日本経済新聞 2004/3/11

カネボウ 債務超過1700億円 再生機構支援決定 繊維など大幅縮小へ

 産業再生機構は10日、政策決定機関である再生委員会を開いてカネボウの支援を正式に決定、化粧品事業だけでなく繊維や食品事業などを営む本体との一体支援に乗り出す。再生機構はカネボウ本体の事業のうち、不採算部門の売却や撤退を加速させ、財務改善に必要な揚合は減増資や銀行への債権放棄を求める。カネボウは今3月期決算に2千億円のリストラ損失を計上し、1700億円の債務超過になると発表した。
 カネボウの2004年3月期は事業リストラに伴う特別損失の計上で、連結最終損益が従来予想の10億円の黒字から1700億円の赤字になる見通し。アクリル事業や国内綿紡生産からの撤退など繊維事業で1070億円、冷菓事業の縮小など食品事業で480億円の特損を立てる。 カネボウは帆足隆社長の後任に化粧品百貨店営業推進室長の中嶋章義氏を充てる人事も発表した。ただ6月の定時株主総会までの暫定措置になる可能性が高く、今後再生機構と調整し、外部の人材などを登用して再建を進めることになる。再生機構は化粧品と本体を二段階で支援する。化粧品事業の価値は3800億円と査定。子会社のカネボウブティックを受け皿に本体から営業譲渡を受け、再生機構が出融資する。新会社の資本金は千億円で、再生機構が86%、カネボウが14%出資する。再生機構は2800億円の融資と合わせて総額3660億円を拠出する。
 化粧品事業の営業譲渡益を原資に債務超過を解消し、株式上場は維持するとしている。化粧品分離後の本体事業は今後、事業ごとに資産査定を進め、不採算事業は縮小、撤退する。リストラ損などが譲渡益を上回り債務超過が解消できない場合などには減増資や金融支援を求める。

 

カネボウ、事業撤退・売却も
 「分社化、甘え排除」 金融支援・減増資視野に

産業再生機構がカネボウの本体・化粧品事業の一括支援を正式に決めた。花王への化粧品事業売却交渉の破談で混迷したカネボウの経営はようやく再生へ動き出す。ただ同機構は本体の不採算部門の撤退・売却を打ち出す方針で、名門企業の事業縮小は避けられない。債権放棄や減増資の形で銀行、株主も負担を追られる公算が大きい。

5事業切り分け
 繊維から食品、薬品、化粧品へと事業を多角化した。それが事業部門間のもたれ合いを生み、過剰投資や赤字補てんで借人金が膨らんだーー。
 再生機構は10日発表した「事業再生計画の概要」でカネボウの経営悪化の原因をこう分析した。再生策の特徴はホームプロダクツ事業を含む5事業を切り分け、それぞれの再生の可能性を探る方向を示した点にある。
 化粧品事業を新会社に譲渡して本体から切り離したうえ、5月をメドにまとめる詳細な再生計画では、本体に残る事業も分社化などで責任体制を明確にする方向だ。「赤字を出しても他の事業が補ってくれるという甘えを排除する必要があると考えた」と再生機構の幹部は説明する。
 「化粧品会社をカネボウの連結対象から外すべきだ」。2月16日にカネボウから支援要請を受け、事業査定に入った再生機構の特別チームは、化粧品新社へのカネボウの出資比率を15%未満に抑える点にこだわった。化粧品事業への依存を問題視したのだ。
 「今までは業績の悪い企業が再生機構に支援要請していたが、今回は強い事業を一段と強くするための要請だ」(嶋田賢三郎カネボウ常務)。カネボウ側の説明には、化粧品事業の収益を本体再建に使おうという意図が透けてみえた。
 カネボウ経営陣が花王への化粧品事業の完全売却を土壇場で白紙に戻したのも「収益源を手放したくないという心理が強く働いたからだろう」と主力の三井住友銀行の幹部も振り返る。

経営陣に風圧
 「なぜ経営賛任を明確にしないのか」。再生機構への支援要請後、カネボウヘの風当たりも強くなった。2月26日には帆足隆会長兼社長ら取締役が全員退任する方針を発表、経営陣は主導権を失っていった。再生機構は主力の三井住友銀行と水面下で、化粧品事業を実質分離する一方、本体の抜本改革にも乗り出す調整を開始。同機構の決定機関である産業再生委員会の開催を3月5日に設定した。
 化粧品事業を分離すれば本体の大リストラは避けられない。大詰めの段階では「カネボウが再生機構の提案を拒絶する」との怪情報も流れた。だが花王案には反対した労働組合からも「カネボウにもはや選択権はない」との声が漏れ、方向は決していた。
 5日の再生委員会ではむしろ本体再生への姿勢が問題になった。「本体再生にも取り組むなら抜本的なリストラなど一定の方向性を示さないと国民が納得しない」。金子一義産業再生担当相らの脳裏には「問題先送りへ加担する結果にならないか」といったカネボウ支援を巡る批判があった。

遅れた決断
 不採算事業の撤退・売却、金融支援や減増資ーー。10日に再度開いた再生委員会に再生機構の事務局が提出した「再建計画の概要」は、本体の資産査定が済んでいない段階で、実質解体の可能性にも踏み込んだ異例の内容となった。
 カネボウの帆足会長兼社長は10日の記者会見で「改革はしてきた。スピードが遅かっただけ」と語ったが、決断の遅れと混乱の代償がカネボウに重くのしかかる。

カネボウが2004年3月期に計上する主な特別損失

化粧品
(約200億円)
営業譲渡に向けた在庫圧縮
合繊
(約720億円)
アクリルからの撤退、ナイロン縮小など
天然繊維
(約200億円)
国内の綿紡織からの撤退、綿・羊毛加工の縮小など
ファッション
(約150億円)
不採算の寝装品からの撤退など
食品
(約480億円)
麺・冷菓の縮小や販社統合など
新素材など
(約130億円)
不採算の電池からの撤退など
全社
(約120億円)
年金の代行部分返上、共通部門の縮小など

人員削減上積みへ
 産業再生機構による支援の枠組みはカネボウに厳しい内容となった。化粧品事業の価値算定では、花王が4400億円と見積もったのに対し、再生機構は3800億円。自社の事業との相乗効果などを見込めた花王とは開きがあった。「再生機構が当社より高い査定をするのは不可能」(後藤卓也社長)と予測した通りの結果ともいえる。
 カネポウ本体にとって化粧品事業の売却益は当初予想より低く抑えられ、化粧品新会社への出資比率も14%にとどまり、多額の配当収入は望めない。2千億円以上の有利子負債が残る本体には営業赤字の事業が多く、リストラ圧力が一段と強まるのは必至だ。
 10日発表したカネボウの2004年3月期連結決算の業績修正でも、リストラに伴う特別損失が中間決算発表時より大幅に増え、約2千億円に達した。この結果、最終損益予想は10億円の黒字から1700億円の赤字に一気に悪化する。
 特別損失は既に発表していた繊維事業での撤退・縮小費用の1070億円のほか、食品事業では販社統合などで480億円、化粧品事業では営業譲渡に先立つ在庫圧縮で200億円が発生する。
 特別損失の計上は来期も続く。3年で結果を示すことを求められている再生機構は、早めにうみを出し切り、支援の「出口」にいる投資家などに対し、魅力的な事業に再生して見せる必要があるからだ。「選択と集中」を掲げて大胆な事業の取捨選択を進める。本体の個別事業の売却では、化粧品と違って売却損が出ることもありそうだ。
 人員削減にも拍車がかかる公算が大きい。カネボウは昨年11月、化粧品を除く約5800人のうち2800人を削減する計画を公表済みだが、同社労組の上部団体であるUIゼンセン同盟幹部からも「ある程度の人数上積みは容認せざるを得ない」との声が漏れる。
 カネボウが再建案を実現するには、30日の臨時株主総会で化粧品事業の営業譲渡の承認を得る必要がある。最終的には実現しそうだが、「なぜ花王でなくて再生機構だったのか」との質問が相次ぐのは確実だ。
 花王の副社長を務めた経済同友会の渡辺正太郎専務理事は10日、「再生機構は市場の取引を公的な立場でゆがめた。再生機構は門前払いして民と民との取引に委ねるべきだった」と指摘した。


日本経済新聞 2004/3/12-14

カネボウ 迷走の果てに
 多角化固執 競争力失う 株主の統治機能働かず

 カネボウが産業再生機構の支援を受ける。売上高5千億円、従業員数1万4千人の巨大企業が国のひ護の下、再建を目指す事態になった。名門の迷走はなぜ起こり、どういう意味を持つのか。
 10日午前8時半。カネボウ会長兼社長の帆足隆が自宅から現れた。「体調はあまり良くない」。取り囲む報道陣に言い残すと黒塗りの車で走り去った。
 午前10時。東京・港のカネボウ本社で取締役会がスタート。総退陣する8人の取締役が、次期社長の中嶋章義ら6人の新経営陣を内定した。新経営陣の平均年齢は52歳。大幅に若返るが、役員室には冷え冷えとした空気が漂った。
 午後6時。記者会見の冒頭、帆足は「再建案が二転三転し、株主や取引先に不信感や不安を与え遺憾だ」と謝罪した。再生機構に化粧品事業の支援を要請してから3週間余り。創業117年の老舗企業は会社全体が再生機構の支援を受けることになった。
 あるOBは「今の経営陣は禁を破った」と嘆く。1921年から30年まで鐘紡(現カネボウ)社長を務め、中興の祖と呼ばれる武藤山治は「独立自尊」を唱え、官と財のもたれ合いを批判した。その流れを引き継ぐにもかかわら「公」に助けを求めたからだ。
 名門繊維会社はなぜちょう落したのか。それを考えるには時計の針をいったん巻き戻す必要がある。
 1968年。鐘紡に45歳の社長が誕生した。その後、92年まで社長、会長として君臨した伊藤淳二である。伊藤は「ペンタゴン(五角形)経営」を唱え、繊維、化粧品、薬品、食品、住宅の5事業を均等に育成。一時は多角化経営の成功例と称賛された。
 しかし二度の石油危機と円高不況で収益環境が悪化。互いに支え合うはずの五角形はもたれ合いに転じた。化粧品が好調なうちに不振事業を縮小すればよかったが、五角形の産みの親の伊藤がにらみをきかせる。伊藤の労使協調路線で労働組合の発言力が高まったこともあり、化粧品依存からの転換は遅れた。
 伊藤が名誉会長を退任し、カネボウ本体の役職から退いたのは昨年6月になってから。それから約1カ月後、カネボウはようやくアクリル事業からの撤退を表明した。
 ただ、路線転換の遅れを伊藤だけの責任に帰するわけにはいかない。1990年代、総合電機や総合機械メーカーは甘えを生む「総合経営」からの脱却を進めた。それでも過去の成功体験にこだわるカネボウ経営陣は動かない。「収益力も事業特性も全く異なる事業群が混在したことで全体の競争力を失った」。再生機構は10日、無為に業績を悪化させたカネボウに厳しい言葉を浴びせた。
 カネボウは企業統治の仕組みも、古い型を引きずった。半世紀以上の歴史を持つ山口県防府市のカネボウ合繊工場。約400人が働くこの工場の住所は「鐘紡町」。老舗ゆえに地域社会との結びつきが強く、事業縮小をちゅうちょする。従業員、株主、取引銀行、地域社会ーー。カネボウはあらゆるステークホルダー(利害関係者)に嫌われまいとして決断を先送り。最後に再生機構に駆け込み、想定以上のリストラを迫られている。
 2月中旬のカネボウ役員会。花王への化粧品事業売却を巡り、取締役の意見は二分された。売却推進派の後ろ盾は主取引行の三井住友銀行。反対派を支えたのは労働組合。90年代に影響力を低下させたはずの間接金融と組合の板挟みになり、株主による統治メカニズムは働かない。名門は旧来の日本型経営かろ脱皮できないまま沈んだ。

