2002/9/9 大正製薬、富山化学工業
企業提携契約書の締結及び新販売会社設立に関するお知らせ
当社は、平成14年9月9日開催の取締役会において、平成14年8月9日に富山化学工業株式会社(以下、富山化学工業)との間で締結した資本提携及び医療用医薬品事業の研究開発・販売に関する戦略的提携についての基本合意書に基づき、両社間で業務提携を行うことを決議し、企業提携契約書及び新設販売会社設立のための株主間協定に調印いたしましたので、下記の通りお知らせいたします。
1.提携の理由
当社と富山化学工業は、共同出資による新設販売会社への営業リソースの一元化を通じ、販売力の強化を目指します。さらに、研究開発分野における協力によって、研究開発投資効率の最大化を図ります。なお当社は、上記企業提携契約書に基づき、富山化学工業の第三者割当増資を引受け、同社の筆頭株主となる予定です。この資本提携によって、両社のより強固な協力関係を構築し、両社の一層の飛躍を目指します。
2.提携の内容
(1)富山化学工業の株式の取得
株式の取得方法:富山化学工業の第三者割当増資を当社が引受けます。
取得株式数:普通株式43,000,000株(本件第三者割当実施後、発行済株式の約22%)
発行価額:434円
払込日:平成14年9月25日
発行価額の決定方式:新株発行決議取締役会の前営業日までの直近1ヶ月間(平成14年8月7日から平成14年9月6日)の東京証券取引所の富山化学工業株式の平均最終売買価格(479.65円)を参考にして、434円(ディスカウント率9.52%)としました。
本件増資により、富山化学工業は当社の持分法適用会社となります。
* 8月31日の発行済株式総数は約1億5,393万5,000株、増資後は1億9,693万5,000株余で、大正製薬は富山化学株の21.8%を所有する筆頭株主となる。
(2)医療用医薬品の国内販売会社の新設
両社は医療用医薬品分野の国内販売会社を共同出資により設立します。営業開始後、両社の既存品の販売およびプロモーションは新会社が行います。また、今後発売される両社の開発品については、新会社が第一選択権を持ちます。
<新設販売会社の概要>
商号:大正富山医薬品株式会社
代表者:代表取締役会長中野克彦(富山化学工業社長)
代表取締役社長上原明(当社社長)
本社所在地:東京都豊島区高田三丁目25番1(当社本社内)
設立時期:平成14年10月
事業内容:医療用医薬品の販売及びプロモーション業務
決算期:3月期
従業員数:約1,300名(うちMR約1,000名)当社、富山化学から出向
資本金:5億円
株主資本:10億円
発行済株式総数:10,000株
株主構成:当社(取得株数5,500株、所有割合55%)
富山化学工業(取得株数4,500株、所有割合45%)
本格稼働時期:平成15年4月(予定)
業績見込み*:
平成16年3月期 平成17年3月期 平成18年3月期 売上高 950億円
1,050億円
1,200億円
現在の両社の主力品とその売上高:(売上数字は、平成14 年3 月期の概算数字)
大正製薬: 富山化学工業:
クラリス259億円 トミロン73億円
パルクス172億円 ペントシリン69億円
ロルカム34億円 オゼックス53億円
*設立時より平成15年3月末までは、必要許認可等の取得をはじめ、新会社の本格稼動に向けての準備期間とし、営業活動は一部商品のコ・プロモーションを行うのみと致します。新会社の利益の見通しについては、判明次第開示いたします。
(3)医療用医薬品事業の研究開発における協力体制の構築
[1]創薬及び開発研究における協働
[2]研究開発要員の相互活用
[3]化合物ライブラリー、海外開発拠点及び治験施設等のプラットフォームの相互利用
[4]特定領域における共同開発権の取得に関する第一選択権の相互付与
詳細については、今後締結する契約等によって決定致します。
(4)海外の医療用医薬品事業における提携
当社及び富山化学工業は、海外においては新規医療領域の開拓を目指し、一部、共同展開を図っていきます。詳細については、今後締結する契約等によって決定致します。
3.今後の日程(予定)
