1996/9/9 日本経済新聞

三井石化、三井東圧 来年10月合併 総合化学、国内2位 大筋合意
   国際競争力を強化 社名「三井化学」で調整

 大手化学メーカーの三井石油化学と三井東圧化学は1997年10月に合併することで大筋合意した。存続会社は三井石油化学、社名は「三井化学」になる見通し。両社合計の売上高は97年3月期見通しで約7千億円と、三菱化学に次ぐ国内第2位の総合化学メーカーとなる。規模の拡大をテコに、海外投資や研究開発を積極的に推進、物流・生産の効率化で国際競争力を高める。94年の三菱化学の誕生で幕を開けた化学業界の再編の動きは、今回の合併を機に一段と加速しそうだ。


1996/9/10 日本経済新聞

三井石化・三井東圧 合併へ 内外の再編 決断迫る
 小異捨てて生き残り 東圧、存続にこだわらず

 三井石化、三井東圧化学は9日、来年10月の合併に向け、交渉を進めていることを正式に明らかにした。長年の懸案が決着に近づいた背景には、国内外で化学産業の再編が進み、これ以上時間をかけられないとの危機感があったとみられる。94年の合併で誕生した三菱化学に刺激された面もあり、再編が再編を呼ぶ展開になっている。

 両社が合併を前提とした交渉に入ったのは5年前の91年秋。交渉を指揮したのは三井石化の竹林省吾社長(現会長)と三井東圧の沢村治夫社長(同)。だが、十分に煮詰まっていない92年4月に外部に漏れたため、いったん交渉を凍結した。当時は、歴史が古く、三井石化の株主でもある三井東圧を存続会社とする方向で、交渉が進んでいたようだ。
 その後に両社の業績は悪化。ともに人員削減など内部の合理化に専心した。合成樹脂などの分野で高い技術を持つ三井石化が比較的高水準の利益を確保したのに対し、三井東圧の利益は低下した。三井石化首脳が「三井東圧は思い切ったリストラを進めるべきだ」と発言、両社の関係がギクシャクする場面もあった。
 両社と取引関係の深い三井物産や、主力取引銀行のさくら銀行からも、生き残り策として合併を促す声が出ており、なかなか進まぬ交渉にやきもきしていたようだ。
 合併交渉が本格的に再開したのは昨年5月といわれる。三井石化、三井東圧の実務担当役員が2人ずつ集まり、「譲れるところは譲り合って」との基本方針で話し合った。引き続き合併交渉の主役である竹林、沢村両会長に対し双方の役員が譲歩を促した形だ。
 今回、交渉が進んだのは、三井東圧が三井石化の収益力や財務体質を評価して、存続会社を三井石化に譲る姿勢をみせたことが大きい。一方、三井石化の役員の中にも、電子材料事業など三井東圧の事業展開を前向きに見直す声が出るようになった。
 合併に向けた機運が高まったのは、周囲の再編に促された面も否めない。94年10月に合併を実現した三菱化学は。東燃化学、日本合成ゴムとそれぞれ樹脂事業の合弁会社を設立するなど、効率化の手を緩めなかった。
 三井グループも三井石化が宇部興産とポリプロピレン樹脂の事業を、三井東圧が東ソー、電気化学工業との間で塩化ビニール樹脂の事業をそれぞれ統合、事業の再構築にメドをつけた。三井東圧の収益も最悪期から脱出、ようやく合併が視野に入ってきた。
 しかし、アジアの化学メーカーの追い上げなどもあり、国際競争のなかで生き残るには、これらの提携では十分とはいえない。三井グループで力を結集し、生き残りを模索せざるを得ない状況になってきたことが、両社に小異を捨て大同につく決断を迫ったといえそうだ。

 


日本経済新聞 2000/12/1

住化・三井化の統合 東レの参加 念頭にない
 三井化首脳も慎重な発言 大合流の観測しぼむ

 三井化学の中西宏幸社長は30日、都内で会見し、同社と住友化学工業との経営統合に東レ首脳の一人が参加に前向きな発言をしたことに触れて「東レに限らず、第三者のパートナーが(経営統合に)加わることは考えていない」と慎重な姿勢を示した。東レに参加を呼び掛ける可能性についても「考えていない」と否定した。
 住化ー三井化連合に東レが合流する観測が絶えないのは、1997年に合併で三井化学が誕生した際に東レを加えた「大三井化学構想」が持ち上がっていたことが背景にある。ただ、会見に出席した三井化学の幸田重教会長も「構想が再燃するとは思えない」と強調した。
 東レの住化−三井化連合への合流をめぐっては、東レの平井克彦社長が「前向きに検討する」と発言したことで火がついた。しかし、その後、同社の前田勝之助会長が「こちらから積極的に申し入れることはない」と述べるなど揺れていた。今回、三井化学の経営陣が慎重姿勢を示したことで、合流の見方は急速にしぼんだ格好だ。

 


