2002/7/30 日刊ケミカルニュース
☆鐘淵化学、MBSなど樹脂改質剤で世界展開加速
欧米中心に設備増強、内外四拠点で18万t体制
鐘淵化学工業は塩ビ強化用樹脂(MBS樹脂・アクリル系)を中心とした樹脂改質剤事業の強化を柱に海外展開を一段と加速する方針だ。現在、樹脂改質剤では高砂(35千t)、ベルギー(51千t)、米国(50千t)、マレーシア(15千t)の4拠点合計で年産15万t強の生産能力を保有しているが、まず来春の完成に向けてベルギーで約20%の増強を実施中。さらに対中戦略の強化も視野に米国、マレーシアなどでも増強を検討しており、4拠点合計で年産18万t体制を確立する方針だ。同社は水ボトルなどの耐衝撃性を強化するMBS樹脂で世界シェアの約50%を保有しているが、最近では需要構造の変化に対応して窓枠・サイデイング材などの耐候性、加工性を高めるアクリル系での展開を強化、安定収益を確保している。
ベルギー、米国、マレーシアの海外3拠点を中心に樹脂改質剤をはじめ、発泡ポリオレフイン、変成シリコーンポリマー、塩ビペーストなどを現地化。機能製品を中心としたグローバリゼーションの加速によって2002年3月期の海外売上高は1060億円と全売上高3560億円(連結べース)の約30%を占めている。急成長している中国市場に対しても、現地化を視野に検討を進めていく方針。
本社・工場:パサディナ
1982年、南北アメリカ大陸での「カネエースB」(塩ビ強化用樹脂MBS)の需要に対応するため設立。1990年には、「エペラン」(ビーズ法発泡ポリエチレン )「エペランPP」(ビーズ法発泡ポリプロピレン )の生産を開始。「カネエースB」に続いて、日米欧の三極生産体制を確立。「カネエースFM」(塩ビ強化用耐候性樹脂)や「カネエースPA」(塩ビ加工性改良用樹脂)の展開も。
本社・工場:ベルギー ウエステロー
1970年、塩ビ強化用樹脂「カネエースB」の生産を目的に設立。1985年より「エペラン」の生産を開始し、現在では「エペランPP」も生産。1997年には弾性シーリング材用樹脂「MSポリマー」(シリル末端ポリエーテル樹脂)と弾性接着剤用樹脂「サイリル」(MSポリマーと同様の構造)の生産を開始。
カネカマレーシア梶@Kaneka(Malaysia) Sdn. Bhd.
工場:マレーシア パハン
1995年、「カネエースB」等を生産するためマレーシアに設立。
製品 MBS樹脂(97年10月稼働)
設備能力 15,000トン/年
(1998/4/18 鐘化発表)
カネカマレーシア(株)オープニングセレモニー開催
鐘淵化学の海外子会社、カネカマレーシア(株)は97年10月のMBS樹脂プラントの完成により第1期の3事業が出揃った。新年度を迎えた4月14日、工場所在地(パハン州ゲベン工業団地)にて、マレーシア政府・パハン州関係者、ユーザーなど約800名の出席を得て、オープニングセレモニーを開催した。
カネカマレーシア(株)は、アジアの総合的生産拠点として95年8月に設立。約40万uの土地を取得し、続いてカネカエレクテック(株)、カネカエペラン(株)を設立した。同敷地内に3社の工場建設を進め、96年10月のマグネットワイヤー稼働、97年9月の発泡ポリオレフィン樹脂稼働に続いて、今般のMBS樹脂稼働により、当初の予定通り3事業とも生産販売を開始した。
3社への第1期投資は、土地代を含めて約240百万リンギット(約87億円)従業員約 200名であり、98年度総売上高約200百万リンギット(約73億円)の計画である。
今後、マグネットワイヤー、MBS樹脂の生産能力倍増計画、パソコン用電子部品の生産販売計画と共に、特殊塩化ビニル樹脂などの事業についてフィージビリティスタディを行っており、新たに約400百万リンギット(約145億円)の投資と約250名の雇用創出を検討している。
---(資料)カネカマレーシア概要---
本社 マレーシア・クアラルンプール 工場 マレーシア・パハン州クアンタン地区 ゲベン工業団地 敷地面積 約40万u
カネカマレーシア有限責任株式会社 資本金 94百万RM 設立 95年8月 社長 佐野久雄(鐘淵化学常務) 社員数 約100名 製品 MBS樹脂(97年10月稼働) 設備能力 15,000トン/年 カネカエレクテック有限責任株式会社 資本金 20百万RM (97年10月、30百万RMに増資) 設立 95年9月 社長 佐野久雄(鐘淵化学常務) 社員数 約70名 製品 マグネットワイヤー(96年10月稼働) 設備能力 2,400トン/年 カネカエペラン有限責任株式会社 資本金 12百万RM 設立 96年7月 社長 佐野久雄(鐘淵化学常務) 社員数 約30名 製品 発泡ポリオレフィン樹脂(97年9月稼働) 設備能力 3,600トン/年 クアンタン地区への進出は、日本の化学企業として単独では初めて。
いずれも当社が誇る自社技術を生かした先端技術の製品であり、世界の市場においてトップシェアを占めている製品群ばかりである。
Rohm & Haas
