1999/9/10発表

日本ゼオン、米国グッドイヤー社から特殊ゴム事業を買収
    耐油性特殊ゴムで、世界No.1の地位を更に強化

日本ゼオン(社長 中野 克彦)は、同社全額出資の米国子会社ゼオンケミカルズ社を通 して、米国グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー社(本社所在地:米国オハイオ州アクロン市、社長:サム G.ジバラ氏、以下 GYという。)から、主として自動車エンジン周りのゴム部品原料として使用されている耐油性特殊ゴムの
NBR事業を買収することで基本的合意に達し、1999年10月1日に事業移管を受けることになった。

今回の買収は、ゼオンケミカルズ社が、世界最大級の合成ゴム・メーカーである
GYから、NBR事業を直接買収する。買収の具体的内容は、GYのNBR商権約13,000トン/年と同社のNBR関連技術の全て。但し、GYが同社フランス工場で製造している粉末NBRは対象外。

ゼオン・グループは、今回の買収により、NBRの世界市場シェアを7ポイント増やして40%とし、世界第2位 の独バイエル(24%)を大きく引き離し、世界No.1の座を更に強化することになる。

NBRの米国市場では、ユニロイヤル社がメキシコに生産設備を集中・移管し、また、今回GYが生産を中止することになったので、ゼオンケミカルズ社は米国内唯一のNBRメーカーとなる。

ゼオン・グループは、今回の買収で、生産設備を増やさずにシェアを大幅アップ出来たので、日米欧3極に持つ各生産設備の補完関係を最適に調整することによって、全体の稼働率向上を図り、コスト競争力の強化に繋げる。また、買収に伴って多数の新規顧客が増加するが、日米欧3極に持つ特殊ゴム研究所の連携体制を活用して、技術サービスについても万全を期して行く。

ゼオン・グループは、今後とも、耐油性特殊ゴムでの世界のリーダーとして顧客に益々信頼される存在となり、世界No.1の座を揺るぎ無いものにすべく注力して行く所存である。

1. 背景説明と経緯
   ゼオン・グループは、コア事業として位置づけているC4事業の中で、「特殊ゴム」は21世紀に於いても同グループを支え続けて行く事業であると考え、「強いものを更に強くする」の方針の下に、「特殊ゴム」での世界No.1確立を同事業における最重点課題として取組んできた。

ゼオン・グループは、
耐油性特殊ゴム分野において、エピクロロヒドリンゴム、水素化NBRで既に圧倒的な世界シェアを有し、世界No.1であるが、97年夏に伊エニケム社からアクリルゴム事業を買収し、同ゴムでも世界シェア50%超の世界No.1となっている。残る課題としては、「特殊ゴム」の中でも一番大きな需要を持つNBRの世界シェアを一気に高め、圧倒的な世界No.1の地位 を確立することであり、具体的には北米でのシェア・アップを如何に実現するかに絞られていた。その第1弾として、本年1月にDSMコポリマー社からNBR事業を買収し、NBRでの世界シェアを33%に引き上げることができたが、圧倒的な世界No.1というには今一不足の感が残っていた。

今回の合意は、上記を意図するゼオン・グループと、事業の選択と集中を意図するGYとの思惑が合致したものである。GYは、売却先選定に当り、自消分のNBRについて安心して供給を受けられること、それ以上に、同社NBR事業の顧客に対して、今後も変らぬ サービスを継続的に提供して行ける能力を持っていると認められる先であることを重視して、ゼオンを売却先に選んだものと思われる。

将来にわたり、適正利潤が確保出来る体制をより確固たるものにして行く為には、特殊ゴムの各製品毎に、当社が他社の追随を許さぬ 圧倒的な地位を確立することが重要と考え行動してきたが、今回の買収によって、永年の戦略目標が達成されたことになる。
   
2. ゼオンケミカルズ社について
  GYは、NBRの北米市場においてはシェアNo.2であったので、ゼオンケミカルズ社は、今回の買収により、NBRでの北米市場シェアを37%から50%にアップし、圧倒的なNo.1となる。

