化成品日報 2002/10/15
タイ、PVC合弁エイペツクス 伊藤忠など日本側資本撤収完了
伊藤忠、チッソ、小原化工の日本側3社とタイ現地資本出資のPVC生産合弁会社エイペックスは、創業以来、経営的に行き詰り、日本側は出資引き上げ交渉を行ってきたが、タイ現地資本に新たな出資者が登場、9月中旬に合意に達し、日本側の資本撤収が完了した。残存債権としては、断続的に運転を行ってきた原料VCM代金でタイ側は分割払いを行うことで合意に達している。
エイペックス社は、日本側とタイ現地資本の合弁で設立されPVC年間10万屯能力での設備建設を行い97年春から操業を開始する予定であった。完成当時は試運転も順調に行われ本格操業に入ったが、アセアン諸国経済を襲つた通貨危機の影響を受け運転資金の行き詰まりとタイ及びアセアン諸国のPVC需要が大幅に減少、需要の先行きが見通せず操業は断続的(設備保守、安全性確保のため)にせざるを得なくなっていた。
このため、日本側の出資者は伊藤忠を窓口としてタイ側と資本撤収交渉を行ってきたが、タイ側は資本引き取り資金不足ということから交渉は暗礁に乗り上げた状態が続いてきた。
しかし、今年に入り新たな現地資本が出資に同意し、9月中旬に完全撤収を完了した。残る日本側の債権としては伊藤忠が調達した原料VCM代金の回収が残っている。ただ、タイ側は分割で支払うということですでに2回分の代金支払いを行っており、伊藤忠としては代金回収を終了した段階で完全な撤退完了とする考え。