2012年4月17日 三菱商事  

米国産天然ガス液化契約に係るキャメロンLNG社との基本契約合意

2012/4/20 三菱商事と三井物産、米国産LNGを輸入へ

三菱商事は、Sempra Energy(本社:米国カリフォルニア州サン・ディエゴ)の子会社であるCameron LNG社(本社:米国カリフォルニア州サン・ディエゴ)との間で、約400万トン/年の米国産天然ガスの液化契約に関する主要条件に合意し、今後、正式契約締結に向けて協議を行うこととなりました。
 
昨今、米国では天然ガスの急激な生産増に伴い、液化天然ガス(LNG)輸入用に建設された基地に天然ガスの液化設備を新たに併合させることで、LNG輸入基地を輸出基地に転用する動きが進んでおります。
 
キャメロンLNG社が保有するキャメロンLNG輸入基地(所在地:ルイジアナ州ハックベリー)も、輸出基地への転用工事を2013年後半より開始し、年間1,200万トンのLNGを2016年末より生産・輸出する計画が現在検討されております。現在、キャメロンLNG社は、自由貿易協定(FTA)締結国向けのLNG輸出許可を米国エネルギー省から取得しておりますが、日本を含むFTA未締結国向けの輸出許可は2011年12月に申請され、現在、承認待ちの状態です。

DowのAndrew Liveris CEOは3月8日、エネルギー関連の調査機関が主催する年次会合CERAweek でスピーチし、シェールガスからのLNGの輸出を制限するよう求めた。

アメリカのこの安く豊富なガスの産業での有利性は、首尾一貫した国のエネルギー政策をつくらなければ消えてしまう。天然ガスを輸出する代わりに、液体形態ではなく、これを加工した固体形態で輸出するべきだ と述べた。

当社は、原料となる天然ガスを市場から調達のうえ、LNG基地運営者であるキャメロンLNG社に約400万トン/年の天然ガスの液化作業(LNG生産作業)を委託して、生産されたLNGを需要家に販売します。なお、原料ガスについては、当社が34%保有する米独立系ガスマーケティング会社であるCIMA Energy (本社:テキサス州ヒューストン)などを通じての調達も検討します。

三菱商事は2008年6月、米国でガスマーケティング事業を展開しているCIMA Energy Ltd持分34%を同社の個人パートナーから取得した。

CIMA Energy1996年設立で、米国内におけるガスおよび原油のマーケティング事業を行っており、年間のガス取扱高は約145百万MMBtu(LNG 換算280万t)となっている。

三菱商事は上流のガス田開発から、LNG液化プラントへの投資・操業、LNG船による輸送、LNG受入基地に至るまでLNG 事業のバリューチェーンを伸ばしてきたが、CIMA を通じて米国下流市場に参入、更なるバリューチェーンの延伸が達成された。

三菱商事は2009年1月より米国テキサス州のFreeport LNG 受入基地の使用を開始したが、同基地に持ち込むLNGを再気化した天然ガスについても、CIMA が米国内で販売を行う。

日本は現在、LNGの大部分を東南アジアおよび中東から輸入しておりますが、米国からもLNGを輸入することで、調達先の多様化に繋げるのみならず、米国内の天然ガス市場も活用した柔軟性のある供給計画を実現させ、エネルギーの安定調達を目指します。

<液化契約イメージ図>
<液化契約イメージ図>

三菱商事は2010年8月、カナダの大手エネルギー会社Penn West Energy Trustが所有するブリティッシュ・コロンビア州のCordova堆積盆地のシェールガスを中心とした天然ガス開発プロジェクトに参画する契約を締結した。

カナダの天然ガス最大手のEncana Corporationは2012年2月、British ColumbiaCutbank Ridgeの未開発の土地でのシェールガス開発で三菱商事と提携したと発表した。

同社はカナダで生産した天然ガスを原料に、液化天然ガス(LNG)として輸出する可能性についても検討を進めている。

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三井物産

三井物産は、米国ルイジアナ州のキャメロン基地において液化天然ガス(LNG)輸出プロジェクトを計画している米国センプラ・エナジー社(以下「センプラ社」)と共同で、日本向けを含めた米国産LNGの輸出実現に向けた検討を開始します。

センプラ社は、100%子会社のキャメロンLNG LLC社が保有・運営しているキャメロンLNG受入基地に、液化設備を新たに3系列(プロジェクト総工費60億米ドル、1系列当たり年間400万トンの液化能力)建設し、年間で最大1,200万トンのLNG輸出プロジェクトを立ち上げることを目指しています。今回の決定はLNG輸出プロジェクトの準備費用の一部を負担するもので、三井物産は1系列分に相当する年間400万トンのLNG輸出枠確保に向けてセンプラ社と共同で検討を行います。

三井物産は米国ペンシルベニア州マーセラス・シェールエリア及びテキサス州イーグルフォード・シェールエリアのシェールガス・オイル事業に参画しており、現在LNG換算で年間100万トンに相当する天然ガスを米国内で生産しています。これらのシェールガス・オイル事業では、今後も生産量の増加が見込まれることから、三井物産が権益を保有する天然ガスをLNG輸出に向けた原料ガスとして活用する可能性についても検討していきます。

