日本経済新聞 2008/12/9

ソニー、1万6000人削減 世界でリストラ、正社員8000人含む

 ソニーは9日、全世界で1万6000人以上の人員削減や生産拠点の統廃合などを柱とするエレクトロニクス(電機)部門のリストラ計画を発表した。人員削減には約8000人の正社員を含み、生産拠点は5、6カ所減らす。設備投資の圧縮と合わせ、年間1000億円を上回るコスト削減を狙う。世界的な景気後退 や円高で同社の業績は急速に悪化している。大規模リストラで収益構造の抜本的な見直しに取り組む。

 同社は2005年のハワード・ストリンガー会長兼最高経営責任者(CEO)の就任以降、1万人の人員削減や生産拠点11カ所の統廃合などのリストラを進め収益は回復傾向にあった。だが液晶テレビなど主力製品の需要急減や価格下落を受け再度の構造改革を迫られた。電機大手の収益力は軒並み低下しており、リ ストラの動きが他社に広がる可能性が高い。

 人員削減は10年3月末までに実施する。正社員が電機部門の総人員の約5%に相当する8000人、派遣社員など非正社員が8000人以上にのぼる見通し。57カ所ある生産拠点は10年3月期末までに約1割減らす。


2008年12月09日 ソニー

エレクトロニクス事業の経営体質強化・収益性改善のための諸施策実施について

 ソニーは、急激に変化する世界経済情勢に対処すべく、グループ全体において経営体質強化、および収益性改善を図るための諸施策を実施してまいります。

 特に、事業環境急変の影響を最も受けているエレクトロニクス事業においては、既に短期的な施策として生産調整、在庫圧縮、経費等諸費用の削減などを実施してまいりましたが、これらの施策に加え、円高に対応した商品価格の見直し、投資計画の削減・延期、不採算・非戦略事業の縮小・撤退、国内外製造事業所の再編、および人員の再配置・削減などを行なってまいります。
これら施策により、2009年度末までに、年間で総額1,000億円以上の費用削減効果を実現できる体制の構築を目指します。

 現時点で決定しているエレクトロニクス事業の施策は以下の通りです。

1. 投資計画の見直し
 当社は、中期経営方針で定めた投資計画を精査し、成長戦略を実現するための投資を継続する一方で、市場の変化に柔軟に対応して、投資の削減と実行の延期を実施します。
 具体的には、当年度内に半導体事業において、携帯電話向けCMOSイメージセンサーの増産計画の一部を外部へ生産委託することにより投資の削減をいたします。
 また、テレビ市場における急激な需要減速を受け、欧州市場への供給拠点のひとつであるスロバキア・ニトラ工場の液晶テレビ増産投資の延期を決定しました。
 このような見直しを通じて、2009年度のエレクトロニクス分野の投資については、選択と集中を推進することにより、中期計画より約3割削減する計画です。

2. 製造事業所の再編
 当年度内に、テープなど記録メディアの生産拠点である仏・ダックス工場など海外2拠点での生産を終了する予定です。製造オペレーションの合理化、低コスト国への生産移管・集約、OEM/ODMの活用などを進めることによって、2009年度末までに製造事業所を現状の57拠点から約1割削減する予定です。

3. 人材の再配置・人員の削減
 製造事業所の再編、開発・設計体制の見直し、営業や間接部門の効率化などによって、本社を含む全社的な合理化を推進し、職務転換/転職支援プログラム等を通じた人材の再配置・最適化を図ります。
 これらの施策により、2009年度末までに、エレクトロニクス事業の全世界の従業員数を、2008年9月末時点の
約16万人から約8,000人削減することを見込んでいます。同時に、派遣社員等の外部リソースの活用も見直す予定です。
 当社は、上記施策に加え、短期および中長期的に収益性を改善し、成長を確保するための施策を今後も継続的に実行してまいります。

 これらの諸施策を実行する際に要する費用など2008年度の業績に与える影響については、2009年1月に予定している2008年度第3四半期業績発表の際に説明する予定です。