化学工業日報 2002/10/4 

三菱ガス化学、過水事業の収益改善に注力

 三菱ガス化学は過酸化水素事業の収益改善に取り組む。28年ぶりとなる値上げを実施する方針を固めるとともに、
日本パーオキサイドとの生産提携をもとにした物流合理化によるコストダウンを目指す。過酸化水素は長く供給過剰が続いていたが、2005年までに紙パルプおよびカプロラクタム(CPL)新規プロセスで計5万トン規模の新規需要が生まれる見通しで、逆に能力不足が懸念される状況となる。同社は手直しによる増強を今後の検討課題としているが、現状の採算では再投資は不可能として、値上げには不退転の決意で臨む方針だ。


1997/11/11 三菱ガス化学

半導体向け超純過酸化水素「ELM/UELM」  東南アジア初の生産拠点シンガポールに
 世界4拠点体制確立 10,000トン/年、1999年第1四半期に商業運転開始

 三菱ガス化学株式会社(本社: 東京、社長: 大平晃、以下MGCと略す)は、半導体向けの薬品である超純過酸化水素の製造販売に関し、シンガポールに新会社を設立致しました。
 新会社の概要は別紙の通りですが、生産能力は10,000トン/年、1999年第1四半期の商業運転開始を予定しています。総投資額は約30億円を見込んでいます。

 超純過酸化水素は、半導体の製造工程においてウエハーやデバイスの洗浄に用いられる薬品ですが、東南アジア市場では、現在、シンガポールやマレーシアを中心として需要が急速に増大しています。MGCではこれまで日本からの輸出で対応してきましたが、現地ユーザーから現地生産化への要望が高まっていること、また、日系ユーザーの東南アジア進出も進んでいること、加えて、シンガポール政府経済開発庁の支持が得られたことから、このたび現地生産に踏み切ることと致しました。
プラント完成後は、最新スペックの「UELM」グレードを中心に生産、将来的には、他の半導体向け高純度薬品の投入も図っていく予定です。

 MGCでは、超純過酸化水素をコア事業のひとつと位置づけており、1980年の生産開始以来、日本国内においては、山北工場(神奈川県、20,000トン/年)および佐賀製造所(佐賀県、19,000トン/年)、海外においては、合弁により三永純化株式会社(大韓民国・ウルサン、10,000トン/年)およびMGCピュアケミカルズ・アメリカ(アメリカ合衆国・アリゾナ州、5,000トン/年、98年中に10,000トン/年まで増強予定)と、拡大する世界需要に対応するため、順次生産拠点を拡充してきました。
 今回のシンガポール進出も、こうしたグローバリゼーション戦略に沿ったものであり、現地はもちろんのこと、相互バックアップ体制の強化により、世界市場全体への安定供給体制が、一層強化されることとなります。

シンガポールに設立された新会社の概要は以下の通りです。

●社名   : MGC Pure Chemicals Singapore,Pte.Ltd .
●資本金   : 8百万シンガポールドル
  三菱ガス化学株式会社: 90%
  Mitsubishi Gas Chemical(Singapore)Pte,Ltd.: 10%
●工場所在地   : 西テュアス地区
●代表者   : 取締役社長: 小池邦彦
 (現: 三菱ガス化学株式会社無機化学品事業部EL薬品部主席)
●生産能力   : 超純過酸化水素(ELMグレードおよびUELMグレード) 10,000トン/年
●生産技術   : 三菱ガス化学技術
●工場完成   : 1998年末
●商業運転開始   :1999年第1四半期
●将来計画   : 超純アンモニア水、超純TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)、
 フォトレジスト剥離剤、サイドウォールポリマー除去剤など、順次投入を予定 

2003/04/21 三菱瓦斯化学

三菱ガス化学 超純過酸化水素オンサイト技術を大陽東洋酸素より取得

 三菱ガス化学株式会社(本社:東京都千代田区、社長:小高英紀)と大陽東洋酸素株式会社(本社:大阪府大阪市、社長:川口恭史)は、大陽東洋酸素が開発したオンサイト型高純度過酸化水素精製技術による事業について、以下のように合意しました。

(1)三菱ガス化学は、大陽東洋酸素の既存の事業所を除く全世界での同技術の再実施権付専用/独占実施権と、(2)同技術により設置されていた大陽東洋酸素大分ケミカル製作所内の精製設備を、2003年3月31日付で譲り受ける。

 今回の合意により、三菱ガス化学は大陽東洋酸素からオンサイト型高純度過酸化水素に関する今後の事業権を得たことになります。

 半導体デバイス及びシリコンウェハー製造時の洗浄剤として使用されている高純度過酸化水素は、国内において約30,000T/年使用されています。しかし、ユーザーである国内の半導体業界は、この数年来のIT産業不況を乗り切るため、工場の集約化、他社との事業統合等の構造改革を実施しており、高純度過酸化水素の需要量も停滞しています。

