毎日新聞 2006/3/1

第3の薄型テレビSED 発売 いつになる・・
液晶、プラズマ値下がり 低コスト量産態勢整わず

液晶、プラズマに続く「第3の薄型テレビ」の発売時期が大幅に遅れている。「
SED」(表面電界ディスプレー)と呼ばれ、キャノンと東芝が共同開発したもので、高画質と低消費電力を売り物に、05年中の発売を目指していた。しかし、大幅に遅れ、今では年内の発売も危ぶまれている。液晶、プラズマの値下がりに対抗する必要が生じ、「低コストでの量産技術の確立に時間がかかっている」(キャノンの御手洗冨士夫社長)のが遅れの最大の原因だ。
 キャノンと東芝は04年、合弁会社「SED」を設立。200億円を投じてキャノンの平塚事業所(神奈川県)に生産ラインを設け、05年8月から月産3,000台を生産し、同年中に両社別々のブランドのテレビとして発売し「2010年には40型以上で20〜30%のシェアを狙う」(鵜澤俊一・SED社長)戦略だった。
 しかし、
重要技術の特許出願をせず、技術を社外に一切出さない方針を徹底したため、主要部品などを外注できず、開発スピードが思うように上がらなかった。その間、ライバルの液晶、プラズマは価格が急落。このため、当初の想定より低コストで量産できる技術開発が必要になり、昨年4月、両社は発売時期を06年春に延期した。
 関係者によると、現在の生産ラインでは、研究用を除くと月産数百台しか製品化できず、本格発売には絶対数が足りない状況だという。この事態を受け、両社は今年に入ってから発売時期を再延期した。東芝は6月以降になるといい、キャノンも「夏商戦は微妙。年内には何とか発売したい」(田中稔三専務)と時期を言明できないでいる。
 価格を下げるための本格量産を目指し、両社は07年度までに1,800億円を投じて、東芝の姫路工場(兵庫県)に月産15万台の生産ラインを新設する計画だ。東芝社内には「本当の勝負は姫路が稼働を始めてから。液晶テレビの販売が好調なこともあり、無理に急いでSEDを発売する必要はない」との意見もあり、ますます発売時期は流動的になっている。
 プラズマ、液晶の競り合いが続く中、発売が遅れれば遅れるほど後発のSEDが食い込む余地は狭くなる。薄型テレビの価格は下げ止まっておらず、「液晶、プラズマに対抗できる価格に設定するなら、SED事業は赤字」(みずほ証券の桂竜輔シニアアナリスト)と両社の経営への懸念も浮上している。特に、液晶との両にらみ戦略をとれる東芝に対し、テレビへの参入が悲願だったキャノンにとって、計画の狂いによる打撃は大きい。発売時期をめぐって、両社は今後難しい判断を迫られそうだ。

SED 新方式のディスプレー。

ブラウン管と同じ発光原理で、電子を発光面に塗布した蛍光体にぶつける。画質はブラウン管並みに明るく、高コントラストで、原理上は液晶、プラズマより低消費電力とされる。ブラウン管は一つの電子銃が出す電子を曲げるために奥行きが厚くなる、SEDは一つの蛍光体ごとに一つの電子をぶつけるため薄型にできる。


2004/11/29、日経パソコン

薄型大画面テレビ界に「大型新人」誕生か、SEDが来年末にも商品化へ

 2004年10月に開催された技術系の展示会「CEATEC 2004」で最も注目されたのは、キヤノンと東芝が共同で開発したテレビ用の薄型パネル「SED」だった。展示ブースでは、画面を間近で見ようとする人が長蛇の列を作り、待ち時間は30分を超えた。なぜ、SEDが注目されるのか。それは、大画面薄型テレビ業界の地図を、一気に塗り替える可能性を秘めているからだ。

 SEDはSurface-conduction Electron-emitter Displayの略。薄型テレビ市場の大半を占める液晶やプラズマとは、仕組みが大きく異なるパネルだ。液晶は、白い光をカラーフィルターに通して色を表現。プラズマは、気体を光らせ、その光に反応する蛍光体で色を出す。対して、SEDはブラウン管に近い。ブラウン管と同様、RGB(赤緑青)の蛍光体に電子線を当てて画像を表示するのだ。

 ブラウン管の場合、電子線はRGBそれぞれに1本。計3本の電子線が画面上を連続的に走査する。蛍光体はシャドウマスクやアパチャーグリルと呼ばれるワイヤーで区切られ、独立した画素として見える。これに対して、SEDは電子線を発する電子源を「画素の数×3色分」用意。これにより、ブラウン管に不可欠な偏向ヨークを不要にした。偏向ヨークとは、画面の隅々まで走査するために、電子線を曲げる部品。偏向ヨークをなくしたことで、SEDは薄型化を実現し、消費電力も削減した。SEDでは、画素を区切るワイヤーも不要。これで、ワイヤーに電子線が当たることによる無駄な発熱も防げる。まさに、ブラウン管から厚みと熱を取り去ったものがSEDなのだ。

