日本経済新聞 2002/9/20 発表文
三井化学 プロピレンに生産シフト 統合控え事業構造転換
三井化学は自動車や電気製品の素材となるプロピレンの生産を強化する。主力の大阪工場(大阪府高石市)で基礎原料の分解・精製工程に新技術を導入、主産物をエチレンから国際競争力の高いプロピレンに変更。同工揚での生産能力を約5割増強する。2003年秋の住友化学工業との経営統合を踏まえ、事業構造転換を急ぐ。
同工場ではエチレンを年45万トン、プロピレンを28万トン、合成ゴム原料のブタジェンを17万トン製造している。米ABBルーマスから技術導入し、精製したエチレンとブタジェンをプロピレンに転換する装置を日本メーカーとして、初めて設置する。総投資額は40億円程度。
来年に改造工事に着手、2004年夏の稼働を目指す。これにより、同工場での製品構成はプロピレン42万トン、エチレン41万トンになる。一つの工場でプロピレンがエチレンを上回るのは国内では初めて。
ナフサを分解・精製する基礎原料工程では、エチレン1に対し、プロピレン0.6、ブタジェンなどが0.4の割合でできる。従来技術では比率見直しは困難だった。
プロピレンは自動車バンパーやフィルムなどに使われるポリプロビレンのほか、電子回路やDVD(デジタル多用途ディスク)素材、接着剤などの原料であるフェノール、繊維や電気製品に使われるアクリロニトリルなどの誘導品を持つ。アジア市場では需要に生産が追いつかない状態で、三井化学では有望市場として生産体制の充実に踏み切る。
エチレンも多くの誘導品を持ち、アジア地域での需要拡大が見込まれている。ただ中東産油国が安価なエタンを原料に供給力を拡大しており、国内の製造コストでは対抗するのが難しいという。
三井化学は転換ノウハウを蓄積。独自技術の開発も進める方針で、市原工場(千葉県市原市)でもプロピレン転換装置の導入を計画している。
2002/9/20 三井化学
大阪工場プロピレン生産体制強化の件
当社(社長:中西宏幸)は、大阪工場のプロピレンの生産能力を、2004年8月を目処に140千トン/年増強し420千トン/年に引き上げることと致しました。
当社大阪工場は、原料ナフサの熱分解・精製によりエチレン478千トン/年、プロピレン280千トン/年の生産能力(定修年・非定修年の平均)を有しています。ここに、精製したエチレンとブテン類をプロピレンに転換する設備を付加することにより、プロピレン生産能力の増強を図ります。
当社は、石油化学原料事業をコア事業として強化しており、今後プロピレン需給のタイト化が懸念される中、大阪工場をエチレンセンターからプロピレンセンターへ転換し、ポリプロピレン、フェノールなどのプロピレン誘導品を中心として国内石化の構造改革を図ることにより、石油化学の国際競争力を強化していきます。
なお、今回のプロピレン生産体制強化計画の概要は次のとおりです。
1. プロピレン増産量 140千トン/年(280→420千トン/年)
2. 採 用 技 術 ルーマス社Olefins Conversion Unit(OCU)技術
3. 主コントラクター 東洋エンジニアリング株式会社
4. 事業内容 着工:2003年7月
完工:2004年8月
5. 工費 約40億円
日刊工業新聞 2002/9/4
新日本石油化学、浮島でPGP増産−来夏めどに4倍の39万トンに
新日本石油化学(東京都千代田区、西部孝社長)は、浮島工場(川崎市川崎区)で高純度プロピレンの生産能力を増強する。10数億円を投じて蒸留塔2基を増設し、03年夏をめどに年産能力で現在比約4倍の39万トンに引き上げる。付加価値の高い高純度品の供給に軸足を移すことで収益増を図るのが狙い。同社はさらに親会社の新日本石油と連携して、需要増が見込まれるプロピレンの供給増強を目指す。
新日本石油化学が生産能力を増強するのは基礎化学品のプロピレンの中でも、純度が99・5%と高い「PGP」。年産能力が28万トンの低純度プロピレン「CGP」設備を全面的にPGP向けに転換する。
プロピレンはナフサ分解で得られる石油化学製品の基礎原料の一つ。同社は、用途範囲が狭いCGPを自家消費のほか、アクリロニトリルやアクリル酸に使うにとどまっている。
三井化学・日石化学 共同生産を解消 エチレン、9月末メドに
三井化学と日本石油化学は10日、基礎原料エチレンの共同生産を9月末をめどに中止すると発表した。両社はエチレン生産会社、浮島石油化学に折半出資しているが、浮島石化のプラント2基を1基ずつ引き取る。三井と住友化学工業の経営統合に伴う措置。日石化学は三井との提携解消により川崎地区でコンビナートが隣接する東燃化学との関係強化を目指す。
