をあわせて、TEL社議決権の85%、MHP社議決権の60%を保有することになります。

参考 関係者の概要

1.チャンドラ・アスリ社(PT Chandra Asri)
 事業内容:エチレン、プロピレン、ポリエチレンの製造・販売
        生産キャパシティー(年産) エチレン    51万トン
                          プロピレン  24万トン
                          ポリエチレン 30万トン
 設立年月:1989年3月(商業生産開始、1995年9月)
 所在地:インドネシア、ジャカルタ(工場:西ジャワ、アニエール)
 資本金:129百万ドル
 株主構成:PT Inter Petrindo Inti Citra(インドネシア)49.55%
        Glazers & Putnam Investment Ltd. (マレーシア)25.86%
       日本インドネシア石油化学投資梶@24.59%

2.日本インドネシア石油化学投資株式会社(Japan Indonesia Petrochemical Investment Corp.)
 事業内容:チャンドラ・アスリ社に対する投融資
 設立年月:1992年10月
 所在地:東京
 資本金:20,846百万円
 株主構成:丸紅85%、他15%

3.ムシパルプ事業別紙参照

4.コメルツバンク・インターナショナル・トラスト社(Comerzbank International Trust (Singapore) Ltd.)
 事業内容:信託・資産管理等。コメルツバンクグループ。
 設立:1995年
 所在地:シンガポール
 資本金:3百万シンガポールドル
 株主構成:コメルツバンクグループ 100%

5.バリト・パシフィック・ティンバー社(PT Barito Pacific Timber)
 事業内容:合板製造等
 設立:1977年
 所在地:インドネシア、ジャカルタ
 資本金:2兆6174.6億ルピア
 株主構成:ジャカルタ証券取引所上場企業

別紙-1


@MHP社(ムシ・フタン・ペルサダ社/PT Musi Hutan Persada)
 事業内容:

インドネシアスマトラ島においてアカシア植林事業を展開、TEL社にパルプ原料のアカシア原木を供給している。
事業使用の認可を受けているエリアの総面積は、約30万ヘクタール(東京都の1.5倍)、内、植林可能面積は約19万ヘクタールであり、インドネシア最大級となる。
現在のTEL社のパルプ生産を賄うに十分な供給能カを有しており、今後のTEL社の増設、植林木のTEL社以外への外販にも十分対応可能である。

 設立年月:1991年3月
 所在地:インドネシア、ジャカルタ
 資本金:1,354億ルピア
 株主構成:丸紅グループ60%、インドネシア林業公社40%

ATEL社(タンジュンエニム・レスタリ・パルプ&ぺーパー社/PT Tanjungenim Lestari Pulp & Paper)
 事業内容:

MHP社から供給されるアカシア植林木のみを原料とした製紙用パルプ製造・販売。(生産能カ45万トン/年)
アカシア単一樹種という原料構成のため、品質が安定しており、さらに高い白色度、表面平滑度など、紙に加工した際の品質の評価も高い。印刷用紙など各種洋紙の原料に適するが、ティッシュ等家庭紙にも用途が広がっている。

 設立年月:1990年6月設立(商業生産開始2000年5月)
 所在地:インドネシア、ジャカルタ(工場所在地:南スマトラ州、Muara Enim)
 資本金:350.3百万ドル
 株主構成:丸紅グループ70%、スマトラパルプ社30%
        (スマトラパルプ社:丸紅50%、JBIC 42.7%、日本製紙7.3%)
  ※丸紅グループの実質持分は、スマトラパルプ経由の15%を加え、85%となる。

注:上記の株主構成は、今回の一連の取引が終了した時点のものとなる。

別紙-2 丸紅グループの紙パルプ事業のバリューチェーン


Platts 2008/9/19

Indonesia's Chandra Asri shelves aromatics project indefinitely

Indonesia's Chandra Asri has shelved indefinitely its plans for an aromatics complex at Anyer in west Java, as aromatics cash margins have been poor for a large part of the year, an industry source said Friday.

Chandra Asri was considering investing in an aromatics complex until May this year. The proposed project was tentatively slated for completion in 2011, and centered on a 170,000 mt/year benzene plant. It was to have the capacity to produce 70,000 mt/year of toluene and 55,000 mt/year of mixed xylenes, from pygas.

Chandra Asri has a wholly owned subsidiary, Styrindo Mono Indonesia, which can produce 340,000 mt/year of styrene monomer at Merak, using ethylene feedstock from its parent company, and benzene bought from the merchant market.

Benzene from the proposed aromatics complex would have been channeled to Styrindo.

The aromatics complex would have been Indonesia's third. The first two are operated by state-owned oil and gas company Pertamina, and Trans-Pacific Petrochemical Indotama. TPPI is a tie-up among Pertamina (15%), the local TubanPetro (59.5%), Siam Cement (20.4%), Sojitz (4.25%) and Itochu Corp (0.85%).

Singapore investment company Temasek Holdings owns 30% of Chandra Asri, with Indonesian business group Barito Pacific holding a 70% share.


2008/9/25 Platts

Merger of Indonesia's Chandra Asri, Tri Polyta on hold: Barito

A proposed merger of Indonesian petrochemical companies PT Chandra Asri and PT Tri Polyta, previously tipped for completion around mid-2009, has been put on hold, a source from Barito Pacific Tbk., the companies' majority shareholder, said Thursday.
Barito acquired a 77% stake in Tri Polyta in August, complementing the group's 70% ownership in Chandra Asri. The financial statements of both petrochemical subsidiaries will be reflected in Barito's earnings report for the third quarter ending September 30.
"We've newly acquired Tri Polyta and there are no immediate plans to merge [with Chandra Asri]. We'll see how it goes and, if necessary, will review the matter," said the source.
"[For now,] there is no change except for the consolidation of the financial statements of both companies, which will be reflected in Barito's Q3 earnings report," he said.
Chandra Asri operates Indonesia's only steam cracker, with capacity to produce 600,000 mt/year of ethylene and 306,000 mt/year of propylene, while Tri Polyta, the country's largest polypropylene producer, can produce 360,000 mt/year of PP.
Chandra Asri supplies all of its propylene output to Tri Polyta, accounting for about 80% of Tri Polyta's propylene requirements. Their plants are located next to each other at Cilegon, in Banten province in western Java, and are linked by pipeline.
Chandra Asri also produces styrene monomer through wholly-owned subsidiary Styrindo Mono Indonesia.
Historically known for its timber activities, the Barito group is expanding into other natural resources and chemicals.
Chandra Asri is privately owned, and the rest of its shares are owned by Singapore investment company Temasek Holdings. The rest of Tri Polyta's shares are traded on the Jakarta Stock Exchange. Barito Pacific is also listed on the JSE.
Chandra Asri is known to occasionally fall behind payments for its naphtha imports. A company source told Platts in July that recent payment delays were likely due