 

甘え絶たれ大リストラ 再生機構「調整役」の重圧

 「民間同士の再生が一番いい。カネボウは民間ができなかったから持ち込まれた」
 産業再生機構がカネボウ支援を決めた10日。産業再生担当相の金子一義は記者会見でこう強調した。今回のカネボウ支援劇で再生機構に突きつけられた批判への答えでもあった。
 なぜ化粧品という優良事業だけ支援するのか。金融機関は債権放棄せず、経営者は留任するという無責任な状態を許すのかーー。2月16日、再生機構が化粧品事業の支援検討を発表すると、こうした批判が一斉に吹き出した。だが機構の幹部は「カネボウが持ち込んだ再建案が甘いことは自分たちも良く分かっていた」と打ち明ける。
 実は再生機構は2月16日午前に開いた再生委員会で「化粧品だけの支援は受け入れられない」という方針をほぼ固めていた。「化粧品だけの支援では赤字部門を抱える本体にメスが入らず、問題先送りに手を貸すことになる」。問題は、いかにカネボウに本体支援も要請させるかだった。
 再生機構は申請主義。企業から要請がなけれぱ支援できない。カネボウは花王への化粧品事業売却交渉を打ち切って機構に支援を求めており、3月末までに機構が支援を決めなければ市場からの信用を失い、破たんする懸念もある。時間はほとんどなかった。
 しかしカネボウは当初、事態の行方を楽観していた。2月16日の支援要請会見で常務の嶋田賢三郎は「公的機関の再生機構は(民間より)割引率なども緩くなり、事業価値が相当上がると考えるのが常識」と発言。これが批判の火に油を注ぐ結果になった。
 再生機構幹部は当初は困ったと頭を抱えたが、「逆に、これが切り札になるかもしれない」と思い直す。官頼みの甘えた姿勢に対する世論の怒りをうまく使えば、カネボウや主力銀行である三井住友銀行への圧力になると読んだからだ。
 事態は思惑通りに展開する。カネボウは厳しい批判を浴び、2月26日に取締役総退陣を発表。「これでは世論が納得しない」という機構のささやきに押され、三井住友銀も本体の支援要請を決意する。機構が花王の評価額を下回る3660億円の化粧品事業支援策を固めた3月5日、カえボウもついに本体支援を非公式に要請した。
 カネボウが10日発表した本体の再生計画案は、不採算事業の売却・撤退、人員削減、金融支援と増減資の可能性も含む厳しい内容。機構が自らへの批判の高まりも考慮した結果、「民の甘え」は完全に断ち切られた。
 機構幹部は「駆け込み寺で構わない」と語る。カネボウのように債権者、株主、労働組合といった利害関係者の調整が難航して民間ではまとまらなかった案件を、中立公平な立場でさばくのが機構の役割と位置付けているからだ。
 化粧品売却に抵抗したカネボウ労組にリストラをのませ、百を超す債権者の利害を調整し、減資などに伴う株主の不満を抑え込む。機構はこれから多くの難題に跳む。担当相の金子は「決して生易しいことだとは思っていない」と語る。
 再生機構が、幹部の言うような「民間ではできない企業再生の調整役」に本当になれるのか。カネボウ支援劇に向けられていた国民の厳しい視線が、次は機構の再生手腕に注がれる。

解体、事業別の再生も モデルは新潟鉄工所?

 昨年10月の花王との合意から4カ月半。産業再生機構の支援を受けるカネボウの株価はこの間、およそ2割下落(12日終値は117円)した。株式市場はカネボウの迷走に厳しい視線を向けている。
 カネボウは花王への化粧品事業売却を撤回、再生機構に駆け込んだ。どちらが得策だったのか。ゴールドマン・サックス証券で投資銀行業務を手掛けていた一橋大学大学院客員助教授の服部暢達は「カネボウは最悪の選択をした」と指摘する。なぜか。
 第一の理由は化粧品事業の売却収入が小さくなったことだ。花王はカネボウの同事業に4400億円の値をつけたが、機構は3800億円と見積もった。手元に入る現金が大幅に減り、カネボウ本体には2千億円超の有利子負債が残る勘定になった。「株主にとっても大きな損失」。カネボウ株を保有する機関投資家は不満を隠さない。
 第二は化粧品事業が本体から実質分離されることだ。カネボウの労組が花王案に抵抗したのは、稼ぎ頭の化粧品を切り離したくなかったから。しかし再生機構の下でも、カネボウの化粧品新会社への出資比率は、カネボウが想定した49%でなく14%に抑えられ、持ち分法の適用対象からもはずれた。化粧品会社からの配当収入は目減りし、繊維事業など本体を時間をかけて再建するもくろみは崩れた。
 機構に駆け込むにしても「まず花王への事業売却で本体の負債を圧縮。それでも本体が行き詰まったら支援を求めるのが企業再生のあるべき姿」(外資系投資ファンド幹部)という声は強い。
 カネボウのステークホルダー(利害関係者)も多くの痛みを負いそうだ。カネボウが化粧品事業だけの支援を機構に求めた時、株主や債権者に「被害」は及ばないはずだった。ところが厳しい批判を受け、カネボウは本体の支援要請に追い込まれた。今後、本体の大リストラは必至。再生機構は本体の資産査定次第で、債権放棄や減資を求める意向も示している。銀行関係者からは「花王に売っていればこんなことにならなかった」と恨み節が漏れる。
 カネボウは今後どのような道をたどるのか。ヒントになりそうなのが、2001年11月に会社更生法の適用を申請した名門機械メーカー、新潟鉄工所のケースだ。
 新潟鉄工は幅広い機械製品を手掛け、「ミニ三菱重工」と呼ばれた。管財人は「会社を丸ごと引き受けてくれる支援企業を見つけるのは難しい」と判断、解体に走る。原動機は石川島播磨重工業、環境機器は日立造船、造船は三井造船。会社を14に分割して次々と支援企業を見つけ、通常は2年程度かかる更生計画を1年でまとめた。
 事業の総譲渡額は257億円。当初想定した800億円を大幅に下回ったが、支援企業を素早く見いだした結果、「倒産時の約8割の雇用を確保できた」(管財人の小杉丈夫弁護士)。今では石播傘下の原動機部門が新型鉄道エンジンを開発するなど、嫁ぎ先で戦略的役割を担う例も出てきた。
 「会社」という器でなく「事業」を守る。こうした発想に立てば繊維、薬品、食品など多様な事業を抱えるカネボウが切り売りされたとしても、悲劇と決めつける必要はない。すでに事業買収に関心を持つメーカーや投資ファンドが再生機構への接触を始めている。
 問題はスピードだ。新潟鉄工管財人の小杉は「新潟鉄工は法的整理だから管財人に全権が委任された。再生機構は強制力が小さく船頭役も多い」と指摘する。カネボウは機構の支援を受けることで、「国民」というステークホルダーを抱え込んだ。世論の厳しい監視下で、資産価値の劣化を避けながら再生の道筋を迅速に描けるのか。終着点はまだ見えない。


2004/4/19 カネボウ

「経営浄化調査委員会」設置について
http://www.kanebo.co.jp/contents/fram/f_08rel.html

 当社は4月19日付けで、経営の刷新と浄化を目的とする「経営浄化調査委員会」を設置しましたので、お知らせいたします。
 委員長には元東京地方検察庁検事の鈴木祐一弁護士にご就任いただき、元大阪高等検察庁検事長の河内悠紀弁護士に委員会の顧問を委嘱させていただきました。二人の中立的な法曹界の方に加わっていただき、経営の刷新と浄化に向けて厳正な調査をいただくことといたしました。
 平成15年9月中間決算で当社は連結債務超過に陥り、平成16年3月10日に株式会社産業再生機構に支援要請を行い、現在同機構によりデュー・デリジェンス(資産査定)が実施されております。デュー・デリジェンスの結果を受け、産業再生機構のご指導とご協力を得て、当社は化粧品事業分離後の当社グループの再建計画を策定し、5月中旬を目処に発表する予定であります。
 当社の再建をより確実にするためには、産業再生機構に支援を要請するに至った事態を真摯に受け止め、企業運営のなかで是正すべき点や改善すべき点を見出し、それらを新経営体制による経営に反映させることが重要と考え、「経営浄化調査委員会」を設置するものであります。今後「正直さ」と「透明性」のある経営を推進してまいります。

「経営浄化調査委員会」の概要は下記のとおりです。

1.名称   「経営浄化調査委員会」
2.設置日   4月19 日
3.目的   経営の刷新と浄化のための調査
4.メンバー編成   委員長   弁護士鈴木祐一氏(元東京地方検察庁検事)
副委員長 石橋康哉当社取締役人事室長
顧問    弁護士河内悠紀氏(元大阪高等検察庁検事長)
委員    当社スタッフ部門5名
<合計8名>

