(日本経済新聞 2002/3/20)
三井物産・三菱商事など4社 サウジでメタノール生産
年100万トン、世界最大規模 20年ぶり石化大型投資
三井物産と三菱商事など日本4社はサウジアラビアでメタノール製造事業に参加する。2004年秋をメドに現地企業と合弁で、同製品では世界最大級の年産100万トンの設備を稼動する。総事業費は3億5千万ドル(約450億円)。サウジ政府が外国企業の誘致に動いており、日本から豊富なエネルギー資源の活用を狙った投資が活発化する公算が出ている。
石油化学分野で日本からサウジヘの大型投資はほぼ20年ぶりで、三井物産が同国に投資するのは初めてとなる。メタノールは接着剤や合成樹脂など化学品の基礎原料。日本で産出量が少ない天然ガスを原料としているため、日本は輸入に頼っている。安価な天然ガスを利用できるサウジで生産し、一部を日本に持ち込む。
新設の合弁会社は「インターナショナル・メタノール・カンパニー」(IMC、ジュベール市)。資本金は8800万ドルで、出資比率は現地の化学品メーカー「サウジ・インターナショナル・ペトロケミカル」(SIPC、アルコバル市)が65%、物産が約20%、商事とダイセル化学工業、飯野海運がそれぞれ約5%。IMCは今夏をメドに製造プラントの建設に着手する。SIPCが工場運営、日本側は主に製品の輸出、販売を担当する。サウジでは3番目のメタノール製造会社となる。
注 @AR-RAZI Saudi Methanol
Company:三菱ガス化学ほか出資
AIBN SINA National Methanol Company
メタノールの世界需要は成長を続け、2001年に約3千万トンとなった。今後もアジアや欧米を中心に毎年3−4%の伸びが見込まれている。
サウジでは三菱化学、三菱ガス化学、三菱商事などが1981年に設立した投資窓口会社を通じて、サウディ基礎産業公社(SABIC)と折半出資で石化事業を展開。86年からポリエステル原料のエチレングリコールと、合成樹脂の低密度ポリエチレンを本格生産しており(SHARQ Eastern Petrochemical Company)、現在の年産能力はそれぞれ135万トン、75万トン。ジュベール地区はこの事業も含め、安価な原油や天然ガスを利用できる石化プラントの集積地となっている。
日本企業 原油権益復活に期待
日本とサウジの経済関係はアラビア石油の原油生産事業が中軸だったが、原油権益が2000年2月に期限切れとなり、疎遠となった。しかし日本企業にとって原油や天然ガスの資源は魅力。投資誘致策に転じつつあるサウジの姿勢を見極めながら進出のチャンスを探ることになりそうだ。
経済産業省や経団連は1990年代から原油権益の延長をにらんで同国への投資を日本企業に呼びかけてきた。しかし、ビジネス環境の違いから実績は上がらなかった。日本貿易振興会(ジェトロ)によると、日本企業によるサウジヘの直接投資累計額(2000年度末)は27億1700万ドル。最近では丸紅とセーレンなどが繊維加工品の合弁会社に23.5%出資したほか、デンソーがカーエアコンの製造合弁を設立しているが、他の中東各国同様、日本からの投資は低迷気味だ。
しかし石油依存からの脱却を目指すサウジ政府は外資導入と民営化による経済構造改革を推進。2000年4月に@法人税率の45%から30%への引き下げA外資出資制限の撤廃B資本、利益の海外送金保証ーーなどを柱とした新外国投資法を制定。国益に直結する原油生産を除き外国企業を誘致する姿勢を見せている。
今後も日本からの投資は石油や天然ガスを活用できる化学品が軸となる見通し。原油権益を日本企業が得るのは容易ではないが、今後日本からの投資が続けば、原油生産への参加する道が再ぴ開けるとの期待も出ている。
2002/8/6 日本経済新聞
サウジでプラント受注 千代田化工 メタノール最大級
干代田化工建設はサウジアラビアで世界最大規模のメタノール製造プラントを受注した。子会社の千代田ペトロスター(サウジ・アルコバル市)との共同受注。受注金額は300億円程度とみられる。
三井物産などが出資するインターナショナル・メタノール(IMC、サウジ・ジュベール市)から受注した。リヤド北東の工業都市、ジュベールに世界最大規模となる日産2900トンの製造プラントを建設。納期は2005年2月。原油採掘に伴い産出する随伴天然ガスを原料として用いる。
メタノールは接着剤、合成樹脂など化学品の基礎原料で、将来的にも自動車燃料などへの用途拡大が見込まれる。今後、年3%を超えるぺースでの需要拡大が予想されている。
IMCは三井物産、三菱商事、ダイセル化学工業、飯野海運が出資する日本アラビア・メタノール(JAMC)と、現地の化学品メーカー、サウジ・インターナンヨナル・ペトロケミカルの合弁企業。生産するメタノールの大半をJAMCが引き取る。
ペルシャ湾岸では、クリーンエネルギーとして注目される安価な天然ガスを原料とした石油化学事業が相次いでいる。干代田化工は昨年11月、サウジ基礎産業公社(SABIC)子会社から年産100万トンのエチレンプラントも受注した。
世界最大産油国のサウジアラビアは、人口急増で産業多角化に向けた構造改革が急務となっている。雇用創出や技術移転の観点から外国企業の役割に期待している。三井物産などによるメタノ−ル生産は、石油化学分野での日本からサウジヘの20年ぶりの大型投資。
SAUDI INTERNATIONAL PETROCHEMICAL COMPANY
WHO ARE WE?
A.H.Al-Zamil Group
Saudi International petrochemical Company (SIPC) is a newly-established Saudi Joint Stock Company with a fully paid-up capital of SR 500 million (US$ 133 million). SIPC will initially participate in the formation of three limited liability companies, in joint venture with foreign partners, to produce and market maleic anydride (MAN) and butanediol (BDO), methanol and acetic in Jubail Industrial City, Kingdom of Saudi Arabia.OUR OBJECTIVES
