Santos

 

豪エネ大手への3兆円買収に暗雲 当局、経済安保で中東資本を警戒

オーストラリアのエネルギー大手サントスに対する買収案の先行きに不透明感が増している。中東系企業が率いる国際企業連合が3兆円で買収を提案したが、サントスが外国資本になればエネルギー安全保障が揺らぐとして政府が提案を拒否する可能性が出てきた。

 

豪サントス、アブダビ国営石油主導連合が買収提案 187億ドル

オーストラリアの石油・ガス大手Santosは6月16日、アブダビ国営石油会社(ADNOC)が率いる国際コンソーシアムから187億ドルの買収提案を受けたと明らかにした。取締役会は買収案を支持する意向という。

ADNOCは投資部門を通じ、Abu Dhabi Developmental Holding CompanyとPrivate EquityのCarlyleと共同でSantos株1株当たり5.76ドルを提示した。これはSantos株の13日終値に28%上乗せした水準。
 
Santos株は16日の取引で11%値上がりしたが、13日終値に28%上乗せした水準には遠く及ばなかった。アナリストは買収がオーストラリア規制当局の承認を得られないリスクを反映していると指摘した。
 
Santosは「取締役会は拘束力のある計画実施協定の受け入れ可能な条件で合意することを条件に、より優れた提案がない限り、株主に対し取引に賛成票を投じるよう全会一致で勧告する方針だ」とした。

買収案はSntos株主の少なくとも75%の支持が必要となる。


同社によると、取引成立にはオーストラリアの外国投資審査委員会、豪証券投資委員会などのほか、(パプアニューギニアの事業で)パプアニューギニアの証券、競争当局、 (アラスカ事業で)米国の対米外国投資委員会による承認が必要となる。
 
Santosが豪州の重要なエネルギーインフラを管理しているため、外国投資審査委員会の承認が取引実現に大きなリスクとなる可能性があると述べた。

外国投資審査委員会の助言に基づいて買収の是非を最終決定するオーストラリアのチャーマーズ財務相は、買収計画を懸念しているかどうかにはコメントせず「大きな決断になるだろう」とオーストラリア放送協会に述べた。