日本経済新聞 2005/7/5
JFE 中国で石炭化学事業 山東省 合弁で染料など生産
JFEグループは中国山東省で石炭化学事業に進出する。鉄鋼原料となるコークス(蒸し焼きの石炭)生産時の副産物となるタールを蒸留分解し、染料やタイヤの原料、電極材料を中国企業と合弁で生産する。現在、事業化調査中で近く正式に決定する。JFEが石炭化学で海外に進出するのは初めて。
進出するのは山東省灘坊市でJFEケミカルが、コークス生産を手掛ける山東海化集団と合弁会社を設立する。タールの処理能力は年30万トンで、染料や防虫剤となるナフタリンのほか、タイヤの原料となるカーボンブラック、電炉などの電極の材料にする。投資額は50億円程度とみられ、2006年後半に生産を始める計画だ。
中国では鉄鋼生産の拡大に伴いコークス需要が増え、山東省は中国2位の年1800万トンを生産している。同時に100万トン程度のタールも産出しているが化学品への処理能力が足りず、燃料に回すことが多い。30万トンの処理能力を持つ石炭化学プラントは山東省で最大で、中国全体でも最大規模になる。
JFEケミカルは国内で約75万トンのタール蒸留能力を持ち、石炭化学では新日本製鉄系のシーケムに次ぐ2位。国内ではコークス生産の伸びが期待できないなか、顧客企業の進出が見込める中国に生産拠点を確保する。