イオン交換膜事業の統合について
http://www.tokuyama.co.jp/info/news/20031126_ionexchange.pdf
株式会社トクヤマ(社長:中原茂明)と 旭化成ケミカルズ株式会社(社長:藤原健嗣)は、両社の炭化水素系イオン交換膜事業の統合について以下の通り合意しましたのでお知らせします。
1 .事業統合の概要 | |
(1) | トクヤマと旭化成ケミカルズは、両社の炭化水素系イオン交換膜・電気透析装置事業を両社の製造合弁会社である株式会社アストムに統合し、開発・製造・販売を一貫して行う事業会社とする。 |
(2) | 両社は 当該事業の営業権および資産をアストムに譲渡する。 |
(3) | 統合後の資本構成は、アストムの第三者割当増資をトクヤマが引き受けることにより、現状のトクヤマ:旭化成ケミカルズ=50:50 から、トクヤマ:旭化成ケミカルズ=55:45 とする。 |
2 .目的 | |
イオン交換膜事業の効率化を図り、競争力を強化する。 | |
3 .事業統合に至った背景 | |
(1) | 両社は塩の自由化に備えて1995 年にイオン交換膜の製造合弁会社であるアストムを設立、製膜工場を統合して収益力の強化に努めてきた。 |
(2) | 日本の製塩業界は1997 年に塩専売法が廃止されたことにより自由化の時代を迎え、今後中国をはじめとする輸入塩の増加など予想され、これに伴い製塩事業者を主な顧客とするイオン交換膜事業も厳しい事業環境におかれることが想定される。 |
(3) | このような事業環境の中、将来にわたる事業の継続と拡大を図るためには事業統合によりコスト競争力と技術開発力を強化し、一層堅固な事業基盤を構築することが必要であるとの認識で両社の経営方針が一致したもの。 |
4 .今後のスケジュ−ル・目標 | |
(1) | 2004年1月1日、製販一体の株式会社アストムとして発足の予定。 |
(2) | 世界トップクラスの脱塩・濃縮分離トータルシステムプロバイダーとして、売上高50 億円以上を目指す。 |
株式会社アストムの概要
(1)商 号 | : | 株式会社アストム |
(2)事業内容 | : | イオン交換膜・電気透析装置の製造、販売 イオン交換膜生産能力:15 万u/年 |
(3)設立年月日 | : | 1995年5月1日(製造統合会社として発足) 2004年1月1日(事業統合会社として発足予定) |
(4)本社所在地 | : | 東京都港区西新橋1
−4 −5 トクヤマビル別館 〔 工場:周南ワークス 山口県周南市御影町1 −1 潟gクヤマ徳山製造所内〕 〔 支店:富士サイト 静岡県富士市鮫島2 −1 旭化成兜x士支社内〕 |
(5)代 表 者 | : | 三谷 勝男 (現 潟gクヤマ 参与) |
(6)資 本 金 | : | 4 億5 千万円 |
(7)出 資 比 率 | : | トクヤマ 55
% 旭化成ケミカルズ 45 % |
(8)従 業 員 数 | : | 約50 名(予定) |
(9)決 算 期 | : | 3 月 |
【参考】
1 .炭化水素系イオン交換膜とは
イオン交換膜とはイオンを選択的に透過する膜であり、水溶液中で解離した陽イオン/陰イオンをイオン交換膜により効率的に脱塩・濃縮するのが、電気透析装置である。
イオン交換膜は炭化水素系とフッ素系に分けられるが、今回の事業統合の対象は炭化水素系である。炭化水素系イオン交換膜の用途は食塩製造が代表的なものであるが、その他に飲料水の製造、廃液処理、有価成分の回収、食品・医療分野の脱塩、超純水の製造など、多方面に利用されている。一方、フッ素系は食塩電解が主な用途。
また近年、廃棄物の焼却灰最終処分場での浸出液・焼却灰洗浄水の処理、地下水の硝酸イオンの除去など環境分野でも用途が拡大している。
2 .イオン交換膜事業と製塩について
日本の製塩事業は1965
年頃まで天日塩田法が主であった。しかし、日本の気象条件は天日塩田法に適しているとはいえず、1950
年頃より研究が進められていたイオン交換膜法による製塩に順次切り替わっていった。その後、このイオン交換膜法および装置の技術開発は日本がリードし、用途も製塩から食品、廃液処理、環境分野などに広がる中、世界各地へ技術輸出されている。