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東シベリア原油パイプラインが全線で稼働
ロシアは日本などアジア・太平洋諸国への原油輸出を拡大する。25日、東シベリア太平洋石油パイプライン(ESPO)が極東ナホトカ近郊までの全線で稼働した。年間の輸送能力は従来の鉄道輸送に比べ2倍の3000万トンとなる。アジアでの需要拡大をにらみ、中期的に5000万トンまで増やす計画だ。
プーチン大統領は25日「ロシア極東のインフラが持つ可能性を飛躍的に高める」と語り、アジアへの原油輸出を拡大する方針を強調した。
東シベリア産の原油を極東に輸送するESPOは全長4740キロメートル。東シベリアのタイシェトと中間地点のスコボロジノをつなぐ区間が2009年末に稼働し、原油輸送を開始。このほどスコボロジノとコズミノ港を結ぶ第2期工事が完了し、25日に稼働した。
輸出ターミナルとなるコズミノ港では、タンカーへの原油積み替え設備などを備えた埠頭を整備した。
2009年12月、Nakhodka 近郊のコズミノ湾岸で石油輸出ターミナルが完成し、12月28日、プーチン首相立会いでタンカーへの原油積み出しが開始された。
2014年の太平洋パイプライン全線開通まではSkovorodinoで鉄道貨車に積み替えて輸送する。当初、ペレボズナヤをターミナルとする案があったが、最終的にコズミノとなった。
東シベリア産原油は低硫黄で品質が高く、アジアや米国で需要が高まっている。コズミノ港からの今年の輸出量は、輸出能力最大の1600万トンに達する見通し。輸出先では日本がシェア首位の3割を占め、中国などが続く。日本の輸入量は東日本大震災で減少した昨年から一転、昨年比5割増の450万トンを上回る可能性が高い。
日本の原油輸入の中東依存率は約8割と依然として高く、調達先の多様化が急務となっている。ロシアからの輸入比率は約7%にとどまり、拡大の余地がある。
石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は6月、東シベリアの油田をロシア国営石油大手ガスプロムネフチと共同開発することで合意した。10年代後半からの生産を見込み、ESPO経由で原油を日本に輸出する検討を進める。
債務危機などで欧州向けの資源輸出は減少しており、ロシアは輸出先としてアジアを重視している。ロシアは9月、極東ウラジオストクでアジア太平洋経済協力会議(APEC)を開催し、アジアシフトの姿勢を鮮明にした。コズミノ港から3000万トンの輸出が始まれば、ロシア全体の輸出量の約1割を占める。
中国は2009年2月、ロシアとの間で政府間協定を結んだ。
中国開発銀行がロシア国営石油会社 Rosneft に150億ドル、東シベリア太平洋パイプラインを運営するTransneftに100億ドルを低利で融資する見返りに、Rosneft は2011年から20年間、毎年15百万トンの原油の供給を行い、Transneftはパイプラインを中国に延長する。
太平洋パイプラインのうち、Taishet から極東アムール州のSkovorodino まではほぼ完成している。
Skovorodinoから中国の大慶を結ぶパイプラインは4月27日に起工式が行われた。2010年末に完成する。
2009年12月20日、中ロ原油パイプライン中国側漠大ライン (漠河-大慶間)ターミナルの大慶林源において、作業員によって清管器が原油パイプから取り出され、漠大ラインは試運転に成功、パイプライ ン全線が開通した。
2011年1月1日から、同パイプラインを通して年間1500万トンの原油がロシアから中国に供給される。