For more than 40 years, Rohm and Haas has been a pioneer in the development of plastics additives, introducing in 1956 the first MBS impact modifier, followed two years later by the first processing aid and in 1968 by the first all-acrylic impact modifier. More recently Rohm and Haas acquired Morton International, and today offers a complete range of products marketed under the following trade names:
PARALOID, PARALOID EXL: Impact Modifiers and Processing Aids, Acrylic Multi-functional
and Specialty Additives
ACRYLIGARD: Acrylic Capstock Resin
ADVASTAB, ADVAPAK, ADVAFLEX: Heat Stabilizers
ADVALUBE, ADVAWAX: Lubricants
VINYZENE, BIO-PRUF, BIO-PRUF TREATED: Antimicrobials
ローム・アンド・ハース社への全世界にわたるプラスチック添加剤事業の営業権譲渡について
呉羽化学工業(株)(本社:東京、社長:天野宏)とRohm
and Haas Company(以下R&H)は、プラスチック添加剤(モディファイヤー)事業に関して1989年よりシンガポールおよび英国での2つの合弁会社の設立、運営、共同技術開発などの提携を基盤に世界的に事業展開をしてまいりましたが、このたびさらなる事業基盤強化のため呉羽化学の全営業権をR&Hに譲渡することを中心とした新体制への移行に合意致しました。
1.営業譲渡の経緯
・ | 近年、シート、窓枠などの硬質塩ビ用また各種エンジニアリング・プラスチック用の強度向上、加工性改良などを目的としたMBS、アクリル系添加剤市場は世界的に需要は拡大しているものの、後発メーカ−の参入、供給能力の増加、原料価格の上昇などコモディティ(汎用)商品化し年々競合と採算性は厳しさを増しております。 | |
・ | 当社は、現在推進中の中期経営計画「中計DC(ダイナミック・コンバージョン/大胆な変革)」に沿って、高収益体質への転換を目指し、重点分野である樹脂製品、高機能材、医・農薬分野に注力し、ニッチでもグローバルに通用するファイン・スペシャリティ製品の拡大に取り組んでいますが、今般「選択と集中」の観点に立ち本事業からの撤退を決定した次第です。 | |
・ | 当社とR&Hはこれまで提携関係をベースに絶えず採算性の向上、事業発展の施策を講じてまいりました。しかし、さらなる事業強化には、現行の提携枠組みよりも事業運営を一元化した方が製造、販売、技術開発などでより効率的であり、意思決定も迅速になるとの共通認識におよび、両社による一元化の諸案を検討してまいりました。その結果、アクリル原料(MMA,BA)、添加剤周辺商品(安定剤、滑剤)、世界的販売ネットワークを保有するR&Hが単独で運営することが最終的にはこの事業を強化するために最適であるとの判断に至り、本合意に達しました。 |
2.本合意のポイント
1) | 呉羽化学はプラスチック添加剤事業の全世界営業権をR&Hへ65.5百万米ドル(約82億円)で譲渡する。 | |
対象となるプラスチック添加剤 @MBS系プラスチック改質剤(商品名:クレハBTA) Aアクリル系耐候性強化剤、加工助剤(商品名:パラロイド) |
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2) | 2003年1月1日以降、呉羽化学(日本)、Kureha Chemicals GmbH(呉羽化学ドイツ現地法人)及びKreha Corporation of America(呉羽化学アメリカ現地法人)が販売を展開していた、主として欧州、中近東、南米、日本などの営業権はR&Hへ移行し、Kureha Chemicals (Singapore) Pte.Ltd.(シンガポール・製造販売会社:呉羽資本75%)、Rohm and Haas (Scotland) Ltd.(英国・製造会社:呉羽資本25%)はR&Hの100%子会社となって運営される。 | |
3) | 日本国内市場については、呉羽化学が錦工場において同製品の製造を継続し、R&Hに供給するとともに、製品開発、技術サービスなど側面からR&Hの営業を支援する。 |
3.当社業績に与える影響