平成14年9月25日 富山化学工業の第三者割当増資実施
平成14年10月中 新設販売会社(大正富山医薬品株式会社)の設立
平成15年4月中 新設販売会社(大正富山医薬品株式会社)の本格営業稼動
4.子会社の異動
新販売会社は当社の連結子会社になります。新会社の概要は前出2の(2)項をご参照ください。
5.今後の見通し(本提携が当社に及ぼす影響)
新販売会社の本格稼働が平成15年4月(予定)となること、及び富山化学工業の今期当期利益予想額が1億円であることから、本提携が当社の今期連結業績に与える影響は軽微なものと考えられます。平成16年3月期以降の見通しにつきましては、判明次第開示いたします。
6.富山化学工業株式会社の概要(平成14年3月31日現在)
名称:富山化学工業株式会社
主な事業内容:医薬品製造・販売
設立年月日:1936年11月
本社所在地:東京都新宿区西新宿3−2−5
代表者:代表取締役社長兼CEO 中野克彦
資本の額:12,976百万円
従業員数:1,662名
発行済株式数:153,766,182株
大株主構成および持株比率(平成14年3月31日現在):
株式会社北陸銀行(4.86%)
株式会社三井住友銀行(4.86%)
ロンバーオディエエコンパニイ
〔常任代理人株式会社東京三菱銀行〕(4.77%)
大成建設株式会社(3.05%)
三菱信託銀行株式会社(2.82%)
2002/8/10 日本経済新聞 記者発表 上原社長インタビュー
大正製薬、富山化学と提携 20%出資、筆頭株主 共同で医療用医薬品販社
製薬大手の大正製薬と中堅の富山化学工業は9日、資本・業務提携で合意したと発表した。大正が9月をメドに発行済み株式の20%を取得し筆頭株主になる。10月にも医療用医薬品販売の共同出資会社を設立する。欧米企業の攻勢や薬価(薬の公定価格)引き下げで経営環境が厳しくなる中、大正は手薄な医療用事業を強化、富山は大正の支援を得て黒字転換を目指す。
両社を合わせた医療用医薬品の国内売上高は約875億円で、14位前後となる。
大正は富山化学の第三者割当増資を引き受けて200億円弱を出資する。自主経営権を保ちたい富山化学、大株主の立場を鮮明にしたい大正の意向から、出資比率を20%とした。大正は富山化学に役員を派遣しない。
共同出資会社「大正富山医薬品」の資本金は未定だが、大正が55%、富山化学が45%を出資する。社長は大正の上原明社長が兼任する。医薬情報担当者(MR)を集約して千人体制とする。両社の弱点である営業販売力の強化を優先する。
研究開発機能は独自性を生かすため本社に残すが、海外拠点の相互利用や人材交流を進める。
両社は「製品で重複する部分が多く、販売面で相乗効果が見込める」(上原社長)としている。経営統合でなく提携の方が成果を上げられるという点でも両社長の考え方が一致した。
大正は医師の処方せんが不要な一般用医薬品が売上高の約7割を占める。昨年9月に田辺製薬との経営統合を発表したが、主導権を巡る調整が付かず12月に撤回した。
富山化学は2002年3月期まで主力品の販売中止などで三期連続の連結最終赤字だった。
世界の医薬品業界では最大手の米ファイザーが米ファルマシアの買収を決めるなど、再編の動きが加速。国内製薬会社の間でも研究開発投資の膨張が響き、収益悪化の懸念が強まっている。
「破談」教訓、緩やかな連携
大正製薬と富山化学工業はかつて他社との経営統合をそれぞれ目指したものの、頓挫。今回はより緩やかな提携で生き残りを目指す。
大正の上原明社長は9日の会見で、昨年末に田辺製薬との経営統合の合意を撤回したことについて「互いの企業文化を尊重することにならず、必ずしもベストでなかった」と発言した。欧米で先行したM&A(企業の合併・買収)を目指したが、企業風土の違いや雇用がネックとなった。
富山化学も三井製薬工業(現日本シェーリング)との合併を1994年に撤回した経緯がある。国内医療用医薬品市場での売上高は20位内にも入らず、2000年には主力品である脳代謝改善剤の販売中止に追い込まれた。単独での生き残りは難しくなっていた。
