2006年12月14日 オリンパス/テルモ

オリンパスの生体材料事業とテルモのコラーゲン事業を統合し新しい生体材料に関する共同事業を開始

オリンパス株式会社(以下、オリンパス)とテルモ株式会社(以下、テルモ)、およびオリンパスの100%子会社であるオリンパスバイオマテリアル株式会社(以下、OBM)の3社は、2007年4月1日からOBMをオリンパス、テルモの共同出資会社とし、生体材料に特化した共同事業を開始することに本日合意いたしました。

この共同会社では、生体材料と再生医療を事業とするOBMテルモのコラーゲン事業を統合することで、両社の技術を融合させた新しい製品の開発を目指し、整形外科、歯科、口腔外科、形成外科、皮膚科等における生体材料事業を展開してまいります。

なお、これを機にOBMは、「オリンパス テルモ バイオマテリアル株式会社」に社名変更し、3年後に50億円の売上を目指します。

オリンパスとテルモは、2005年に包括的業務提携を強化いたしました。以降、両社で、循環器疾患、がん、骨疾患(整形外科)領域などの分野で新しい医療機器の開発や新市場の共同開拓について検討を重ねてまいりました。このたび、業務提携強化の一環として、共同出資会社による事業を開始することへの合意に至りました。生体材料に特化して一貫した事業体制を整えることで、両社の技術シナジーを活かし新しい製品の開発を目指すとともに、生体材料事業のより一層の拡大を狙います。

共同事業の目的
近年の急速な高齢化に伴い、骨折や骨腫瘍といった骨疾患が増加しており、一般的な治療では、骨の欠損部に人工骨や自家骨を移植する手術が行われています。特に、人工骨においては、自家骨移植に比べて外科的侵襲が軽減されQOLの向上が期待できる理由から市場が拡大しつつあります。

生体の骨は、主にリン酸カルシウムとコラーゲンから出来ています。人工骨の開発において、リン酸カルシムはOBMが、コラーゲンはテルモが製造技術・ノウハウを持っているため、両社の技術を融合することで、より生体の骨に近い、新しい人工骨複合材(セラミックス粒子とコラーゲンを複合化させた人工骨など)の開発が期待できます。また、テルモの生体アクセス技術とOBMの生体材料の組み合わせや販売市場の拡大等、両社の技術・販売シナジーを活かして、将来的には、身体に優しい生体材料の開発により、新たな低侵襲治療の市場を創生していきます。

各社の技術の経緯

オリンパス/オリンパスバイオマテリアル
オリンパスは、1999年よりβ-TCP(ベータリン酸三カルシウム)を成分とする「骨補填材 オスフェリオン」を販売しております。2004年には、当該事業を100%子会社のOBMとして分社しました。2005年には、ハイドロキシアパタイトを主成分とする「骨補填材 ボーンセラム」の事業を住友大阪セメント(株)と住友製薬(株)から譲り受けました。OBMはこれらの製品を、日本で販売しております。

テルモ
テルモは、1993年よりコラーゲンを成分とする人工皮膚「テルダーミス 真皮欠損用グラフト」を熱傷、外傷、潰瘍、腫瘍切除などによる重度の皮膚・粘膜欠損の治療用に販売しています。また、1998年には、抜歯後の治癒を促進させる「テルプラグ」を発売しました。テルモはこれらの製品を、日本をはじめ、米国、韓国、台湾等の海外にも販売しております。

オリンパス テルモ バイオマテリアル株式会社の概要

社名 オリンパス テルモ バイオマテリアル株式会社
(英文名:Olympus Terumo Biomaterials Corp.)
代表者 代表取締役社長 水野均
(現在、オリンパスバイオマテリアル株式会社 代表取締役社長)
本社所在地 東京都新宿区西新宿2-3-1 新宿モノリス
事業内容 セラミックス人工骨・コラーゲンなどの生体材料および再生医療に関する研究開発、ならびに製造販売
資本金 7,207万円
出資比率 オリンパス66.6%(192,000株)、テルモ33.4%(96,290株)
事業開始 2007年4月1日 予定
従業員数 約60名