ゼオンケミカルズ社は、NBR生産に関しては、ケンタッキー工場とDSMコーポリマー社ルイジアナ工場に、顧客の高度な品質要求を満たすのに適したバッチ重合と、コスト競争力が問われる汎用品生産に適した連続重合の両生産能力年産約50,000トンを有し、万全の供給体制ができている。加えて、ケンタッキー工場にはアクリルゴム年産 5,300トン、ミシシッピー工場にはエピクロロヒドリンゴム同10,900トン、テキサス工場には水素化NBR同2,000トンの生産設備を有し、耐油性特殊ゴムに関する顧客の多様なニーズを満たせる体制も整備されている。ゼオンケミカルズは、ゼオングループの日米欧の世界3極生産体制の重要な一角を担うと同時に、北米を代表する耐油性特殊ゴムメーカーとしての存在を更に高めていく。
   
3. グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー社について
  世界的な大手タイヤ・メーカーであり、また世界最大級の合成ゴム・メーカーでもある。
   
4.参考資料: 当社の耐油性特殊ゴムの製品別 世界シェア(今回の買収後)

             世界   日本   北米  EU
(1) NBR       40%  55%  50% 20%
(2) アクリルゴム   54%
(3) ヒドリンゴム   76%
(4) 水素化NBR   75%


1998年12月10日

日本ゼオン、米国DSMコポリマー社から特殊ゴムNBR事業を買収
 耐油性特殊ゴムで世界No.1の地位を強化

日本ゼオン(社長 中野 克彦)は、同社全額出資の米国子会社ゼオンケミカルズインク(以下 ZCIという。)を通して、米国DSMコポリマー(社長 ラリー パウエル)から、主として自動車エンジン周りのゴム部品原料として使用されている耐油性特殊ゴムのNBR事業を買収することで基本的合意に達し、1999年1月末に事業移管を受けることになった
今回の買収は、ZCIがDSMコポリマーのNBR事業を直接買収する。買収の具体的内容は、DSMコポリマーのNBR商権約10,000トン/年と、同社工場(ルイジアナ州)の16,000トン/年の連続重合生産能力での生産権利。
本買収により、当社は、NBRでの北米市場シェアを27%から37%にアップし、2位 のグッドイヤー(GY、20%シェア)に大きく水を空けるNo.1になる体制が整った。また、世界市場シェアでも、当社は5ポイント増やして、33%となり、世界第2位 の独バイエル(21%)を大きく引き離すことになる。

当社は、既存事業のコア事業として位置づけているC4事業の中で、「特殊ゴム」は21世紀に於いても当社を支え続けて行く事業であると考え、「強いものを更に強くする」の方針の基に、「特殊ゴム」での世界No.1確立を同事業における最重点課題として取組んできた。今回の買収は、昨夏の伊エニケム社からのアクリルゴム事業の買収に続くもので、当社は耐油性特殊ゴム事業での世界No.1の地位 を更に強化した。将来にわたり、適正利潤が確保出来る体制をより確固たるものにして行く為には、特殊ゴムの各製品(NBR、アクリルゴム、ヒドリンゴム、水素化NBR等)毎に、当社が他社の追随を許さぬ 圧倒的な地位を更に確立することが必要と考えている。