同社の中野克彦社長は「外資系企業からの接触もあったが、緩やかな戦略的提携の方が研究開発と販売の両輪をうまく回せる」と強調した。
ただ、両社が独自に展開する研究開発や生産には重複する部分が少なくない。両社とも抗菌剤を主力としており、製品の相互補完も限定的だ。統合する販売部門でも医薬情報担当者(MR)数は2400人を擁するファイザー製薬の半分にも及ばない。
新薬については大正が呼吸器疾患や糖尿病、富山化学が痴ほう症や感染症の治療薬を開発中だが、販売は数年先になる。当面は他社品の導入を含む新たな提携を進め、新薬の品ぞろえを拡充することが急務になる。
国内医薬品業界の主な再編の動き
1998年
4月・吉富製薬とミドリ十字が合併し、吉富製薬に(2000年4月、ウェルファイドに社名変更)
11月・日本たばこ産業、鳥居薬品を傘下に
1999年
10月・三菱化学、東京田辺製薬を吸収合併。
医薬品部門が分離独立し三菱東京製薬(現三菱ウェルファーマ)が発足
2000年
1月・独シェーリング、三井製薬工業を買収
2月・独べ一リンガーインゲルハイム、TOBでエスエス製薬を事実上傘下に
2001年
9月・大正製薬と田辺製薬、2002年春の経営統合で合意
10月・ウェルファイドと三菱東京製薬が合併し、三菱ウェルファーマが発足
12月・大正と田辺、経営統合を白紙撤回
・中外製薬、スイス・ロシュの傘下入りで合意
2002年
7月・サントリー、第一製薬と共同出資会社を年内に設立し、医薬品事業を移管すると発表
大正製薬・富山化学工業概要
大正製薬 富山化学工業
設立時期 1928年5月 1936年11月
資本金(億円) 298 129
従業貫数(人) 4894 1662
MR人数(人) 約500 約500
研究開発費(億円) 約322
約 49
売上高(億円) 2713
283
(うち医療用医薬品) 625
250
営業利益(億円)
607 ▲31
経常利益(億円)
674 ▲39
純利益(億円) 373 ▲26
(注)決算や研究開発費の数字は2002年3月期の連結べ一ス、▲は赤字
2002/08/09 大正製薬、富山化学工業
資本及び業務提携に関するお知らせ
大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区、社長:上原明](以下、大正製薬)と富山化学工業株式会社[本社:東京都新宿区、社長:中野克彦](以下、富山化学工業)の両社は、資本提携するとともに、医療用医薬品事業の研究開発・販売に関して戦略的に提携することについて合意に達し、本日平成14年8月9日両社取締役会において決議し、基本合意書に調印したのでお知らせいたします。なお、上記内容の詳細につきましては、内容が決まり次第、開示いたします。
記
1.提携の概要
(1)大正製薬による富山化学工業の株式の取得
大正製薬は、富山化学工業の第三者割当増資の引受を通じて、富山化学工業の発行済株式の約20%を取得し、資本提携をいたします。この資本提携によって、研究開発分野に対する投資効果を最大限発揮できるよう、両社のより強固な協力関係を構築し、大正製薬は医療用医薬品事業の更なる拡充を図り、富山化学工業は研究開発型企業としての飛躍を目指します。
(2)研究開発の協力体制の構築
大正製薬と富山化学工業は、医療用医薬品分野において、化合物ライブラリー、海外開発拠点及び治験薬施設等のプラットフォームの相互利用、研究開発要員の相互活用等を通じた共同研究開発体制の確立によって、新薬パイプラインのより一層の拡充を図ります。
(3)営業販売体制の強化
大正製薬と富山化学工業は、医療用医薬品分野の国内販売会社を共同出資により設立します。大正製薬の医療用医薬品の営業販売部門(MR約500名他)および富山化学工業の営業販売部門(MR約500名他)の提携により、新会社の医療用医薬品における営業体制はMR約1,000名となり、既存品及び新薬の販売機能およびプロモーション機能を担い、国内営業販売体制の強化を図ります。
<新販売会社概要(予定)>
1)商号: 大正富山医薬品株式会社
2)本社所在地: 東京都豊島区高田三丁目25番1(大正製薬本社内)
3)代表取締役会長: 中野克彦(富山化学工業社長)