日本経済新聞 2007/11/20

オリンパスが買収 英医療機器ジャイラス
 2100億円 手術器具事業を強化

オリンパスは19日、英医療機器メーカーのジャイラス(バークシャー州)を約2100億円で買収すると発表した。ジャイラスは泌尿器や婦人科などの分野の手術器具に強みを持つ。胃や大腸分野が主力のオリンパスは製品領域を広げ、欧米での販路を拡充する。手術器具の分野は利益率が高いうえ、市場は2ケタのぺースで伸びており、大型のM&A(合併・買収)で収益基盤を固める。
 ジャイラスの全株式を9億3500万ポンドの現金で買い取る。資金は手元の現預金と国内金融機関からの借り入れで調達。ジャイラスの取締役会の同意を得ており、米欧の独禁当局の承認を得たうえで、2008年6月までに買収手続きを完了する見込み。
 オリンパスの医療事業の07年3月期の売上高は3117億円。全体の約3割だが、営業利益では部門利益合計の約7割を占める。主力事業の一つであるデジタルカメラは市況に左右されやすいうえ利益率も低く、医療を収益源として今後も拡充していく方針。
 ジャイラスの06年12月期の売上高は約500億円、従業員は1400人強。ロンドン証券取引所に上場している。オリンパスにとり、ジャイラス買収は過去最大のM&A案件となる。M&A仲介のレコフによると、日本企業による海外企業を対象にした「内ー外型」のM&Aは07年1−10月までで約1兆5千億円(公表べース)。06年(約8兆5千億円)より金額は少ないが件数は増加傾向にある。
 金額の大型化も最近の内ー外型買収の特徴。オリンパスによるジャイラス買収は、被買収会社の有利子負債も含めれば、キリンホールディングスの豪ナショナルフーズ買収(2940億円)に次ぐ今年2番目の規模となる見通し。
 上場企業の08年3月期の連結経常利益は5期連続で過去最高を更新する見通しだが、けん引するのは新興国など海外に展開する企業だ。みずほ証券の北岡智哉ストラテジストは「円高などの外部環境も、日本企業にとってM&Aをやりやすくなっており、今後も同様の動きが続くだろう」と指摘している。

最近の日本企業による海外企業買収
買収者 対象企業 金額
(億円)
JT 英ガラハー 22,500
東芝など 米ウエスチングハウス 6,210
日本板硝子 英ピルキントン 6,160
キリンホールディングス 豪ナショナルフ一ズ 2,940
ダイキン工業 OYLインダストリーズ
(マレ一シア)
2,438
オリンパス 英ジャイラス 2,117
旭テック 米メタルダイン 1,373
(注)レコフ調べ。一部予定、推測を含む


2007/11/19 オリンパス

英国Gyrus Group PLC社の買収手続き開始の合意について

 当社は、ロンドン証券取引所に上場している英国医療機器会社であるGyrus Group PLC(英国、以下「ジャイラス社」)と、同社の発行済全株式を現金にて取得し、完全子会社化(以下、「本件買収」)する手続きを開始することに合意しましたので、下記のとおりお知らせします。

 オリンパスとジャイラス社は、英国公開買付パネル(The UK Takeover Panel)に従い、ロンドン市場においてオリンパスがジャイラス社を現金で買収することに両社が合意したことを共同で発表しました。

1.買収提案の背景
 世界における医療機器市場は、我が国に代表される先進国での高齢化社会の到来による最新医療へのニーズの高まりや、新興国での医療水準の向上等により、堅調に拡大を続けています。その中でも、患者さんが手術を受ける際の苦痛や身体的負担を減らすことができる「低侵襲治療」への注目が年々増しており、関連機器の需要が高まっています。同治療法は、経済性にも優れており、医療費の増大が懸念される今日にあって、医療費抑制を実現する治療法としても期待されています。