The main objective of the company is the setting of petrochemical, chemical and other hydrocarbon industries, using local resources, infrastructure and expertise wherever possible.
The company will harness the Saudi Government's support for private sector industries to contribute to national GDP. A further objective will be to enhance Saudization efforts through the initial creation of more than 300 iobs.
SIPC aim is to grow into a major petrochemical manufacturer within ten years. By serving markets in the Gulf and internationally through carefully chosen partnership, SIPC will apply world class technology and marketing to achieve superior products and quality of service and will remain one of the leading Middle East based industrial enterprises in strategically selected businesses.
SIPC's strategy for growth and development recognizes tremendous advantages in the availability of the vast oil and hydrocarbon resources of the region as a backbone for petrochemical industries. SIPC will vigorously seek a number of projects in the basic and downstream petrochemical industries and also new investment for its project integration programs.
Initial Plans
The company intends to manufacture 50,000 mfa of MAN/BDO, 850,000 mta of methanol and 300,000 mta of acid using the latest technologies.
The raw materials for MN/BDO and methanol are butane and natural gas respectively, which are available in the kingdom. The raw materials for acetic acid are methanol and carbon monoxide, which will be supplied by the methanol plant.
The MAN/BDO, methanol and acetic acid projects, SIPC's initial venture, have attracted considerable interest from potential foreign partners. The company will be-positioned to pursue future investment opportunities relating to downstream chemicals and other valued-added products by virtue of the spread of its operations, location and other contributory factors such as local planning and marketing expertise.
Major factors behind the substantial public and private investors interest in SIPC are the planned location of the projects in the highly- developed Jubail Industrial City of Eastern Saudi Arabia and their proximity to the ports of Dammam/ Jubail and similar industries.
The projects, which are expected to come on stream in 2003, are capital intensive, export oriented and value added, which generate incremental foreign exchange as well employment and training opportunities fro Saudi workers and professionals.