代表取締役社長: 上原明(大正製薬社長)
4)資本金: 未定
5)出資比率: 55:45(大正製薬:富山化学工業)
6)従業員数: 約1,300名
7)事業内容: 医療用医薬品の販売及びプロモーション業務
(4)相手方の開発する新薬に対する国内における第一選択権
大正製薬及び富山化学工業は双方の相手方が開発する新薬(現在開発中の新薬を含む)について、特定の領域については、その新薬候補についての国内における共同開発権の取得に関する第一選択権(First Refusal Right)をそれぞれ保有します。
(5)海外における共同展開
大正製薬及び富山化学工業は、海外においては新規医療領域の開拓を目指して一部共同展開を図っていきます。
2.提携の狙い
富山化学工業は、合成抗菌剤の研究開発を主力とし、特に現在臨床試験中のT−3811(キノロン系合成抗菌剤)については、2006年に経口剤が、2007〜8年には注射剤の国内上市が見込まれています。またT−588(アルツハイマー型痴呆症治療剤)などの新薬パイプラインを保有しています。今回の大正製薬との提携により、これら新薬についての研究開発体制の強化および国内における販売力の強化が図れるものと考えます。
大正製薬は、これまでオリジナル新薬の開発や、バイオベンチャー各社と新薬共同開発に取り組む等、医療用医薬品分野の拡充に力を入れてまいりました。これらに加えて、今回の富山化学工業との提携は、両社での共同研究開発・販売体制を構築することになり、医療用医薬品事業の一層の拡充が図れるものと考えます。
3.今後のスケジュール
新株引受: 平成14年9月を目処
新販売会社設立: 平成14年10月を目処
新体制スタート: 所轄官公庁からの必要な許認可が得られ次第
日本経済新聞 2002/8/13
大正製薬社長上原明氏に聞く
富山化と開発統合も検討 まず臨床試験など協調
富山化学工業と資本・業務提携する大正製薬の上原明社長は12日、インタビューに応じ、「医療用(医家向け)医薬品の臨床開発を統合する可能性もある」と話し、営業部門以外への提携拡大に前向きな姿勢を示した。主なやり取りは以下の通り。
ー 両社合わせた医療用医薬品の売り上げは年間900億円弱。巨大化する外資はおろか国内大手との差も大きい。もう一段の再編が必要では。
「まず効果が上がりやすい営業再編を優先した。研究は両社独自だが、臨床試験などの開発部門はテーマに応じ両社で開発要員を出し合うなど協調する。一緒にすべきだとなれば統合する可能性もある。大衆薬(一般用医薬品)でも富山化学の医療用医薬品から大衆薬に転用したい製品などがあれば話を持ちかける」
「今回の枠組みで実績を上げられれば、われわれの提携へ参加を希望する企業が出てくる可能性もある。その場合は前向きに検討したい」
ー 富山化学の筆頭株主になりながら、経営や医薬品候補を探す研究では独自性を認めるのは中途半端な印象だ。
「経営や研究の自主性を保持したいと考えるのはどの企業も同じ。田辺との経営統合で主導権にこだわって失敗した反省もあり、やれる所から手をつけた。筆頭株主は当社から言い出した。役員は派遣しないが株主として発言権は持ち、大正中心の形にしたかった」
「大手外資でも新薬のタネを大学など外部に求めるケースが増えており、必ずしも規模拡大が新薬開発につながるわけではない。富山化学は医薬品の合成技術や抗菌剤の研究力を持ち、互いに競うことで強みを生かせる。企業の合併・買収(M&A)で巨大化する海外製薬や国内大手の傘下に入ることのほかにも、国内中堅メーカーの選択肢はあることを示したい」
ー 事業の展望は。
「医薬情報担当者(MR)は数百人程度の追加はありうる。富山化学は開発中の抗菌剤がある。当社も脳梗塞治療薬など期待する開発品があり2007年前後に発売できる。両社合わせた医療用医薬品の売り上げで2015年度には3千億円を超したい」
大正富山医薬品株式会社の設立について
当社は平成14 年9 月9
日に富山化学工業株式会社との間で締結した株主間協定に基づく新販売会社「大正富山医薬品株式会社」を平成14
年10 月8
日に設立致します。新販売会社は当社の連結子会社になります。
