日本経済新聞 2006/12/21
パルタック、コバショウ買収 大衆薬卸再編火ぶた 「規模の拡大は不可欠」
医療用医薬品卸最大手メディセオ・パルタックホールディングスが20日、小林製薬から大衆薬卸部門を事実上買収すると発表したことで、遅れていた大衆薬卸の業界再編が一気に加速しそうだ。製薬会社や小売店は規模拡大を急いでおり、業界の枠を超えた新たな再編が浮上する可能性もある。
両社はメディ・パル傘下の日用雑貨卸パルタックと、小林製薬傘下の大衆薬卸コバショウとの統合協議を始める。メディ・パルがコバショウを買収すれば大衆薬市場シェア(メーカー直販分を含む)は2倍の20%弱、大衆薬の取扱高は1千億円超に増える。
規模拡大で価格交渉力を高め、物流効率化を進める。全国に営業網を持つパルタックと関東、近畿が地盤のコバショウの物流・営業網をどう統廃合するかが課題。
「大衆薬だけ扱っていても医薬卸は生き残れない。規模拡大は不可欠」。小林製薬の幹部は漏らす。2009年施行予定の改正薬事法をにらみホームセンター、コンビニエンスストアが医薬品販売に参入。医薬品、日用雑貨の枠を超えた卸同士の競争が激化している。大衆薬の年間生産額は97年以降、減少が続く。
医薬品卸業界では政府による医療費削減の影響が大きい医療用分野で再編が進み、医療用医薬品卸は大手4社に集約された。今後、大衆薬卸業界でも提携、経営統合など生き残り策を模索する動きが活発になりそうだ。
医薬品卸の主な企業 (単位:億円) 2006年3月期連結売上高 | |||||||||||||||||||||||||||
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(注)丹平中田は05年9月期の推計。*は単独売上高 |
1886年 | 小林忠兵衛が名古屋市に雑貨・化粧品・洋酒の合名会社小林盛大堂を開業 |
1888年 | 薬品卸部門を設立 |
1894年 | 自家売薬部門を設立し、タムシチンキなど10種の自家売薬を販売 |
1940年 | 小林製薬株式会社を設立 |
1966年 | 肩凝り薬アンメルツを発売 |
1969年 | トイレタリー分野進出第一弾となるトイレ用芳香洗浄剤ブルーレットを発売 |
1972年 | 米国C.R.Bard社と業務提携し、医療器具輸入販売の株式会社メディコン を設立 |
1975年 | トイレ用芳香剤サワデーを発売 |
1985年 | 小林脳行の営業権を譲受 |
1992年 | 医療機器事業部/小林メディカルを設立 |
2001年 | カイロ等の桐灰化学株式会社を買収 |
2002年 | 日立造船(株)より健康食品事業(杜仲茶)の譲渡受け |
2005年 | 株式会社スズケンから一般医薬品卸売事業を譲り受ける |
平成16年9月22日 小林製薬
一般用医薬品卸売事業の事業移管と業務資本提携についてのお知らせ
小林製薬株式会社(以下小林製薬)と株式会社スズケン(以下スズケン)は、本日開催の両社取締役会において、平成17年4月1日をもちましてスズケンの一般用医薬品卸売事業を小林製薬の子会社である株式会社コバショウ(以下コバショウ)に移管し、スズケンがコバショウへ出資することに合意いたしましたので、お知らせいたします。
1.事業移管の目的
【小林製薬】
小林製薬は、家庭用品製造販売事業、家庭用品卸売事業、医療機器関連事業を主要3事業として展開しており、それぞれの事業でスピーディーな意思決定に基づき、さらなる事業の強化、拡大を追求しております。
コバショウは、ヘルスアンドビューティーケア市場における中核卸としての地位確保に向け、卸の基本機能拡充を積極推進するとともに、供給商品のフルライン化を目指し、総合的営業力と商品力を速やかに向上させることを経営の第一目標としております。
その一環として、かねてより提唱する「全国展開」「年商3000億円構想」に向け、現在、M&Aを積極的に推進しておりますが、今回の業務資本提携は、経営目標に沿った一連の活動の延長線上によるものであります。
コバショウとしては、今回の事業移管に伴う規模の拡大により、投資負担の軽減等による徹底したローコストオペレーションが実現され、さらにはお取引先様との交渉力強化による総合的営業力の向上、魅力ある新規商材の取扱い拡充が達成されるものと判断しております。さらに、スズケンより経営参画をしていただくことによる経営戦略上・営業戦略上の先進的サポートを享受できるメリットも非常に大きいと考えております。
医薬品卸業界の環境が激化する中、コバショウは、経営基盤をより強化し、卸機能を高度化し、お取引先様のご要望・ご期待にお応えできる卸、社会に貢献できる卸を目指していく上で、今回の業務資本提携を実施するという結論に至りました。
【スズケン】
スズケンは、長期経営目標として「連結売上高2兆円」「連結ROE10%」を掲げており、その目標を達成するために医療用及び一般用医薬品の兼業卸として事業の発展に邁進してまいりました。
また、かねてよりスズケンは、自社の持つ全ての事業の再編を進めており、一般用医薬品卸売事業においては、昨今のセルフメディケーションに関する意識高揚や医薬品販売に関する規制緩和の進展により、医薬品を取り扱うお得意様の業態の広がりや、取扱い製品カテゴリーの拡大など、市場は大きく変化しております。これらの現状を鑑み、今後お得意様の多様化するニーズに対しまして、今以上にご期待に沿うよう営業体制を速やかに強化する必要性を痛感しておりました。
このような中、あらゆる方向性を追求・検討した結果、専業卸として高いノウハウを持つコバショウと共に一般用医薬品卸売事業を発展させ、スズケンはコバショウに出資するという形に加え、役員や従業員など人的資源の面でも経営に参加して行くことが、お得意様にとりまして最もメリットが大きいと考えました。
この度の業務資本提携は、両社が営業・物流・システムなどの面において協力することで、今後一層、お得意様へのサービス水準を向上させることを目的としたものであります。