 


日本経済新聞 2004/4/20

カネボウ、決算調査委を設置
 繊維取引巡る疑惑焦点 顧問制も廃止 旧体制と決別鮮明

 産業再生機構の支援を受けて再建中のカネボウは19日、過去の取引や決算処理に違法性がなかったか調べる「経営浄化調査委員会」を設置したと発表した。同日記者会見した中嶋章義社長は「経営がなぜ悪化したかチェックするのは、新経営陣に必要なけじめ」と述べた。顧問制度を今月廃止することも発表、旧経営体制と決別する姿勢を鮮明にした。
 調査委員会は委員長に元東京地検検事の鈴木祐一弁護士、顧問に元大阪高検検事長の河内悠紀弁護士を迎える。副委員長にはカネボウの石橋康哉取締役が就任。過去の取引や決算処理法などを調べ、結果を原則公表する。公表時期は未定だが、6月末の株主総会までには結論を出すと見られる。従来から不透明さが指摘されてきた毛布メーカ−、興洋染織(大阪府泉大津市)との繊維取引などが調査対象になる見通し。不正経理が見つかった場合は、旧経営陣の刑事告発も視野に入れる。
 中嶋氏は会見で「調査結果次第で強い社会的批判を受けることになるが、事実を隠ぺいすれば再生機構や国民を裏切ることになる」と強調。旧経営陣の責任追及については「現時点で具体的なことは言えないが、予断を持たない調査を実施するため外部の方を招いた」と述べた。 中嶋氏は、帆足隆社長ら取締役全員の辞任を受け、3月30日に社長に就いていた。鈴木委員長は会見で「必要なら(監査法人や主取引銀行の)関係者にも聴き取りを実施する」と明言。対象については「時効が成立しているものを取り上げても意味がない」と述べ、時効を念頭に置きながら調査を進める考えを示した。
 カネボウは顧問制度を廃止するほか、社長直轄の事業監査室を設け事業運営のチェック体制を強化することも発表した。現在は帆足前社長ら社長経験者3人が名誉顧問、役員経験者16人が顧問に就いている。また同日、化粧品事業について産業活力再生特別措置法(産業再生法)の適用を経済産業省に申請した。

興洋染織関連不明朗な取引 旧経営陣、認識か


 カネボウの調査の焦点になるのは、毛布メーカーの興洋染織に絡む不明朗な取引だ。両社間の取引には@回収が見込めないとわかりながら売買を継続したA意図的に連結対象にしなかった−−の2つの疑いがある。新経営陣は「現段階では利益操作や意図的な連結外しがあったとは確認できていない」としている。
 カネボウは子会社のカネボウ合繊を通じて毛布原料のアクリルを興洋に売り、興洋は毛布にして商社に販売していた。これだけなら通常の取引だが、カネボウが興洋と商社の間に介在する点に特徴がある。商社は債務超過の興洋との直接取引を敬遠していたためだ。
 ここ数年、安価な中国製品に押され興洋の製品は競争力を失い、商社からの返品が増加した。カネボウは製品をいったん買い取って興洋に販売。返品代金を興洋から手形で受け取っていたが、業績不振の興洋は現金支払いが滞った。このため興洋からの受取手形は2003年3月期末に5年前の2.3倍の424億円に拡大。その多くが回収不能になり、カネボウは2003年9月中間期までに流通在庫の損失も含め、計522億円の損失を計上した。
 焦点となるのは、旧経営陣が回収が見込めないことを承知の上で、興洋との取引を続けていたかどうか。実需の裏付けが乏しい興洋向けの原料生産を続けて売り上げや利益を調整、経営実態を隠そうとした疑いがある。カネボウの監査を担当する中央青山監査法人は「監査に問題があったとは聞いていない」(広報担当)としている。興洋はカネボウのアクリル事業撤退に伴い今月解散したが、2003年3月期末の負債597億円のうち、9割強の565億円を支払手形が占めるいびつな構造になっている。手形の75%はカネボウに対するもので、カネボウが興洋の資金繰りを支えていたことがわかる。
 しかもカネボウは役員の半数近くを送り込んでおり、興洋は実質的な子会社だったとの見方がある。昨年3月時点の両社の資本関係は、カネボウが14.5%を持つカネボウ物流が、興洋に14%出資しているだけで連結対象ではなかった。


日本経済新聞 2004/5/1

化粧品事業分社後社名「カネボウ化粧品」

 5月上旬に営業譲渡の形式でカネボウから分離して発足する化粧品の新会社の社名が「カネボウ化粧品」に決まった。
 新会社の社長には、カネボウの化粧品事業本部長を務める知識賢治氏が就任することがすでに決定している。新会社を支援する産業再生機構は現在、最高経営責任者(CEO)と最高財務責任者(CFO)を外部から起用する方向で最終的な人選を進めている。
 カネボウ化粧品は資本金を1千億円とし、再生機構が86%、カネボウが14%を出資することも決まっている。再生機構の資金拠出額は出資金と貸付金を合わせ3660億円。
 再生機構の支援を受けて、今後は既存ブランドの統廃合や新ブランドの創設を急ぎ、競争力の強化を目指す。


2004/05/07 カネボウ化粧品

すべてを、お客さまの満足のために。
「株式会社カネボウ化粧品」、化粧品専業会社としてスタート
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=71009

 当社は、本日5月7日(金)、カネボウ株式会社の化粧品事業部門をその関係子会社も含めて営業譲受し、社名変更の上、「株式会社カネボウ化粧品」として、新たにスタートしました。

 (株)カネボウ化粧品は、カネボウ(株)本体からスピンオフすることにより、化粧品専業会社として独立し、より機動的な事業運営体制を構築します。また、株式会社産業再生機構の支援を受け、投資等を積極化し競争力の維持・強化を図るとともに、「美」の提案を通じ、顧客満足を追求してまいります。

 なお、本日、受皿会社カネボウブティック(株)の株主総会において、商号変更、新任取締役の選任等を決議し、新経営体制を発足しました。(株)カネボウ化粧品は、委員会等設置会社の形態をとり、透明性の高い経営を行ってまいります。

 新会社の詳細は下記の通りです。

1.新会社概要
 1)商号
    株式会社カネボウ化粧品
 2)本社所在地
    〒108−8080  東京都港区海岸3丁目20番20号
    03(5446)3111(代表)
 3)URL
    http://kcs.kanebo.co.jp
 4)設立
    平成16年5月7日
 5)資本金
    504億5千万円
 6)代表者
    取締役 余語邦彦<代表執行役会長・最高経営責任者(CEO)就任予定>
    取締役兼代表執行役社長・最高執行責任者(COO) 知識賢治
 7)売上高
    連結2,112億円(2003年3月期)
    単体1,401億円(2003年3月期)
    (カネボウ(株)化粧品事業本部)
 8)従業員数
    連結9,036名(2003年3月期)
 9)役員  略

2.経営理念体系

1)経営理念

   より美しく、より心豊かに、お客さまの生活の質を高め、幸福な人生の実現に貢献します。
 革新的な商品開発と、卓越したサービスで、常に最上の「美」による最高の「満足」を提供します。
 ひとりひとりのお客さまを最も理解するパートナーとして、明るい未来をめざし、ともに歩み、成長を続ける企業でありたいと考えます。

2)行動基準
 すべてを、お客さまの満足のために。

3)企業活動の指針
 (1)透明でオープンな経営
 (2)夢と感動を与える商品・サービス
 (3)個性を尊重し、自律を育む風土
 (4)社会的責任を自覚した、誠実な行動
 (5)地球環境への配慮

3.経営方針

1) 経営改革の6大テーマ
  (1)部分最適から全体最適への移行
(2)ブランドマネジメント体制の確立
(3)流通別対応力の強化
(4)オペレーションインフラの確立
(5)組織・人事体制の再構築
(6)ステークホルダーとのコミュニケーションの向上
     
2) 16〜18年度中期計画の方向性
(1) マーケティング戦略
  既存ブランドの体系整備、新規大型ブランドの導入、「選択と集中」による重点ブランドへの原資集中投下。
  ブランドマネジメント体制を確立。
  マーケティング本部を設置し、マーケティング戦略全体を統合する機能を強化。
  マーケティングと商品開発機能を統合させ、「強いブランド創り」を推進し、ブランド競争優位を実現。
  お客様やお取引先様から寄せられた声を、研究、商品開発、マーケティング戦略立案、サプライチェーンマネジメントへ反映。
(2) 営業戦略
  ・流通別対応力強化による流通別戦略推進。
・営業基本活動の徹底による営業活動の革新。
(3) 組織・人事戦略
  マーケティングと商品開発機能を統合させた「マーケティング本部」を設置。
  研究機能強化のため、「研究本部」を設置。
  自律した人材育成を目的とした「新人事・教育制度」の構築。
(4) 海外戦略
  重点地域・国・ブランドを設定し、経営資源を集中化。
  ブランドビジネスフレームを強化。
  グローバルインフラシステムを整備。

<参考>カネボウ化粧品のこれまでの歩み

1936年   絹石鹸発売
1949年   経済集中排除法による鐘淵化学工業の分離設立にともない化粧品事業を移管
1961年   化粧品事業に本格参入(化粧品部門が鐘淵化学工業から復帰)
香港に進出し、海外展開も同時に開始
1967年   東京・銀座にカネボウ化粧品販売株式会社を設立
1969年   化粧品小田原工場始動
1974年   カネボウ化粧品株式会社に社名変更
1979年   ハロッズ百貨店(英国)で販売開始し、欧州へ進出
1981年    カネボウ化粧品(株)が鐘紡(株)と合併し、化粧品部門は新たに鐘紡(株)カネボウ化粧品本部としてスタート
1992年   21世紀に向けての中長期事業戦略「マーケティングルネッサンス」発表
スリーフィールドマーケティングを推進
2000年   上海に新工場竣工、中国専用ブランド「AQUA」製造開始
米国1号店「バーグドルフグッドマン(NY)」に出店
2001年   「鐘紡(株)」から「カネボウ(株)」へ商号を変更
2004年   カネボウ(株)より分離独立し、「株式会社カネボウ化粧品」設立