今後とも、当社は、耐油性特殊ゴムでの世界のリーダーとして顧客に益々信頼される存在となり、世界No.1の地位 を揺るぎ無いものにすべく注力して行く。

1. 背景説明と経緯
   ゼオングループは、昨夏の伊エニケム社からアクリルゴム事業を買収し、同ゴムでの世界シェア50%超を実現しており、98年度の最重点課題はNBRの世界シェアを一気に高めることに絞られている。
現在の世界市場のシェアから見て、北米(市場規模 8万トン強)とEU(市場規模 8万トン強)のシェアを高めることが目標となるが、EUはバイエル、エニ、ゼオンケミカルズヨーロッパ(ZCEL)の3社で80%を占め、極めて安定した状態にある。しかるに、北米はZCI、バイエル、グッドイヤー、ユニロイヤル、DSMコポリマーの5社がせめぎ合っており、過密気味の状態になっていた。
上記状況から、北米市場において供給圧力を増やすこと無く、シェアで完全に他社をリードする方策としては、他社の事業を買収することと結論づけた。ZCIと共に検討した結果 、事業買収対象については、DSMコポリマーに的を絞ることとし、本年4月以降、精力的な交渉を重ね、今回の合意に至ったものである。
   
2.米国NBR市場の今後
  米国のユニロイヤルが、オハイオ州のNBR工場(年産能力20,000トン)を1999年中に閉鎖し、メキシコのネグロメックス社と合弁で、同地に年産能力40,000トン設備を新設すると発表した。
ユニロイヤルはZCIと並んで、バッチ重合NBRを生産するメーカーであるが、これを閉鎖して、メキシコ新設は全て連続重合NBRとする計画である。よって、バッチ重合固有の性能を持った製品を供給できるのはZCIのみとなり、ユニロイヤルの多くのユーザーが ZCIより購入を希望するものと予想できる。
一方、ZCIがDSMコポリマー工場で入手する16,000トンは連続重合能力なので、コスト競争力が問われる汎用NBR向けに従来以上の勝負ができることになるメリットがある。
ゼオングループがDSMコポリマーのNBR事業を買収し、ユニロイヤルがメキシコへ脱出することとなり、米国のNBRメーカーは現在の5社体制から、一気にZCI、GY、バイエルの3社へと姿を変えることになる。
   
3. DSMコポリマー社について
  DSMエラストマー社(オランダに本社を持つDSMグループの中の1事業グループ)の100%子会社で、北米に於ける合成ゴム事業(従来の生産品目:EPDM,SBR,NBR)を担っている。今回の合意によりDSMは、世界でトップクラスを占めているEPDMに一層の注力を図るものと考えられる。
   
4.参考資料: 当社の耐油性特殊ゴムの製品別 世界シェア(今回の買収後)

            世界  日本  北米  EU  その他地域
(1) NBR      33% 55% 37%  20% 27%
(2) アクリルゴム 54%
(3) ヒドリンゴム  76%
(4) 水素化NBR 75%


1997/9/29発表 

日本ゼオンの米国子会社ゼオンケミカルズ、
  伊エニケムからアクリルゴムの営業権を買収

ゼオンケミカルズ(社長ウイリアム・ニーダスト、本社米国ケンタッキー州、日本ゼオンの全額出資会社、略称ZCI)は、大手石油化学会社エニケム(本社イタリア国ミラノ市)からアクリルゴム(ACM)の営業権を買収することを決定し、本年9月7日契約調印した。同営業権の移転は、本年10月1日から発効し、ZCIが、エニケムの顧客に対する供給責任を負う。

ZCIは、同営業権の買収により、コアビジネスであるACM事業の強化拡大に繋げると共に、ZCIの親会社である日本ゼオンは、ACM業界での実質的な世界一のメーカーとなり、耐油性特殊ゴムでの世界一の座をより一層強固なものとする。

1. アクリルゴム(略称ACM)
   高温における耐油性に優れたゴムで、自動車用部品のホース、ガスケット、オイルシール、パッキンなどが用途。
エニケムの今回の営業権売却で、世界のACM市場では、日本ゼオングループが大きなシェアーを持つこととなる。
   
2. エニケムの従来のACM事業について
  エニケムは、イタリア国ラベンナにACM生産設備(推定年産能力約2千トン)を有し、米欧を主体に販売していた。なお、同社は汎用ゴムSBRの世界有数のメーカー。
   
3. 日本ゼオングループのACM事業について
  日本ゼオンは神奈川県川崎市に、ZCIは米国ケンタッキー州ルイビルにそれぞれACM生産設備を有し、合計年産能力は7.5千トン。ZCIは96年に能力増強しており、今回のエニケムからの営業権買収に伴う増量 分をカバーできる生産余力を有している。
   
