日本経済新聞 2003/7/1
発表
東ガス、シェルと火力発電
1000億円投資 120万キロワット級、横浜に ガスと一括提供
東京ガスと英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルグループは発電事業を共同展開する。最大1千億円を投じて、横浜市に合計出力120万−150万キロワットの大型火力発電所を建設、2009年から発電を始める。来年から電力の小売り自由化の範囲が拡大されるのをにらみ、電力とガスを顧客企業に一括提供する体制を整え、東京電力との本格競争にのぞむ。
東ガス、シェルグループで天然ガスの開発・販売を手掛けるシェル・ガス・アンド・パワーの日本法人(SGPJ)、昭和シェル石油の3社が今夏に発電事業を手がける共同出資会社を設立する。資本金は当初1億5千万円で、出資比率は東ガス51%、SGPJ24.5%、昭シェル24.5%。
産業界では電力小売りへの新規参入が相次いでおり、大阪ガスは2008年の運転開始を目指して大阪府で出力160万キロワットの火力発電所を建設中。首都圏ではNTT系電力会社エネットと荏原が袖ケ浦市で9万5千キロワットの発電所を4月に稼働させた。
主な電力新規参入企業
主要参加企業 | 発電所所在地 | 発電時期 | 最大出力(キロワット) |
大阪ガスグループ、中山製鋼所 | 大阪市 | 発電中 | 14万9000 |
大阪ガスグルー プ、中山製鋼所 | 愛知県武豊町 | 発電中 | 14万9000 |
荏原、エネット (イースクエア) | 千葉県袖ケ浦市 | 発電中 | 9万5000 |
東京ガス ベイパワー | 千葉県袖ケ浦市 | 2003年10月 | 10万 |
新日本製鉄、新日本石油、三菱商事 | 新潟市 | 2005年 | 11万 |
東京ガス、新日本石油 | 川崎市 | 2008年 | 90万 |
大阪ガス | 大阪府堺市 高石市 | 2008年 | 160万 |
東京ガス、シェルグループ | 横浜市 | 2009年 | 120万ー150万 |
2003/6/25 新日本製鐵/新日本石油/三菱商事
特定規模電気事業者向け電力卸供給事業会社の設立について
新日本製鐵株式會社(社長 三村
明夫)・新日本石油株式会社(社長 渡 文明)・三菱商事株式会社(社長 佐々木
幹夫)の3社は、共同出資により、「株式会社
フロンティアエネルギー新潟」を設立いたしました。
同社は、新潟県新潟東港地区の新日鉄所有地に出力約11万キロワットの火力発電所を建設し、特定規模電気事業者である新日鉄と新日石に対する電力の供給を行います。
1.新会社の概要
(1) 会社名称 | 株式会社 フロンティアエネルギー新潟 | |
(2) 代表者 | 吉武 考三郎 | |
(3) 本店所在地 | 東京都千代田区大手町2−6−3 | |
(4) 資本金 | 約4億円(最終払い込み金額) | |
(5) 出資構成 | 新日鉄45%、新日石35%、三菱商事20% | |
(6) 設立年月日 | 平成15年6月24日 | |
(7) 事業目的 | 電力卸供給事業 | |
2.発電所の概要 | ||
(1) 地点 | 新潟県新潟市大字太郎代字川前1345番地5 | |
(2) 発電方式 | ボイラ・タービン方式 | |
(3) 出力 | 11万キロワット | |
(4) 燃料 | 石油コークス | |
(5) 電力販売先 | 新日鉄および新日石 | |
(6) 営業運転開始 | 平成17年夏予定 |
2003/7/1 東京ガス/昭和シェル石油/シェルガス&パワージャパン
発電事業に関する企画会社の設立について
東京ガス株式会社、昭和シェル石油株式会社、シェルガス&パワーの3社は共同で、昭和シェル石油(株)が所有し、東亜石油(株)に運営を委託している扇島西貯油所における天然ガスを燃料とした発電事業について企画会社を設立し、事業化を検討することで合意に達しました。具体的な事業化については、企画会社における検討結果を基に判断する予定です。
1.企画会社の概要
会 社 名 | : | 株式会社扇島パワー | |
社 長 | : | (東京ガス) | |
設立時期 | : | 2003年8月1日(予定) | |
設立時資本 | : | 1億5千万円 | |
資本構成 | : | 東京ガス
51 % シェル・ガス・ヴェー・べー 24.5% 昭和シェル石油 24.5% |
|
所 在 地 | : | 東京都新宿区 | |
検討概要 | : | 発電所建設に関する環境アセスメント 発電所建設に関する技術的検討 発電事業の事業採算性 |
2.事業化検討の目的