<新販売会社の概要>
商号: 大正富山医薬品株式会社 代表者: 代表取締役会長中野 克彦(富山化学工業社長)
代表取締役社長上原 明(当社社長)本社所在地: 東京都豊島区高田三丁目25 番1 (当社本社内) 事業内容: 医療用医薬品の販売及びプロモーション業務 決算期: 3 月期 従業員数: 約1,300 名(うちMR 約1,000 名)当社、富山化学から出向 資本金: 5 億円 株主資本: 10 億円 発行済株式総数: 10,000 株 株主構成: 当社(取得株数5,500 株、所有割合55 %)
富山化学工業(取得株数4,500 株、所有割合45 %)本格稼働時期: 平成15 年4 月(予定)
尚、平成14 年9 月9
日に別途締結致しました企業提携契約に基づき、平成14
年9 月25 日に当社は富山化学工業の第三者割当増資を引受けました。詳細は平成14
年9 月9 日付プレスリリースにて発表致しました通りです。
大正製薬が富山化学の一般用医薬品3ブランドを承継
大正製薬株式会社(以下、大正製薬、社長 上原 明)と富山化学工業株式会社(以下、富山化学、社長 中野 克彦)は本日、富山化学の一般用医薬品3ブランドの販売権を大正製薬が承継することで基本合意いたしました。
合意の内容は
(1) | 対象となるブランドは、外用消炎鎮痛剤「ピロカット」、胃腸薬「リズム」、鎮咳去痰薬「トックス」の3ブランド。 |
(2) | 大正製薬はこれら3ブランドの現行品、開発中の製品ならびにそれらの改良品の販売権を承継する。 |
一般用医薬品のトップ企業である大正製薬はかねてより、セルフメディケーション事業におけるブランド拡充に積極的に取り組んでおりますが、今回の提携は製品ラインナップを一層強化し、事業拡大に寄与するものと考えます。
一方、富山化学はCHC事業(コンシューマヘルスケア事業)の見直しを図り、一般用医薬品の販売権を他社へ譲渡し、経営資源の効率化を図る方向で検討してまいりました。
この度、こうした両社のニーズが合致し契約にいたったものです。
尚、大正製薬と富山化学は2002年8月に資本提携ならびに医療用医薬品事業における提携を発表しております。
(参考)
今回承継されるブランドのうち、ピロカットは非ステロイド性消炎鎮痛剤ピロキシカムを含有した経皮吸収型消炎鎮痛剤で、富山化学がスイッチOTCとして開発、1995年に発売されました(医療用医薬品のブランド名はバキソ)。有効成分のピロキシカムは腰痛、関節痛、筋肉痛、肩や膝の痛みなど、幅広いニーズに対応できる成分として定評があり、現在、富山化学の大衆薬の主力品となっています。
化学工業日報 2003/8/13
富山化学、医療用医薬集中へ工業薬品から撤退
富山化学工業は、医療用医薬品事業への集中度を高める。具体的には今上期末で三塩化リンなどの工業薬品事業から撤退する。同社は今年4月に一般用医薬品の営業を譲渡するなど経営の効率化を加速。国際戦略製品に位置付けるキノロン系合成抗菌剤T−3811の開発が進展するなか、海外での立地確保も選択肢とした新工場の建設計画を打ち出し、投資規模は約40億円を見込む。さらに、現有工場の稼働率向上を目指した受託生産にも積極的に取り組むなど、収益力を強化する。
2004年09月08日 富山化学
GSK社と共同研究開発およびライセンス契約締結
http://www.toyama-chemical.co.jp/news/detail/040907163626.html
富山化学工業株式会社(社長:中野
克彦)は、グラクソ・スミスクライン社(以下:GSKという)と、同社が保有する化合物ライブラリーから新規抗菌剤を創製することに関する共同研究開発およびライセンス契約を2004年9月7日に締結いたしました。
<契約の概要>
・ | GSKは、GSKが保有する化合物ライブラリーを、GSKが所有するターゲット・アッセイ系に掛けてスクリーニングを実施する。 |
・ | 富山化学は、GSKが実施したスクリーニングでヒットした化合物の最適化を行なう。 |
・ | 富山化学は、最適化された化合物を日本において開発、商業化を行なう。 |