 当社では、2006年を初年度とした3年間の経営基本計画(2006年5月発表)において「企業価値の最大化」を経営目標として掲げ、そのひとつの重点施策として、医療事業分野でのさらなる高成長・高収益のビジネス基盤確立に取り組んできました。

 このたび当社が、低侵襲治療分野の高周波などのエネルギー技術に強いジャイラス社を買収することで(両社合計医療事業売上高3,600億円(注1))、同分野における理想的な補完関係が実現でき、当社のビジネス基盤がさらに拡大します。当社は今回の買収を通じ、同分野での開発と商品展開の強化を加速させ、医療機器メーカーのリーディングカンパニーとして、患者さんに、さらに体にやさしく、信頼性が高く、効率性の優れた治療技術を提供することで、より良い医療の実現に向けて貢献していきます。

(注1)当社の2007年3月期実績およびジャイラス社の2006年12月期実績の単純合計であり、日英両国の会計基準の相違についての調整は行っていません。ジャイラス社の実績については英国ポンド・日本円の為替レートを便宜上1英国ポンドあたり226.32円(平成19年11月16日時点)で換算しています。

2.買収のメリット
(1)低侵襲治療分野における理想的な補完関係
 今回の買収により、伸び続ける低侵襲分野での当社の商品ラインナップをさらに強化し、外科手術のさらなる低侵襲化に貢献していきます。

(2)全世界での販売網の拡充
 今回の買収によって、当社の全世界での販売網をさらに拡充することができ、特にジャイラス社が得意とする米国での泌尿器系・婦人科系領域での拡大を見込んでいます。

(3)ベストプラクティスの共有とシナジー効果の創出
 両社がこれまで培ったベストプラクティスを共有化するとともに、販売網や材料調達をはじめとした分野でシナジー効果を達成し、さらなる売上の増加と収益性向上を目指します。

3.買収金額
 ジャイラス社とは、同社普通株式1株当たり630ペンス(約1,426円(注2))で合意しました。買収総額は約9.35億ポンド(約2,117億円(注2))を予定しています。当社は、デュー・デリジェンス等を通じて、ジャイラス社の資産内容、事業内容他、潜在的シナジー等について総合的に検討を重ね、今回の買付価格が公正かつ妥当なものであると判断しました。
(注2)英国ポンド・日本円の為替レートを便宜上1英国ポンドあたり226.32円(平成19年11月16日時点)で換算しています。

4.買収手法および手続き
 本件買収は、英国法に基づくスキーム・オブ・アレンジメント(Scheme of Arrangement)により実施される予定です。スキーム・オブ・アレンジメントとは、英国法上の一般的な買収手続きであり、ジャイラス社の取締役会の同意に基づき、競争法当局、同社の株主総会および裁判所の承認を満たすことにより買収が成立する、友好的な買収手法です。
 本件買収完了には、ジャイラス社臨時株主総会で出席株主の過半数が承認し、かつ、かかる承認株主の所有する議決権数が議決権行使総数の75%以上であることが決議要件となります。なお、同社株式の取得は、当社が100%出資して新規設立した買収主体法人(商号:Olympus UKAcquisitions Limited、所在地:英国)を通じて、ジャイラス社の100%の株式取得を行ないます。
 本件買収の完了は同スキームによって、2008 年前半での実施を予定しています。

5.資金調達
 本件買収のための資金は、当社が保有する手元資金および金融機関からの新規借入の組み合わせにより充当する予定です。

6.当社業績への影響
 2008年3月期当社業績への具体的な影響額については、適切な時期に開示する予定です。

≪参考:ジャイラス社の概要≫
商 号: Gyrus Group PLC
所 在 地: 英国バークシャー州
設 立: 1989 年