住友化学・三井化学全面的統合発表
2001年4月19日
三井化学株式会社
住友化学工業株式会社
三井化学および住友化学の全面的統合について
〜ポリオレフィン事業統合等の具体的検討の進展〜
三井化学株式会社(三井化学)および住友化学工業株式会社(住友化学)は、昨年11月、「21世紀の化学産業におけるグローバルリーダー」を目指して2003年10月を目処に両社の事業を全面的に統合することに基本的に合意し、その具体的検討を開始すること、ならびにポリオレフィン事業については本年10月を目処に先行して統合を実施することを発表いたしました。
その後、両社社長を共同委員長とする事業統合検討委員会の下に各種分科会を設置し、統合に向け順調かつ精力的に検討を進めてまいりましたが、今般、両社の最終的な事業統合の方式、形態等および全体統合に先行するポリオレフィン事業統合の概要が決定いたしましたのでお知らせいたします。
T 全体統合について
全事業の統合に係る統合方法および形態等は、概略以下のとおりであります。
1.会社の名称 三井住友化学株式会社
(Sumitomo Mitsui Chemical Company,Limited)
2.本店所在地 東京都港区(汐留シティセンターを予定)
3.統合時期/方法
03年10月1日に共同株式移転により持株会社を設立した後、
04年3月末に持株会社が三井化学、住友化学および三井住友ポリオレフィン(後述)を吸収合併し単一会社となる予定です。
この半年間は、本社間接部門を持株会社に移管集中し、統合会社の新たな制度、システム等の運用を開始することにより、事業統合の最終の仕上げをする期間と位置づけております。
4.事業運営組織
多様な事業の特性に応じた機動的な事業運営を行うため、「石油化学」、「基礎化学」、「機能樹脂」、「機能化学」、「情報電子化学」、「農業化学」、「医薬」の7つの社内カンパニーを置き、責任と権限の委譲を行う予定です。
両社とも03年10月までにこれに準拠した事業組織再編を実施し、04年3月末の統合の際に合体いたします。
5.統合推進の体制
事業統合検討委員会の下に財務・経理、人事・労制、情報システム等の12の制度分科会および上記事業運営組織等に対応する9の事業分科会を設置し、統合に向けた具体的な検討を進めております。
6.その他
統合比率、資本金、トップ人事等につきましては、決定次第お知らせいたします。
両社ポリオレフィン事業につきましては、本年10月をもって営業譲渡により合弁新会社を設立し、先行して事業統合を実現いたします。現在、公正取引委員会に対する事前相談を行っており、その承認を待って設立手続をとり進める予定です。
新会社の概要は、次のとおりであります。
1.会社の名称 三井住友ポリオレフィン株式会社
(Sumitomo Mitsui Polyolefin
Company, Limited)
2.本店所在地 東京都中央区新川二丁目27番1号東京住友ツインビル
3.営業開始日 2001年10月1日
4.資本金(出資比率)
70億円(三井:住友=50:50)
5.移管する事業 ポリエチレン(LDPE、LLDPE、HDPE)
およびポリプロピレン(PP)
6.生産能力(別紙参照)
7.役員 取締役8名(三井化学、住友化学各4名)
監査役3名(三井化学1名、住友化学2名)
・代表取締役会長園田隆一(住友化学)
・代表取締役社長榊由之(三井化学)
新会社は、両社の関係会社を含む全世界におけるポリオレフィン事業を、製造、販売、研究のすべての側面から戦略的に統合し、早期に最大の事業統合シナジーを発揮することを基本的な使命としております。
但し、この新会社は、全体統合に際して再び統合新会社(三井住友化学)に吸収することを前提としており、今般の設立に当たっては、手続等の煩雑を避けるため、生産設備、研究設備、関係会社株式については両親会社に残すことといたしました。
従いまして、新会社は、生産を両親会社に委託する一方、研究機能については両親会社から研究設備を賃借し自ら研究開発業務を実施することを計画しております。
新会社が製造、販売、研究にわたり最大のシナジーを発揮できるよう、両親会社の協力の下に次のような体制を構築してまいります。
● | 生産新会社は、自ら生産計画の策定等一切の生産管理を実施し、また、生産設備に関する投資、合理化の意思決定機能と権限を有します。 |
● | 販売国内はもとより、シンガポール、タイ、中国等における両社の販売ネットワークを強化し、成長市場であるアジアでの顧客ニーズに応えてまいります。PP,PPコンパウンドは、欧米にも展開してまいります。 |
● | 研究新会社は、両社のポリオレフィン研究を統合した研究開発戦略、技術戦略を策定いたします。両社の抱える豊富なポリオレフィン技術・ノウハウを基盤に、メタロセン触媒ポリマーをはじめとする新規樹脂開発を加速し、高度化する顧客ニーズに応え、顧客の新規用途開発をバックアップしてまいります。 |
また、上記の体制構築には、両親会社と第三者間の既存合弁会社との連携が必要であり、そのための仕組みづくりを進めてまいります。
ポリオレフィン事業の営業および研究機能は新会社に集約する予定であり、三井化学と宇部興産のPP事業に係る合弁会社(株)グランドポリマーにつきましては、生産機能のみを残すことといたします。
両社のポリオレフィン事業の経営規模は、住友化学のシンガポールにおけるザ・ポリオレフィン・カンパニー(TPC)および三井化学の香港における三井ハイポリマー(MHP)を合算いたしますと、2004年度売上高3000億円(00年度は2500億円)が見込まれています。
