2008/12/2 日本経済新聞
トヨタグループ 希少素材を自力調達 専門商社を買収 ベトナムで権益 環境車需要に対応
トヨタ自動車グループはハイブリッド車などに不可欠なレアアース(希土類)の自力調達に乗り出す。傘下の豊田通商がベトナムで鉱山権益を確保、インドからの輸入販売権を持つ専門商社を買収した。総投資額は約100億円。レアアースの国内需要の9割を依存する中国では、政府による輸出規制強化の動きがある。トヨタは環境車の増産をにらみ、戦略性が高い希少素材の安定調達に向け独自ルートを確保する。
レアアースの代表種であるネオジムはハイブリッド車やハードディスク駆動装置(HDD)に使う高性能モーターに不可欠な強力磁石の材料で、モーターの小型化・軽量化に欠かせない。
豊田通商はベトナム国営鉱物公社と合弁で鉱山会社を設立し、ハノイ北西部のドンパオ鉱床の権益を取得する。日本側が49%を出資する予定で豊田通商は日本分の過半もしくは全部を出資。2011年からレアアースを年間5千トン生産する。
さらにインド国営のインディアンレアアースの鉱物の輸入販売権を持つ和光物産を5億円で買収。10年から年間4千トンを輸入する。豊田通商がベトナムとインドから調達するレアアースは国内需要の2割強に相当する。
これまでハイブリッド車向けレアアースは素材・部品メーカーが専門商社経由で調達していた。しかし環境車の需要増で、レアアースの重要性が高まってきたため、多様な地域から安定的に調達できるようにする。
トヨタは07年で43万台の「プリウス」などハイブリッド車世界販売を10年に100万台に増やす方針。レアアースの国内需要は今後、年率15%程度の増加が見込まれ、争奪戦の激化が予想されている。
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2008/12/2 豊田通商
豊田通商、レアアース事業へ進出
〜レアアース専門商社、和光物産の全株式を取得〜
豊田通商株式会社(以下豊田通商、本社:名古屋市、社長:清水順三)は、レアアース資源の安定確保を目指して、レアアースの専門商社である和光物産株式会社(以下和光物産、本社:東京都、社長:品川芳昭)の全株式を取得し、社名を豊通レアアース株式会社に変更することを決定いたしました。また、12月1日付けにて、金属資源部を新たに設置し、レアアースを含む希少金属の安定供給に本格的に取り組んでまいります。
1.株式取得の背景と目的
近年、ハイブリッド車や携帯電話などの普及により、レアアースの需要が激増しております。一方、現在世界で操業中のレアアース鉱山の90%を中国が占めており、供給先が限られているため、中国以外の供給ソースの確保が緊急の課題となっております。豊田通商は、レアアースの専門商社として50年以上の歴史と実績のある和光物産の全株式を取得することにより、同社が持っているインド産レアアースの商権及び販売チャンネルを譲り受け、非自動車分野への販売を含めた取引先への安定した供給体制を整えてまいります。
2. 豊田通商のレアアース事業取り組み概要
産業技術総合研究所(産総研)や石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と幅広く連携し、世界中のレアアース資源ポテンシャルについて調査を実施し、中国以外の供給ソースの確保に取り組んでまいりました。その結果、上記インド産については、2010年後半より供給可能となる見通しです。また、ベトナムにおいても、採掘権を持つ現地の国営鉱物公社とレアアース鉱山開発に関する覚書を締結し、2011年より供給可能となる見通しです。
また、各国での開発に際しては、日本から技術者を派遣することにより、日本が持つ選鉱・分離精製技術の継承と発展、人材育成にも努めてまいります。
なお、豊田通商は、レアアース以外にも、自動車を中心としたハイテク産業に欠かせない希少金属の安定供給に着実かつ迅速に対応していくために、金属本部内に新たに金属資源部を設立し、情報収集力、事業化推進機能を強化してまいります。
株式取得の内容(骨子)
(1)株式取得の内容
@取得の方法 現株主(個人株主より取得)
A取得株式数 発行済み株式全株式(100%)
B取得実施日 2008年11月27日
(2)社名変更・住所変更
時期 2009年1月中旬(予定)
変更後の社名 豊通レアアース株式会社
住所変更
東京都千代田区丸の内3−8−1(豊田通商東京本社内)
(3)人事について
豊田通商は和光物産に取締役3名を派遣いたします。
以下略
和光物産株式会社の該要
(1)主な事業内容:レアアース・電子材料等の輸出入並びに国内販売
(2)本店所在地:東京都千代田区大手町2−6−2
(3)代表者:取締役社長品川芳昭
(4)資本金:90百万円
(5)従業員数:10名