 現在、薄型テレビの市場を二分しているのは液晶とプラズマだ。液晶の利点は消費電力が小さく、寿命が長いこと。プラズマは動画表示の性能に優れ、黒が黒らしく表示できるのが訴求ポイントだ。ただ、それぞれの長所は互いの短所でもある。改善は進んでいるものの、液晶は黒が少し白みがかり、プラズマは電力消費量が大きい。

 SEDは、このどちらの欠点も持ち合わせていない。特に強調されるのが「黒」。液晶は常時バックライトが点灯しており、プラズマも黒の表現時に火種のようなものを抱えている。これが漏れることで、黒が明るく、白浮きして見えるのだ。SEDの場合、黒の表現時は電子線を出さない。このため、暗くしまった黒になる。東芝が「色表現が自然で、ブラウン管の後継の本命」と言うのも一理あり、液晶やプラズマを手がけるメーカー各社も「SEDは技術的に優れている」と認める。テレビ局や映画製作者など、コンテンツ提供側に大きいとされる黒へのこだわりを武器に「プラズマより少し高い程度の価格」(東芝)で商品化できれば、液晶やプラズマの強力なライバルになり得る。

 


2007年1月12日 キヤノン/東芝

キヤノンによるSED株式会社の完全子会社化について

 キヤノン株式会社(以下キヤノン)と株式会社東芝(以下東芝)は、両社で設立した
SED株式会社に関して、2007年1月29日をもって、キヤノンが東芝保有の全株を買い取り、完全子会社とすることを決定いたしました。
 今回の決定は、キヤノンに対する
SED"の技術に関連する米国訴訟の長期化が予想されることから、SEDテレビ事業の早期立ち上げに向けて両社で協議した結果、SEDパネルの事業をキヤノン単独で行うことにしたものです。
 SED搭載テレビの発売は、計画どおり本年第4四半期に日本国内において開始する予定ですが、SEDパネルの本格量産については、キヤノンが計画を見直すこととなります。
 今回の合意によってキヤノンと東芝の関係は大きく変わります。
 今後、両社はそれぞれSED"の高画質を活かしたテレビ事業の円滑な立ち上げに努めていきます。
 なお、SED株式会社の現社長である福間和則は、出身元である東芝からキヤノンに移籍の上、引き続き社長を務めます。 また、東芝から出向している技術者については、キヤノンによるSEDパネルの単独事業化に向けての引継ぎ期間中は新たに締結する契約に基づいて出向を継続させる予定です。

注)SED:Surface-conduction Electron-emitter Display (表面伝導型電子放出素子ディスプレイ)の略称。
      キヤノンと東芝の共同開発による次世代薄型ディスプレイ。

【 SED株式会社の概要 】
 会社名 :  SED株式会社
 設立年月 :  2004年10月
 事業内容 :  SEDパネルの開発、生産、販売
 本社所在地 :  神奈川県平塚市田村9-22-5
 代表者 :  代表取締役社長 福間和則 (現東芝執行役常務、2007年1月30日キヤノンに転籍予定)
資本金 :  105億5万円
 株主構成 :  キヤノン100%(2007年1月29日予定)
 従業員数 :  約550名(2007年1月現在)


asahi 2006/12/30

 キヤノンを訴えたのは、関連技術のライセンス契約を同社と結ぶ米ナノテク会社「ナノ・プロプライアタリー」(NP、米ナスダック市場上場)。SED社がキヤノンの子会社かどうかを巡り、05年4月に米国で提訴。和解交渉が難航しており、キヤノンは新工場をいったん断念することにした。訴訟が解決すれば、改めて量産を検討する可能性は残っている。
 キヤノンは、SED社株を東芝より1株多く持つため子会社とみなし、契約に基づいてSED社にもライセンスを移せると主張。これに対し、NPは「SED社の意思決定には東芝の同意が必要で、実質的には子会社ではない」と反論している。キヤノンは「子会社」との判決を求める動議を米連邦地裁に出したが、先月棄却された。

 


日本経済新聞 2007/5/26

キャノン SEDテレビ 発売再延期 米社と特許訴訟長期化

キャノンは25日、今年10−12月に予定していた新型薄型テレビ、SED(表面電界ディスプレー)テレビの発売を当面見送ると発表した。SED技術を巡る特許訴訟の長期化に加え、生産コスト削減が難航している。開発は続ける考えだが、新たな発売時期は未定。液晶やプテズマは大型投資によるコスト削減が進み、次世代パネルとして有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)も登場している。SEDの事業化は一段と厳しくなりそうだ。