4. 日本ゼオンの耐油性特殊ゴム事業について
  日本ゼオンは総合合成ゴムメーカーだが、特に耐油性特殊ゴム(NBR,HNBR,ACM,ヒドリンゴム,世界初の特殊ポリエーテル系特殊ゴム,ポリノルボルネンゴム,フッ素ゴム等)においては世界シェアーの約35%を有し、独バイエルと肩を並べ世界一。日米欧の3極に生産基地を持ち、アジアにはカーボンマスターバッチの2工場を有す。

エニケムは、今回のACM営業権売却に当たって、耐油性特殊ゴム分野でこの様にグローバルに事業展開している日本ゼオンが、最適な売却先と判断したもの。
   
5. ZCI
  正式名: Zeon Chemicals Incorporated
本 社: 4100 Bells Lane, Louisville, Kentucky 40211, U.S.A.
資本金: US$36百万(日本ゼオン100%)
設 立: 1989年9月12日
生産拠点:  ケンタッキー、ミシシッピー、テキサス
事業内容: 合成ゴムの製造販売
売上高: 約180億円(96年実績)

1997/5/19発表

日本ゼオン、水素化ニトリルゴムの生産能力増強

日本ゼオン(社長 中野克彦)は、水素化ニトリルゴム(商標名ゼットポール :Zetpol)の世界的な需要増大に対応して、同社高岡工場(富山県高岡市)内にある同製品の製造プラントの生産能力を1,000トン増強し、3,800トン/年にすることを内定した。関係官庁の認可が取れ次第着工し、本年内に完成させる予定。 同製造プラントは95年3月にも1,000トンの能力増強を実施しているが、その後の需要の増大に合わせてさらなる増強を決定したものである。

1. 能力増強の概要
 1-1. プラントの所在地:富山県高岡市荻布630 同社高岡工場内
 1-2. 生産能力:1,000トン増強 (合計 3,800トン/年)
 1-3. 投資額:数億円以内
 1-4. 完成予定:97年12月

2. 増強完了後の同社水素化ニトリルゴム生産能力

プラント名     生産能力(トン/年)  所在地
高岡プラント    3,800        富山県高岡市
米国プラント    1,800        米国テキサス州ヒューストン

3. 水素化ニトリルゴムの特徴と用途

 3-1.
   日本ゼオンが75年から基礎研究に着手し、世界に先駆けて独自技術で開発した 耐油性特殊ゴムで、 耐油性の他に、耐熱性、耐寒性、耐オゾン性、耐酸敗ガソリン性、耐薬品性等の耐久性、及び機械的強度等の諸特性が優れており、極めて高い性能バランスを有する"高機能ゴム"である。
現在、日本ゼオンとドイツのバイエル社の2社で世界市場を占有している。
   
 3-2.
  タイミングベルト、燃料系ゴム部品(ホース、ダイヤフラム等)、オイルシール、パッキン等の各種自動車部品として世界的に使用されており、着実に需要を伸ばしている。また、その優れた特性から各種工業部品、ロール、石油掘削部品等幅広い分野で用途が広がりつつある。
さらに同製品の特性を、独自の技術によって飛躍的に向上させた特殊な超高強度ポリマーである"ゼオフォルテ"(商標名)もその用途を大きく拡大しつつある。

 


1998/5/28 発表 

日本ゼオン、汎用合成ゴムで欧州に供給拠点 ダウケミカルへ技術供与

日本ゼオン(社長 中野克彦)はダウケミカル(本社米国、以下ダウ社と略す。)に対し、当社が独自開発した溶液重合系汎用合成ゴム製造技術を供与することで合意した。対象品種は、溶液重合系SBR、BR並びに熱可塑性SBSの3種である。

