日本経済新聞 2003/3/16
三井物産 欧米の新薬生産受託 日本の化学メーカー活用
三井物産は欧米の製薬会社を対象として、新薬の生産方法の開発や製造を受託する事業を始める。欧米の製薬会社がコスト低減の動きを強めていることに着目。アウトソーシング(業務の外部委託)を希望する製薬会社を募り、国内の化学メーカーなどに紹介する。
医薬情報提供のファーマビジョン社(東京・中央)と提携し、ホームページ「ファーマ・アウトソーシング・ドット・コム」を開設した。英語で日本の医薬情報や業務受託する化学メーカーの詳細な事業内容などを提供、製薬会社のアウトソーシングのニ−ズをくみ上げる。
三井物産は海外の見本市などを通じて新事業の認知度を高め、軌道に乗せたい考えだ。製薬会社との交渉や契約では全額出資子会社のべ−タ・ケム(東京・千代田)が協力、3年後に年間150億円の売上高を見込む。
同事業を利用すると製薬会社が生産コストを下げられるほか、日本の化学メーカーは設備稼働率を向上できるという。医薬業界の競争が世界的に激化していることから、新薬開発や生産などのコスト引き下げが各製薬会社の課題となっている。
2002/02/21 三井物産
医薬製剤外注で新展開
〜他社ブランド品の買い取りも含め、富士製薬と提携〜
三井物産は昨年、新薬の原料調達・生産方法の開発を請け負う新会社ベータ・ケムを設立し、新薬開発支援並びに新薬原薬アウトソーシング事業に乗り出しましたが、それに加え製薬会社向け一般原料の調達(少量多品種である製薬企業共通の合成・製剤原料の生産部分からの直接調達プログラム)と製剤アウトソーシングに関して、富士製薬工業株式会社(本社:東京都足立区、社長:今井
博文)と共同で事業モデルの構築を図って行くことで合意しました。
製剤アウトソーシングに関して三井物産は既に富士製薬向けにライセンシング形式でタイOLIC社にて軟膏剤の現地生産を開始済みです。 日本の医薬法制が製造承認が販売承認へ切替れば、製薬会社は製造設備を保有せず医薬品の販売が可能となり、この流れは一気に加速する事が予想されます。三井物産は購買支援システムと併せて同機能を富士製薬以外にも順次横展開していくと同時に、ベータ・ケムの新薬対応機能と製剤アウトソーシング機能の両輪で医療用医薬品の一貫受託体制の構築も図ります。
また製品販売においても、三井物産と富士製薬は共同で大手先発製薬メーカーの長期収載品を、その製造・販売・商標権全てを買取り先発メーカーブランドでの製造・販売継続を行う医薬品販売戦略を共同展開する事で合意、まずは富士製薬が強みとする産婦人科・放射線科・麻酔科領域で展開を図り順次展開分野を拡大、また富士製薬は従来販売のジェネリック医薬品拡販の相乗効果を狙い、生産体制強化のため同社は新工場を建設中で本年5月より稼動予定です。
尚、ジェネリック薬に関しては2002年度の診療報酬改定で中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)で「後発医薬品の使用促進」についての基本方針を了承され、現在5000億円前後のジェネリック市場は2〜3年後には年1兆円規模に急拡大することが予想されており富士製薬も2003年9月期には売上高80億円を見込んでいます。
三井物産は製造体制展開と共に医薬品市場での物流展開も視野に入れた総合サービスの充実を図っていきます。
尚、三井物産は富士製薬との関係強化のため同社株式を1月18日付けで5.55%取得し、現在富士製薬の法人筆頭株主です。
富士製薬工業概要:
2001年9月期 売上62億円、経常利益10億円、税後利益5.2億円。医療用医薬品のジェネリックメーカー。剤形別では注射剤に、薬効別ではホルモン剤、診断用薬、診療域では
産婦人科、放射線科に経営資源を集中的に投入。Niche
Majorrを目指し、「コアコンピタンスの再強化、勝てる戦いに集中する」経営を行っている。主力商品は、HCG、HMG
注射剤(不妊治療用)、イオパミドール・イオヘキソール(尿路・血管造影剤)など。富山に注射剤新工場を建設中(本年5月より稼動、20億円の投資)、この新工場にて、薬理活性の高いホルモン剤の交叉汚染防止、多品種少量同時生産に対応した生産システムの構築。これらの商品群から外れる外用剤、抗生物質などは全て外部に製造をアウトソーシングする方針。2003年9月期には売上80億円、ROA10%を目指す。
OLIC社概要:
1984年Dow chemicalの現地関連会社であるLepitit社からDiethlem
Holding社(スイス)が買収。タイで最大のOEM受託会社。従業員は臨時職員も含め800名。錠剤、カプセル、クリーム、軟膏、注射剤等の生産ラインを持ち、欧州医薬品大手からの受託実績あり。
http://www.cmcbooks.co.jp/magazine/fc/fcback/fcback020501_15.html#08
三井物産は2001年10月に製薬会社の医薬原体・中間体などの調達,製造方法の開発を請け負う新会社「ベータ・ケム」社を全額出資で設立した。製薬企業の置かれた急激な環境変化に対応した新ビジネスモデルの展開であり,開発部門の責任者として医薬品合成プロセス分野の世界的第一人者である新開一朗氏(米メルク社で抗生物質や抗エイズ薬の開発を指揮,開発部門担当の元上級副社長,元エーザイ常務)をCS(Chief
Scientific Officer)として迎えての出発である。製薬企業は近年,主たる収益源となる新薬の開発により多くの資源を投入すべく,医薬品製造に関わる設備投資を最小限とし,積極的に医薬原体・中間体の製造をファインケミカル会社にアウトソーシングしてきている。ベータ・ケム社はこの製造の部分はもちろんのこと,新薬開発のスピードアップにきわめて重要な合成プロセスの開発部分までまとめて引き受け,事業を展開する。
Apr 24, 2003 Chemical Week
Mitsui & Co. Merges Pharma Units
Mitsui & Co. says it plans to merge its pharmaceutical
intermediates and bulk actives division into subsidiary company Beta-Chem, a process developer and contract
manufacturer for active pharmaceutical ingredients and
intermediates. Beta-Chem is targeting growth in Japan, resulting
from the revision of the country's Pharmaceutical Affairs Law,
which will make it easier for drug firms to outsource production.
It already has outsourcing contracts with Takeda Chemical and
Eisai, Mitsui says.