毎日新聞 2003/4/22
米特許訴訟で連戦連勝 医療機器メーカー社長 小澤秀雄さん
ところん戦ったら逆に信頼を勝ち得た
「訴訟大国」アメリカ。特許をめぐり企業同士も、し烈な裁判合戦を繰り広げる。「相手を訴えれば、マイナスイメージを植え付けられる」からだ。だが日本企業は弱腰だった。和解金で片付ける傾向があり、120億円を支払った例もある。
そんな中、米国企業に起こされた13の訴訟すべてを受けて立ち、連戦連勝中である。最新の裁判では900万ドルの和解金を勝ち取った。
一貫して戦ったお陰で、外国企業に「あそこと争ってもムダだ」と思わせることができた。
眼科医療機器メーカー「ニデック」(愛知県蒲郡市)社長。角膜をレーザーで削る手術用機械(92年発売)が、今や世界のシェア2割を誇る。だが売れ始めた94年、最初の訴訟を起こされた。
徹底的に争うことに決めた。訴訟を起こした会社のひとつは技術提携先。「仲間と思っていたのに、理不尽さに憤慨した」。技術内容にも自信があった。
連戦連勝の秘けつは「トップが責任を持つ」ことだ。部長クラスが裁判担当だと「負け」を恐れて保身に走り、和解金の支払いで済まそうとする傾向がある。「弁護士に任せ切りにしない」とも言う。特許の具体的な中身を弁護土に徹底的に教え、裁判を一緒に進める。
これまでの弁護士費用は60億円。「それで世界の顧客の信用を勝ち取りました」。今後も、蒲郡市から本社を動かすつもりはない。「米国で活躍する会社は、みな地方にありますよ」
愛知県安城市生まれ、名古屋大卒。71年に社員7人で「ニデック」を設立、大手メーカーに育て上げた。72歳。
設 立 | : | 昭和46年7月7日(創業日8月8日) |
資本金 | : | 4億5617万円(非上場) |
事業内容 | : | 眼科医療機器の開発・製造・輸出入 光学光電機器の開発・製造・輸出入 眼鏡レンズ・フィルター類のコーティング加工 眼内レンズ(人工水晶体)の開発・製造 眼科用医薬品の研究開発・販売 |