2008年11月13日 asahi

シャープなど日韓台3社に罰金555億円 液晶カルテル

 米司法省は12日、パソコンや携帯電話などに使われる液晶パネルの販売をめぐる国際的な価格カルテルで、電機大手シャープなど日韓台の液晶大手メーカー3社が罪を認め、計5億8500万ドル(約555億円)の罰金を支払うことに同意したと発表した。

 今回の米司法省に対しては、シャープのほか韓国のLGディスプレー(旧LGフィリップスLCD)、台湾の中華映管の3社が罪を認めた。罰金は、シャープが1億2千万ドル(約115億円)、LGディスプレーが4億ドル(約380億円)、中華映管(CPT)が6500万ドル(約62億円)。LGディスプレーへの罰金4億ドルは、米独禁当局がこれまでに科した罰金の中で過去2番目の大きさという。

 同省によると、シャープは日本や米国内で、他社とそれぞれ個別に協議するなどして販売価格を決め、不当に利益を上げたとされる。罪に問われた製品は01年4月から06年12月までに販売されたもので、米パソコン大手デル向けのパソコンや、米通信機器大手モトローラ向けの携帯電話、米アップル向けの携帯音楽プレーヤー「iPod」に使われた液晶パネルだった。話し合って決めた販売価格を厳守させるため、各社と販売状況に関する情報交換も行っていたという。

 また、LGディスプレーと中華映管の2社は、台湾や韓国、米国内で協議するなどして液晶パネルの販売価格を決めたとされる。対象となった製品は01年9月から06年12月までに全世界で販売されたものという。

 今回の事件について、マイケル・ムケージー司法長官は「今回の罰金などは、司法省が国際カルテルに対して断固とした措置をとるということを明確にしたものだ」との談話を出し、厳重に取り締まる姿勢を強調した。

 対象となったものと同じタイプの液晶パネルの市場規模は全世界で06年、約700億ドル(約6兆6500億円)。3社は大手メーカーとして市場に影響を与えられる存在だったとみられる。

 日本の公正取引委員会によると、日本企業が海外の独禁当局から多額の罰金を科せられたケースとしては、07年9月に、ファスナーメーカーのYKKが、欧 州連合(EU)の独禁当局から1億5025万ユーロ(現在のレートで179億円)の制裁金を科せられたのが過去最高とされる。米国では、01年5月に、黒 鉛電極をめぐるカルテルで、三菱商事が1億3400万ドル(約160億円)を支払った。

 また、日本企業の子会社としては、日本板硝子の英子会社ピルキントンが12日、EU当局から3億7千万ユーロ(約440億円)の制裁金支払いを命じられている。

中小型液晶パネルの07年出荷金額シェア(米ディスプレイサーチ)

シャープ 20.0%
東芝松下ディスプレイ 10.2
サムスン電子 8.8
エプソン 8.1
友達光電(台湾)7.4
日立製作所 6.8
TPOディスプレイ(台湾)5.0
ソニー 4.9
LGフィリップス 4.0 現 LGディスプレー
サムスンSDI 3.4
中華映管(台湾)3.0
その他 18.4