 一方、高純度過酸化水素のメーカーは両社を含めて6社と多く、ユーザー業界からの調達方法の変更を含めた厳しい値引き要求と、価格の過当競争により、各社とも事業採算は極度に悪化しています。

 三菱ガス化学は現在国内に2工場(神奈川県、佐賀県)を持つほか、海外に4拠点(韓国、米国、シンガポール、台湾)を展開しており、日本はもとより世界のトップシェア事業者として、高純度過酸化水素事業を強化して来ました。今回のオンサイト技術の取得もその一環として供給方式の幅を広げ、事業の柔軟性と基盤強化を図るものです。


(参考)
 同業他社:三徳化学、住友化学、和光純薬、旭電化

 


2001/6/26 保土谷化学

子会社日本パーオキサイド(株)の株式取得
 紙パ関連事業および漂白・殺菌関連事業の強化が狙い
   −持ち株比率、65.3%から98.1%へ−

 当社は、2001年6月29日付で、子会社日本パーオキサイド株式会社の32.8%の株式を保有している日本化薬株式会社から同株式全株を取得致します。 これにより日本パーオキサイド(株)の持株比率は、
保土谷化学工業(株)98.1%、三徳化学工業(株)1.9%となります。

1.株式の取得理由

 日本パーオキサイド(株)では、紙パルプ漂白に使用される過酸化水素を同社
郡山工場及び三菱ガス化学(株) との共同出資製造合弁会社である「共同過酸化水素(株) 」で製造し販売を行っています。

 当社は、紙パルプ漂白に使用される二酸化塩素の発生用原料である塩素酸ソーダの事業を、また100%子会社である保土谷エンジニアリング(株)とともに二酸化塩素発生装置(SVP-LITE法、HP-A法)の事業を行っています。

 これによりHP-A法にて二酸化塩素を発生する場合は、塩素酸ソーダと過酸化水素が併用されることと、この度の株式取得で紙パ顧客への対応が保土谷グループとして統合することが出来るため、より需要家密着型の事業展開が図れることになります。

2.株式取得をする子会社の会社概要

1)商     号 日本パーオキサイド株式会社
2)代  表  者 代表取締役社長増本 光雄
3)所  在  地 東京都港区虎ノ門一丁目2番8号
4)設立年月日 1963年7月
5)主な事業の内容 過酸化水素、過炭酸ソーダおよびその関連製品の製造・販売
6)決  算  期 2月末日
7)従  業  員 96名(2001年2月末日)
8)事  業  所 郡山工場(福島県郡山市にある当社郡山事業所に隣接)
9)資 本 の 額 8億円
10)発行済株式総数 1,600,000株
11)株主構成および所有割合
  (2001年5月31日現在)
保土谷化学化学工業(株)
日本化薬(株)
三徳化学工業(株)
65.3%        
32.8%
 1.9%
12)最近事業年度における売上高  48億円(2001年2月末)
51億円(2000年2月末)

3.株式の取得先

1)商   号 日本化薬株式会社
2)代 表 者 代表取締役 中村 輝夫
3)所 在 地 東京都千代田区富士見一丁目11番2号
4)設立年月日 1916年6月
5)主な事業の内容 医薬、化学品等の製造販売
6)決 算 期 5月末日
7)従 業 員 2,079名(2000年11月末)
8)資 本 金 149億32百万円
9)発行済株式数 182,503千株
10)株主構成 
 (2000年11月末現在)
ノーザントラストカンパニーサブアカウントアメリカンクライアント   8,704千株 
明治生命保険相互会社  7,372千株
鞄結梹O菱銀行   7,110千株
椛謌鼕ゥ業銀行  7,110千株

4.取得株式数および取得前後の所有株式の状況
  1)異動前の所有株式数     1,045,000株(所有割合 65.3%)
  2)取 得 株 式           525,000株
  3)異動後の所有株式数     1,570,000株(所有割合 98.1%)

5.日  程
   2001年6月29日    株式取得予定日

 【用語の解説】

1. 過酸化水素:
  純粋な過酸化水素は淡青色で水と自由に混合する。
市販の過酸化水素は通常30%水溶液で、薬局方ではオキシドール(3%水溶液)という。 酸化剤、漂白剤、消毒剤、重合触媒などに用いられる。
   