浮島石化は三井化学の市原工場(千葉県市原市)内と、日石化学の川崎事業所(川崎市)内に1基ずつエチレンプラントを持つ。年間生産能力は千葉が55万3千トン、川崎が40万4千トン。千葉の設備を三井化学が、川崎の設備を日石化学が引き取りそれぞれ運営する。浮島石化は清算するか、三井、日石のいずれかの全額出資会社とする方向で交渉している。
両社の共同運営方式では、エチレンの生産計画を機動的に策定したり変更したりできないなどの問題があった。三井化学は千葉、日石化学は川崎にそれぞれ生産基地を集約し、コンビナートが隣接する化学会社と連携した方が競争力が高まると判断した。
(化学工業日報 2001/5/15)
石化再編、新ステージに 合弁センター解消で条件整う
国際競争力確保へ コンビナート統廃合も
エチレンセンターの再編が新たなステージを迎えた。日本石油化学と三井化学が10日、折半出資のセンター会社「浮島石油化学」を9月末で解消することを発表。これにより、センターの輪番投資や共同運営を目的に、昭和40年代中心に設立された合弁会社が全て整理される。新たな再編に向けた“足かせ”が外れたことで、日本の石油化学は一気にコンビナートの統廃合と大再編の時代に突入する条件が整った。
エチレン共同出資会社の相次ぐ解消は、業界地図の組み替えが背景にある。94年10月の合併により、鹿島、四日市、水島の3コンビナート体制へ移行した三菱化学は3拠点による最適生産体制を構築するため「水島エチレン」を解散。その結果として同社は、今年1月に四日市のエチレンプラントを休止させた。
浮島石化整理の動きも同様だ。三井化学のエチレンは、97年の合併により実質的には市原と大阪石油化学の2拠点となった。さらに2003年の住友化学との統合後は、住友化学・千葉に「京葉エチレン」を加えた4プラント体制に移行する。これで古い組み合わせによる合弁の解消は必然となった。「大阪石油化学」は今年2月に完全子会社化、さらに今回の発表となった。
日本の石油化学工業は、過去30年間で2度目の過剰設備問題に直面している。1970年代に迎えた1度目の危機は、産業構造改革法という護送船団方式によって乗り越えた。しかし今回の危機は、優勝劣敗による淘汰の結果、強い企業、強いグループが生き残ることで乗り切るという図式が避けられない。
生き残りの条件は、国際レベルの競争力を確保できるかどうかの1点にある。欧米スーパー・メジャ−企業のアジア進出や中東における石化コンビナートの大増産などにより、そのハードルは一気に引き上げられようとしている。
ポリオレフィン、エチレングリコールといった大型誘導品はとくに厳しいコスト競争力が問われており、統廃合が避けられそうにない。このため各社は、すでに新たな枠組みによる石化事業の再編に動き出している。ポリオレフィンでは、既存の小規模系列を破棄し、新たに世界規模の設備を建設するスクラップ&ビルド計画が進行中だ。
誘導品段階での整理統合を進めるためにも、エチレン合弁会社の解消は必要な条件だった。一方、誘導品の統廃合は、必然的に原料エチレンの統合に結び付く。こうした連鎖的な動きが、日本の石化コンビナートの地図を根底から塗り替える可能性が高まってきた。
2000/2/3三友新聞 http://www.mki.co.jp/mitsuiPR/news/file/news517.htm
三井化学、大阪石油化学を完全子会社化 − エチレンセンター強化 −
三井化学(中西宏幸社長)は1月31日、大阪石油化学(株)(本社=東京都千代田区、中西宏幸社長)との間で株式交換契約に調印し、本年3月13日に大阪石油化学を三井化学の完全子会社(100%出資)とする、と同日発表した。
同社は、1997年10月から千葉地区の浮島石油化学(株)と大阪地区の大阪石油化学の両エチレンセンターを運営。しかし、昨今の石油化学産業を取り巻く厳しい事業環境の中で、主原料の供給ソースであるエチレンセンターの競争力強化という課題について検討した結果、大阪石油化学を同社の完全子会社とし、浮島石油化学と一体運営することが最適であると判断した。
完全子会社化によって、経営の意志決定のスピードアップが行え、さらに大阪のエチレンセンターの一層の競争力強化が図れるとみている。
◇大阪石油化学
1965年2月設立。
資本金50億円。
株主構成は三井化学55%、宇部興産20%、鐘淵化学、コスモ石油、三井物産、三和銀行、さくら銀行は各5%。
売上高477億円(99年3月期)。
エチレン年産能力45万t。
従業員81名。
日経産業新聞 2002/7/2
出光石化、エチレン生産を効率化 原料分解能力40%向上
