平成17 年8 月22 日 塩野義製薬

子会社の異動ならびに平成18 年3 月期業績予想の修正について
http://www.shionogi.co.jp/contents/tousika/news/detail/050822.pdf

 塩野義製薬株式会社(社長:塩野元三)は、平成17 年8 月22 日の開催の取締役会において、当社の子会社であるシオノギクオリカプス・グループの保有全株式をカーライル・グループ(日本における代表者:安達保)に譲渡することを決定し、株式譲渡契約を締結致しましたので下記の通りお知らせ致します。

1. 異動の理由および方法
 製薬企業をとりまく厳しい競争環境の中で、塩野義製薬は従来より経営資源を医薬品事業に集中して参りました。塩野義製薬では、シオノギクオリカプス株式会社、シオノギクオリカプスS.A.、シオノギヨーロッパB.V.およびシオノギクオリカプスINC. から構成されるクオリカプス・グループはグローバルで既に業界第二位の地位にあり、グループ独自で発展していくための事業基盤が既にあると考えており、その潜在的成長力を最大限引き出すことが期待されるカーライル・グループへの譲渡を今般決定致しました。

2. 異動する子会社の概要

シオノギクオリカプス株式会社(以下、SQKK)
 (1) 商号 シオノギクオリカプス株式会社 (Shionogi Qualicaps Co., Ltd)
 (2) 代表者 代表取締役社長 平地 富安(現塩野義製薬執行役員)
 (3) 所在地 奈良県大和郡山市池沢町321-5
 (4) 設立年月日 1965 年4 月26 日
 (5) 事業内容 ハードゼラチンカプセル及びHPMC カプセルの製造販売、カプセル充填機、シール機および関連機器の製造販売
 (6) 発行済株式総数 800,000 株(100%塩野義製薬保有)

シオノギヨーロッパB.V.(特定子会社)(以下、SEBV)
 (1) 商号 シオノギヨーロッパB.V. (Shionogi Europe B.V.)
 (2) 代表者 塩野 元三, Managing Director(現塩野義製薬代表取締役社長)
 (3) 所在地 オランダ、アムステルダム Locatellikade 1, Parnassustoren, 1076 AZ Amsterdam
 (4) 設立年月日 1992 年6 月17 日
 (5) 事業内容 欧米事業会社の持株会社
 (6) 発行済株式総数 35,910 株(100%塩野義製薬保有)

シオノギクオリカプスS.A.(特定子会社)(以下、SQSA)
 (1) 商号 シオノギクオリカプスS.A. (Shionogi Qualicaps, S.A.)
 (2) 代表者 Carlos Martinez Sierra, President & General Manager
 (3) 所在地 スペイン、Calle de la Granja, 49 28108 Alcobendas, Madrid
 (4) 設立年月日 1992 年9 月10 日
 (5) 事業内容 ハードゼラチンカプセル及びHPMC カプセルの製造販売、カプセル充填機、シール機の販売
 (6) 発行済株式総数 1,562,600 株(23%塩野義製薬保有、77%シオノギヨーロッパB.V.保有)

シオノギクオリカプスINC.(特定子会社)(以下、SQI)
 (1) 商号 シオノギクオリカプスINC. (Shionogi Qualicaps, Inc.)
 (2) 代表者 Gregory L. Bowers, President & CEO
 (3) 所在地 国ノースカロライナ州、6505 Franz Warner Parkway, Whitsett, NC 27377-9215
 (4) 設立年月日 1992 年6 月10 日
 (5) 事業内容 ハードゼラチンカプセルの製造販売、HPMC カプセルの販売及びカプセル充填機、シール機の販売
 (6) 発行済株式総数 34,000,000 株(100%シオノギヨーロッパB.V.保有)

カプセル事業の最近事業年度における業績動向(連結) 単位:百万円

  平成16年3月期 平成17年3月期

売上高

11,651

12,132

営業利益

1,359

1,560

経常利益

1,015

1,358

当期純利益

351

636

総資産

18,717

19,008

株主資本

11,771

12,143

3.譲渡株式数および譲渡前後の所有株式の状況

異動前の所有株式数 SQKK 800,000 株、 SEBV 35,910 株、 SQSA 360,600 株
譲渡株式数 SQKK 800,000 株、 SEBV 35,910 株、 SQSA 360,600 株
異動後の所有株式数 SQKK 0 株、 SEBV 0 株、 SQSA 0 株