 


日本経済新聞 2004/6/1

カネボウ1800人削減 繊維、防府など6工場閉鎖 再生機構 再建策決定

 カネボウと同社を支援する産業再生機構は31日、今後3年間で全社員の4割弱に当たる1800人の人員削減を柱とする再生計画を発表した。リストラ損の拡大でカネボウが2004年3月期末に3553億円の連結債務超過に陥ったことから、総額1495億円の金融支援・減増資などを決定。分離した化粧品事業に続き、カネボウ本体も再生に動き出す。

 合理化の主対象は繊維部門で、天然繊維は長浜(滋賀県)、大垣(岐阜県)両工場を売却・閉鎖し完全撤退する。合成繊維もナイロンを大幅に縮小し防府工場(山口県)を売却もしくは閉鎖。既に閉鎖を決めている浜松工場(静岡県)などを合わせ6工場を閉鎖、1工場に集約する。食品はカップめん、飲料から撤退する。
 構造改善費用が3343億円に膨らみ、前期決算は3576億円の最終赤字(前の期は5億円の黒字)になった。2005年3月期は化粧品事業の売却益や債権放棄で3150億円の最終黒字を確保、債務超過を解消する方針。
 再生機構は同日、再建支援策を決めた。取引金融機関に対し995億円の債権放棄を要請するほか、99.7%の減資を実施したうえで再生機構と主力行の三井住友銀行が最大500億円の増資(債務の株式化を含む)を引き受ける。機構は議決権の50%超を有する大株主となり、カネボウの再建を主導する。

カネボウ 医薬・日用品特化 食品事業も大幅縮小 再建策始動

 産業再生機構初の大型案件となるカネボウ本体の再建が動き出す。機構は大胆なリストラに向けて事業の重要性を4つに分類、医薬品や日用品を軸にした消費財メーカーへ脱皮する方針を明らかにした。3年後には今の4割の事業規模に縮小する。だが、それだけで収益力の高い企業として生き残れるのか。再生への道のりは険しい。

■売上高4割程度に
 機構が事業再編へ示した4分類とは、中核、非中核、撤退検討、早期撤退。中核は日用品、医薬品のほか、食品、ファッション事業の一部。繊維部門では、不採算事業の天然繊維から撤退し、合繊事業を集約した上で非中核に位置づけた。
 食品部門も大幅縮小。麺(めん)・飲料は撤退、冷菓も継続か撤退かを判断する。群馬県の新町工場は売却対象。肌着などファッションの一部も継続か撤退かのどちらかにする。新素材の群馬工場も売却か閉鎖する。
 この結果、連結べースの売上高は、3年後に中核、非中核事業合計で4割程度に縮小すると予想。国内で1800人の従業員が削減対象になる。
 中嶋章義カネボウ社長は「従業員の利益を守るのが最優先」と主張してきたが、労働組合もある程度のリストラを覚悟していた。労組は「2千人を超す削減は容認できない」との意見を非公式に伝えており、削減規模はギリギリの数字だ。
 再生機構は今後、売却する工場の設備や従業員の引受先を探す。ただ、全国に分散した立地や競争の激しい事業なだけに、計画通りに売却が進む可能性は小さい。

■株主責任問う
 機構は株主の経営監視が行き届いていなかったと判断、100%近い減資で既存株主の出資分を1億円に圧縮する。さらに最大200億円の増資を引き受けて過半数の議決権を握り、株主の権利を半分以下に希薄化させる。
 実は、機構内では当初議決権を握ることに異論もあった。経営を抱え込むリスクヘの懸念があったためだ。しかし、最終的には「機構が主導しなければリストラが進まない」と判断した。
 株価は31日終値で11円高の99円。減増資が伝わった先週後半には120円前後から75円まで一時下がったが、この日は再生を期待した買いも入った。

■債権放棄1000億円
 機構が当初見積もった金融支援の必要額は2千億円弱。一方、主力銀行の三井住友は500億ー1千億円を想定。5月の連休明けから駆け引きが始まった。三井住友は機構が化粧品支援を要請した2月時点では非主力銀行に「債権放棄はない」と強調していただけに支援額にこだわった。
 最後は三井住友が債権放棄とは別に300億円の議決権のない増資を引き受け、非主力行の負担を軽くした。機構の斉藤惇社長も「公平性は確保できた」と強調した。それでも、非主カ行からは不満が出ており、債権放棄する60以上の取引銀行の合意を取り付けるのは簡単ではない。


先行き楽観できず 「ナンバーワン商品」不在

 「3年後には有利子負債がキャッシュフローの10倍以内に収まり、営業利益率も安定して5−6%が見込める」。再生機構の片山龍太郎執行役員は会見で強調したが、先行きは楽観できない。
 例えば中核となる日用品事業。カネボウ製品の多くは安売りの対象だ。花王の洗剤、ライオンの歯磨きのように市場シェアが首位なら堅実に利益を稼ぎ出せる。だが「ウチにはナンバーワンの商品がない」(中堅幹部)。
 片山氏は「花王やライオンのような総合日用品メーカーではなく、ニッチを攻める」と説明した。中嶋章義社長も高級シャンプーなど美容効果の高いヘアケア商品といった値崩れしにくい分野を重点的に攻めると宣言した。しかし、こうした分野は花王、資生堂のほか米プロクター・アンド・ギャンブルなど外資企業との競合が激しい。 カネボウが上場を維持しながら再生を目指すことも、事態を難しくしている。
 再生機構が保有する過半数の持ち株は3年以内に売却されるが、その行方は不透明。機構自身もシナリオを描ききれていない。片山氏は31日の会見で「市場で売るか、スポンサーを見つけるか。双方を組み合わせることもあり得る」と一般論しか語らなかった。
 化粧品に比べれば収益力は弱いものの、まだブランドカが残る日用品や医薬品には既に買収の打診が来ているもよう。機構内では「景気が上向きの間に、売却できる事業から順次整理し資金回収を急ぐべきだ」との意見があるという。
 しかし、競争力のない弱い事業ばかりがカネボウ本体に残れば株価は下落し、最終的な株式売却が難航する可能性もある。このため「将来像を描いて計画的に事業売却を進めるべきだ」との指摘もあり、機構内で意見が割れているようだ。日用品事業は化粧品事業との相乗効果が見込めるため、本体から分離したカネボウ化粧品に譲渡する案も浮上している。
 カネボウ本体には再度、再生機構が保有するカネボウ化粧品の86%の株式を買い戻す選択肢もある。しかし、実際には大幅に事業が縮小したカネボウ本体に買い戻しを実行する余力はないとみられる。


2004/5/31 カネボウ

事業再生計画の策定並びに株式会社産業再生機構の支援決定について
http://www.kanebo.co.jp/contents/fram/f_08rel.html

 当社は、本日開催の取締役会で、事業再生計画(カネボウ全社ベース)を承認の上、株式会社産業再生機構(「以下「産業再生機構」という」)に支援申込みを行い、同日、支援決定を受けましたので、お知らせいたします。
 当社は、産業再生機構のご支援をいただき、企業価値を高めていくために、ポートフォリオの大胆な再編と合理的な経営に向けた組織体制作りに取り組んでまいります。
 当社グループ再生に向けて、本事業再生計画を推進するなかで、株主の皆様、金融機関の皆様、関係各位の皆様には多大なるご負担、ご迷惑をお掛けすることに対し、深くお詫び申し上げます。
 今後は、不採算事業からの撤退や一段のコスト競争力の強化により安定収益基盤の確立を目指すとともに、本事業再生計画の確実な達成に向けて全社をあげて努力いたしますので、ご高配、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

1.支援申し込みに至る経緯
 当社は、明治20 年の設立当初より繊維事業を中心に営んでまいりましたが、昭和30 年代後半より化粧品、食品、薬品等、事業の多角化を推進しました。その結果、事業面については、収益力も事業特性も異なる事業群が一つの企業体の中に混在し、選択と集中、シナジー効果の実現等をはかることもなく、全体としての競争力を失っていく結果となりました。財務面においても、競争劣位にある事業部門への資金流出が続く中、過剰投資型負債と赤字補填型負債が膨らみ、過剰債務状態に陥りました。さらに、組織運営面、管理面においても抜本的な変革が必要な状況でありました。
 このような状況のもと、当社グループは、平成16 年3 月10 日、産業再生機構の支援決定を受け、化粧品事業部門を営業譲渡する(平成16 年5 月7 日実行)ことによって、財務体質の抜本的改善を図ろうといたしましたが、産業再生機構による財務内容の精査の結果、大幅な債務超過状態にあることが判明しました。そこで当社グループは、財務内容の精査結果と各事業の事業性の評価を踏まえ、繊維事業部門の大幅縮小を始めとする不採算事業からの撤退、減増資、債務免除、産業再生機構・三井住友銀行の出資等を内容とする本事業再生計画を新たに産業再生機構に提出し、過剰な有利子負債を解消するとともに、抜本的な事業ポートフォリオの再編によって再生を図るべく、改めて産業再生機構に支援申込みをするに至ったものであります。

2.事業再生計画の骨子

1)事業ポートフォリオの再編
2)組織運営体制の変革
3)財務リストラクチャリング

3.事業再生計画の概要
(1)事業ポートフォリオの再編

   各事業が、今後の当社にとって「コア」か「ノンコア」か、また、確固たる事業性を兼ね備えているか、という視点から各事業を4 つに分類し、それぞれの方針に則した再編を進めてまいります。
 具体的には、@事業性があり、今後コアビジネスになる可能性の高い事業を第一分類、A事業性があるが、今後、コア事業としての可否の見極めが必要な事業を第二分類、B今後早急に事業性の有無を精査のうえ、適時、継続、売却あるいは清算の判断を行っていく事業を第三分類、C支援決定後、早期に売却先を探し、売却先が見つからない場合は清算を行っていく事業を第四分類として、事業ポートフォリオの再編を進めていく予定です。
     