・ | 富山化学は、中国と韓国において化合物を共同商業化するオプション権を有する。 |
・ | 富山化学は、GSKが実施する開発の各段階に応じて一時金を受領する。 |
・ | 富山化学は、GSKより日本、中国および韓国を除く諸国での製品の売上高に応じた実施料を受領する。 |
・ | 富山化学は、日本における製品の売上高に応じた実施料をGSKに支払う。 |
<抗菌剤の共同研究開発について>
富山化学はこれまで抗菌剤分野で優れた新薬の創製実績があり、それを支えるものの一つに卓越した合成技術力があります。GSKは富山化学との共同研究を通じて、新規化合物を速やかに最適化することにより、抗菌剤開発能力を更に強化することが出来ます。
富山化学は、GSKとの戦略的提携により、強みである研究・生産技術力を有効に生かし、技術面でのグローバル化を確立させると共に、研究の成果そのものを事業の柱の一つとして経営を推進して参ります。
富山化学は「感染症に関わる革新的な治療手段を世界に提供する」ために常に努力しており、今後GSKと協力して、優れた抗菌剤の開発に努力して参ります。
「富山化学工業株式会社の概要」
代表者:中野 克彦(なかの かつひこ)
従業員:1,434名(平成16年3月末現在)
売 上 高:144億円(平成16年3月期)
事業内容:医薬品の製造および販売
本 社:東京都新宿区西新宿3-2-5
「グラクソ・スミスクライン・グループの概要」
代表者:ジャン-ピエール・ガーニエ(最高経営責任者)
従業員:世界117ケ国に約10万人以上
売 上 高:214億4100万ポンド(2003年実績)
医療用医薬品 181億8100万ポンド
コンシューマーヘルスケア製品
32億6000万ポンド
事業内容:医療用医薬品、ワクチン、一般用医薬品、コンシューマー向けヘルスケア製品
の研究、開発、製造、販売。
本 社:英国
日本経済新聞 2005/7/12 発表
大正製薬、養命酒に出資 業務・資本提携
筆頭株主に 生薬市場を開拓
大正製薬と養命酒製造は11日、資本・業務提携で合意したと発表した。大正が養命酒に資本参加し筆頭株主となるほか、植物などから精製し、医薬品の原料となる生薬を生かした新商品開発と市場開拓を共同で進める。大衆薬市場が縮小し健康食品関連市場が拡大する中、両社は医薬品と食品の垣根を越え業務開拓を進める。
大正は27日付で養命酒が金庫株として保有している自己株式(発行済み株式数の6.6%)を取得、加卜吉を抜いて筆頭株主となる。取得金額は約20億円の見込み。養命酒も28日以降、大正の発行済み株式の約0.3%を市場で取得し、株式を持ち合う。
両社は今後、提携委員会を設置して今年度内をメドに業務提携の具体策を詰める。新商品の共同開発、生薬の特性を生かした市場開拓、中国市場の進出、営業・店頭販促の効率化を軸に検討を進める。
大正は主力のドリンク剤「リポビタンD」の苦戦で前期の連結業績は減収減益となった。養命酒は主力商品の「養命酒」が売上高の9割以上を占めるが、販売量は落ちこんでいる。
今回の提携を大正へ持ちかけた養命酒は、冷凍食品が主力の加卜吉を筆頭株主とするよりも、大衆薬市場で強いブランド力を持つ大正と安定的な提携関係を築く方が事業面での相乗効果が高まると判断したもよう。
記者会見した養命酒の塩沢太朗社長は「買収防衛が目的の提携ではない」とした。ただ大正という安定株主を得たことについては「結果的には買収防衛効果はあると思う」とも語っており、養命酒にとっては株式公開買い付け(TOB)など企業買収の標的となることを未然に防ぐ狙いもあるとみられる。
筆頭株主の加ト吉との関係については「当社の株式を5年間強保有しているが、純粋な投資どいうことだ」と説明した。
400年前に創製された養命酒
http://www.yomeishu.co.jp/history/01.html養命酒は、慶長7年(1602年)信州伊那の谷・大草(現在の長野県上伊那郡中川村大草)の塩沢家当主、塩沢宗閑翁によって創製されました。
以来、養命酒は約4世紀にわたり、休むことなく造り続けられるとともに、いつの時代においても人々の信頼を受け、今日にいたっています。