4. 株式譲渡先
(1)名称 カーライル・グループ
(2)主な事業内容 投資事業
(3)設立年  1987年
(4)本店所在地  ワシントンD.C.
(5)代表者  Daniel A. D’Aniello
(6)当社との関係 なし

5. 株式譲渡の日程
 平成17 年8 月22 日 取締役会決議、株式譲渡契約締結
 平成17 年10 月予定 株式譲渡

6.業績予想の修正 略


日本経済新聞 2008/9/2              発表

塩野義、米中堅医薬を買収    
ScielePharma, Inc.
 自前の販売網構築 1500億円投じ完全子会社化

 塩野義製薬は1日、米ナスダック上場の中堅製薬会社、サイエル・ファーマを買収すると発表した。総額で14億2400万ドル(約1500億円)」を投じ、完全子会社にする。全米に約800人の従業員を持つサイエルを傘下に収め、世界最大の医薬品市場である米国での販売体制を強化する。

 塩野義は10営業日以内にTOB(株式公開買い付け)を開始。1株当たり31ドルで全株取得を目指す。過去6カ月の平均株価に対する上乗せ幅(プレミアム)は57%で、開始から20営業日で買い付けを終える予定。サイエルの取締役会はTOBに全会一致で賛同している。
 全株を取得した場合の買い付け額は10億9700万ドル。これに転換社債(CB)の元本部分の償還費用3億2500万ドルを合わせた額が買収総額となる。手元資金と借り入れで手当てする。
 国内勢の間では合併により生き残りを目指す製薬再編が続いてきた。塩野義はのみ込まれるのを懸念し、一歩引いていたが、米社買収により世界最大の市場で自前の販売網を築き、単独での生き残りを狙う。
 製薬大手各社が新薬不足に悩むのに対し、塩野義は米国子会社を通じ抗肥満薬やアトピー性皮膚炎治療薬などの新薬候補物質を開発、2012年前後に発売を期待できる薬が3種類ある。武田薬品工業やエーザイが新薬候補物質を取り込む狙いで買収に巨額の資金を投じたのと違い、塩野義は米国での売り上げを最大化する販売網の構築を優先させる。
 米製薬大手のファイザーなど買収を繰り返し規模を追った欧米勢も、必ずしも新薬開発の生産性向上に結び付かず、リス
トラに追い込まれる例が相次いでいる。塩野義はメタボリック(内臓脂肪)関連、感染症などに分野を絞って開発の効率を上げる考えだ。
 サイエルは1992年設立。07年12月期の売上高は3億8200万ドル、純利益は4500万ドル。
 国内大手では武田や第一三共が米バイオベンチャーやインドの後発薬大手を買収し、海外展開で先行している。

今年の主な大型M&A

発表
時期
買収企業 被買収企業 金額
2月 武田薬品工業 米アムジェン日本法人     900
4月 武田薬品工業 米ミレニアム・ファーマシューティカルズ    8,800
5月 大塚製薬 仏アルマ    1,200
6月 第一三共 印ランバクシー・ラボラトリーズ 最大 5,000
7月 TDK 独エプコス    2,000
8月 リコー 米アイコンオフィスソリューションズ    1,721
キリンホールデイングス 豪デアリーファーマーズ     840

(注)単位億円、企業名は発表時のもの、金額は会社発表数値をもとにし、一部日経推定を含む

 