ダウ社は、ドイツ国シュコパウ(ライプチヒの西郊)に溶液重合系汎用合成ゴムの製造設備を新設し、2000年前半に生産開始する計画である。生産能力は第一期分として年産60,000トン。

当社は、ダウ社との上記技術供与契約と随伴して、製品受給契約を締結した。それにより、当社が欧州及び北米市場で拡販する予定の必要量 を、ダウ社の新設プラントより『ゼオン品』として受給出来る仕組みを作り上げた。

現在、当社の当該品供給可能量は、徳山工場(山口県徳山市)の年間30,000トンであるが、’99年央には同55,000トンに増強することを決定しており、今後急速に拡大する世界の需要に対応するに当たり、自社徳山工場とダウ社新設工場の2拠点供給体制が出来上がることとなる。また、将来、更なる需要増が確実視される段階に於いては、当社はダウ社工場内に増設出来るオプションも持っている。

当社は、独自の技術を活かし、特殊合成ゴムで日米欧三極供給体制を既に確立しているが、汎用合成ゴムの領域でも信頼されるグローバル・サプライヤーの地位 を築き上げることになる。

参考までに、当該合成ゴムは、タイヤ用途において、環境にやさしい高性能タイヤ原材料として、主流を占めるものである。


2002/10/23 日本ゼオン

日本ゼオン、画期的新製法によるLCD用光学フィルムの製造、販売開始

 日本ゼオン(社長 中野克彦)は、熱可塑性高機能透明樹脂のシクロオレフィンポリマー(COP : 商品名 ゼオノア、英文名 ZEONOR)を用いた、画期的新製法である溶融押し出し法によるLCD用光学フィルム(商品名 ゼオノアフィルム)の製造、販売を開始した。生産は光学部品製造子会社オプテス(栃木県佐野市、社長 山ア正宏)の高岡工場(富山県高岡市)で、能力は500万平方メートル/年、2005年度に50億円の売上げ計画である。

 ゼオノアフィルムは高透明性、低複屈折、低波長分散、低光弾性などの優れた光学特性を有するとともに、市販の光学フィルムに比べて低吸湿性、高耐熱性などの特徴を有しており、LCD用光学フィルムとして優れた耐久性を提供できる。また、FPD(フラットパネルディスプレイ)分野においては、大型液晶TVの急速な市場拡大が予想されており、大画面LCD用光学フィルムとしてゼオノアフィルムの展開に注力していく。

 光学フィルムの製造方法には、溶液キャスト法と溶融押出し法があり、現行の光学フィルムは溶液キャスト法で製造されている。溶融押し出し法は、樹脂ペレットをそのまま加熱溶解した後、押し出し機で押し出してフィルムを作るので、生産性が高く、設備投資金額も比較的小さいという特徴を有している。しかし、本法では膜厚精度を上げることが困難であり、かつ、フィルム上にダイラインという細かいスジができるため、要求品質が極めて高い光学フィルムの製造は不可能とされていた。

 日本ゼオンとオプテスは、優れた光学特性を有するゼオノアを用いて溶融押し出し法による光学フィルムの製造に挑戦し、加熱溶融時の流動性に優れたグレードの開発や、多くの製造ノウハウを確立することにより、初めて商業的生産に成功し、この度販売を開始した。

1. ゼオノアフィルムの主な特徴

  1)優れた光学特性
  (1)高透明性
  (2)低複屈折
  (3)低波長分散
  (4)低光弾性
2)低吸湿・低透湿性
3)低脱ガス
4)高耐熱性(ポリカーボネート並み以上)

2.主な用途

  1)光学フィルム全般
  (1)位相差フィルム
  (2)大画面LCD用偏光板保護フィルム

3.COPに関する補足説明

   日本ゼオンは、ナフサからエチレン、プロピレンを製造する際に副生されるC5留分の総合利用を推進しており、熱可塑性高機能透明樹脂COPはC5留分を抽出分離して製造するジシクロペンタジエン(DCPD)が主原料。