出光石油化学はエチレン製造を大幅に効率化できる技術を実用化した。原料のナフサからエチレンを分解する能力が従来より約40%高まる。プラント増設中の徳山工場(山口県徳山市)に導入する。同工場全体のエチレン生産にかかるコストは10%弱低下する見込み。ナフサ市況の変動に強い収益体質構築につなげる。
新技術は熱分解反応でナフサからエチレンを製造する分解炉に導入する。一般的な分解炉は一定量のナフサ投入に対し製造できるエチレンの割合は25%前後。国内の最新プラントも30%前後だが、新技術で35%前後まで高まるという。
分解炉でナフサが通過するパイプ内側に設けるらせん状のひだの最適な形状を解析し、生産効率の向上に結びつけた。同工場の既設分解炉では工チレン1キログラムを製造するのに約6400キロカロリーの熱が必要。新技術の分解炉では約4400キロカロリーで済むため、プラント全体のコストが低下する。らせん状のひだを形成する手法は以前からあり、同社も米プラントメーカーなどとの共同開発でノウハウを蓄積してきた。85年に千葉工場の分解炉に導入したが、解析段階だったため徳山の新設分解炉の生産効率には及ばないという。
徳山工場のエチレンプラント増設は年内に完了する予定。生産量は現在の年45万トンから623千トンとなる。エチレン生産効率の向上を徳山・南陽コンビナートの競争力強化につなげる。
Chemical Week 2002/6/19
Idemitsu Details Cracker Boost; Plans Further Hike
Idemitsu Petrochemical has confirmed that the previously announced debottlenecking of its ethylene plant at Tokuyama, Japan, will expand capacity by 175,000 m.t./year, to 635,000 m.t./year. Idemitsu will replace one of the cracker’s two furnaces during a scheduled maintenance shutdown in the third quarter, the company says. Idemitsu also says it plans to replace the cracker’s other furnace during a maintenance shutdown in 2003. The Tokuyama cracker supplies ethylene to polyvinyl chloride producers Tokuyama Corp. (Tokyo), and Tosoh Corp. (Tokyo) which are both expanding capacity. The cracker will also supply feedstock to Idemitsu’s styrene plant at the same site, Idemitsu says.
東ソー、新大協和を合併 エチレン新設構想を推進
東ソーは29日、系列のエチレン生産会社、新大協和石油化学(社長山口敏明・東ソー社長、資本金100億円)を10月1日付で吸収合併すると発表した。エチレン・誘導品の一貫体制を確立し総合化学会社としての経営基盤を強化するのが狙いで、併せて新大協和が計画しているエチレンプラント新設構想を東ソー主導で進めることを明確にした。石油化学製品の基礎原料であるエチレンは需要好調を背景に、三菱油化がプラント新設に着手したほか、5つの新設構想が持ち上がっている。東ソーがエチレン生産会社の合併という具体策を打ち出したことで、他の構想の進展にも影響を与えそうだ。
合併後の存続会社は東ソー。合併比率は未定。東ソーは新大協和の株式の46%を持つ筆頭株主で、残る主要株主との間で株式交換比率を詰め、合併契約に調印する。
東ソーは四日市工場で、新大協和からエチレンの供給を受け、誘導品事業を展開している。誘導品の生産は全額出資子会社の四日市ポリマー(社長池森一郎氏、資本金30億円)が担当しており、新大協和合併と同時に四日市ポリマーも吸収、経営の効率化を高める。
今回の合併について、山口社長は「以前から検討していた案件。経営環境が逆風に転じそうなので、事前に経営基盤を強化する」と語り、エチレン新設については「いつでも着工できるよう準備を進めておく」と説明している。新大協和のエチレン新設構想は、四日市コンビナート(三重県)に年産能カ40万トン(スタート時)ー55万トンのプラントを建設するというもの。投資予定額は450億ー500億円。93−95年の稼働開始を目措し、現在、環境アセスメントを実施している。