特許切れ控え 海外に照準
 日本企業の国外M&A 世界的株安背景に急増

 塩野義製薬が米サイエル・ファーマの買収に踏み切った背景には、国際展開が遅れれば生き残れないという危機感がある。数百億円かかる新薬開発費を回収するには日本市場に依存する体質からの脱却が必要。武田薬品工業など大手に続き準大手でもM&A(合併・買収)で海外展開を一気に進める動きが出てきた。
 塩野義は主力の高脂血症治療薬「クレストール」の特許切れを2016-17年に迎える。米国での販売網整備は最優先課題だった。
 クレストールの発売時には1品目のみで海外に出ていくのはリスクが高いとして、海外独占販売権を英アストラゼネカに
供与した。だが販売を他社に任せていては需要増を十分に取り込めない。「2つ、3つと製品を安定的に出していける見通しになった今が時機」(手代木功社長)と、一気に動いた。
 日米での医薬品開発や他社との提携などにかかわってきた手代木氏は今年4月に社長に就任したばかり。「米国市場への橋頭堡を築くことが使命」と、就任直後の5月に交渉に着手。3カ月余りで買収をまとめ上げた。
 薬価引き下げなどが響き日本市場の存在感が低下していることも製薬会社の背中を押す。世界の医薬品市場で、日本は1996年に18%のシェアがあったが、現在は1割程度。海外での売上高を伸ばす戦略が一段と重要になっている。
 米国に端を発した金融不安が響き、M&A案件は世界的に減っている。ただし日本企業による海外企業の買収は逆に急増。食品のキリンホールディングスや電子部品のTDK、事務機器のリコーなど、製薬業界だけの動きではない。世界的な株安局面は、財務体質が強固で手元資金が豊富な日本企業にとって格好の買い時ともいえる。


平成20年9月1日 塩野義製薬 

当社による米国医薬品会社 Sciele Pharma, Inc.買収について

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、社長:手代木功、以下「塩野義製薬」)と、米国Sciele Pharma, Inc.(本社:米国ジョージア州アトランタ、CEO and Director:Patrick P. Fourteau、以下「サイエル社」)は、塩野義製薬が現金による株式公開買付け及びそれに続く現金を対価とする合併によりサイエル社を買収することについて、本日最終契約を締結しましたのでお知らせいたします。
 塩野義製薬は合意内容に基づき、米国完全子会社を通じた公開買付けによりサイエル社の発行済普通株式の総数を合計約11億ドル(一株あたり31ドル)で買収します。買収後サイエル社は塩野義製薬の完全子会社となり、ジョージア州アトランタにおいて事業を継続することが予定されています。塩野義製薬・サイエル社両社の取締役会は本件を承認しておりますが、本件の実行には米国独占禁止法に基づく条件の充足その他一般的な前提条件の充足が必要となります。なお、本件終了後も、サイエル社の従業員は全員継続雇用となります。

1.サイエル社買収の目的
 当社は、現在取り組んでおります第二次中期経営計画において、グローバルに通用する自社製品の開発に注力してきた結果、今後、グローバルな臨床開発を期待できる候補物質も含め自社の開発品が充実しつつあり、米国連結子会社シオノギUSA, Inc.(以下「シオノギUSA」)を通じて海外での臨床開発を積極的に進められる状況が整ってきました。また、こうした状況に伴い、当社の中長期的な成長に向けた課題として、海外での販売体制の整備が急務となってまいりました。
 サイエル社は、米国市場において循環・代謝領域、婦人科領域、小児科領域等に特化した事業を展開する製薬企業です。同社は、患者第一主義、健康と生活の質の改善、起業家精神、革新性、実行スピード、ビジネスのシンプルさ、チームワークといった、特徴的な事業基盤に基づいた活動により、着実に販売を拡大しており、こうした同社の考え方や活動は、塩野義製薬の企業理念や方向性と一致しております。
 また、同社のPatrick P. Fourteau CEOは、「広範囲に及ぶ製品パイプラインを有する日本の大手製薬企業である塩野義製薬の一部となることで、サイエル社はより強い会社となります。塩野義製薬は、サイエル社の成功を導いてきた起業家精神、革新性、実行スピード、ビジネスのシンプルさ、チームワークに溢れる事業基盤が継続されることを期待しています。サイエル社の既存の経営陣が引き続き事業の運営にあたることとなり、米国における塩野義製薬の持続的成長と収益力に貢献できることを光栄に思っています。」と述べています。
 当社にとりまして、今回のサイエル社の買収は、米国における
販売体制の整備はもとより、米国でのプレゼンスを更に確立させ、自社開発品の価値を十分に実現し、今後の長期的な成長をより確実なものにするために重要な投資であると考えております。
塩野義製薬は今回の買収による効果を最大限に実現するために、シオノギUSAにおける既存の事業活動と共に、自社開発品を充実させ、海外での開発を今後さらに積極的に進めてまいります。