 当社が1990年に世界に先駆けて独自に開発、上市したCOPの高級グレードである「ゼオネックス」は、加熱溶融時に流れやすいため精密成形性に優れ、複雑な金型で製造する成形が可能であり、ガラス等で作られていた製品よりトータルコストが安く、安定的に大量生産が可能である。ゼオネックスは透明性樹脂の中でも吸水性が極めて低いことにより精密加工成形品であるレンズ、プリズムの画像歪みが無く、また、競合の透明樹脂であるPCやPMMAに比べて比重が小さいので製品が軽くでき、携帯用製品の材料に適するなどの特性を持つ。さらに本樹脂は高透明性や低複屈折性などの優れた光学特性を有しており、コンパクトカメラのレンズやプリズム、OA機器のピックアップレンズなどの光学用途、CDやMD、DVDなどの光ディスク用途、その他幅広い分野で使用されている。

 また当社は98年に、高透明性を維持し、耐衝撃性と耐熱性を改良したCOPの汎用グレードである「ゼオノア」を上市した。LCD用大型バックライト導光板、フロントライト導光板、食器や哺乳瓶などの食品用容器、医薬品分野の容器や包装材などに採用されている。

2001/12/13 日本ゼオン

日本ゼオン、シクロオレフィンポリマー加工工場を竣工

 日本ゼオン(社長 中野克彦)は、熱可塑性高機能透明樹脂であるシクロオレフィンポリマー(COP)「ゼオノア」を用いた液晶ディスプレー用フロントライト導光板加工工場および光学用フィルムのテクニカルセンターの竣工式を、12月13日に当社高岡工場(富山県高岡市)で行った。本年6月末の工事開始以来、順調に建設は進行し、今回の完成を迎えた。投資金額は約20億円で、2003年度に売上高60億円を予定しており、当社はこれを契機にCOP事業の拡大を更に加速していく計画である。

 TFT(薄膜トランジスタ)液晶ディスプレー(LCD)では、多くのメーカーが 14.1および15インチの大型ディスプレー用バックライト導光板材料としてゼオノアを採用しており、この分野で本樹脂はデファクトスタンダード化しつつある。この大型LCDに加えて、市場が急速に拡大しつつある携帯電話やPDA(携帯情報端末)では省電力の要求が強く、この目的に適ったフロントライト導光板を用いたLCDが採用され始めている。ゼオノアは光学特性が良く、比重が小さいので軽量 化が図れ、また加工性が良く製品の歩留まりが高いなどの特徴が評価されており、本導光板用材料として大手メーカーに採用が決定している。すでに当社の光学部品生産子会社オプテス(栃木県佐野市)では本樹脂製フロントライト導光板の生産を行っているが、この度完成した加工工場は、市場の旺盛な需要に応ずるべく設備拡充したものである。

 ゼオノアは、光学フィルム分野においても高透明性、低複屈折、位相差が小さく波長分散が少ないなど、既存の材料に比較して光学特性に優れている。さらに吸湿性が極めて低いことおよび耐熱性も良く、寸法安定性が極めて高い特長を有しており、高温、高湿下になりやすい自動車の中などの使用環境が厳しい条件下でも使用に耐えられる材料である。今後ますます高精細化、大画面 化が進むディスプレー(LCD、有機EL、PDP)には高品質且つ高信頼性の各種光学フィルム(偏光板、位 相差フィルム、ARフィルムなど)が不可欠であり、関連ユーザーから当樹脂製光学フィルムの早期製品化を要請されている。テクニカルセンター稼動後は早期にサンプルを供給し、ユーザーでの製品化を促進していく。また、新たにCOPを採用する樹脂加工メーカーへの技術的バックアップ体制も一段と強化していく。