2. 過炭酸ソーダ:
  炭酸ソーダに過酸化水素が付加した酸素系漂白剤。
   
3. SVP-LITE法:
  Eka Chemicals社の一部門であるCellchem社が開発し、日本では保土谷化学工業(株)および保土谷エンジニアリング(株) が技術導入し、 製作・販売を行っている。
塩素酸ソーダ、メタノールと硫酸を使用して二酸化塩素を発生。
特徴:・二酸化塩素生成過程で塩素を殆ど発生しない。
    ・廃液が出ない。
   
4. HP-A法:
  Eka Chemicals社が開発し、その一部門であるCellchem社が販売し日本では保土谷化学工業(株) および保土谷エンジニアリング(株) が技術導入し、製作・販売を行っている。
塩素酸ソーダ、過酸化水素と硫酸を使用して二酸化塩素を発生。
特徴:・二酸化塩素生成過程で塩素を殆ど発生しない。
    ・還元剤として過酸化水素を使用するため、工場の二次廃水処理の負荷を
     上げることがない。
    ・設備投資額が少額である。
   
5. 共同過酸化水素(株)
   2000年5月に三菱ガス化学(株) と日本パーオキサイド(株) が共同出資して設立した過酸化水素年間生産能力5万トンの製造合弁会社。
 資本金は480百万円で三菱ガス化学(株) が75%、日本パーオキサイド(株) が25%を出資し三菱ガス化学(株) の鹿島工場内にある。

 


2001/5/9 保土谷化学工業 

日本パーオキサイド株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

 日本パーオキサイド株式会社は、従来、連結決算上持分法適用の関連会社でありましたが、この度、同社の株式を追加取得することを決定いたしました。これにより、当社が所有する同社株式の所有割合が65 .3 %になることで、子会社となりますので、下記のとおりお知らせいたします。

1 .株式の取得理由
 紙パルプ漂白事業の強化を目的として、過酸化水素の製造・販売を業とする日本パーオキサイド株式会社の株式の内、オランダ国ソルベイ・インターロックス・ホールディングB.V.(ソルベイ社)保有の全株を取得することとした。
 これにより、紙パ漂白の二酸化塩素の発生用原料として、塩素酸ソーダに加えて過酸化水素も併用することで当該事業が強化されることとなる。

2 .異動する子会社(日本パーオキサイド株式会社)の会社概要

(1)商 号   日本パーオキサイド株式会社
(2)代 表 者   代表取締役社長 増本 光雄
(3)所 在 地   東京都港区虎ノ門一丁目2 番8 号
(4)設 立 年 月 日   昭和38 年7 月
(5)主な事業の内容   過酸化水素、過炭酸ソーダおよびその関連製品の製造・販売
(6)決 算 期   2 月末日
(7)従 業 員 数   96 名(2001 年2 月末)
(8)事 業 所   郡山工場(福島県郡山市にある当社郡山事業所に隣接)
(9)資 本 の 額   8 億円
(10)発行済株式総数   1 ,600 ,000 株
(11)株主構成および所有割合(平成13 年2 月28 日現在)
    保土谷化学工業株式会社        40 .3 %
日本化薬株式会社             32 .8 %
ソルベイ・インターロックス・ホールディングB .V . 25 .0 %
三徳化学工業株式会社           1 .9 %
(12)最近事業年度における業績の動向
    売上高 48 億円(平成13 年2 月末)
 〃   51 億円(平成12 年2 月末)
     
3 .株式の取得先
(1)商号   ソルベイ・インターロックス・ホールディングB .V .
(2)代 表 者   Mr.Alois Michielsen ;Chairman of the Executive Committee
(3)所 在 地   36,C.J.van Houtenlaan,1381 CP,Weesp,The Netherlands
(4)設立年月日   1863 年
(5)主な事業の内容   製薬、化学、プラスチック、プロセシング
(6)決 算 期   12 月末日
(7)従 業 員 数   32,294 名(2000 年12 月31 日)
(8)資 本 金   1,265 百万ユーロ
(9)発行済株式数   84,375,930 株
(10)株 主 構 成   Solvac S.A (26%)
その他    (74%)

4 .取得株式数および取得前後の所有株式の状況
  (1)異動前の所有株式数  645,000 株(所有割合 40.3 %)
  (2)取得株式数        400,000 株
  (3)異動後の所有株式数 1,045,000 株(所有割合 65.3 %)

5 .日 程
  平成13 年 5 月 9 日  取締役会決議
  平成13 年 5 月11 日 株式取得予定日

6 .今後の見通し
 今度の株式取得で、紙パルプ業界の顧客への対応が当社グループとして統合することが出来、より需要家密着型の事業展開が図れることになる。
 また、当該子会社の予想数値は、平成13 年5 月21 日発表の平成14 年3 月期の連結業績予想に織り込む予定であります。