2.買付け等の概要
(1) 公開買付け実施者 Tall Bridge, Inc.
 本買収のため、当社は、Shionogi USA Holdings, Inc.(本社:デラウェア州、以下「SUHI」)を、またSUHIの完全子会社として買収子会社 Tall Bridge, Inc.(以下「TBI」)をそれぞれ設立します。本公開買付け終了後、TBIはサイエル社に吸収合併され、合併後の会社はSUHIの完全子会社となります。
(2) 公開買付けの対象会社 Sciele Pharma, Inc.
(3) 買付け期間
 買付け期間はサイエル社との合意の日(米国時間2008年9月1日)から10営業日以内に開始され、開始後20営業日で終了します。 なお、買付け条件が充足されない場合は、買付け期間の延長を実施する可能性があります。
(4) 買付け価格 1株あたり31ドル
(5) 買付け等に要する資金 約1,424百万ドル
 サイエル社発行済株式総数(完全希薄化後ベース)に(4)の1株あたり買付け価格を乗
じた金額約1,099百万ドルと、転換社債の元本部分の償還に係る金額325百万ドルを合計した総額を記載しています。
(6) 買付けによるサイエル社株式の保有割合の異動
 本公開買付け前の保有割合 0%
 本公開買付け後の保有割合 100% (本公開買付けにより、サイエル社株式の100%を買付けることができた場合)

3.サイエル社の概要
(1) 商号 Sciele Pharma, Inc.
(2) 事業内容
 サイエル社は、循環・代謝領域、婦人科領域、小児科領域等に特化した、医療用医薬品におけるブランド製品の販売、マーケティング、研究開発の事業を展開する製薬企業です。同社は循環・代謝領域で高コレステロール血症、高血圧、高トリグリセライド血症、不安定狭心症、2型糖尿病に対する治療薬を、婦人科領域では女性および母子の健康を改善する製品を、小児科領域ではアレルギー、喘息、咳・風邪、注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療薬をそれぞれ提供しています。
(3) 設立年 1992年
(4) 本社所在地 米国ジョージア州アトランタ
(5) 代表者 CEO and Director Patrick P. Fourteau
(6) 資本金 32千ドル(2008年6月30日現在)
(7) 発行済株式総数 普通株式31,640,148株(2008年7月28日現在)
(8) 決算期 12月期
(9) 従業員数 920名(2007年12月31日現在)


日本経済新聞 2008/9/12

医薬M&A 変わる再編力学
 「準大手」塩野義、自力で海外展開
   国内市場縮み危機感

 塩野義製薬が米中堅製薬会社サイエル・ファーマを約1500億円で買収すると発表した1日、国内製薬大手の幹部は「外資に買われたのかと思ったが、買ったとは驚きだ」とつぶやいた。塩野義は常に製薬業界の中で「買われる」対象だった。アレルギー疾患薬に食欲を抑える肥満症治療薬、抗エイズウイルス(HIV)薬など、新薬候補物質は豊富。しかし海外展開が遅れ、連結売上高は2千億円台の業界「準大手」にとどまり、新薬候補を一つでも増やしたい大手には格好の買収候補と映る。

「幻の買収提案」
 塩野義が「買われる危機感を実感した出来事」として業界内でささやかれるのが、2006年冬にあったとされる武田薬品工業からの水面下の買収打診。塩野義の経営陣が研究者や営業員の外部流出を懸念、進まなかったとされる。
 「幻の買収提案」後、塩野義は業界再編の流れを距離を置いて見ていた。課題の海外市場開拓は一向に進まず、08年3月期の自社販売額の国内比率は96%だった。
 今年4月に主に海外戦略を担当してきた手代木功氏が社長に就任すると、一気に動く。手代木氏は「当社が他社に買収されることは全く想定していない」と、自力で海外戦略を展開することを宣言。わずか3カ月め交渉で年間純利益の約5倍を投じての米サイエル買収を決断した。
 買われる危機感を抱えながらも再編に消極的だった塩野義を突き動かしたのは、国内市場の縮小だ。厚生労働省は医療費抑制を狙い、2年に一度の薬価(医薬品の公定価格)改定で下げ幅を拡大、米系調査会社IMSジャパンによると、改定が行われた06年度に日本の医療用医薬品市場は7兆7114億円と前年度を0.5%下回った。08年度も改定の影響で縮小する公算が大きい。
 さらに日本製薬工業協会(庄田隆会長)は政府に対し、「研究開発費を回収するため、新薬の特許期間中は薬価を維持してほしい」と訴え始めた。特許期間が残る製品は薬価引き下げの見送りを求める代わりに、、「長期収載品」と呼ばれる特許が切れた医薬品は従来よりも大幅な値下げを受け入れる改革案だ。
 新薬で勝負する大手は救われるが、特許切れ製品を主力とする中堅は後発薬メーカーとの価格競争が泥沼化し、窮地に追い込まれることになる。国内にとどまり生き残るという選択肢は現実的でなくなってきた。