「COPに関する補足説明」

  当社は、ナフサからエチレン、プロピレンを製造する際に副生されるC5留分の総合利用を推進しており、COPはC5留分を抽出分離して製造するジシクロペンタジエン(DCPD)が原料。当社が1990年に世界に先駆けて独自に開発、上市したCOPの高級グレードである「ゼオネックス」は、透明性樹脂の中でも吸水性が極めて低いことによりシート化しても反りが少なく、加熱溶融時に流れやすいため精密成型性が良く、また競合の透明樹脂であるPCやPMMAに比べて比重が小さいなどの特性を持つ。さらに本樹脂は高透明性や低複屈折性などの優れた光学特性を有しており、コンパクトカメラのレンズやプリズム、OA機器のピックアップレンズなど光学用途、CDやMD、DVDなどの光ディスク用途、その他幅広い分野で使用されている。
また当社は98年に、高透明性を維持し、耐衝撃性と耐熱性を改良したCOPの汎用グレードである「ゼオノア」を上市した。LCD用大型バックライト導光板、フロントライト導光板、食器や哺乳瓶などの食品用容器、医薬品分野の容器や包装材などに採用されている。

化学工業日報 2001/6/11

シクロオレフィンポリマーを大幅増強へ−日本ゼオン

 日本ゼオンは、新規事業の柱として育成を進めているシクロオレフィンポリマー(COP)で、大幅な増設に踏み切る方向で具体的検討に入った。現状の年間5000トン設備に加え大型量産設備を建設する。生産能力は同1万トン以上を視野に入れる。COPは、液晶導光板でデファクト・スタンダードな材料となりつつあるなど新規需要が急速に立ち上がってきている。特殊品比率の向上と新事業立ち上げによる収益構造の改革を進めていくなか、COPをけん引車として高付加価値事業体への転身を図る。

 


日本経済新聞 2003/2/17

LCD用フィルム ゼオン、生産倍増 
  需要急伸 JSRも新工場

 特殊ゴム大手の日本ゼオンは液晶表示装置(LCD)に使う光学フィルムの生産能力を8月までに倍増する。LCDの普及と画面の大型化に伴い、主要部材である同フィルムの需要も毎年倍以上の伸びが見込めるという。2005年度には100億円の売り上げ規模を目指す。
 増産する光学フィルムは液晶画面の視野角を広げる位相差フィルムが主な用途となっている。吸湿性が低くゆがみにくい高機能樹脂を原料にする。画面の高精細化や大型化に伴い、こうした高機能フィルムの需要が伸びている。
 ゼオンは昨年10月にこの市場に参入、20億円をかけて富山県高岡市にある子会社工場に年産500万平方メートルの製造設備を整えた。今回、7億円を投じ、新たな生産ラインを設置、生産能力を年1千万平方メートルに高める。
 同様の高機能樹脂を使った高画質LCD向けフィルムの市場の大半を占めてきた
JSRも投資額30億円で9月までに新工場を建設する予定。従来の外部生産委託分も含め供給量は1千万平方メートルに増えるとみられる。


日本工業新聞 2003/9/18

日本ゼオンが高機能透明樹脂COPを増産、05年度までに3倍

 日本ゼオンは、カメラのレンズなどに使用する高機能透明樹脂のシクロオレフィンポリマー(COP)の生産を2005年度までに、段階的に現在の3倍に当たる年産1万5000トンに引き上げる。レンズなどの光学機器用途に加え、新たに医療機器用途や光学フィルム用途で需要が増加していることに対応する。投資金額は、合計で60億円程度とみられる。

 COPは、有機合成原料のジシクロペンタジエン(DCPD)を原料にした透明性の高い合成樹脂。ガラスのような透明性がありながら、低吸湿性や寸法安定性、光学特性に優れることから、カメラやOA機器のレンズ、DVD(デジタル多用途ディスク)のピックアップレンズといった光学機器の素材として使用されている。

 日本ゼオンは現在、COPを水島工場(岡山県倉敷市)の年産5000トンの設備で生産している。これを、約40億円を投じて、04年春に年産1万トンに倍増する。さらに05年度をめどに、3倍増にあたる年産1万5000トンに生産能力を引き上げる計画だ。