The proximity to national and international markets, particularly Asia, are further significant advantages, SIPC's product s will be marketed throughout the Kingdom, GCC States and Worldwide.
http://www.zamil.com/web/sp.html
サウジメタノールカンパニー第4期計画 世界最大のメタノール単一工場さらに増強
1999年4月完成予定、生産能力300万トン/年超に
日本・サウジアラビアメタノール株式会社(三菱ガス化学株式会社(以下MGCと略す)他8社からなる日本側投資会社、東京都港区、伊藤淑郎社長)とサウジアラビア王国基礎産業公社(以下SABICと略す)との合弁会社であるサウジメタノールカンパニー(AR-RAZI)は、6月2日、リヤドのSABIC本社において、第4期メタノール計画の建設契約を、三菱重工業株式会社(以下MHIと略す)と間で調印しました。
第4期プラントの規模は85万トン/年、完成は1999年4月を予定しています。MHIは第1期、第2期、第3期に引き続いての受注となります。
第4期メタノール計画の概要は以下の通りです。
●計画内容 | メタノール製造プラントの1系列増設 | ||
●プロセス | MGCプロセス(第1期、第2期、第3期プロセスと同じ) MGCは同時に運転指導、技術協力を行う |
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●契約内容 | 詳細設計、機器製作および調達、現地建設工事をMHIが請け負う、フルターンキーベース | ||
●設備能力 | 2,500トン/日、85万トン/年 | ||
●完成予定 | 1999年4月 | ||
●建設費 | 第3期プラントと略同一プラントであるが、コンストラクターが同一で、かつ建設時期が略継続することなどから 、第3期より低減する。 | ||
●資金調達 | 後述 | ||
●マーケット | 第4期プラントの生産量の50%は日本へ引き取る権利を有するが、日本の国内市場を勘案し、稼働後逐次引き取り量
を増やしていく。 その間はサウジ国内需要を中心に、SABICにより多く供給されることとなる。 |
今回の増設は、サウジ国内のメタノール誘導品であるMTBE向け自消量の増大、および世界的なメタノール需要の増大に対応したものです。
AR-RAZIは、1983年2月、サウジアラビアのアルジュベール地区における一連の石油化学プロジェクトの最初のプラントとして、第1期メタノールプラント(64万トン/年)をスタートさせて以来、92年1月には第2期プラント(64万トン/年)を増設、現在は第3期プラント(85万トン/年、本年6月完成予定)建設の最終段階にあります。
第3期プラント完成により、約220万トン/年体制となり、メタノール単一工場としては世界最大となりますが、第4期プラントが完成すれば年間生産能力は300万トンを上回り、工場運営の合理化に大きく寄与するものと期待されます。
また、第3期プラント以降、メタノール合成プロセスにMGCとMHIが共同開発した省エネタイプの新型合成塔(スーパーコンバーター)が採用され、運転性能の向上とともにプラント全体のエネルギー効率を10%以上高める最新鋭プロセスとなっており、コスト競争力の強化も大いに期待されます。
AR-RAZIは、その第1期計画においては建設総資金の約60%をサウジ政府資金であるPIFから融資を受けましたが、第2期計画は全額自己資金で賄い、第3期計画では総所要資金の60%を借入とし、その全額を日本輸出入銀行からの融資を受けて建設中です。第4期計画においても、総所要資金の70%に対し日本輸出入銀行から融資を受ける予定です。
AR-RAZIは、1983年の稼働開始以来約14年間、日・サ合弁企業として順調かつ成功裏に運営されてきており、今回の計画も日・サ技術・経済協力、およびその友好関係に一層寄与する物と期待されます。
〈日本・サウジアラビアメタノール株式会社 概要〉
設立 | 1979年11月12日 | ||
資本金 | 4,620百万円 | ||
資本構成 | 三菱ガス化学株式会社 47.0% 海外経済協力基金 30.0% 三井東圧化学株式会社 5.0% 住友化学工業株式会社 5.0% 株式会社クラレ 5.0% 伊藤忠商事株式会社 5.0% 新日鉄化学株式会社 1.0% 東邦理化工業株式会社 1.0% 日本化成株式会社 1.0% |
〈サウジメタノールカンパニー(AR-RAZI) 概要〉
設立 | 1980年2月9日 | ||
資本金 | 259百万サウジリアル | ||
資本構成 | 日本・サウジアラビアメタノール株式会社
50% SAUDI BASIC INDUSTRIES CORPORATION 50% |