この間、生産、物流、購買等の効率化、重複する人員・研究開発費の削減、本社経費の削減等による合理化、また、両社の技術シナジーを通じた新規開発による増益効果等、2004年度で国内で年間総額260億円の統合シナジー効果(対2000年度比)を実現する見込みです。
昨今のポリオレフィン事業を取り巻く事業環境は、ますます厳しさを増しており、業界再編成による国際競争力の強化は待った無しの状況にあります。新会社は、両親会社の持てる力を結集し、統合の実を上げ、国内におけるS&B計画の推進、シンガポールにおけるアジア最強のエチレン・コンビナート増設等を通じ、グローバルな顧客ニーズに応えてまいる所存であります。
三井化学、住友化学の両社が21世紀のグローバルリーダーを目指す第一歩として、「三井住友ポリオレフィン(株)」が円滑に発足することが出来ますよう、絶大なるご支援ご協力をお願いいたします。
V.統合シナジー効果について
両社の全面的な事業統合による統合シナジー効果については、今後の事業分科会、制度分科会における検討を通じて、順次具体化してまいる予定ですが、現時点までに両社が想定している効果をとりまとめご報告いたします。
1.全般にわたる統合シナジー効果
昨年11月の発表時に、統合会社の2006年度の業績目標として、売上高3兆円、経常利益2,500億円、という数字を掲げました。
その後、両社の中期計画(2001〜3年度)を発表いたしておりますが、2003年度の両社計画値合算では、売上高は約2兆4、000億円、経常利益約2,100億円となっており、両社の着実な中期計画の実行により、統合会社の掲げる目標の達成が視野に入ってくるものと考えております。
統合のシナジー効果としては、製品・技術・市場のシナジーによる拡大・成長の効果と、両社の重複する経営資源の効率化の効果があります。
1)拡大・成長のシナジー
・研究・技術プラットフォームの融合による新技術・新製品開発の加速
・販売ネットワークの融合による国内外新規市場の獲得・拡大
・増加するキャッシュフローの重点投入によるコア事業強化、M&A等の積極展開
2)効率化のシナジー
・本社および支店における間接部門の合理化
・物流システムの最適化と物流コスト合理化、購買集中等による効率化
・製造拠点・設備の集約化、最適生産体制の確立、製造設備の統合等
・研究テーマの集約等による研究開発資源投入の重点化
・グループ会社の再編統合による事業再構築
2.事業分野における統合効果
1)
石油化学オレフィン、ポリオレフィン事業の拡大・強化
2)
基礎化学合繊原料、フェノール系事業の展開強化
3)
機能樹脂得意技術の融合による事業の拡充・強化
4)
機能化学有機合成技術の融合によるスペシャルティケミカルズ事業の強化
5)
情報電子化学技術融合をてこに情報電子分野における事業領域の拡大
6) 農業化学製品ラインの拡充による強化
7) 医薬創薬研究の基盤強化
3.新会社の人員
人員については、両社とも統合までに中期計画に沿った少数化努力を鋭意続けてまいります。事業統合後についても、競争力強化の見地から、引き続き両社の重複部門は徹底して合理化する予定であり、相当数の人員スリム化を見込んでいます。
具体的にはこれから検討していきますが、仮に、製造部門は基本的に現行どおりとし、本社部門その他間接部門等について相当の合理化を行う場合、統合時点の本体人員約10,000
名の約20%、2,000 名程度の活用可能人員が見込まれます。この人員を、新規分野、新規事業に有効活用していくことを予定しています。統合後、毎年相当数の定年退職等もあることから、採用を継続しつつ2〜3年で十分対応できるものと考えております。
4.統合までに達成すべき課題
両社は、統合後、直ちに統合効果を発揮できるよう、それぞれの責任において達成すべき目標・課題、両社相互協力して達成すべき目標・課題を定め、統合までに実現することとしています。各システムの構築に際しては、グローバルな競争に対応でき、これからの時代の変化を先取りしたものといたします。
1) 経営制度の統合
・経営の効率とスピードを重視した組織・経営管理システムの構築
2)
人事制度、組織・人事に関する諸システムの統合
・仕事と業績成果を重視した人事処遇制度の確立
・最適な組織・ポジションの設計、適正最少人員体制
3) 財務・経理システムの統合
・主要財務会計方針の統一
・経営の健全化、体質強化を図るべく財務目標の設定
4) 業務システムの統合
・統合会社の業務統合パッケージ(SAP/R3)の共同開発及び構築
参考資料− 別紙
1.統合時期/方法および社内カンパニー制事業組織
2.事業統合検討の体制
3.両社ポリオレフィン事業の生産能力
4.三井住友ポリオレフィンのグローバル・ネットワーク
5.三井住友ポリオレフィンの事業計画
6.中期経営計画(2001〜3年)および統合会社目標(2006年)
7.全般にわたる統合シナジー効果
8.事業分野における統合シナジー効果
注)1.PE合計能力133万トン/年は、世界のPEメーカー中、ほぼ第10位に相当。
因みに、第1位は、DOWの820万トン/年、第2位は、EXXON
MOBILの650万トン/年。
2.PP合計能力165万トン/年は、世界のPPメーカー中、第4位。
因みに、第1位は、BASELLの575万トン/年、第2位は、BPの200万トン/年。