譲渡金額は合弁2社の株式譲渡代金、呉羽化学および海外2社の営業権、知的財産権および合弁2社の借入金当社負担分の合計であり、当社の2003年3月期の損益に与える影響は以下の通りです。 | |
単体 連結 経常利益 5億円増 8億円増 当期純利益 10億円増 13億円増 |
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なお、2003年3月期の業績見通しにつきましては、11月13日の中間決算発表時に公表を予定しております。 |
4.呉羽化学およびR&Hの共同発表内容につきましては、別添の和訳(原文は英文)の資料をご参照ください。
<ご参考>
1.呉羽化学とR&Hのこれまでの提携
1)1981年 R&Hと「クレハBTA」(PVC耐衝撃強化剤)製造技術輸出契約締結
2)1989年 Rohm and Haas (Scotland) Ltd.を両社合弁で設立
3)1990年 Kureha Chemicals (Singapore) Pte. Ltd. にR&Hが資本参加
2.R&Hの概要
1)本社 :米国ペンシルバニア州フィラデルフィア 2)代表者 :会長兼CEO Mr.Raj L.Gupta (ラジ・グプタ氏) 3)会社設立 :1907年 従業員数:18千人 工場および研究所:27カ国で140ヶ所 4)全社売上高 :2001年 57億ドル(約7,100億円) 5)セグメント別売上構成比 :機能性ポリマー部門(56%)、電子材料部門(17%)、
化学品部門(14%)、製塩部門(13%)3.合弁会社の概要
1)Kureha Chemicals (Singapore) Pte. Ltd.
設立 :1989年 本社 :シンガポール 資本構成 :呉羽化学75%、R&H25% 2)Rohm and Haas (Scotland) Ltd.
設立 :1989年 本社 :英国 資本構成 :R&H75%、呉羽化学25%
4.その他
1)MBS:メチル・メタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合物
2)MMA:メチル・メタクリレート(メタクリル酸メチル)
3)BA:ブチル・アクリレート
(別紙)
呉羽化学、R&H共同発表内容和訳(原文は英文)
2002年11月5日
ローム・アンド・ハース、全世界にわたるプラスチック添加剤事業を呉羽化学より買収
ローム・アンド・ハース(ニューヨーク株式上場:ROH)と日本の呉羽化学工業株式会社(東証、大証上場:4023)は、このたび呉羽化学の全世界にわたるプラスチック添加剤事業を65.5百万米ドル(約82億円)でR&Hに売却するという最終的な契約に調印しました。
契約によってR&Hは呉羽化学のアジア、太平洋地域およびその他の地域の営業権とシンガポールにおける製造設備、研究施設を取得します。譲渡日は2002年末です。本取引により、R&Hのプラスチック添加剤事業の売上は70百万米ドル(約88億円)増加します。
R&Hのグプタ会長兼CEO(最高経営責任者)は「これまで何年にもわたって呉羽化学とお互いに有益な技術、営業両面での協力関係は素晴らしいものでした。また、この買収はアジア、太平洋地域における我々の地位を確実に強めます。また、我々に強力なシンガポールにおける製造拠点を与えます。」と語っています。契約によって呉羽化学はこれまでどおり自身の錦工場でプラスチック添加剤を生産しつづけ、R&Hへ供給していきます。
呉羽化学の天野社長兼CEOは「我々の全世界にわたるプラスチック添加剤事業の売却は、経営と財務の資源を、より景気変動の影響を受けにくい高付加価値製品分野へ集中することが可能になります。また、このことは会社の中期計画の重要な目標であります。」と語っています。
米国ペンシルバニア州フィラデルフィアに本社をおくR&Hは、売上高57億米ドル(約7,100億円)の特殊化学品、原料のメーカーで、世界中に100以上の製造所とテクニカル・センターを有しています。プラスチック添加剤事業の2001年度の売上は4億米ドル(約500億円)です。プラスチック添加剤での「問題解決提案者」のカバンの中には耐候性アクリル樹脂、特殊滑剤、強化剤、熱安定剤、防菌防黴剤、エンプラ用添加剤などの広範囲の製品群が含まれています。
日本をベースとした呉羽グループは呉羽化学工業および38の子会社と4社の関連会社(2社の非連結会社)から構成されており、2001年度の売上は約12億ドル(約1,400億円)です。呉羽化学では1944年創業以来、自社開発技術に基づく特色ある多数の化学品原料、製品の製造、販売を主業務とし、グループ企業ではそれらの製造技術を活かしたエンジニアリング建設、環境整備事業、また製品加工など幅広く展開しています。重点分野としては機能製品分野、樹脂加工品分野、医・農薬分野の3つがあげられ、世界展開している代表的な製品としてはハイバリヤー性のある食品包装用材及びエンジニアリング・プラスチックのPPSなどがあります。
Metco North America, Inc. Philadelphia, U.S.A.
