(住友化学ホームページより)
高純度ガリウムはガリウムリン、ガリウムヒ素などの化合物半導体の基礎原料として、発光ダイオード、半導体レーザー、太陽電池、電界効果型トランジスターなどに広く利用されています。
当社は、高純度ガリウムの世界一のメーカーとして、高度な品質管理、供給安定性、さまざまな製品形状により、化合物半導体メーカーから高い評価をいただいております。
ガリウムは高速IC基板、発光ダイオード、半導体レーザー、太陽電池などに使用されるガリウム砒素などの化合物半導体の原料として電子工業関連の成長商品となることが期待された。それはアルミニウムの原料鉱石であるボーキサイトに微量ながら含まれるため、アルミナ製造工程中のバイヤー液から抽出され、アルミニウム事業と結びつきがあった。
当時ガリウムは日本では生産されていなかったので、当社はガリウム抽出利用に優れた技術を持っていたスイス・アルミニウム社(Schweizerische Aluminium A.G.、Alusuisse)と47年6月に折半出資により資本金2億円の「住化アルスイスガリウム株式会社」を設立、菊本製造所アルミナ工場隣接地に年産2tの設備を建設した。しかし、同社の技術は水銀を用いた方法で水銀対策には万全を期した設備であったが、たまたま水俣病を起こした水銀汚染が重大な社会問題となった時期と重なった。このため操業のめどが立たず、53年3月末をもって同社を解散し、新設した設備は一度も操業することなく撤去された。
当社は引き続きガリウムの抽出精製法の研究を続け、53年に独自の特殊吸着剤を開発し、これを用いて分離する画期的なガリウム製造プロセスを開発し、54年から純度99.9999%(6N)以上の製品も市場に供給できるようになった。
独自の超高純度技術を確立した化合物半導体原料のガリウムは、58年10月、愛媛工場菊本地区に世界最大級の年産能力10tの一貫製造設備を完成し、さらに60年7月にはこれを21.8tに増強した。これによりスクラップからの回収分と合わせて当社は世界最大のガリウム供給者としての地位を固めた。 →愛媛 60tへ
化学工業日報 2000/8/7
住友化学、中国企業にガリウム精製技術供与
住友化学工業は、中国最大のアルミメーカー、長城呂業公司(中国長城アルミニウム公司)に精製ガリウム製造技術を供与、来年夏をめどに同国から製品調達を開始する。キレート樹脂を利用し、アルミナに含まれるガリウム分を高効率で吸着する独自技術をライセンスするもので、長城は3N−4N(ナイン)まで純度を高めた製品を生産し、住化はこれを日本あるいは現地で2次精製、化合物半導体材料として供給する。同社は愛媛工場において、6−8Nレベルのガリウム年間約20トンの能力を持っているが、これによって同約40トンまで供給体制が拡大される見通し。
化学工業日報 2001/7/18
住友化学、中国で高純度ガリウムを合弁生産
住友化学工業は、稲畑産業、米テクニカルソーシングインターナショナル・グループ(略称・TSI)との3社合弁で、中国に高純度ガリウムの合弁会社を設立、上海に新工場を建設し今秋から量産を開始する。能力は最大年40トン。住友化学ではこれとともに、愛媛工場(愛媛県新居浜市)における精製能力も同60トンに引き上げ、年度内に年間100トンの供給体制を構築する。原料ガリウムについては昨年、長城アルミニウム公司に生産技術を供与、河南省鄭州市に建設した新プラントから今夏にも調達を始める予定にあり、一貫体制が構築できる。高純度ガリウムは、携帯電話などの半導体基板として不可欠の材料。住友化学では、国内外での事業基盤を強化することで、業界最大手として安定供給を果たしていく。
2001/7/17 住友化学
高純度ガリウムの生産体制整備について
住友化学は、このたび高純度ガリウムの需要拡大に応じるため、国内外で精製設備の新増設を行うことといたしました。
住友化学は、MOEPI ウエハー、MO (有機金属)ならびに高純度ガリウムからなる化合物半導体事業を推進しています。高純度ガリウムは、MOEPI ウエハーやMO の原料として使用されていますが、携帯電話等移動体通信向けを中心に化合物半導体の需要が高い成長を続けているなかにあって、高純度ガリウムの供給量確保が課題となっています。
そのため、住友化学は、中国・上海市においてテクニカルソーシングインターナショナル・グループ(本社:米国 以下 TSI )、稲畑産業と共同でガリウム精製の合弁会社、上海住化高純度金属有限公司を設立し、設備を新設することといたしました。新会社は住友化学の技術に基づき、最大40 トン/年のガリウムを精製し、全量を住友化学に供給いたします。TSI は、稲畑産業などが出資設立した化学メーカーで、上海においても各種化学品のフォーミュレーションを行うなど、中国でのファインケミカル事業にノウハウを有していることから、両社の協力を得ることといたしました。
加えて、愛媛工場のガリウム精製については本年度中を目処に40 トン/年から60 トン/年に能力増強をする予定です。
なお、原料ガリウムの確保に関して、住友化学は、アルミナ製造工程においてアルミナ製品の品質に影響を与えることなく原料ガリウムを抽出し、環境負荷も低い独自製法を開発、保有しており、この技術をもとに、昨年、中国最大のアルミナ会社である長城アルミニウム公司との間で原料ガリウムを現地生産することで合意し、新プラントは本年夏にも現地生産を開始する予定となっています。中国以外においても当社技術に基づいた海外での生産体制構築の検討を進めており、年間50 トン程度の自社技術による原料ガリウムを確保する計画です。さらに、従来より実施しているリサイクルガリウムの利用により、原料面からも今後の需要増加に応じた供給体制を整えることができるものと考えています。
以上の施策により、住友化学は、年間100 トンの供給体制を構築し、増大する高純度ガリウムの需要に応えてまいります。
<新合弁会社の概要>
1 .社 名 上海住化高純度金属有限公司 2 .本 社 中華人民共和国 上海市 3 .代表者 菫事長 片芝 賢二(住友化学・電子材事業部長) 4 .製造開始 2001 年秋(予定) 5 .資本金 1 ,500 千米ドル 6 .出資比率 住友化学 70 % TSI 15 % 稲畑産業 15 %
<TSI (Technical Sourcing International ) グループの概要>
1 .本 社 米国モンタナ州 2 .代表者 会長 種谷信邦(稲畑産業)、社長 周 京石 3 .営業内容 各種化学品の製造、販売 4 .売上高 55 ,000 千米ドル 5 .従業員数 80 名