日本経済新聞 2003/6/18 発表
三井化学 光ディスク完全撤退 電子材料「プラズマ」用に重点
三井化学は電子材料事業を再構築する。シェアが低く国際競争力に劣るCDーR(追記型コンパクトディスク)など記録用光ディスク事業から完全撤退。約40%の世界シェアを持つ薄型テレビ画面用のフィルターなどに絞り、2007年度までの5年間で300億ー400億円を投資、電子材料事業の売上高を千億円に倍増させる計画だ。
米国コロラド州にあるCDーR生産子会社の全株式をイタリアの記録メディア大手、CSIに売却した。売却額は明らかにしていない。
CSIは年産3200万枚の設備や約80人の従業員も引き取る。商業生産に入っていたDVD−R(追記型デジタル多用途ディスク)からも撤退した。
同社は1993年にCDーR事業に進出、ピークの97年には日米欧で1億枚を出荷した。台湾メーカーの台頭などによる価格競争激化で収益が悪化し、昨年に欧州の生産会社をCSIに売却、今年に入ってアジアでの販売もやめた。光ディスク向け色素材料の生産・販売は続ける。
一方、プラズマパネル用の光学フィルターでは2004年に欧州、2005年に中国に工場を建設する。同フィルターは色素などを塗った樹脂フィルムとガラスをはり合わせてあり、色の再現を良くしたり、電磁波を遮断するのに使う。
2003/06/18
電子情報材料事業の強化・拡大
−記録ディスク事業からは撤退−
当社(社長:中西宏幸)は電子情報材料事業において、得意とする材料技術を活かし、成長著しいIT産業の素材・部材市場において世界1位、2位のシェアを有する製品を中心に強化・拡大を進めております。
本年6月末に電子情報材料事業部を、半導体材料・電子回路材料を取り扱う電子材料事業部と、表示材料・情報記録材料を取り扱う情報材料事業部に分割し、更なる事業の強化・拡大と新製品の開発・上市を加速していきます。
こうした中、事業の選択と集中の一環として、記録ディスク事業(CD−R/DVD−Rディスクの製造・販売)から撤退することにいたしました。
昨年度に欧州、国内・アジア市場から撤退したのに続き、去る6月9日、米国の拠点であるMitsui
Advanced Media, Inc.についても、イタリアの Computer
Support Italcard s. r. l.社に譲渡致しました。なお、記録ディスクの原料となる色材については、有機合成化学技術及びディスク事業での経験を生かし、機能性色材事業の製品として今後とも引き続き強化・拡大を図って行きます。
電子材料事業部は半導体材料及びフレキシブル基板,CCDパッケージなどの基板材料、情報材料事業部はPDP光学フィルター、液晶TV用反射材料を中核製品と位置付け、積極的な新製品の投入を行い、成長戦略を進めてまいります。02年度の売上高は500億円ですが、5年後には両事業部合わせ1,000億円以上を見込んでおります。
2003/7/24 三井化学
米国サウスウオール・テクノロジーズ社とディスプレイ材料製品原料の独占購入契約を締結
当社(社長:中西宏幸)は、米国サウスウォール・テクノロジーズ社(STI、社長兼CEO;Thomas
G. Hood)と本年6月27日、PDPやLCDに使われるデイスプレイ材料製品の原料であるスパッタフィルムの独占購入に関する契約を締結致しました。
STI社は、自動車ガラスやディスプレイ、建築市場向けの薄膜コーティング製品を供給する有数のメーカーであり、大型最新設備により高品位なスパッタフイルムを広く提供しています。当社は、STI社とは重要な戦略パートナーとして十数年来、良好な協調関係を継続してまいりました。
当社は、“PDP光学フィルター(製品名;フィルトップ)”及び“LCD反射材料(製品名;シルバーリフレクター)”などの表示材料事業をコア事業の一つとして強化・拡大しています。今回の契約締結により、表示材料事業の主カ製品であるPDP光学フィルター及びLCD反射材料の原料として、STI社の高品位なスパッタフイルムを安定確保することが可能となりました。
PDP光学フィルター、LCD反射材料は需要が大幅に拡大しています。こうしたなか当社は、STI社との協調関係を軸に、ディスプレイ材料市場のリーダーとして事業を拡大するとともに、スバッタ応用製品の新たな事業展開を図っていきます。表示材料事業の売上げとしては、2007年度には現状の2.5倍である400億円に伸ばすことを目指しています。
(ご参考)
サウスウォール・テクノロジーズ社の概要
会社名 | Southwall Technologies, Inc. | |
設立 | 1979年 | |
払込資本金 | US$70 Million(約84億円) | |
社長兼CEO | Thomas G. Hood | |
本社所在地 | 米国:カリフォルニア州パロ・アルト | |
事業内容 | 薄膜スパッタフィルムの製造・販売 く自動車分野、電子デイスプレイ分野、建築分野〉 |
|
従業員数 | 242名 | |
工場 | 米国:カリフォルニア州パロ・アルト、アリゾナ州テンピ ドイツ;ドレスデン |
|
年間売上高 | $69 Million(約83億円、2002年) |
2003/11/17 三井化学
三井化学、来年7月からプラズマテレビ用「PDP光学フィルター」の欧州現地生産を開始
PDP光学フィルターの欧州生産開始
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=59398
当社(社長:中西宏幸)は、需要が急拡大している欧州プラズマテレビ市場で"PDP光学フィルター(製品名:フィルトップ)"の供給能力確保と顧客へのサービスの強化を図るために、2004年7月より欧州現地生産を開始することを決定いたしました。生産拠点は、ドイツ・シュツットガルトの協力会社の工場内に設置し、年間30万枚の生産能力を有するものです。販売は当社100%子会社
Mitsui Chemicals
Europe Gmbh(社長:吉田真人、当社100%出資)が担当いたします。
欧州では、現地のPDPセットメーカーに加え、日本をはじめとするセットメーカーによる欧州圏内での生産(生産計画も含む)が年率100%を超える成長率で急拡大しており、本計画はそれらの需要増に応えるものです。これにより、当社は、日本、欧州の2拠点生産体制を構築し、合わせて年間150万枚の生産能力を有することになりますが、大型フラットテレビの代表格であるプラズマテレビのセット生産は、世界の主要経済圏で始まっており、PDP光学フィルターの最大手メーカーとして旺盛な需要に応えるため、今後とも新たな生産拠点の構築を進めてまいります。
当社は、表示材料事業をコア事業の一つとして強化・拡大しております。PDP光学フィルターはその中心となる製品の一つであり、多様化するニーズに対応する顧客満足度の高い製品とサービスを継続的に提供していきます。こうした事業展開を通じ、表示材料事業の売上高を2007年には、現状の2.5倍である400億円に伸ばすことを目指しています。
<参考資料>
PDP 光学フィルター「フィルトップR(FILTOP
R)」は、PDP
プラズマディスプレイパネルより発生する人体に有害とされる電磁波とリモコン誤動作要因となる近赤外線をしっかりカットします。更に、機能性色素により色再現範囲を大幅に拡張します。
知的財産 | ||
スパッタリングタイプ | ; | 多層スパッタリングフィルムをフィルターに用いる基本特許が 日、米、韓、台等で成立(特許 第3004271 号他) |
メッシュタイプ | ; | 近赤外線吸収材をフィルターに用いる基本的特許が米で成立 (USP No.5804102) |