Metco North America c/o Atofina Chemicals sells Metablen in North America
Metablen Company B.V. The Netherlands
Metablen Company c/o Atofina sells Metablen in Europe, as joint ventures between Mitsubishi Rayon and Atofina Chemicals / Atofina.
化学工業日報 2002/11/20
三菱レ、MBS樹脂、非塩ビ向け40%に拡大 中国で一貫生産も検討
三菱レイヨンは、樹脂改質剤・加工助剤に使われるMBS(メタクリル・ブタジェン・スチレン)樹脂の最適生産を追求する。主力の塩ビ向けは国内需要が縮小傾向にあるため、エンプラやポリオレフィンなどの非塩ビ向け市場開発を加速し、2−3年後をめどに現状の20%から40%に製品比率を向上させる。一方、中国や東南アジアでは塩ビ向けの需要拡大が続いているため量的な拡大を追求しながら、主原料のMMA(メチルメタクリレート)モノマーの現地生産計画がある中国での一貫生産を検討する。
MBSは、樹脂の強度や耐衝撃性などの機能を向上させる改質剤・加工助剤として多く使われる。国内は先ごろ、呉羽化学が営業権と英国およびシンガポールの合弁株式を年内に米ローム・アンド・ハースに譲渡することを決め撤退することから、鐘淵化学工業(世界年15万トン能力)との2社体制となる。
三菱レイヨンは、大竹事業所(広島県大竹市)に年2.5万トンの生産設備を持つ。米国とオランダに、仏アトフィナとの折半出資合弁会社を保有していたが、今年5月に全株式をアトフィナに譲渡。日本およびアジアに経営資源を集中し、事業収益の向上を目指している。これまで国内市場は塩ビ向けを主力に展開してきたが、塩ビ需要の減少にともない伸び悩んでいる。そのため同社ではポリカーボネート樹脂、ナイロン、AES、ポリオレフィンなど非塩ビ向けの展開を強める方針で、市場開発を一段と強化する。現状の非塩ビ向け比率は20%だが、2−3年後には40%まで引き上げる考え。
一方、アジアでは建材分野などで塩ビ向けの需要拡大が続いており、特に中国では今後も高い成長率が期待できるという。同社は中国でMMA事業のモノマーからポリマーまで一大チェーンの構築を目指しているが、MBSについても誘導品の一つとして現地生産を検討していく。
2002/5/2 三菱レイヨン発表
海外関係会社の株式譲渡による合弁解消について
三菱レイヨン株式会社(社長:皇芳之、本社:東京都港区)は、関係会社であるメトコノースアメリカ社(本社:米国)とメタブレンカンパニー社(本社:オランダ)の株式について、所有していた全株式を、本年3月28日をもって合弁パートナーであったアトフィナ社(本社:フランス)へ譲渡し、合弁関係を解消しましたので、お知らせします。
メトコノースアメリカ社とメタブレンカンパニー社は、共に三菱レイヨンとアトフィナ社が折半出資していた合弁会社であり、主に欧米向けに塩化ビニル樹脂改質剤の製造販売を行っていましたが、今般欧米に拠点を持つアトフィナ社が経営主体となり、事業を継続することになりました。
三菱レイヨンは、今後、長年培ってきたアクリル樹脂技術を応用した樹脂高機能改質剤を、各種エンジニアリングプラスチックやポリオレフィン分野をターゲットに、総合添加剤事業として幅広くグローバルに展開していきます。また、塩化ビニル樹脂改質剤事業は、国内外での積極展開を継続すると共に、アジア市場、中でも特に需要の拡大が著しい中国市場に一層注力する計画です。
【参考資料】
1.メトコノースアメリカ社の概要
社 名:メトコ ノースアメリカ インコーポレーテッド
(Metco North America,Inc.)
代表者:Arthur van Nostrand
本社所在地:2000 Market Street,Philadelphia PA 19103−3222 U.S.A.
