化学工業日報 1999/5/21

浮島ポリプロ 日石化学100%子会社に
 三井化学との合弁解消 MSS生産拠点化視野に

 日本石油化学と三井化学は、ポリプロピレン(PP)の合弁事業を解消した。両社の共同出資会社である浮島ポリプロ(社長・多田敏夫日本石油化学常務、資本金7億2千万円)の三井化学の株式を日石化学が全株買い取り、全額出資の子会社にしたもの。ただ三井化学は日石化学に対して供給の継続を望んでおり、現在、両社間で新たな契約の締結に向けた交渉を行っている。全生産量の3分の1を基本に、1−2年間の期限をつけた販売契約となりそうだ。また日石化学では、昭和電工、蘭モンテルグループとのポリプロピレンの合弁会社であるモンテル・エスディーケー・サンライズ(略称MSS、カール・スカウリング社長)に、3年以内をめどに生産子会社として組み入れることも検討している。

 浮島ポリプロは、日本石油化学 66.7%、三井化学 33.3%出資のポリプロピレン製造会社。川崎に年産9万5千トンの設備を持ち、両社が出資比率に応じて製品を引き取ってきた。
 ただ、日石化学は95年にポリエチレン、ポリプロピレンを含めたポリオレフィン事業を昭和電工との合弁会社、日本ポリオレフィン(JPO)に、また三井化学は宇部興産との合弁会社グランドポリマーにポリプロピレン事業をそれぞれ統合し、88年設立当時とは状況が大きく変わった。
 こうした実情を背景に、両社では昨年末から浮島ポリプロの新たな体制について検討を重ね、このほど日石化学が三井化学の持ち株を全株買い取ることで合意し、正式な手続きを完了した。これによって浮島ポリプロは、日石化学の全額出資子会社となった。ただ、
三井化学にとっては同所にしかないグレードがあり、需要家との関係上どうしても供給責任が生じるため、日石化学に対して供給の継続を申し入れている。現在両社で販売に関する交渉を進めており、近くまとまる見通し。
 浮島ポリプロの生産量の3分の2をMSSが引き取る権利を有しており、日石化学は、生産量の3分の1を超えない範囲で、しかも市場価格で三井化学に販売することになりそうだ。期間については1−2年と想定される。
 なお、日石化学は3年後をめどに同設備をMSSの生産拠点として組み入れていく考えで、優れたコスト競争力や立地条件のよさを武器に、設備増強を視野に入れた新たな体制を構築していく方針。

 


1998/10/29 昭和電工/日本石油化学/Montell Polyolefins Company NV 

ポリプロピレン事業における提携(合弁会社設立)に関するお知らせ

  昭和電工株式会社(東京都港区、大橋光夫社長)とMontell Polyolefins Company NV(本社 オランダ、ピーター・フォフトランダー(Peter Vogtlander) President & CEO)および日本石油化学株式会社(東京都千代田区、犀川健三社長)は、ポリプロピレン事業において、下記の通り合弁会社を設立し、1999年5月1日を目途として営業を開始することに合意いたしました。

1.提携の趣旨

1) 昭和電工株式会社(SDK)と日本石油化学株式会社(NPC)は1995年10月に両社のポリオレフィン事業を日本ポリオレフィン(JPO)に移管し、以来共同で事業を行ってきた。
2) JPOとMontellは、1996年7月折半出資によりMontell-JPO株式会社(MJC)を設立し、日本での次世代先進樹脂材料(キャタロイ・プロセス製品およびHMS製品)の市場開発および 自動車向けPP、PPコンパウンドの販売に取り組んでいる。 また、1997年7月には、 Montell、JPO、MJCおよび現地資本の共同出資により、タイにおけるPPコンパウンドおよび先進樹脂材料の製造・販売を目的としてMBJ社を設立した。
3) SDKとMontellは、このような共同事業を通して、新たなる提携によるビジネスチャンス拡大の可能性を検討してきたが、このほど、合弁会社を設立し日本におけるポリプロピレンの製造・販売を共同で行うことにつき、1998年9月24日付で基本覚書を締結した。
4) 本計画に伴い、SDKとNPCは、JPOのポリプロピレン事業を新しい合弁会社に移管する。

2.提携に期待する効果

今回の提携において、未来に向けて新たな発想を大胆に実行できる企業風土をもつ、真の意味で「新しい会社」を形成することについて、3社の意思が一致した。 具体的な構想は以下の通り。

1)  新会社はポリプロピレン事業において世界一の規模と技術力を有するMontellと、JPOを通して日本のポリオレフィン事業をリードしてきたSDK、NPCの経営資源の融合により、世界トップレベルのPPメーカーを目指し、生産・販売両面の機能向上と国際的視野での競争力強化を図る。
2) 新会社は生産においては、Montell技術を軸として、設備の大型化、最新の触媒・プロセス技術の導入等により世界最高水準の生産体制構築を図る。
3) 新会社は技術開発においては、MontellのR&D世界ネットワークとの結合により、飛躍的なレベルアップを実現するとともに、日本における次世代先進樹脂の開発を加速する。
4) 新会社はMontellグループ 世界ネットワークとの緊密な連携により、高い技術力を有する樹脂開発および供給のセンターとして日本カスタマーの海外展開を強力にサポートする。