異業種に頼る道
 中堅製薬会社のうち塩野義のように他社を買収できる資金力がある企業はほとんどない。富士フイルムホールディングス傘下に入った富山化学工業のように、異業種に頼る選択肢も今後は増えそうだ。医薬関連事業の強化を狙う化学大手が、次の一手を打つ可能性もある。
 縮む国内市場は中堅メーカーに決断を迫る。攻めるのか、大手の傘下に入るのか。塩野義の決断を機に、国内製薬業界の再編が加速しそうだ。


平成21年5月18日 塩野義製薬

Sciele Pharma, Inc.による米国医薬品会社 Victory Pharma, Inc.買収について

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」)の米国関連会社であるSciele Pharma, Inc.(本社:米国ジョージア州アトランタ、CEO and Chairman:Patrick P. Fourteau、以下「サイエル社」)は、米国において疼痛とその関連疾患に対する治療薬の導入、開発および販売に特化した医薬事業を行っているVictory Pharma, Inc.(本社:米国カリフォルニア州サンディエゴ、President and CEO:Matt Heck、以下「Victory社」)との間で、Victory社を買収することについて合意しましたので、お知らせいたします。
 サイエル社は合意内容に基づき、1億5000万ドルを支払います。また、買収手続きの完了は2009年第2四半期を見込んでおりますが、本件の実行には米国独占禁止法に基づく条件の充足その他一般的な前提条件の充足が必要となります。
 サイエル社のEd Schutter President and COOは、「Victory 社の買収は、サイエル社の製品ポートフォリオの拡大戦略を実行する重要な過程であり、サイエル社の継続的な成長をより確実なものにします。また、今回のVictory社の買収により、米国における疼痛治療薬市場への速やかな展開が可能になると共に、今後も疼痛治療薬の導入を積極的に進めていくことにより、塩野義製薬の重点領域である疼痛領域へのサイエル社の貢献を確実なものにしていきたいと考えております。」と述べています。
 Victory社のMatt Heck President and CEOは、「Victory社の主力製品である非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)のNAPRELANRは、NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)である塩酸ナプロキセンで唯一の一日一回投与を可能とする徐放製剤であり、他の製剤に比べ消化器等への安全性に優れた製剤です。COX-2阻害剤による心血管系の毒性懸念が広く認知されてきたことにより、米国等での疼痛治療は従来のNSAID治療に移りつつあります。NAPRELANRは、安全性の高いNSAIDとして今後の成長が期待されています。」と述べています。
 また、Heck氏は、「私たちは、ここ数年間のVictory社の成長にとても満足しています。これまで疼痛領域において極めて優れたフランチャイズを構築してきましたが、今後、サイエル社はVictory社の既存製品と開発品のポテンシャルを最大化できる力を持っていると信じています。」と述べています。
 塩野義製薬は、疼痛領域を重点領域の一つと位置づけ、研究開発に積極的に取り組んでおりますが、今後、開発中のオピオイド副作用緩和薬および今後臨床開発を予定している化合物のグローバルな開発をより一層加速させてまいります。
また、今回の買収により、塩野義製薬とサイエル社は、日本・米国それぞれの地域における患者さまの疼痛治療に長期的な貢献ができるよう、積極的な活動を行ってまいります。
 なお、本買収案件におきましては、サイエル社の財務アドバイザーはUBS Investment Bank、法務アドバイザーはPaul, Hastings, Janofsky & Walker、またVictory社の財務アドバイザーはCowen and Company, LLC、法務アドバイザーはPillsbury Winthrop Shaw Pittman LLPが務めております。

【Victory社の概要】
 商号 Victory Pharma, Inc.
 事業内容 疼痛治療薬市場に特化したスペシャルティ・ファーマ
 創業 2004年
 代表者 President and CEO Matt Heck
 本社所在地 米国カリフォルニア州サンディエゴ
 従業員数 182名(MR120名、2009年5月1日現在)
 主要製品 NAPRELANR を中心とする疼痛治療薬
 売上高 年間57百万ドル(2008年)