設立年月:1988年4月
資本金:36,820千USドル
出資比率:Atofina Chemicals,Inc. 50%
三菱レイヨン 50%
事業内容:樹脂改質剤の製造・販売
生産能力:26,000トン/年
従業員数:63人
2.メタブレンカンパニー社の概要
社 名:メタブレン カンパニー ビー ブイ (Metablen Company B. V.)
代表者:Dieter Burkle
本社所在地:Haven 9850 Vlissingen−Oost The Netherlands
設立年月:1989年6月
資本金:36,756千ユーロ
出資比率:Atofina Holding B. V. 50%
三菱レイヨン 50%
事業内容:樹脂改質剤の製造・販売
生産能力:13,500トン/年
従業員数:66人
3.アトフィナ社の概要
社 名:アトフィナ (Atofina S.A.)
代表者:F.Cornels
本社所在地:4−8, cours Michelet, La Defense 10
92091 PARIS LA DEFENSE cedex FRANCE
設立年月:2000年4月
事業内容:石油化学品、汎用樹脂、機能樹脂、及び特殊化学品の製造・販売
売上高:175億USドル (2001年)
従業員数:約72,000人
2003/7/18 鐘淵化学
カネカベルギー、MSポリマーの能力を倍増
― 旺盛な需要に応えるため、能力を年産10000トンに増強 ―
◎ | 鐘淵化学工業は、欧州子会社であるカネカベルギー(株)における、変成シリコーン系シーリング材用原料樹脂(商品名:「カネカMSポリマー」)と接着剤用原料樹脂(商品名:「カネカサイリル」)を含めた能力を、年産6600トンから10000トンに増強する。当社高砂工業所の年産12000トンの能力を合わせると、年産22000トンとなる。稼働予定は2004(平成16)年5月で、投資総額は約18億円となる。 |
◎ | 欧州では、日本でも実績のある建築用途に加え、MSの環境適合性と競合素材にない特徴が市場で高く評価され、工業用途、DIY用途、自動車用途などに幅広く採用されている。特殊グレードの投入により新規分野での採用が引き続き好調であることとEU周辺国からの活発な引き合いも増え、欧州市場の状況からここ数年は旺盛な需要が見込まれると判断した。 |
◎ | 日本・欧州に次ぐ市場として期待できる米国市場についても、2001(平成13)年8月、当社米国100%子会社カネカテキサス(株)にラボを設置し、マーケティング体制を強化して市場開発を進めてきた。工業用途、建築用途に加え、DIY用途への展開に目処がついたことから今後の取り組みを強化する。 |
◎ | 欧米市場では、DIY用途でのシーリング材、接着剤の販売が市場規模も大きく活発であり、当社の多グレードをベースとして構成される多彩なシーリング材・接着剤が市場ニーズにマッチしたことも好調の一因である。 |
◎ | また、日本国内市場でも、「カネカMSポリマー」を原料とする変成シリコーン系の成長は極めて旺盛で、2002(平成14)年建築用弾性シーリング材出荷でも106千トンのうち約36%を占めトップに位置している。(経済産業省出荷統計) |
・ | 「カネカMSポリマー」(シリル末端ポリエーテル樹脂 silyl-terminated polyether)は、当社が独自技術で開発した液状樹脂であり、顧客で副原料と混合することにより常温硬化のゴム弾性を有する建築用シーリング材になる。耐久性、作業性、塗工性などの品質特性に加え、溶剤を使用しない環境に配慮した製品である点も高く評価されている。 |
・ | 「カネカサイリル」(Silyl)は、MSポリマーと同様の構造を有し、顧客で副原料を配合することにより弾性接着剤となる。石材・タイル・プラスチックなどとコンクリート・金属などとの接着に使用され、寒暖による異種材料間の線膨張率の差を接着剤層で吸収する。また、振動の吸収、変位の吸収などにも優れた性能を発揮する。 |
【参考】
<カネカベルギー(株)の概要>
設 立 | : | 1970(昭和45)年12月 |
資本金 | : | 23百万ユーロ(鐘淵化学90%出資) |
本社・工場所在地 | : | ベルギー・ウエステルロー市 |
社 長 | : | 吉田 洋一 |
従業員数 | : | 約200名 |
生産品目 | : | MBS樹脂(塩ビ耐衝撃性改良剤)、発泡ポリオレフィン樹脂、 シーリング材・接着剤原料樹脂 |
MS Polymer, an innovative modified silicon sealant material, has also received an award from the Society of Polymer Science of Japan. Modified silicon sealant accounts for about 40% of all elastic sealants used by the Japanese construction industry, and MS Polymer accounts for most of the raw materials used to produce this sealant, making us a clear market leader.