過剰設備の廃棄拡大 日石三菱・富山製油所 昭和電工・川崎工場
競争カを強化 輸入品に対抗
市況低迷が続く石油や化学など素材産業で過剰設備を休止・廃棄する動きが広がってきた。日石三菱は富山製油所を閉鎖、昭和電工も日本石油化学と共同運営する川崎工場の合成樹脂プラントを止める。減産による市況立て直しを目指したが、大口ユーザーの需要低迷が長引き本格的なテコ入れが必要と判断した。生産性の高い設備は稼働率を向上、安価なアジア製品に対抗する。
富山製油所は日石三菱グループが日本海側に持つ唯一の製油所。北陸電力に発電燃料の重油を供給するほか北陸地方のスタンドにガソリンを販売している。
精製能力は日量6万バレルだが、電力需要の不振などで最近の生産量は同4万バレル強。日石三菱は2005年度をめどに閉鎖し、設備を廃棄する方針を固めた。跡地は液化天然ガス(LNG)の貯蔵基地などに利用し、社員約150人の雇用を確保する見通しだ。
日石三菱は4月にグループの精製3社を統合するのに伴い、富山以外も生産体制を見直す方向。石油業界ではジャパンエナジーも昨年夏に知多製油所(愛知県知多市)の精製設備の操業を止めている。
重油やガソリンなど石油製品は2006年度に輸入品の関税が縮小され、安価な韓国製品などとの競合が激化する見通し。
昭和電工と日石化学が出資する日本ポリオレフィンは年内にも川崎工場の老朽化したポリエチレン設備(年産能力約4万トン)の稼働を止める。将来は廃棄する見込み。日本ポリオレフィンとの事業統合を計画する日本ポリケムもポリエチレンの設備を縮小する方向で検討に入った。
ポリエチレンの関税は2004年までに段階的に引き下げられる。すでに日用品などポリエチレンの加工品はアジアからの輸入が増加している。
10月に誕生するNKKと川崎製鉄の統合会社JFEグループも、年産能力で200万トン程度に相当する鋼材プラントを廃棄する方針。自動車業界の海外への生産シフトに対応する。
素材大手はここ数年、含併や提携を進めた。再編に伴い過剰設備の見直しがここに来て相次ぎ実現する。石油や石油化学、鉄鋼業界は15−30%の過剰能力を抱えているとされる。
素材業界の主な設備削減(検討中含む)
社名 | 時期 | 品目 | 規模 | |||||
化学 | 三菱化学 | 2001年1月 | エチレン | 27万トン/年 | ||||
日本ポリオレフィン | 2002年内 | ポリエチレン | 4万トン/年 | |||||
石油 | 新日本石油 | 2005年度内 | 石油製品 | 6万バレル/日 | ||||
鉄鋼 | 三菱製鋼 | 2001年12月 | 粗鋼 | 60万トン/年 | ||||
中山製鋼所 | 2002年9月 | 粗鋼 | 120万トン/年 | |||||
東京鉄鋼 | 2002年内 | 粗鋼 | 30万トン/年 | |||||
紙パ | 日本ユニパック | 2002年内 | 情報用紙など | 119千トン/年 |