  @ 第一分類
ホームプロダクツ事業、薬品事業、食品事業の中のフリスク・菓子・粉末部門、ファッション事業の一部(フィラ・ランバン等)
  A 第二分類
北陸合繊工場に集約したのちの合繊事業(ナイロン4 品目・ポリエステル・高分子部門)、ストッキング事業、新素材事業の中のビジョンシステム部門、エルビー名古屋/埼玉(紙パック飲料)、カネボウアグリテック(椎茸)、鐘紡記念病院
  B 第三分類
食品事業の中の冷菓部門・レインボーハット(冷菓小売)部門、ファッション事業の中のインナー部門・小売部門、カネボウ物流
  C 第四分類
食品事業の中の麺・飲料部門、天然繊維事業(海外部門含む)、合繊事業の中の防府合繊工場関連部門及び海外部門、ビジョンシステム部門以外の新素材事業、その他のノンコア事業

(2)組織運営体制の変革

  シナジーの追求と全体にとって最適な施策遂行のため、当面は、基本的な経営方針・戦略に関し、意思決定の集権化と迅速化を図るが、全社的な事業再編の進捗状況を踏まえながら、本社間接部門の人員を削減するとともに組織の簡素化を図る。
  経営の透明性実現とガバナンス強化の観点から、委員会等設置会社に移行し、取締役の過半数を外部から招聘し、特に、事業売却・撤収を含めた構造改革の指揮をとるChief Restructuring Officer(CRO)等については、外部人材の起用を含め検討する。
  人事制度については、年功序列の枠組みを取り払い、より公正で成果主義を徹底したものとする。
       
(3)財務リストラクチャリング
      当社グループは、債権放棄を受けるとともに、減増資を行うことによって財務体質の抜本的な
改善を図ります。
  金融機関等に対する債権放棄要請の概要
当社グループに対する総額995 億円の債権放棄を要請する。
  資本の減少・株式併合
欠損金填補のため、当社の資本金のうち約99.7%を減少させる(減資後の資本金は1 億円)。
また、減資に伴い、10 株を1 株に併合する株式併合を行う(これに伴って一単元の数を1000 株から100 株に引き下げる)。
  新株の発行
三井住友銀行及び産業再生機構に、最大で500 億円の増資(三井住友銀行が300 億円、産業再生機構が最大200 億円)を引受けることを要請する。
       
4.連結債務超過の解消
     平成16年3月期で当社は3,553億円の連結債務超過でありますが、化粧品事業の営業譲渡益3,705億円、債権放棄額995億円、新株の発行500億円により、平成17年3月期までに連結債務超過を解消する見込みです。
       

 


日本経済新聞 2004/9/4             発表

カネボウ、めん・電池売却へ 早期処理へ再生機構連携 天然繊維・飲料など焦点

 産業再生機構の支援を受けて再建中のカネボウが不採算事業の売却に乗り出した。第一弾として
カップめんを加卜吉電池事業を昭栄にそれぞれ売却する方向で最終調整に入った。カネボウや再生機構は「事業価値の劣化を防ぐには、早期売却が不可欠」との認識で一致しており、今後も天然繊維や飲料事業などの売却が進みそうだ。
 カネボウが事業売却の本格検討に入ったのは7月。再生機構が中心になって5月末に策定した再生計画で、売却・撤退候補である「第四分類」に区分けされたカップめん、電池、天然繊維などが対象になった。
 中嶋章義カネボウ社長は計画策定の直後から「売却・撤退対象の事業を長期間放置しておくのは従業員にとっても不幸」と強調。自らの人脈やカネボウの労働組合のネットワークなども使いながら、好条件を提示する売却先を探してきた。売却先がはっきりしないままでは従業員の士気が低下。万が一、事故などが起きれば事業価値も劣化する。交渉はスピード重視で進んだ。
 再生機構も積極的に動いた。ある大手繊維メーカーの幹部は「機構のスタッフがカネボウの売却事業リストを持って訪ねて来た」と語る。
 今回売却対象になったカップめんと電池には、複数企業から買収提案が持ち込まれたもよう。例えばカップめんには加ト吉のほか、即席めん大手のサンヨー食品も関心を示したという。「当社の技術や製品にはまだ十分に価値があることが分かった」(カネボウ首脳)。今のところカネボウと再生機構の連携が売却先探しで成果を上げているようだ。
 ただ、買い手側から見ると、売却の主導権がカネボウと再生機構のどちらにあるかはっきりせず、戸惑うケースも出ている。「関心ある事業があっても再生機構に具体的な技術内容を聞くと答えられない。逆にカネボウに聞くと『事業売却の窓口は機構さん』と言われ話が進まなかった」(繊維大手幹部)という。
 売却交渉に携わっている関係者は「売却対象になっているのは12の事業と3つの海外事業所」と語っており、今後売却交渉は加速する見通し。有力企業を買い手として引っ張り、リストラを軌道に乗せられるかどうかは、カネボウと再生機構の連携にかかっている。

再生計画によるカネボウの事業分類

第一分類 事業性があり今後コアとなる可能性が高い
・ホームプロダクツ(シャンプーなど)
・薬品
・食品(菓子など)
・ファッション
 
第ニ分類 事業性はあるがコアになるか見極めが必要
・合繊(ナイロン、ポリエステルなど)
・新素材の一部
・紙パック飲料
 
第三分類 事業性を精査し、継続・売却・清算を判断
・食品(冷菓)
・カネボウ物流
 
第四分類 売却先を探し見つからない場合は清算  
・食品(カップめん・飲料) カップめん:加ト吉
缶入り飲料:清算
・天然繊維 国内羊毛事業(大垣工場):三甲
・合繊(防府工場関連、海外) ラクトロン:東レ
・新素材 電子関連:シキノハイテック
人工皮革:倉本製作所

テキストグラス:日東紡績
ベルパール事業:エア・ウォーター
・電池 電池事業:昭栄
2004/10/20発表
  
医用材料事業:睦化学工業
  カネボウ化成が行う建材事業:岩尾株式会社
  カネボウ化成及び室町化学が行う化成品事業:富士ケミカル商事
  室町化学が行うスリングベルト製品事業:日東物産
  カネボウ合繊の新規市場開発事業:帝人ファイバー

2004/11/4 カネボウベルタッチ:伸和


日本経済新聞 2004/9/5

カネボウ、大垣工場売却へ

 産業再生機構の支援を受け経営再建中のカネボウは4日、大垣工場(岐阜県大垣市)を含む国内羊毛事業をプラスチック製品メーカーの三甲(岐阜県瑞穂市)に売却する方向で最終調整に入った。売却金額は今後詰める。カネボウの羊毛事業の従業員は約140人、2004年3月期の売上高は102億円。

 カネボウは5月に策定した再生計画に基づき不採算事業の売却を進めている。カップめん事業は冷凍食品大手の加ト吉、電池事業は不動産開発の昭栄を売却先候補とし最終調整に入っている。


日本経済新聞 2004/9/8

カネボウ、缶入り飲料事業清算へ

 カネボウと同社を支援する産業再生機構は7日、缶入り飲料事業を清算する方針を固めた。缶ジュースなどを製造する子会社、カネボウ防府食品(山口県防府市)の設備を清算する。製造に携わる従業員十数人の処遇は今後、労働組合との協議で詰める。
 同社の飲料事業は2004年3月期で売り上げ約60億円。「ベルミー」ブランドで缶コーヒーなどを製造していたが、大手メーカーの攻勢による競争激化で売り上げは伸び悩んでいた。同社と再生機構は飲料事業の引受先を探していたが、独自の技術などに乏しく、売却は断念した。 同社は防府市にある防府工場については電力設備を地元の電力事業会社、防府エネルギーサービスに売却することも決めた。防府エネは発電設備と従業員十数人を引き受け、防府工場に残る事業に電力を供給する。


日本経済新聞 2004/9/14

カネボウ 羊毛など5事業売却 飲料は買い手つかず清算


 産業再生機構の支援を受けて再建中のカネボウは13日、電池、カップ麺など5事業の売却と飲料事業の清算を発表した。売却事業については原則、従業員の雇用は維持される見通し。今後、同じく不採算事業に分類された綿染色やナイロン汎用品事業の売却先選定を急ぐ。素材、中間財から消費財まで手掛けたカネボウは事実上解体、家庭用品、薬品などに特化し再生を目指す。
 13日の取締役会で、携帯電話用バックアップ電源などを製造・販売する電池事業を、昭栄の全額出資子会社である昭栄エレクトロニクス(長野県上田市)に12月1日に営業譲渡すると決めた。防府工場内の製造設備は昭栄エレクトロニクスの拠点に移設する。
電子関連事業は半導体検査用設備を手掛けるシキノハイテック(富山県魚津市)に11月1日に営業譲渡する。
 また、カップ麺事業を加ト吉、国内羊毛事業をプラスチックメーカーの三甲(岐阜県瑞穂市)、
人工皮革「ベルエース」事業を倉元製作所に営業譲渡することで相手先企業と基本合意に達した。カネボウの工場を継続使用し、雇用は維持される公算が大きい。
 一方、「ベルミー」ブランドの缶コーヒーなど飲料事業は売却先が見つからず9月末に撤退、製造を手掛けるカネボウ防府食品(山口県防府市)も年末までに清算する。従業員の処遇は未定で今後、労使で協議する。
 9月に入ってカップ麺、電池などに続いて電子関連、人工皮革の売却先が決まった。カネボウ再建が初の大型案件となった産業再生機構は一気に5事業の売却が決まったことに対し、「再建は順調に進んでいる」(幹部)と自已評価。清算もやむなしとみていた電池などの不採算事業も買収に名乗りを上げる企業が相次ぎ、計画を上回るぺ−スで売却が進んだ。
 機構側は「不採算部門も詳しく調べると高い技術を持っていた。同業他社などにとっては魅力が大きかったのだろう」とみている。各案件の売却金額は未公表だが、案件によっては売却損を計上するケースもありそうだ。ただ、「公表済みの業績予想に与える影響は軽微」(カネボウ広報)。
 カネボウは5月末に発表した再生計画で事業を4分類した。「早期に売却・撤退を目指す」第四分類には今回、売却・清算を決めた6事業のほか、防府工場(山口県)のナイロン汎用品や長浜工場(滋賀県)の綿染色が含まれる。