電力事業の自由化が進展する一方で、環境保全の観点から地域の大気環境に配慮しつつ、エネルギー利用の高効率化、省エネルギー化が一層求められてきております。LNG上流部門での権益、東京湾岸で東京ガス(株)扇島工場に隣接し発電に適した用地およびIPPを初めとした発電ノウハウのあるシェルグループと、ガスの調達・供給および電力小売事業のノウハウのある東京ガスが組むことで、天然ガスというクリーンなエネルギーを利用した、しかも経済的な電力を提供することができます。今後とも、両者はより効率的なエネルギーの安定供給を目指すとともに、地域および地球環境の保全に配慮していきたいと考えています。 |
3.発電事業の検討概要
発電方法:ガスタービンコンバインドサイクル
発電規模:40万kWクラス×3基
燃 料 :天然ガス
設置場所:横浜市鶴見区扇島2-1,2-5
事業開始:2009年運転開始目標
エネット http://www.ennet.co.jp/
エネットは株式会社NTTファシリティーズ、東京ガス株式会社、大阪ガス株式会社の3社合弁により設立され、平成13年4月1日、電力小売事業を開始いたしました。
それぞれが得意としてきた情報流通分野とエネルギー分野の融合により、これまで培ってきた膨大なノウハウの相乗効果(シナジー)を最大限に発揮し、新しい付加価値事業やソリューション・ビジネスを積極的に展開していきたいと考えています。
エネットは、自社所有の発電所および工場などで余剰となっている発電設備等からの電気を、電力会社の送電網を使用してお客様に供給する特定規模電気事業者です。
※
特定規模電気事業者とは、電力会社の送電ネットワークを「接続供給約款」により使用し、自由化対象となっているお客様に電気を供給する事業者のことです。
社名 | 株式会社エネット(英文名:ENNET Corporation) | |
設立 | 平成12年7月7日 | |
資本金 | 63億円 | |
共同出資社 | 株式会社NTTファシリティーズ 東京ガス株式会社 大阪ガス株式会社 | |
所在地 | 本社: 東京都港区芝公園一丁目8番12号 芝公園高橋ビル7F | |
西日本事業本部: 大阪府大阪市中央区平野町4丁目1番2号 | ||
事業内容 | ・電力売買事業 ・発電事業 ・熱エネルギーの供給事業 | |
・省エネルギーコンサルタント事業 ・分散型発電装置等の販売 |
2003年 4月 | : | 荏原製作所との合弁会社(イースクエア)が新設する発電所(95,000kW)が運転開始。 |
2003年10月 | : | 東京ガスベイパワーが新設する発電所(100,000kW)が運転開始。 |
2004年 | : | 大阪ガスが姫路に新設する発電所(40,000kW)が運転開始。 |
東京ガス http://www.tokyo-gas.co.jp/IR/kojin/5_j.html
●電力小売り
2000年7月エネットを設立し(NTTファシリティーズ40%・大阪ガス30%・東京ガス30%)、2001年4月から営業を開始しました。自社発電所やIPP(独立系発電事業者)から電力を調達し、エネットが小売りする形態を中心に、お客さまのエネルギーコストの低減を実現します。この他にもエネットは2001年7月に茨城県で2.1万kWの自社所有の発電設備が稼動を開始し、2003年4月にはエネットと荏原製作所で設立した新会社「イースクエア」(10万kWクラス)からも電力を調達する予定です。
●発電ビジネス
2001年6月、当社100%子会社である東京ガスベイパワーを設立しました。現在、東京ガスの袖ヶ浦工場敷地内に10万kWクラスの発電所を建設中で、2003年の秋に稼動予定です。東京ガスベイパワーで発電した電気はエネットに販売する予定です。その他、アライアンスを組んで発電事業に参画を検討している例もあります。東京都三郷浄水場では、東京都とシェルガスパワージャパンと共同で「東京シティパワー」を設立しました。2005年度の事業開始を目標に15〜20万kWクラスの発電所を建設し、電力を販売していきます。さらに、新日本石油とアライアンスを組み、発電規模40〜50万kWクラスの発電事業を2008年の運転開始を目標に計画を進めています。
毎日新聞 2003/7/1
発表
新日石 アスファルトのガス化発電 東電に供給開始
新日本石油は30日、石油精製で余剰となっているアスファルトをガス化して発電し、東京電力に供給する電カ卸供給事業を始めた。国内でアスファルトをガス化して発電に用いるのは初めて。景気低迷や公共事業の見直しで、道路舗装用のアスファルトの需要は落ち込んでおり、余剰アスファルトの新たな活用策として注目されそうだ。
