Chemnet Tokyo 2001/12/7
住友化学、エチレン系機能樹脂(エコポリ)の育成に本腰
MMAとの共重合樹脂など多彩な品種をラインアップ
住友化学工業は、石油化学事業部門の体質強化策の一つとしてエチレン系機能樹脂事業の拡充に本腰を入れて取り組み始めた。
激化する一方の国際強争の中で安定した成長を維持していくには、優れた機能を発揮すると同時にクリーンでなおかつ省資源型のポリマーの育成に多くのエネルギーを投入していくことが不可欠との判断によるもの。
こうした考えに沿って同社が育成中のポリマーは、市場ニーズの多様化が進む現代に相応しくバラエティーに富む。うち、市場から確固たる評価を得て順調に生産と販売数量が伸びているものも多い。
エチレンとMMAの共重合による熱安定性樹脂「アクリフト」
エチレンとEA・MAHの共重合による接着性樹脂「ボンダイン」
エチレンとMA・GMAの共重合による接着性樹脂「ボンドファースト」
超低密度L−LDPE「エクセレンVL」
C6コモノマーのメタロセンL−LDPE「エクセレンFX」
酢ビの高コンテントタイプのEVA「スミテート」−−などが代表に挙げられる。
このうちの「アクリフト」は世界でも唯一のもの。べとつきがなく、カレンダー加工が容易で、透明シートが主な用途という。「ボンダイン」は、金属のほかナイロン、PET、ポリオレフィンとも容易に接着する点が大きな強み。アロイ化材料の一つで、耐衝撃性向上に大きな役割を果たす。「ボンドファースト」は、企業化メーカーが世界でも同社とアトフィナだけというユニークな材料。相溶性にも優れるのでPBTの耐衝撃性の改善にも寄与する。「エクセレンVL」は、柔軟性、加工性、フィラー受容性のほか難燃性にも優れている点が大きな特徴。
同社では、ポリエチレン事業部内にこれらのエチレン系機能樹脂を専門に取り扱う部門として「ポリエチ機能樹脂部」を新設して、同樹脂全体を「エコポリ」と名づけて精力的に育成中のところ。「エコポリ」の「エコ」は、エコロジーとエコノミーの二つの強みを合わせ持つことから命名したという。
現在は、同社が製造・販売しているポリエチレン全体に占める「エコポリ」の構成比率は20%台の半ばに達しているのではないかと見られる。ラミネート用やマスキングフィルム用などを加えれば30%を超えているようだ。同社では、2005年までにあと10ポイント引き上げたいとしている。ついては、既存の機能性品種の育成に加えての新たな戦略品種の開発の行方も注目される。
日刊工業新聞 2001/8/21
日本ポリオレフィン、大分工場の高密度ポリエチレンの生産体制を再編
日本ポリオレフィン(JPO、花倉康治社長)は、大分工場(大分市)で高密度ポリエチレン(HDPE)の生産再編を加速する。3系列あるプラントを2002年1月をめどに2つに集約し、高付加価値製品の効率的な生産を目指す。同社は代表的な合成樹脂のHDPE生産で国内最大手。だが激しさを増す国際競争で生き残るには、独自性ある製品を武器とした1系列あたりの競争力強化が不可欠と判断した。
JPOは生産能力が年間4万トンの「第1」系列を同6万トンの「第2」に統合。「第1」は反応器だけを稼働する計画で、統合後の生産能力は同8万トンとする。
注 「第3」能力は3万トン (合計 13万トン→11万トン?)
(共販体制下での異なる共販メンバーの提携 → PPでグランドポリマー設立へ)
1994/11/29 三井石油化学・宇部興産発表
メタロセン触媒技術のライセンスによる気相法LLDPEの試験生産の件
三井石油化学工業株式会社(本店:東京、社長:幸田重教)と宇部興産株式会社(本社:宇部、社長:中東素男)とは、わが国初のメタロセン触媒技術による気相法LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)の商業規模での試験生産に関し,次のとおり合意に達しました。
1. | 三井石化は、米国エクソン社と共同開発したメタロセン触媒による気相法LLDPEの製造技術を、宇部興産にライセンスする。 |
2. | 宇部興産は、休止中の生産能力5万トン/年の気相法LLDPEプラント(千葉石油化学工場内)を使用して、上記技術によるLLDPEの試験生産を行うとともに、当該製品の市場開発を行う。 |
3. | 三井石化は、自社の新設備完成までの約3年間、当該ライセンスにより試験生産されたLLDPEの一部を宇部興産から購入し(生産受委託ではない)、市場開発を行う。 |
4. | 両社は、既存、当該LLDPEについて、夫々が独自の市場開発を行う。 |
三井石化は、予てよリメタロセン触媒による気相法LLDPEの製造技術を開発し、当該技術による新規事業化を模索しておりました。一方、宇部興産は、休止している自社プラントの再稼動を含め、LLDPE事業の再構築を図るべく、検討を重ねて参りました。
今般の合意は、早期事業化、設備の有効活用、投資効率等の観点から、両社にとり極めて意義のある選択と判断しておリます。
メタロセン触媒は,樹脂を重合する際の活性点が単一であるため、設計どおりの組成、分子量の樹脂を生産できる画期的な新触媒です。当該触媒技術によるポリエチレンは、低温でのヒートシール性が高いという特長があり、食品包装の内面ヒートシール材などで新規需要が見込まれる上、強度が大で薄肉化が可能であるため、フィルムの分野などで急速に普及して行くものと期待されます。
Chemnet Tokyo 2002/2/1
三井化学、市原にエボリュー専用の触媒装置を新設
市場ニーズによりきめ細かく機敏に対応する体制を確立
三井化学はこのほど、同社市原工場内にメタロセン触媒の製造装置を建設た。2日から試運転する。商業運転入りは3月中・下旬からとなる見通し。
今回新設したプラントは、メタロセン触媒による気相法直鎖状低密度ポリエチレン(商品名・エボリュー)の専用触媒の量産設備。生産能力は、同樹脂の年産30万トン見合い。建設所要資金は約15億円であった。
エボリューの現有設備能力は同20万トンである。このため同社では、自消に加えて、宇部興産や海外のメタロセン触媒法PEメーカーにもニーズに合わせて同触媒を供給していくことになりそう。
今回の新プラントが商業運転入りすれば、これまで岩国大竹工場で稼動してきた同15万トン見合い能力の同触媒装置は役目を終えて運休する。代わって市原では、同樹脂プラントと同触媒プラントの有機的一体運営が実現、その結果、同樹脂の市場ニーズに対してより的確かつ機敏な対応ができるようになると見られる。