事業化一段と厳しく
 キャノンからパネルを調達し、SEDテレビを同時期に発売する予定だった東芝も同日、キャノンからの申し入れがあり発売を延期すると発表した。両社の同テレビの発売延期は今回で二度目。 
 キャノンは2004年に新規事業の柱として薄型テレビ事業への参入を表明した。低消費電力でブラウン管並みの高精細な映像を表示できるSEDテレビを東芝と共同生産し、06年初頭にも発売する予定だった。しかし、競合するブラズマテレビと液晶テレビの価格下落が進む一方、SEDの低コスト化技術の確立が遅れたため、発売をいったん今年末に延期。そのうえで量産化にメドをつけ、東芝の姫路工場(兵庫県太子町)で、東芝、キャノンが計2千億円を投じて生産を始める予定だったが、続いて特許問題が壁になった。
 東芝と共同出資で設立したSED事業会社へのライセンス供与を巡り、SED技術の開発元、米ナノ・プライアタリーと特許訴訟が難航。キャノンは訴訟対応のため、1月に東芝との共同生産からキャノンの単独生産に方針を転換した。東芝・姫路工場での量産計画も白紙に戻した。
 今月、
米連邦地裁が、キャノンと東芝の共同出資会社へのSED技術のライセンス移管は契約違反であり、違反した時点で契約が終了しているとの判決を下した。キャノンは控訴したが、和解など解決のメドはまだ立っていない。
 キャノンはSEDテレビ発売時の生産計画は月1千台程度と小規模のため、発売を延期しても事業化には大きな影響はないと見ている。訴訟の解決と低コスト化技術の確立を早期に進めて、発売時期を改めて決定するとしている。

キャノンのSEDへの取り組み

1999年 キャノンと東芝が共同開発に着手
2004年 キャノンと東芝が折半出資会社「SED」を設立。
06年初頭にSEDテレビを発売すると発表
2006年3月 SEDテレビの発売を07年末に延期すると発表
    12月 SED技術の開発元との特許訴訟難航が表面化
2007年1月 キャノンがSED会社を 完全子会社化
     5月 米テキサス地裁がキャノンのライセンス契約違反と判決
キャノンは連邦控訴裁判所に控訴
キャノン、SEDテレビの発売延期を決定

巨額投資、コスト減競う 薄型テレビ開発 焦点は有機ELに

 薄型テレビ市場で生き残るための条件は急速に巌しさを増している。現在主流のブラズマ、液晶のメーカーは巨額投資によるコスト削減に突き進む。次の世代の目玉としては有機ELが台頭。キャノンがSEDの事業化に時間をかけるほど状況は苦しくなる。
 松下電器産業は2800億円をかけ、兵庫県尼崎市にブラズマパネルの国内第5工場を新設し、量産効果を狙う。液晶のシャープも高水準の投資を続ける。高収益企業のキャノンといえども周回遅れとなった薄型テレビ事業でシェアを確保していくのは簡単ではない。
 ソニー、東芝は"超薄型テレビ"の有機ELテレビをそれぞれ商品化する方針だ。ソニーは年内にも画面サイズ11型を世界で初めて市販する計画。東芝も2009年度中に30型級を発売する。
 東芝はキャノンと組んでSEDの商品化を目指す一方で、小型サイズを中心に有機ELの準備を進めてきた。ソニーと同様に液晶、プラズマで出遅れた苦い経験をバネに開発を急いでいる。


May 3 , 2007  Nano-Proprietary

Nano-Proprietary, Inc. Announces Verdict in Canon Litigation

Nano-Proprietary, Inc., today announced that the jury has reached a verdict in its litigation against Canon, Inc. In its verdict, the jury decided that Nano-Proprietary was due no additional damages beyond those already received, which includes the right to keep the $5.5 million that it originally received and termination of the original license agreement.

While we are disappointed by the jury's verdict, we need to keep in mind that we already had the most important victory in the case when the Court validated our termination of Canon's license as a result of their material breach of the contract, said Tom Bijou, Chief Executive officer of Nano-Proprietary, Inc. We were also pleased that during the trial, Canon confirmed its plans to move forward with its SED TV and continue to believe that the advent of field emission display televisions will be a signal event for Nano-Proprietary. We made a significant gesture to Canon during the course of the trial that we hope will provide a framework of cooperation and negotiation for the future. Nothing about today's verdict changes the fact that we have significant intellectual property that we believe will have to be licensed by anybody, including Canon, that wishes to sell televisions based on electron emissions in the broad geographical areas of the world where our IP is in effect. The vast majority of our revenue forecast for 2007 has little to do with televisions. Our growth in the materials and sensor business continues to be one of the drivers of our future."


ABOUT NANO-PROPRIETARY, INC.

Nano-Proprietary, Inc. is a holding company consisting of two wholly-owned operating subsidiaries. Applied Nanotech Inc. is a premier research and commercialization organization dedicated to developing applications for nanotechnology with an extremely strong positions in the fields of electron emission applications from carbon film/nanotubes, sensors, functionalized nanomaterials, and nanoelectronics. Electronic Billboard Technology, Inc. (EBT) possesses technology related to electronic digitized sign technology. The Companies have over 200 patents or patents pending. Nano-Proprietary's business model is to license its technology to partners that will manufacture and distribute products using the technology. Nano-Proprietary's website is www.nano-proprietary.com .