平成16 年9 月28 日 カネボウ

事業ポートフォリオ再編に関するお知らせ
http://www.kanebo.co.jp/contents/08release/pdf/040928_1.pdf

 当社は、平成16 年9 月28 日開催の取締役会において、カップ麺事業を営業譲渡することを決議し、また、テキストグラス(ガラス繊維)事業、ベルパール(機能性高分子フェノール樹脂)事業につきましては、営業譲渡に関し基本合意に至りましたので、下記のとおりお知らせいたします。
 なお、カップ麺事業につきましては、本年9 月13 日に譲渡に関し基本合意に達したことを公表済みであります。

1.カップ麺事業の営業譲渡について

 平成16 年5 月31 日に発表いたしました「事業再生計画」のなかで、当社は抜本的な事業ポートフォリオの再編を進めていく方針を明らかにいたしました。その後、「第4 分類」に区分された事業につき、それぞれの売却先を選定してまいりましたが、このたび、カップ麺事業について、営業譲渡契約書を締結いたしました。

2.営業譲渡の内容
(1)事業の内容
 当社子会社のカネボウフーズ株式会社で行なわれているカップ麺事業は、高品質ノンフライ麺に特化して製造を行っており、さらに麺市場の中でカップ麺を中心としたスナック麺市場に絞り込んで事業を行なっております。当社カップ麺事業の主要製品は、ホームラン軒シリーズ、東北ご当地シリーズ及び広東麺シリーズとなっています。

(2)事業の概要
 主たる事業の運営場所: 新町工場内のカップ麺工場(製造)
 売上高(平成16 年3 月期): 65 億円
 従業員数(平成16 年3 月末): 71 人

3.営業譲渡先の概要
(1)名称 加ト吉水産株式会社
(2)主な事業内容 冷凍水産品等の製造、販売
(3)設立年月日 昭和49 年7 月22 日
(4)本店所在地 香川県観音寺市観音寺町甲4055−3
(5)代表者 代表取締役社長藤井孝行
(6)資本の額 83 百万円(株式会社加ト吉87.95%出資)
(7)従業員数 282 名(平成16 年3 月末)

4.日程
 平成16 年9 月28 日取締役会決議
 平成16 年9 月28 日営業譲渡契約書締結
 平成16 年11 月1日営業譲渡期日(予定)
 

U.テキストグラス事業及びベルパール事業の譲渡に関する基本合意について
 テキストグラス事業及びベルパール事業に関しましては、平成16 年9 月28 日に営業譲渡について基本合意に達しました。今後、最終譲渡契約書の締結に向けて、協議を続けてまいります。

1.テキストグラス事業
(1)事業の内容
 新素材事業本部のなかで行われているテキストグラス事業は、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維などの高強度・高機能織物を製造、販売しています。燃えにくいなどの機能性を生かし、IC のプリント配線基板、不燃壁クロスやテントなど、産業用資材から生活用品まで幅広い用途に使用されています。

(2)事業の経営成績
 売上高(平成16 年3 月期): 23 億円

(3)営業譲渡先の概要
 譲渡先日東紡績株式会社の子会社

<日東紡績株式会社の概要>
 1)主な事業内容 グラスファイバー、繊維、建材などの製造、加工および販売
 2)設立年月日 大正7 年4 月22 日
 3)本店所在地 福島市郷野目字東1番地
 4)代表者 取締役社長相良敦彦
 5)資本の額 19,699 百万円
 6)従業員数 1,993 名(平成16 年3 月末)

2.ベルパール事業
(1)事業の内容
 新素材事業本部のなかで行われているベルパール事業は、機能性高分子フェノール樹脂(商品名:ベルパール)、ニューカーボン、PSA(窒素ガス発生装置)の3つの製品で構成されており、素材そのものから産業用装置まで、一貫してフェノール樹脂技術を応用した商品を製造、販売しています。

(2)事業の経営成績
 売上高(平成16 年3 月期): 12 億円

(3)営業譲渡先の概要
 1)名称 エア・ウォーター株式会社
 2)主な事業内容 鉄鋼、化学、エレクトロニクス向けガス供給
             産業機材販売、医療ガス供給、医療機器販売、医療サービス
             福祉介護事業、LPG供給、天然ガス供給等
 3)設立年月日 昭和4 年9 月24 日
 4)本社所在地 大阪府大阪市中央区東心斎橋1 丁目20 番16 号
            (本店所在地) 札幌市中央区北3 条西1 丁目2 番地
 5)代表者 代表取締役会長・CEO 青木弘
 6)資本の額 15,513 百万円
 7)従業員数 5,566 名(平成16 年3 月末)

V.当社の業績に与える影響について
 一連の事業売却へ向けた取組みにつきましては、「事業再生計画」の方針に則したものであり、公表済みの当社業績予想に与える影響は軽微であると思われますが、詳細確定後、必要な情報開示を行ってまいります。


2004/10/20 カネボウ

事業ポートフォリオ再編に関するお知らせ
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=84303

 当社は、医用材料事業、当社子会社のカネボウ化成株式会社及び室町化学株式会社が行う事業について譲渡することを決定し、また、カネボウ合繊株式会社の新規市場開発事業につきまして、営業譲渡に関する基本合意に至りましたので、下記のとおりお知らせいたします。

<1> 医用材料事業、カネボウ化成株式会社及び室町化学株式会社が行う事業の譲渡について
1.譲渡の理由
 平成16年5月31日に発表いたしました「事業再生計画」のなかで、当社は、抜本的な事業ポートフォリオの再編を進めていく方針を明らかにいたしました。その後、「第4分類」に区分された事業につき、それぞれの売却先を選定してまいりましたが、このたび(1)医用材料事業(2)カネボウ化成株式会社が行う建材事業(3)カネボウ化成株式会社及び室町化学株式会社が行う化成品事業(4)室町化学株式会社が行うスリングベルト製品事業の譲渡に関し合意に達した次第です。

2.譲渡の内容
(1)医用材料事業
 1)医用材料事業の内容
   新素材事業本部のなかで行われている医用材料事業は、歯科材料の研究開発を進めながら歯科医療用の充填材料、歯面ペースト等の製造、販売を行っております。
 2)医用材料事業の概要
  主たる事業の運営場所:大阪
売上高(平成16年3月期) : 1億円
従業員数 : 3人
   
(2)建材事業
 1)建材事業の内容
   カネボウ化成(株)のなかで行われている建材事業は、各種防水材料、各種合成樹脂製品等の建築用材料の製造、販売及び防水工事を行っております。
 2)建材事業の概要
  主たる事業の運営場所 : 大阪
売上高(平成16年3月期) : 17億円
従業員数 : 28人
   
(3)化成品事業
 1)化成品事業の内容
   カネボウ化成(株)及び室町化学(株)のなかで行われている化成品事業は、美粧資材(化粧パフ等)、プラスチック添加剤(抗菌剤)及びスポンジ等の製造、販売を行っております。
 2)化成品事業の概要
  主たる事業の運営場所 : 大阪
売上高(平成16年3月期) : 48億円
従業員数 : 49人
   
(4)スリングベルト製品事業
 1)スリングベルト製品事業の内容
   室町化学(株)のなかで行われているスリングベルト製品事業は、重量物つり上げ用ベルト等の委託加工を行っております。
 2)スリングベルト製品事業の概要
  主たる事業の運営場所 : 大阪・東京
売上高(平成16年3月期) : 0.5億円
従業員数 : 8人

3.譲渡先の概要
(1)医用材料事業
 1)名称 睦化学工業株式会社
 2)主な事業内容 工業・医科用向けの高機能石膏等の製造、販売
 3)設立年月日 昭和20年12月10日
 4)本店所在地 三重県四日市市万古町8−9
 5)代表者 代表取締役 滝本永次郎
 6)資本の額 15百万円
 7)従業員数 66名(平成16年3月末)

(2)建材事業
 1)名称 岩尾株式会社
 2)主な事業内容 産業用各種資材、石油化学製品、衣料品の製造、販売
 3)設立年月日 昭和3年12月24日
 4)本店所在地 大阪府大阪市中央区本町3−3−9 本町岩尾ビル
 5)代表者 代表取締役 吉川燿示
 6)資本の額 250百万円
 7)従業員数 41名(平成16年3月末)

(3)化成品事業
 1)名称 富士ケミカル商事株式会社
 2)主な事業内容 各種石油化学製品等の製造・販売
 3)設立年月日 昭和37年8月28日
 4)本店所在地 大阪府枚方市招堤大谷2−19−10
 5)代表者 代表取締役 西村健
 6)資本の額 40百万円
 7)従業員数 29名(平成16年3月末)

(4)スリングベルト製品事業
 1)譲渡先日東物産株式会社(三信製織株式会社の100%子会社)
  <三信製織株式会社の概要>
  1)名称 三信製織株式会社
  2)主な事業内容 綿、麻及び化学繊維細巾織物等の製造、販売
  3)設立年月日 昭和17年6月27日
  4)本店所在地 東京都豊島区高田3−6−10
  5)代表者 代表取締役社長平澤弘和
  6)資本の額 45百万円
  7)従業員数 38名(平成16年3月末)

4.日程
(1)医用材料事業
 平成16年10月20日 譲渡契約書締結
 平成16年12月 1日 譲渡期日(予定)

(2)建材事業
 平成16年10月20日 営業譲渡契約書締結
 平成16年12月20日 営業譲渡期日(予定)

(3)化成品事業
 平成16年10月20日 営業譲渡契約書締結
 平成16年12月20日 営業譲渡期日(予定)

(4)スリングベルト製品事業
 平成16年10月20日 営業譲渡契約書締結
 平成16年12月20日 営業譲渡期日(予定)

5.譲渡会社(子会社)の概要
 <カネボウ化成株式会社の概要>
  1)設立年月日 昭和42年 1月17日
  2)本店所在地 大阪府大阪市北区梅田1−2−2
  3)代表者 代表取締役 水野貞夫
  4)資本の額 150百万円(カネボウ(株)100%出資)
  5)事業内容 
    i) 建材事業(各種防水材料、各種合成樹脂製品等の建築用材料の製造、販売
      及び防水工事の請負)
    ii)化成品事業(美粧資材(化粧パフ等)、プラスチック添加剤(抗菌剤)の製造、販売)
  6)従業員数 66名(平成16年3月末)
  7)売上高 5,760百万円(平成16年3月期)