未上場会杜である新大協和は東ソーと含併することにより、資本市場からの資金調達が可能になるほか、現在両社の所有にわかれている建設用地も一体化し理想的なプラント配置ができる。
(2000/12/13
旭化成・ジャパンエナジー発表)
山陽石油化学株式会社の株主変更について
旭化成工業株式会社(社長:山本一元、本社:東京都千代田区、以下、旭化成)と株式会社ジャパンエナジー(社長:野見山昭彦、本社:東京都港区、以下、Jエナジー)は、両社出資会社である山陽石油化学株式会社(以下、山陽石化)のJエナジーが保有する全株式を2001年4月を目途として旭化成に譲渡することで、このほど基本合意に達しましたのでお知らせ致します。
なお、株式の譲渡価格その他の具体的条件については、今後、両社にて協議してまいります。
厳しさを増すと予想される石油化学産業の事業環境を受け、両社にて山陽石化の効率的な運営について協議を続けてまいりましたが、石油化学誘導品事業を行っている旭化成がエチレンセンターである山陽石化を一体運営することが最適であるとの結論に至りました。
今後とも、旭、山陽石化及びJエナジーとは、原料取引関係を含め、協力関係を継続いたしてまいります。
山陽石油化学株式会社の概要
設立 1968年7月
本社 東京都千代田区内幸町一丁目1番1号
代表者 岩瀬 満秋
資本金 20億円
出資比率 旭化成60%、Jエナジー40%
事業内容 エチレン、ベンゼン製造
従業員数 136名(2000年9月末)
* 株式譲渡価格 48億4000万円
(2000/12/4 三菱化学発表)
四日市事業所のエチレンプラント等の停止について
三菱化学株式会社(本社:東京都千代田区、社長:正野寛治)は、四日市事業所のエチレンプラント(年産能力27万トン)を停止し、エチレン生産を水島事業所及び鹿島事業所に集約することにより、オレフィンコストの大幅削減を図るべく昨年2月以来諸準備を取り進めておりましたが、このたび平成13年1月12日をもって同プラントを停止することといたしました。
同プラント停止後も、コンビナート各社の誘導品事業及び当社四日市事業所に対し、エチレン、プロピレン等を水島、鹿島両事業所から移送すること等によって供給することとしております。
当社は、日本における石油化学の勃興期である昭和34年5月に四日市事業所に年産2万2千トンのエチレンプラントを建設し、その後も日本の石油化学の発展に合わせ設備の新増設を行ってまいりました。現在稼働中のエチレンプラントは昭和43年3月からこれまで30年以上にわたり稼働を続けてまいりましたが、本年央からのサウジアラビア、台湾、シンガポール等アジアにおける大型エチレンプラントの新増設によりオレフィン及び誘導品の輸出を行うことが厳しくなること、さらには2004年の主要石化製品における大幅な関税の引き下げ等により、今後より一層内需の伸びが期待できないことから、当社エチレン生産体制の見直しを行い、四日市事業所のエチレンプラントの停止を決断したものであります。
また、四日市事業所のエチレンプラント停止に併せ、同事業所のエチレングリコール(EG)及び酸化エチレン(EO)の両プラントを平成13年1月15日をもって停止し、生産を鹿島事業所に集約することといたします。EGについては、国内販売は従来通り継続し、輸出分は海外品の手当等により対応いたします。EOについては、鹿島事業所より四日市事業所へ移送し、中部以西へのEO販売及び四日市事業所におけるEO誘導品の生産は、従来通り安定的に継続いたします。
当社は、既に発表している今年度から3ヶ年にわたる「中期計画」において、石油化学事業を当社グループの屋台骨を支える基幹事業分野として位置づけております。「選択と集中」の方針の下、従来より取り組んできたアライアンスを含めた事業構造改革の完遂と徹底的なコストダウンにより安定収益の確保と、コア事業における国内市場−国内事業(内−内)、海外市場−海外事業(外−外)の基本戦略により収益確保のための成長戦略を展開してまいります。
生産能力 単位:千T/Y
製品名 スタート 能力(現状) 能力(集約化後) エチレン 四日市
水島
鹿島No.1
鹿島No.2
計'68/3
'70/7
'70/11
'92/6
270
450
375
453
1,5480
450
375
453
1,278EG 四日市
鹿島
計'81/8
'92/6
85
267
3520
267
267EO 四日市
鹿島
計'81/8
'92/6
111
257
3680
257
257注:エチレン生産能力は、提起修理実施年のものです。