東電に新たに電カを供給するのは、新日石の根岸製油所(横浜市磯子区)のガス化複合発電施設で、契約最大電カは34・2万キロワット。東電は7月以降の電カ需給見通しの中で、新日石からの電カ購入分を供給カに既に織り込んでいる。アスファルトを直接燃やすと硫黄酸化物(SOx)が発生するが、ガス化して用いればSOxを99%回収でき、発電の効率も高まるという。
2003/6/30 新日本石油
根岸製油所における電力卸供給事業の営業運転開始について
当社(社長:渡 文明)の精製子会社である新日本石油精製株式会社(社長:掛札 勲)は根岸製油所(所長:小沢 稔)において、本日(平成15年6月30日)より電力卸供給事業の営業運転を開始しましたのでお知らせ致します。
本発電設備は平成12年4月に環境アセスが終了、同年10月に建設を開始しており、残渣油(アスファルト)を燃料としたガス化複合発電(*IGCC)としては、日本で初めての設備となります。
(1) 発電所所在地 | 神奈川県横浜市 | |
(2) 契約最大電力量 | 34.2万kW | |
(3) 使用燃料 | 残渣油(アスファルト) | |
(4) 発電方式 | ガス化複合発電(*IGCC)
*Integrated Gasification Combined Cycle |
|
(5) 運転パターン | ベース対応(利用率80%) |
新日本石油グループは「総合エネルギー企業」を目指していく中で、平成10年7月の大阪製油所(供給電力量:13.0万kW)を皮切りに平成12年6月の横浜製油所(供給電力量:4.9万kW)、今般の根岸製油所に次いで、来年には麻里布製油所(供給電力量:13.2万kW、平成16年4月供給開始予定)及び室蘭製油所(供給電力量:5.0万kW、平成16年10月供給開始予定)の5製油所において、70万kWを超える電力卸供給事業を展開していく予定です。
<根岸製油所 ガス化複合発電(IGCC)工程図・設備仕様>
● 根岸製油所 ガス化複合発電(IGCC)工程図
●設備仕様
発電所総合 | 発電能力 | 43.1万kW(効率46%) | ||
送電能力 | 34.2万kW(効率36%) | |||
ガス化設備 | ガス化方式 | 部分酸化法 | ||
燃料 | 残渣油(アスファルト) | |||
燃料消費量 | 5万トン/月 | |||
複合発電設備 | 発電方式 | 一軸型コンバインドサイクル | ||
ガスタービン | 主燃料 | 合成ガス(主成分:CO、H2) | ||
燃焼温度 | 1,350℃級(一段静翼入口) | |||
排ガス温度 | 570℃ | |||
動翼材質 | Ni基超合金 | |||
高温部品冷却方式 | 空気冷却 | |||
蒸気タービン | 蒸気圧力 | 9.8(高圧)/2.9(中圧)/0.7MPaG(低圧)の3系統 |
<新日本石油グループ電力卸供給事業の取り組みおよび根岸製油所概要>
●当社グループ電力卸供給事業(IPP)の取組状況
供給電力量 | 使用燃料 | 供給先 | 供給開始時期 | 発電方式 | |
大阪製油所 | 13.0万kW | 残 渣 油 | 関西電力 | 平成10年 7月 | BTG *1 |
横浜製油所 | 4.9万kW | 分解軽油 | 東京電力 | 平成12年 6月 | GTG *3 |
根岸製油所 | 34.2万kW | 残 渣 油 | 東京電力 | 平成15年 6月 | IGCC *2 |
麻里布製油所 | 13.2万kW | 石油コークス 残 渣 油 |
関西電力 | 平成16年 4月 | BTG *1 |
室蘭製油所 | 5.0万kW | 残 渣 油 | 北海道電力 | 平成16年10月 | BTG *1 |
合 計 | 70.3万kW |
*1: Boiler Turbine Generator(ボイラー+スチームタービン)
*2: Integrated Gasification Combined Cycle
(ガス化設備+ガスタービン+廃熱ボイラー+スチームタービン)
*3: Gas Turbine Generator(ガスタービン)
●根岸製油所 概要
面積2.2百万m2、周囲約12Kmにおよぶ広大な敷地に展開される、340,000バレル/日の原油処理能力をもつ製油設備。根岸製油所はその建設にあたり、
「公害のない美しい製油所をつくること」
「高品質な製品を大量かつ安定して供給できる日本一の規模にすること」
「設備はできる限り統合化し、集中・自動化をはかる一方、コンピューターをはじめ最新の技術によって設備を合理化すること」
という3つの基本構想に従い設計された、我国最大のモデル製油所です。
・所在地 | : 神奈川県横浜市磯子区 | |
・操業年月日 | : 昭和36年(1961年)1月 | |
・敷地面積 | : 220万m2 | |
・原油処理能力 | : 34万バレル/日 | |
・既発電設備能力 | : 11.6万kW |
