毎日新聞 2006/12/22

ペンタックス、HOYAと合併 医療分野に相乗効果 主力デジカメ苦戦で

 ペンタックスとHOYAの合併は、HOYAが存続会社になり、新会社の経営はHOYAが主導する。ペンタックスは、国内で初めて一眼レフカメラを発売した老舗カメラメーカーだが、主力のデジタルカメラでジリ貧に追い込まれており、単独での事業強化は難しかった。一方、財務体質強化に区切りをつけたHOYAにとって、成長性の高い医療機器分野で相乗効果を期待できるペンタックスは格好の合併相手だった。
 デジタルカメラはペンタックスの売上高の45%を占める。しかし、注力する高額の一眼レフでも国内シェアは10%強で4位。キャノン、ニコンの2強に加え、今年に入ってからはソニー、松下電器産業と家電メーカーも参入し、形勢は不利になる一方だった。
 これに対し、内視鏡や人工骨材料などの医療機器事業は利益率が10%を超し、世界各地に営業拠点を持つなど先行している。ただ、ペンタックスの研究開発費は、デジカメ事業も含め、全社で年間100億円にとどまる。デジカメ事業を強化するとともに、医療機器事業を大きく成長させるにはHOYAの豊富な資金力を活用した方が有利と判断した。
 一方、HOYAの鈴木津代表執行役CEO(最高経営責任者)は合併の狙いについて、「成長性を確保するにはペンタックスの医療技術はとても魅力的」と説明。国内でM&A(事業の合併・買収)で事業強化を図るケースが増え、経営統合へのハードルが低くなってきたことを受け、合併を選択したという。
 医療分野に注目したのは、高齢化に伴ってさまざまな医療商品需要が生まれている一方、業界全体として技術開発が不十分で、「確実に長期的な成長が期待できる」(鈴木CEO)ため。同分野ではペンタックスが内視鏡、HOYAは白内障を治療する眼内レンズに強みを持つ。
 ペンタックス社内には、資金不足から事業化に至らず、「研究所レベルで眠っている技術も数多くある」(浦野文男・ペンタックス社長)といい、両社は現在手がけていない商品の開発・発売にも力を入れるという。