旭有機材、分子量分布集約型ノボラック樹脂の新合成法開発
旭有機材工業は26日、分子量分布集約型ノボラック樹脂の革新的な合成法を開発、来月から新製法による製品(PAPSシリーズ)のマーケティング活動を開始すると発表した。新製法は、合成反応中に取り残される未反応成分(フェノールモノマーやダイマー)を選択的に反応させ、分子量分布を狭い範囲に集約させて高分子量分布、低分子量分布を自由に制御できる。これにより、それぞれの分子量分布に応じて極めて個性的な樹脂を得ることができる。同社では愛知工場に設備を新設し、2004年度中に本格販売を開始、発売後4−5年で10億円の売り上げを見込んでいる。
2003/2/27 旭有機材
「分子量分布集約型ノボラック樹脂」開発について
旭有機材工業株式会社(本社:宮崎県延岡市、資本金:50億円、社長:田畑晴郎)は、樹脂事業部門において、鋳物用、発泡用、電子材料などの工業用フェノール樹脂、RCS(レジンコーテッドサンド)、樹脂成形材料の製造販売等を行なっております。
この度、当社は分子量分布集約型ノボラック樹脂の革新的な合成法の開発に成功し、近く新製法による製品のマーケッティング活動を開始致しますので、お知らせ致します。
1.背景とねらい
従来処方のノボラックでは合成反応中にフェノールモノマーやダイマーが取り残されつつ反応が進行するために分子量分布が広くなり、その為に低分子量揮発成分を含む樹脂しか得ることができなかった。これに対して新製法では、選択的にモノマー、ダイマーを反応させ、分子量分布を狭い範囲に集約させてモノマーを含まない、高分子量分布、低分子量分布を自由に制御することを可能にした。これにより、それぞれの分子量分布に応じて極めて個性的な樹脂を得ることができる。
2.技術・製品の特徴
(a)原料であるフェノール類、アルデヒド類の樹脂への転換率が100%となり、高収率を実現、
狭い分子量分布の制御が可能。
(b)フェノールだけでなく、クレゾール類、ビスフェノール類などの各種のフェノール類にも適用でき、
それぞれに特徴ある樹脂ができる。
(c)モノマーレス、ローダイマーのため、環境にやさしい。
(d)均一な硬化が期待でき高架橋密度となるため、剛性、耐熱性など成型品の物性が向上する。
(e)従来のノボラック樹脂と比較して、同一軟化点の新処方樹脂では溶融粘度が低く、
高い熱時流動性を示します。
(f)従って、フィラーとの濡れ性が良く、強度向上が期待できます。また、フィラーの増量が可能で
機械的特性が改善されます。
(g)比較的低分子で、従来固形では扱えなかったものが固形化できます。
3.今後の予定
本製品は、製品名「PAPSシリーズ」として本年3月よりマーケッティング活動を開始し、愛知工場に設備を新設して、2004年度中に販売を開始する予定です。「PAPSシリーズ」は上市4〜5年後に10億円の売上げを目標としています。