3.合弁会社の概要

  社 名   未定
  本店所在地   東京都
  資本金   約50億円を予定
  出資比率   MontellおよびMontell関係会社 50%、
SDKおよびNPC 50% 個別株主の出資比率は未定。
  事業目的   ポリプロピレン、キャタロイ・プロセス製品およびHMS製品の生産、販売
ならびに研究開発
  事業開始日   1999年5月1日
  役 員   未定
  従業員数   組織・体制を含め今後検討に入る。
  生産能力   年間約282千トン
  売上高   年間約300億円

Chemnet Tokyo 2001/9/3

サンアロマー、大分のPP2号プラント停止
    他系列の増強と浮島全量引き取りで補う

 ポリプロ専業メーカーのサンアロマーは3日、大分工場の
2号プラント(年産7万2,000トン)を8月末限りで停止したと発表した。
 同社は1999年に日本ポリオレフィンから事業譲渡を受けて設立して以来、スクラップ&ビルドを含む生産設備強化策に取り組んできたが、今回の2号機停止はその一環となる。同プラントは昭和電工技術により1971年から稼動を開始してきた。同プラントで生産される全グレードについては大分工場のほかの2系列のプラントと、浮島ポリプロのプラントに移管するため、グレード開発およびテストを過去1年以上かけて行い、同等製品が提供できる体制を整えた。
 また、同プラント停止による生産能力減少分は、昨年実施した
大分3号プラントの年産8万4,000トンから10万2,000トンへの能力増強と、年間7万2,000だった浮島ポリプロからの引き取り量が2002年4月から10万5,000トン全量引き取ることになっているため補うことができる。
 さらに汎用用途向けの一部製品は、同社が30%出資している韓国ポリミレイ社に生産技術を持ち込むことで生産委託し、同社の製品として日本国内で販売することも計画しているという。
 同社は今後とも生産設備効率化により、内外に対する市場競争力強化を図っていく方針である。


 


Chemnet Tokyo 2002/9/4

「省エネ樹脂加工技術」に三井化、ポリケムなど3社が挑戦

 経産省化学課は、02年度の研究開発プログラムとして、合成樹脂を成形加工するさい、エネルギー消費ウエイトの高いペレット化(造粒)工程を省略し、
パウダーから直接フィルムなどの製品を成形加工するという、画期的なプラスチック製品製造技術の開発に挑戦するが、このほど研究委託先企業として三井化学、日本ポリケム、東芝機械の3社を選定、委託契約を結んだ。02年度の同プロジェクト予算は6億1480万円。
 
 プラスチック重合工程で生成される樹脂をペレット化せず、パウダーからそのまま加工製品を成形することによって、ペレタイザーにかかる製造工程と、エネルギーを省略しようというもので、研究期間は02−04年度の3年間。三井化学など3社は、当面ポリプロピレンを中心に触媒や安定剤、成形技術などの開発研究に取り組む。
 
 経産省化学課では、引続き03年度概算要求で同プロジェクトに対し6億2000万円の予算を計上している。


日刊ケミカル 2002/9/5

☆出光ートクヤマ、PPのS&B推進、今月65千t停止

 出光石油化学とトクヤマはポリプロピレン(PP)事業の競争力強化に向けてS&Bを進めているが、トクヤマ・徳山製造所の年産14万tプラント(2系列:75千t、65千t)のうち、まず1系列
65千tを9月末に停止することになった。出光石化の徳山コンビナートで予定している9月末〜10月末の定修に合わせて停止するもので、残りの1系列75千tについては定修を行い再稼働させるものの、来年1月末にも停止する予定。
 両社が同製造所で進めている
年産20万tの大型プラントの建設に対応した一連の措置で、これに伴い生産体制の再構築が一巡する。新プラントは来年1月末に完成予定で、試運転後、営業生産に入る。出光石化は千葉工場に年産40万tプラント(3系列)を保有しており、1系列当たりの生産能力は約13万tと国内最大級だが、さらに新プラントの稼働によって合計年産60万tに、1系列当たりでも15万tへ拡大、国際競争力の強化を図る方針。
 現在、両工場間でグレード移管、統廃合についても並行して進めており、最適生産体制に向けて最終調整に入っている。出光石化は昨年7月にトクヤマからPPの営業権を譲り受けているが、これに伴いグレード数が増大。出光石化の120に、トクヤマの200を加えて合計320程度にまで膨れ上がったグレード数を新プラント稼働時にまず150〜160へ削減する。さらに第二弾として100以下にまで削減する計画で、スケールメリットを最大化させることにしている。なお、新プラントは競争力強化に向けて最終的には10グレード以下の生産に絞り込む方針。