日本経済新聞 2002/12/23

三井・住友化学 合併半年前倒し 来年10月、統合効果急ぐ

 経営統合の準備を進めている三井化学と住友化学工業は、完全一体化を当初計画より半年前倒しして、2003年10月に合併することで大筋合意した。いち早く統合効果を実現するのが狙い。企業規模や株式時価総額で上回る住友化学が社長ポストを占める見通しだ。
 合併新会社は石油化学から電子材料、農・医薬までを手がけ、三菱化学を抜いて国内最大の総合化学メーカーとなる。当初計画ではまず2003年10月に両社の株式移転により持ち株会社を設立、2004年4月に持ち株会社が両社を吸収合併する二段階方式にしていた。
 ただ、手続きが煩雑なうえ、統合発表から2年を経て相互理解が深まるなど合併を早めることが可能と判断、一段階での統合に切り替えたもよう。1千億円以上を見込む統合による合理化効果の実現を急ぐ。
 統合新会社のトップ人事は、社長に米倉弘昌・住友化学社長、会長に中西宏幸・三井化学社長が就任する見通し。残る株式交換比率(合併比率)などについて調整中で、年明けにも最終合意する。すでに公正取引委員会の承認を受けており、6月末の株主総会にそれぞれ統合をはかる。


2004/08/02 三井化学

http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=77884

 当社(社長:中西宏幸)は、耐熱性、離型性、耐薬品性に優れた機能性オレフィン系ポリマーであるメチルペンテンポリマー(商標:TPX®)を製造・販売しております。現在、当該ポリマーの主要用途となっている情報電子関連分野及び産業材分野の市場拡大とニーズ増大により、需要が大幅に増加していることから、今般TPX®)の生産能力増強を決定しました。

<増強計画の概要>
1.製品:メチルペンテンポリマー
2.商標:TPX®
3.製造設備:岩国大竹工場内
4.生産能力:13,000トン/年(5,500トン/年増強)
5.増強内容:既存プラントの改造
6.スケジュール: 着工 2005年5月
            完工 2005年7月

 TPX®は融点が230℃で他のポリオレフィンに比べ耐熱性に優れ、かつ透明性、離型性、耐薬品性にも優れた機能性オレフィンポリマーです。用途は、耐熱性・離型性を活かし、フレキシブルプリント基板用離型フィルム、LED(発光ダイオード)用樹脂型、合皮離型紙、ゴムホース製造用中芯(マンドレル)及び被覆材(シース)、洋菓子製造時に用いるベーキングカートンのような紙ラミ、また、透明性・耐薬品性を活かし、食品容器・化粧品容器・ラップフィルム等に用いられています。

 当社は中期経営計画において、機能性ポリマーズ、情報・電子材料、ヘルスケア材料からなる機能性材料分野の拡大・成長を目指しております。そのなかで、機能性ポリマーズ分野は高収益事業への事業ポートフォリオ変革の中心的役割を担うべく、事業の拡大成長、新製品の開発に努めております。TPX®は近年の情報電子関係分野及び産業材分野の市場拡大とニーズの増大により、需要は海外も含め年率10%を超える割合で増大しており、加えて最近では新規用途も開発され、更なる需要増が見込まれております。そのため、TPX®事業の更なる拡大成長に向けて、生産能力の増強を決定したものです。

 当社は、現在、岩国大竹工場に年産能力7,500トン/年のプラントを有しておりますが、本能力増強により2005年7月には年産能力が13,000トン/年へ拡大します。この生産能力増強により、既存用途の拡大とともに新規用途の開発を進め、機能性オレフィンポリマーの柱の一つとして事業の拡大・成長を図っていきます。


2005/1/11 三井化学

環状オレフィンコポリマー(商標:アペル®)の生産能力増強について
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=90277&lindID=4

 当社(社長:中西宏幸)は、非晶性で光学特性に優れた環状オレフィンコポリマー(商標:アペル®)を製造・販売しております。現在、当該ポリマーの主要用途となっている情報電子関連分野及び機能性包装材料分野の市場拡大により、需要が大幅に増加していることから、今般アペル®の生産能力増強を決定しました。

<増強計画の概要>

1.製品:環状オレフィンコポリマー
2.商標:アペル
®
3.製造設備:岩国大竹工場内
4.生産能力:600トン/年増強(2,800トン/年→3,400トン/年)
5.増強内容:既存プラントの改造
6.スケジュール:着工 2005年10月
            完工 2005年11月

 アペル
®は、その光学特性を活かしDVDのピックアップレンズ等の情報電子材料を主体に、防湿特性を活かしPTP(Press Through Package:錠剤の包装パッケージ)、収縮性を活かしシュリンクフィルム等の機能性包装材料として幅広く用いられています。今後、これらの市場は、年率20%を超える伸長が見込まれ、生産能力の増強を決定したものです。

 更に、開発中の新規用途分野についても、更なる需要の伸びが期待されることから、08年を目途に更なる大型増強を検討しております。当社は、中期経営計画において、機能性ポリマーズ、情報電子材料、ヘルスケア材料からなる機能性材料分野の拡大・成長を目指しており、これら一連の生産能力増強により、アペル
®を機能性ポリマーズの柱の一つとして、事業の拡大・成長を図っていきます。