 COPは、従来の光学機器用途に加えて、医療機器用途やLCD(液晶ディスプレー)用の光学フィルム用途で需要が増加している。

 医療機器用途としては、樹脂製の注射器に1回分の薬剤を充填(じゅうてん)したシリンジ製剤向けに採用が拡大。従来、医療現場で薬剤を調合し、ガラス製の注射器に充填して患者に投与していたが、すでに調合され簡便性に優れるシリンジ製剤が、ガラス製の注射器に代わって需要が伸びている。COPは、低吸湿性や耐薬品性に優れるため、シリンジ製剤の注射器用途に適している。

 光学フィルム用途は、LCDの大型化や、韓国や台湾メーカーの増設などで需要が拡大している。日本ゼオンは、すでに光学フィルムの増産も決めている。

 日本ゼオンは、今年度から始まった3カ年の中期経営計画で、最終年度となる05年度の営業利益を、02年度比で倍増にあたる260億円に引き上げる計画を打ち出している。このため、収益性の高い高機能樹脂事業を強化する考えだ。


2005年7月1日 日本ゼオン

日本ゼオン、シクロオレフィンポリマー(COP)年産5,000 トン増強設備竣工

 日本ゼオン(社長古河直純)は、7月1 日水島工場(岡山県倉敷市)で高機能熱可塑性透明樹脂シクロオレフィンポリマー(COP;製品名ZEONEX(R)(ゼオネックス)、ZEONOR
(R) (ゼオノア))プラントの竣工式を行った。
 現有10,000 トン/年から、新たに5000 トン/年の設備を増強したもので、今回の能力増強によりCOPの生産能力は
15,000 トン/年となる。今回の能力増強はZEONEX(R) 、ZEONOR(R) の販売が引き続き好調であることへ対応するものである。
 ZEONEXは、携帯電話カメラレンズ、レーザービームプリンター用Fθレンズ、DVD用ピックアップレンズなどの光学用途が好調なことに加え、今後プレフィルドシリンジなど容器も含め大きく伸びることが期待されている。また、韓国・台湾・中国など近隣諸国での販売体制を強化し、現地需要家のニーズに対応していく。
 ZEONOR は、100%子会社である(株)オプテスで製造販売している液晶用光学フィルム(製品名ゼオノアフィルム(R) )の販売が相変わらず好調であることに加え、拡散板が本格的に立ち上がってきている。ゼオノアフィルムについては、従来販売してきた原反に加えて、低複屈折フィルムおよび縦一軸、横一軸、縦横二軸のそれぞれ延伸フィルムも製造販売を開始したが、順調に採用がはじまっている。また、ゼオノア拡散板については、表面に微細パターンを施し、高機能化した製品の開発も進んでおり、需要が急増している大型液晶テレビへの採用に伴い、大きく伸びるものと期待されている。このため原料樹脂の需要も大きく伸びると予想している。

COP
 当社は、ナフサからエチレン、プロピレンを製造する際に副生されるC5 留分の総合利用を推進しており、COPはC5 留分を抽出分離して製造するジシクロペンタジエンが原料。当社が1990 年に世界に先駆けて独自に開発、上市した。COPの高級グレードである「ZEONEX (ゼオネックス)」は、透明性樹脂の中でも吸水性が極めて低く、加熱溶融時に流れやすいため精密成型性が良く、また比重が小さいなどの特性を持つ。さらに本樹脂は高透明性や低複屈折性などの優れた光学特性を有しており、カメラ付き携帯電話やデジタルカメラ・コンパクトカメラのレンズ・プリズム、OA機器のピックアップレンズなど光学用途、CDやMD、DVDなどの光ディスク用途、その他の分野で使用されている。
 また当社は98 年に、高透明性を維持し、耐衝撃性と耐熱性を改良したCOPの汎用グレードである「ZEONOR (ゼオノア)」を上市した。LCD用導光板・拡散板、光学フィルム、自動車ヘッドランプのエクステンション、食品用容器や包装材などに幅広く採用されている。