中山製鋼所の電力卸供給事業会社2社へ資本参加する方向で最終協議を行うことにつき基本合意書を締結いたしました。
大阪ガス株式会社(社長:野村
明雄)の子会社である株式会社ガスアンドパワーインベストメント(社長:吉川
素三)は、株式会社中山製鋼所(社長:神崎 昌久)の合弁子会社である電力卸供給事業会社2社に資本参加する方向で協議を行うことについて、中山製鋼所と本日基本合意書を締結しました。
ガスアンドパワーインベストメントが資本参加するのは、中山共同発電株式会社(所在地:大阪市大正区、社長:岩下
仁)と中山名古屋共同発電株式会社(所在地:大阪市大正区、社長:岩下
仁)の2社で、両社とも既に電力卸供給事業を開始しています。
中山製鋼所およびガスアンドパワーインベストメントは、金融機関等の関係先より、本件に対するご承諾を頂く協議に入り、これと並行して両者の協議を行います。これらの協議が順調に進めば、ガスアンドパワーインベストメントは、平成15年3月末を目途に両電力卸供給事業会社の株式のそれぞれ60%程度を取得する予定です。
ガスアンドパワーインベストメントでは、平成14年4月から酉島エネルギーセンター(大阪市此花区)で電力卸供給事業を開始していますが、中山製鋼所との協議が整えば、3拠点での事業運営により事業効率の向上を図ることが期待されます。
【ご参考】
■卸供給事業者の概要
中山共同発電(株) (船町IPP) |
中山名古屋共同発電(株) (名古屋IPP) |
|
発電所所在地 | 大阪市大正区 | 愛知県知多郡武豊町 |
発電規模 | 14.9万kW | 14.9万kW |
卸電力販売先 | 関西電力株式会社 | 中部電力株式会社 |
事業開始 | 平成11年4月 | 平成12年4月 |
卸契約期間 | 15年間 (平成11〜25年度) |
15年間 (平成12〜26年度) |
燃料 | 天然ガス | 石炭 |
発電方式 | コンバインドサイクル | スチームタービン |
利用率 | ピーク(30%±10%) | ベース(90%±10%) |
設立 | 平成8年7月5日 | 平成10年6月3日 |
社長 | 岩下 仁 | 岩下 仁 |
資本金 | 3億円 | 4.5億円 |
出資比率 (現状) |
中山製鋼所:65% トーメン:35% |
中山製鋼所:65% トーメン:35% |
■各社の概要
<株式会社中山製鋼所> | ||
所在地 | 大阪府大阪市大正区船町1−1−66 | |
社長 | 神崎 昌久 | |
設立日 | 大正12年12月22日 | |
事業内容 | 鉄鋼事業、エンジニアリング事業、その他附帯事業等 | |
資本金 | 129億円 | |
売上高 | 614億円(平成14年3月期) | |
<大阪ガス株式会社> | ||
所在地 | 大阪府大阪市中央区平野町4−1−2 | |
社長 | 野村 明雄 | |
設立日 | 明治30年4月10日 | |
事業内容 | ガス事業、熱供給事業、その他附帯事業等 | |
資本金 | 1,322億円 | |
売上高 | 7,510億円(平成14年3月期) | |
<株式会社ガスアンドパワーインベストメント> | ||
所在地 | 大阪府大阪市中央区平野町4−1−2 | |
社長 | 吉川 素三 | |
設立日 | 平成12年6月29日 | |
事業内容 | 電力供給事業、熱供給事業 他 | |
資本金 | 21億円 | |
株主 | 大阪ガス株式会社 100%出資 |
2003〜2005年度 大阪ガスグループ中期経営計画「イノベーション100」(2003年1月)
電力ビジネス
電力ビジネスは、天然ガスビジネスに次いで、当社グループの強み(上流インフラ、提案営業力、お客さまとのネットワーク等)を発揮できるビジネスであります。規制緩和をビジネスチャンスと捉え、2010年頃には、電力ビジネスを小売とIPPと合わせて、自社電源250万kW、売上高1,200億円、経常利益100億円規模まで拡大し、天然ガスビジネスに次ぐ「第2のコア事業」に発展させていきます。
<小売電源>
2002:泉北第一 1.8万kW
2004:姫路 5万kW、電源コージェネ6万kW
2008:泉北天然ガス発電所2系統 80万kW
2010:泉北天然ガス発電所2系統 80万kW
<IPP>
2002: G&P酉島エネルギーセンター15万kW
2003: 中山共同火力15万kW(60%出資)、中山名古屋共同火力15万kW(60%出資)
*何れも稼動または計画中の電源
電力の自由化の一環として、民間企業が電力事業(発電事業)に参入できるようになりました。
参入の方法は、電力会社が今後必要となる電力を民間から募集し、そこへ各企業が入札し、落札した企業がその電力会社へ電力を供給する契約を結びます。