2004/02/18 ユート・ブレーン

２００３年世界の大手メーカー医薬品売上ランキング　速報版
http://www.utobrain.co.jp/news-release/2004/021800/

　ユート・ブレーンは、「世界大手医薬品メーカーの医薬品売上ランキング」をまとめた。例年、日本のメーカーの３月期決算詳細が公表された後の６月に公表しているが、今年はフランスのサノフィ・サンテラボによるアベンティスの買収提案が行われていることもあり、世界で８０億ドル以上の大手１５社の速報版としてまとめたもの。（2004/02/17）

２００３年は１００億ドル以上が１２社
　ユート・ブレーンのまとめた大手メーカーの医薬品売上ランキングは、欧米大手各社の決算発表に基づき、医療用医薬品売上を抽出してまとめたもの。２月１６日に決算発表を行ったサノフィ・サンテラボの数字を加えてまとめた。日本の武田薬品工業については、今期から四半期決算が発表されているため、４〜１２月の医療用医薬品売上に、２００３年１〜３月の推定数字（非公表）を加えて、２００３年１〜１２月の売上とした（２００２年は２００３年３月期の売上）。為替レートはすべて各年１２月末のレートで米ドルに換算している。（注：ここでの医療用医薬品売上は、ヒト用の医療用医薬品、ワクチン、造影剤などの売上であるが、サノフィ・サンテラボは大衆薬を含む。表の伸び率は、各社の公表数字に基づくものであり、米ドル換算数字の比較ではない。）

　２００３年の医療用医薬品売上ランキングでは、１００億ドル以上が１２社（２００２年と同じ）、８０億ドル以上が１５社（２００２年は１２社）となった。１６位はシェリング・プラウ（６６億７２００万ドル、２４．１％減）またはベーリンガー・インゲルハイム（非上場で４月頃発表）のいずれかが続くが、８３億ドルを超える１５位のアムジェンから１５億ドル以上開く見込み。なお、アボット・ラボラトリーズの数字は米医薬品部門と海外医薬品部門の売上合計であり、他の病院部門等に含まれる医薬品売上（麻酔薬やジェネリック注射剤を含む）を加えると約１１４億ドルと、同社決算発表時のプレゼンテーションで述べている（この詳細は例年非公表）。そのため、１００億ドル以上はアボットを加えると１３社となる。

　トップのファイザー（３９６億３１００万ドル）は、昨年ファルマシアを買収したが、買収完了が４月１６日付けであり、旧ファルマシアの売上はそれ以降の数字のみ計上されているため、２００２年のファイザー＋ファルマシアの合計（４０３億２５００万ドル）より少なくなっている。ファイザーの研究開発費（表でＲ＆Ｄ費）は７１億ドルを超え、２位のグラクソ・スミスクラインを２２億ドル上回った。このＲ＆Ｄ費については、医薬品またはヘルスケア部門のＲ＆Ｄ費を公表しているメーカーはその金額、そうでない場合は全社の金額を示している。

　２００３年の特徴としては、ドル安ユーロ高の影響を受け、米売上の多いヨーロッパのメーカーは伸び率が抑えられる一方、米メーカーで好調なところはヨーロッパ売上が為替分上乗せされて２桁の伸びとなったことが第一に挙げられる。米大手で伸び率が１桁のメーカーは、実際にはパテント切れに伴う大型品の売上減少など厳しい状況にある。特に、超大型品のパテント切れが近づくメーカーも増えており、それに代わる新製品を出せるかどうかが今後の大きなカギを握っている。

　サノフィ・サンテラボとアベンティスを合計すると、３００億ドルを超えて世界３位となる。フランス政府も、フランス国籍の世界的大手が誕生するのを歓迎しており、買収価格が少し低いという懸念があるが、買収に成功する可能性は高いとみられている。

2003 年世界大手の医薬品売上