 <室町化学株式会社の概要>
  1)設立年月日 昭和31年 6月23日
  2)本店所在地 東京都品川区五反田7−22−17
  3)代表者 代表取締役 水野貞夫
  4)資本の額 10百万円(カネボウ化成株式会社100%出資)
            (カネボウ化成(株)は当社100%出資の子会社)
  5)事業内容 吸水ローラー等の製造、販売
           重量物つり上げ用ベルト等の製造、販売
  6)従業員数 12名(平成16年3月末)
  7)売上高 834百万円(平成16年3月期)

<2> カネボウ合繊株式会社の新規市場開発事業の譲渡に関する基本合意について
 カネボウ合繊株式会社の新規市場開発事業に関しましては、平成16年10月20日に譲渡について基本合意に達しました。今後、本年12月1日に予定の最終譲渡契約の締結に向けて、協議を続けてまいります。

1.事業の概要
 カネボウ合繊株式会社のなかで行われている新規市場開発事業は、同社が製造する各種素材を使用し、環境・健康・電子関連の新規分野向けに、ファイバークッション(ベットマット)、パーフェクトバリア(断熱材)、セパトーン(吸音材)等の高機能不織布とベルオアシス(高吸水性繊維)使用の各種製品の製造、販売を行っております。

2.事業の経営成績
 売上高(平成16年3月期) : 19億円

3.営業譲渡先の概要
 1)名称 帝人ファイバー株式会社
 2)主な事業内容 ポリエステル原料、衣料用ポリエステル繊維、及びポリエステルを
             主とする衣料用テキスタイルの研究開発、製造、販売
 3)設立年月日 平成14年1月25日
 4)本社所在地 大阪市中央区南本町1 −6−7
 5)代表者 代表取締役社長 野口泰稔
 6)資本の額 12,025百万円
 7)従業員数 932名(平成16年3月末)
 なお、従業員の扱いについては、帝人ファイバー株式会社と協議を進めております。

4.カネボウ合繊株式会社の概要
 1)名称 カネボウ合繊株式会社
 2)主な事業内容 合繊繊維・樹脂製品及び原材料の製造、加工、販売
 3)設立年月日 平成8年10月1日
 4)本店所在地 大阪市北区梅田1−2−2 大阪駅前第二ビル15階
 5)代表者 代表取締役社長 清末健太郎
 6)資本の額 21,055百万円(カネボウ株式会社100%出資)
 7)従業員数 554名(平成16年3月末)

<3> 当社の業績に与える影響について
 一連の事業売却へ向けた取組みにつきましては、「事業再生計画」の方針に則したものであり、公表済みの当社業績予想に与える影響は軽微であると思われますが、詳細確定後、必要な情報開示を行ってまいります。


2004/10/27 カネボウ

事業ポートフォリオ再編に関するお知らせ
http://www.kanebo.co.jp/contents/fram/f_08rel.html

 当社は、当社子会社のカネボウ合繊株式会社のラクトロン事業に関連する特許権、意匠権及び実
用新案権の譲渡並びに人員の転籍について決定いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。

1.譲渡の理由
 平成16 年5 月31 日に発表いたしました「事業再生計画」のなかで、当社は、抜本的な事業ポートフォリオの再編を進めていく方針を明らかにいたしました。その後、「第4 分類」に区分された事業につき、それぞれの売却先を選定してまいりましたが、このたびカネボウ合繊株式会社が行うラクトロン事業に関連する特許権、意匠権及び実用新案権の譲渡並びに人員の転籍ついて東レ株式会社と合意に達した次第です。

2.譲渡の内容
 ラクトロン事業に関連する特許権、意匠権及び実用新案権を譲渡いたします。
 なお、転籍する人員については、東レ株式会社と引き続き協議を進めてまいります。

参考
1)ラクトロン事業の内容
 当社の子会社であるカネボウ合繊株式会社のなかで行われているラクトロン事業は、ポリ乳酸を原料とした生分解性繊維の研究を進めながら、衣料・タオル・防水ネット等の生活資材、食品容器・卵パック等の産業資材等、地球環境に配慮した製品の開発、製造、販売を行っております。

2)ラクトロン事業の概要
 主たる事業の運営場所:防府工場内(製造)
 売上高(平成16 年3 月期) :17 億円
 従業員数(平成16 年3 月末) :31 人

3.譲渡先の概要
@名称  東レ株式会社
A主な事業内容  合成繊維、プラスチック・ケミカル、情報・通信機材、住宅・エンジニアリング、
             医薬・医療、新事業その他の研究開発、製造、販売
B設立年月日  大正15 年1 月12 日
C本店所在地  東京都中央区日本橋室町2-2-1
D代表者  代表取締役社長 榊原定征
E資本の額  96,937 百万円
F従業員数  32,901 名(平成16 年3 月末)

4.日程
 平成16 年10 月27 日 譲渡契約書締結
 平成16 年12 月20 日 譲渡期日(予定)

5.譲渡会社(子会社)の概要
カネボウ合繊株式会社の概要
@主な事業内容  合繊繊維・樹脂製品及び原材料の製造、加工、販売
A設立年月日  平成8年10月1日
B本店所在地  大阪市北区梅田1-2-2 大阪駅前第二ビル15階
C代表者  代表取締役社長 清末健太郎
D資本の額  21,055百万円(カネボウ株式会社100%出資)
E従業員数  554 名(平成16 年3 月末)
F売上高  38,285 百万円(平成16 年3 月期)


2004/11/04 カネボウ

事業ポートフォリオ再編に関するお知らせ
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=85577

 当社は、当社子会社カネボウベルタッチ株式会社が行う事業について譲渡することを決定いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。

1.営業譲渡の理由
 平成16年5月31日に発表いたしました「事業再生計画」のなかで、当社は、抜本的な事業ポートフォリオの再編を進めていく方針を明らかにいたしました。その後、「第4分類」に区分された事業につき、それぞれの売却先を選定してまいりましたが、このたび、カネボウベルタッチ株式会社の事業の譲渡に関し合意に達した次第です。

2.営業譲渡の内容
 カネボウベルタッチ(株)の事業の内容

1) 当社の新素材関係の子会社であるカネボウベルタッチ株式会社では、衣料・産業資材用の布製面ファスナ、人工芝ラインテープ及び衣料用ブラシ生地等の製造、販売を行っております。
2) カネボウベルタッチ(株)の事業の概要
 主たる事業の運営場所:大阪、東京
 売上高(平成16年3月期):6億円
 従業員数:16人

3.営業譲渡先の概要
 (1)名称        伸和株式会社
 (2)主な事業内容  毛織物機械染色整理業
 (3)設立年月日    昭和38年12月 2日
 (4)本店所在地    滋賀県野洲市野洲1147番地
 (5)代表者       代表取締役社長  今井 寛司
 (6)資本の額     99百万円
 (7)従業員数     75名

4.日程
 平成16年11月 4日  営業譲渡契約書締結
 平成17年 3月 1日  営業譲渡期日(予定)

5.譲渡会社(子会社)の概要
 (1)主な事業内容  衣料・産業資材用の布製面ファスナ、人工芝ラインテープ
               及び衣料用ブラシ生地等の製造、販売
 (2)設立年月日    昭和49年 1月23日
 (3)本店所在地    大阪府大阪市北区梅田1−2−2 大阪駅前第2 ビル16F
 (4)代表者       代表取締役水野貞夫
 (5)資本の額     60百万円(カネボウ(株)100%出資)
 (6)従業員数     16名(平成16年3月末)
 (7)売上高       577百万円(平成16年3月期)


2004/11/11 カネボウ

事業ポートフォリオ再編に関するお知らせ
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=86192

 当社は、当社子会社カネボウ繊維株式会社が行う国内羊毛事業について、営業譲渡することを決定いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。なお、同事業の譲渡については、既に基本合意を締結し、本年9月13日に発表しております。

1.営業譲渡の理由
 平成16年5月31日に発表いたしました「事業再生計画」のなかで、当社は、抜本的な事業ポートフォリオの再編を進めていく方針を明らかにいたしました。その後、「第4分類」に区分された事業につき、それぞれの売却先を選定してまいりましたが、このたび、カネボウ繊維株式会社の国内羊毛事業の譲渡に関し合意に達した次第です。

2.営業譲渡の内容
1)国内羊毛事業の内容
 当社子会社のカネボウ繊維株式会社で行なわれている国内羊毛事業は、羊毛服地を加工する大垣工場を擁し、独自の染色加工技術を基盤にニット糸の販売とユニフォームなどの各種婦人・紳士用羊毛服地を製造・販売しております。

2)国内羊毛事業の概要
 主たる事業の運営場所:岐阜県大垣市(製造)
 売上高(平成16年3月期):102億円
 従業員数:134人

3.営業譲渡先の概要
 譲渡先 三甲株式会社の子会社

<三甲株式会社の概要>
1)主な事業内容 繊維製品事業(羊毛紡績)及びプラスチック成型製造(産業用資材)
2)設立年月日 昭和26年12月3日
3)本店所在地 岐阜県瑞穂市本田474−1
4)代表者 代表取締役社長後藤甲平
5)資本の額 480百万円
6)従業員数 1,760名(平成16年5月末)

4.日程
 平成16年11月11日 営業譲渡契約書締結
 平成16年12月20日 営業譲渡期日(予定)

5.カネボウ繊維株式会社の概要
1)主な事業内容:綿および羊毛の加工、繊維加工製品および繊維衣料製品の製造販売
2)設立年月日:平成9年4月1日
3)本店所在地:大阪府大阪市北区梅田1−2−2大阪駅前第2ビル16F
4)代表者:代表取締役社長 平林 司
5)資本の額:18,734百万円(カネボウ(株)100%出資)
6)従業員数:448名(平成16年9月末)
7)売上高:39,819百万円(平成16年3月期)


日本経済新聞 2004/12/17

カネボウ 繊維事業で新会社 来春メド 出資企業、近く決定

 産業再生機構の支援下で経営再建中のカネボウは来春をメドに繊維事業で新会社を設立する。他企業の出資をあおいで新会社を設立、国内2工場の運営を移管する。複数企業が関心を示しており、年内にも出資企業を決める。カネボウは当初、新会社の株式の50%弱を保有するが、将来は持ち株を売却し繊維事業から撤退する可能性もある。
 カネボウの繊維事業の売上高は2004年9月中間期で連結べースで約440億円。新会社には綿布の染色や合成繊維の特殊加工を手掛ける長浜工場(滋賀県、従業員約240人)、ポリエステル生産の北陸合繊工場(福井県、約160人)の運営を移管する。両工場の雇用は新会社で維持したい考え。
 カネボウは5月末に策定した再生計画に沿って不採算の繊維事業を縮小、羊毛の大垣工場(岐阜県)などの売却を決めた。来年半ばまでに清算か売却する防府工場(山口県)を除けば、繊維関連拠点は現在、長浜工場と北陸合繊工場のみ。
 長浜工場も再生計画では早期売却の対象だったが、染色や人工皮革の加工技術に関心を示す企業が多い。このため、北陸合繊工場と運営を一体化し、他社の資本を導入した新会社設立に方針転換した。
 カネボウは家庭用品など3事業に経営資源を集中する姿勢を鮮明にしている。50%弱を出資する繊維の新会社に関しては、将来持ち株を減らしていく可能性もある。

 カネボウは16日、衣料品製造の連結子会社、カネボウ・モード・クリエイティブを解散すると発表した。女性用の衣料品を製造を手がけてきたが売り上げが伸び悩み、2003年度に不採算事業として営業を休止していた。


日本経済新聞 2004/12/17

カネボウ化粧品 債務株式化で負債減 再生機構、1500億円分転換

 産業再生機構の支援下で経営再建中のカネボウ化粧品は16日、機構からの借入金の一部を債務の株式化で優先株に転換すると発表した。財務を改善し、株式公開や資金調達などをしや
すくする狙いだ。現在、機構がカネボウ化粧品に対して拠出している資金は普通株式による出資金860億円と貸付金2800億円の計3660億円。貸付金のうち1500億円を12月27日付で優先株に転換し、機構が取得する。
 債務の株式化を実施することでカネボウ化粧品の負債は1300億円に圧縮され、財務体質が改善する。機構は債権を株式で持つことで、「株式の公開や売却など出口戦略の選択肢が広がる」(産業再生機構の片山龍太郎執行役員)利点がある。
 同時にカネボウ化粧品がカネボウ本体から分離独立後初めて発表した2004年5−9月の連結決算は、償却前営業利益が53億円。分離前の4月分も合わせると63億円で再生計画を25億円上回った。4−9月の売上高も997億円で再生計画を51億円上回るなど予想以上に業績が好調なため、機構は投資資金の回収に向け動き出した。


日本経済新聞 2005/1/19

カネボウ化粧品 中国販売を一時停止 法令違反が発覚
 海外強化に不安要因

 カネボウ化粧品(知識賢治社長)の余語邦彦会長は18日会見し、中国での輸入化粧品販売に関し法令違反が発覚、全商品を店頭から一時撤去したと発表した。現地生産品についても原料の輸入申請で不備がある恐れがあり、販売を一時停止した。一方、同社の上海にある2つの子会社で中国人社員が集団で職場放棄をしていたことが同日、明らかになった。同社はカネボウから昨年5月に分離、産業再生機構の支援を受けて経営再建中だが、強化対象だった海外事業で不安要因を抱え込んだ。
 法令違反は昨夏、監査法人の会計監査で指摘され、昨年11月以降の内部調査で明らかになった。現地法人の上海カネボウ化粧品は1997年7月から市場調査・テスト販売の名目で年間売上高50万米ドルを上限に化粧品の輸入販売許可を得た。しかし、2000年度に売上高が上限を超えたにもかかわらず、市場調査・テスト販売名目での販売を続けていた。上限を超えた場合、卸売経営権が必要だが、同社は取得していなかった。
 日本から輸入していた現地生産品の原料で、原産地証明を取得する前に搬入していた事実も発覚した。このため、輸入品、現地生産品とも一時、店頭販売を中止した。余語会長は「過去の負の遺産とはいえ現経営陣としておわびしたい。当局の指導に従って早期に販売を再開したいが、時期のメドは立っていない」と述べた。今回の販売中止に伴う損失見込み額は最大で年間15億円。
 さらに「現地法人は違法状態を認識していたと思う」とし、既に上海カネボウ化粧品の総経理を含む経営体制を刷新したことを明らかにした。日本の本社で中国事業を担当していた部署の監督責任なども追及する方針。現地従業員の間での混乱については、一部でコミュニケーションが不足したのは事実だが、内部調査の段階では事情を説明できなかった」とした。

上海子会社集団で職場放棄 中国人社長交代に反発か
 カネボウ化粧品の上海の2つの子会社で18日、中国人社員が集団で職場放棄をしていたことが分かった。カネボウ化粧品が90%出資する上海の2つの子会社、上海カネボウ化粧品とカネボウ(上海)市場服務によると、今月13日に開いた両社の董事会(取締役会)で総経理(社長)が中国人の李一群氏から久保木俊雄氏に交代した。李氏は東京に転勤となったが、これに中国人社員が反発。久保木氏は17日の朝礼で、社員に新体制への支持を訴えたが、その翌18日に集団職場放棄となった。
 会社側では待遇や労使関係など「これまでトラブルはなかった」としている。一部で人権侵害が原因との説もあるが「全くのデマ。億測に過ぎない」(上海子会社の広報担当、ダフネ・リウ氏)と否定。総経理交代以外の理由については「東京の記者会見で発表したことだけだ」(リウ氏)としている。店頭で化粧品を扱う販売員が出勤しなかったのも法令違反が発覚したためとしている。
 もっとも、現地では18日、混乱が広がった。同日午後、上海市内の中心部にある百貨店、新世界城の一階にあるカネボウの化粧品販売店では女性が地元のタバコを売っていた。店頭からはカネボウの販売員も商品も姿を消し、イメージキャラクターの藤原紀香さんのポスターの上には関係のないタバコ会社の販促ポスターが張られていた。同市内にある両社の本社事務所も人影はまばら。中国人杜員はほとんどが出社せず、同日午後の時点では「一人ひとりに電話をかけて出社を促している」(久保木氏)状態だった。一部原料が使えない同市中心部の南にある工場も通常の稼働ができなかったようだ。


2005/1/26 カネボウ

事業ポートフォリオ再編に関するお知らせ
http://www.kanebo.co.jp/contents/fram/f_08rel.html

 当社は、「事業再生計画」に基づき、事業ポートフォリオの再編を進めておりますが、この度、当社グループ内での事業継続の可否を判断する「第3 分類」の事業について、その基本方針を決定しましたので、下記のとおりお知らせいたします。
 当社グループで継続しない事業については、今後、譲渡を進めてまいります。
 また、カネボウ繊維株式会社で行なうファミリーインナー・ギフト事業について、「第3 分類」のなかで、今回当社グループでの継続が決定した婦人インナー部門のオリジナルブランド事業とともに、本年3 月1 日を目処に当社子会社のカネボウストッキング株式会社に移管したうえで、事業の継続を決定しましたので、併せてお知らせいたします。

T.「第3 分類」事業に関する基本方針
方針決定の理由
 平成16 年5 月31 日に発表いたしました「事業再生計画」のなかで、当社は、抜本的な事業ポートフォリオの再編を進めていく方針を明らかにいたしました。その後、「第3 分類」に区分された事業につき、その成長が当社グループ内での運営により見込めるか、グループ外で見込めるかを検討しておりましたが、この度、その方針を決定いたしました。

2.当社グループで継続する事業
(1)カネボウフーズ株式会社で行なう冷菓事業
 @主な事業内容:アイスクリームの製造、販売
 A主たる事業の運営場所:群馬県多野郡(製造)
 B売上高:66 億円
(2)カネボウ物流株式会社の事業
 @主な事業内容:物流・荷役業務、各種保険・リースの販売等
 A主たる事業の運営場所:全国(営業・物流拠点数28 ケ所)
 B売上高:246 億円
(3)婦人インナー部門のオリジナルブランド事業
 @主な事業内容:婦人下着の企画、製造、販売
 A主たる事業の運営場所:東京都港区
 B売上高:5 億円
  ※カネボウストッキング鰍ノ移管予定

3.譲渡を進めていく事業
(1)カネボウレインボーハット株式会社の事業
 @主な事業内容:アイスクリームの小売販売
 A主たる事業の運営場所:全国(店舗数134 店)
 B売上高:33 億円
(2)婦人インナー部門のライセンス事業
 @主な事業内容:高級婦人用下着の企画、製造、販売
 A主たる事業の運営場所:東京都港区
 B売上高:10 億円
 ライセンス事業については、ブランド保有者(ライセンサー)の決定を待ち、新しいライセンシーと協議を進めてまいります。
(3)株式会社ショップエンドショップスの事業
 @主な事業内容:衣料品の企画、小売販売
 A主たる事業の運営場所:全国(店舗数26 店)
 B売上高:20 億円

U.事業移管
1.事業移管の理由
 移管する2事業および移管先のカネボウストッキング株式会社が行なう靴下事業の取扱い商品は全て繊維製品であり、かつ販売先の多くが重複しております。そのため、事業移管による当該事業の合体によって、流通に対するシナジー効果や生産や物流拠点の統合によるコスト削減効果の発現が期待できることから、婦人インナー部門のオリジナルブランド事業、ファミリーインナー・ギフト事業をカネボウストッキング株式会社に移管することにいたしました。

2.移管する事業
(1)婦人インナー部門のオリジナルブランド事業
 @事業内容:婦人下着の企画、製造、販売
 A売上高:5 億円
(2)カネボウ繊維株式会社で行なうファミリーインナー・ギフト事業
 @事業内容:ファミリー用衣料のOEM製造、ギフト用繊維製品の製造、販売
 A売上高:21 億円
3.移管先の概要
(1)名称 カネボウストッキング株式会社
(2)事業内容 靴下・ストッキングの製造、販売
(3)設立年月日 平成6 年9 月22 日
(4)本店所在地 大阪府大阪市北区梅田1-2-2
(5)代表者 代表取締役社長大和善久
(6)資本の額 100 百万円
(7)従業員数 188 名

4.事業移管の方法 営業譲渡
5.日程
 平成17 年3 月1日(予定) 移管(営業譲渡)日

V.当社の業績に与える影響について
 一連の事業ポートフォリオの再編に向けた取組みにつきましては、「事業再生計画」の方針に則したものであり、公表済みの当社業績予想に与える影響は軽微であると思われますが、詳細確定後、必要な情報開示を行ってまいります。