LNG市場は中長期的に世界的な需要増が見込まれており、三井物産はこれからも供給元の多様化と供給力の拡充を図ることにより、LNGの安定的な供給の実現を目指します。

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現時点での米国のLNG輸出計画は下記の通りだが、エネルギー省の認可は2件のみで、エネルギー規制委員会の認可はどこも取得していない。   2012/2/24 米国からのLNG輸入問題 

プロジェクト 事業者 申請液化能力
万トン/年
       政府認可状況
エネルギー省 エネルギー規制委
Sabine Pass ルイジアナ Cheniere 1,600 認可済 審査中
Freeport テキサス Freeport LNG 900 審査中 審査中
Lake Charles ルイジアナ Southern Union 1,500 認可済 未申請
Cove Point メリーランド Dominion 800 未申請 未申請
Jordan Cove オレゴン Jordan Cove LNG 900 未申請 未申請
Cameron ルイジアナ Sempra 1,200 未申請 未申請
 米国計画 合計  6,900    

Cheniereは2012年1月に建設着工、早くて2015年に稼働開始の予定で、既に売買契約を締結済である。

売買先は以下の通りで、既に米国とのFTAを締結し、間もなく発効予定の韓国の韓国ガス公社(Kogas)が含まれている。
(韓国以外の各国は米国とのFTAを締結していない)

輸出先 数量
万トン/年
供給開始 契約期間 定額固定費
$/百万BTU
BG Group (英) 350 2016 20年間 2.25
同上 追加 200 2016 同上 3.00
Gas Natural(スペイン) 350 2016 同上 2.59
Gail(インド) 350 2017 同上 3.00
Kogas(韓国) 350 2014 同上 3.00
合計 1,600      

2013年5月17日 三井物産       交渉

米国産LNG輸出プロジェクトで天然ガス液化加工契約及び合弁会社設立契約を締結

三井物産は、新規に設立した米国子会社を通じ、米国ルイジアナ州Cameron基地にてLNG輸出プロジェクトを計画中の米国Sempra Energyと、天然ガス液化加工契約及び合弁会社設立契約を、5月16日に締結しました。

センプラ社は、100%子会社のCameron LNG LLCが保有・運営しているCameron LNG受入基地において、新たに年間1,200万トンの液化能力(400万トン×3系列)を有する天然ガス液化設備の建設を計画しています。総事業費は 90億〜100億米ドルとなる見込みで、米国エネルギー省による日本を含む自由貿易協定(FTA)未締結国向け輸出許可の取得等を経て、2017年後半の操業開始を目指しています。

三井物産は今回締結した天然ガス液化加工契約に基づき、調達した原料ガスを同基地に委託して液化することで、LNG生産開始後20年間にわたって年間400万トンの天然ガス液化能力を確保します(*)。さらに、今回締結した合弁会社設立契約に基づき、キャメロン社の持株会社として設立予定のCameron LNG Holdings LLCの16.6%持分を取得し、液化事業に出資参画します(*)。尚、三井物産以外の持分比率は、センプラ社50.2%、日本郵船/三菱商事合弁会社 16.6%、GDF Suez社16.6%となる予定です。

天然ガス及びLNGは中長期的に世界的な需要増が見込まれています。三井物産は既に開発・生産に参画しているマーセラス及びイーグルフォードの米国シェール上流事業において米国の天然ガス生産に貢献しています。また今回締結した液化事業への出資参画により LNGの安定的な生産に寄与し、また液化加工契約に基づき生産するLNGの輸出により、本邦及び世界のエネルギーの安定供給に貢献していきます。

(*)天然ガス液化加工契約及び合弁会社設立契約は、いずれも米国エネルギー省による自由貿易協定(FTA)未締結国向けの輸出許可、米国連邦エネルギー規制委員会による液化設備建設許可等の許認可取得、その他諸条件整備が契約発効条件となります。

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三菱商事

米国産LNG輸出に向けた取り組み

三菱商事は、米国から日本を含むLNG需要国へのLNG安定供給の実現に向けた取り組みを推進しておりますが、今般、センプラ・エナジー社の子会社である天然ガス液化事業会社のキャメロンLNG社と20年間の液化委託契約を正式締結致しました。加えて、当社はより安定したバリューチェーンを構築するために、LNG輸送事業に長年の実績を有する日本郵船株式会社(NYK社)と共同で、CLNG社への出資を行い、液化事業も手掛けることを予定しております。 また、米国内にて調達する原料ガスを輸送する為に、米国のパイプライン会社数社との間でパイプライン使用契約を締結致しました。本邦をはじめとしたLNG需要家への販売活動も順調に進んでおり、2017年下期の供給開始に向けた取り組みを引き続き推進します。

■ CLNG社への出資に関する契約
当社は、NYK社との米国合弁事業会社(Japan LNG Investment LLC”JLI”)を通じて、CLNG社に出資する予定です。 CLNG社の株主構成は、センプラ社 50.2%、GDF Suez社(以下、GDFS社)16.6%、三井物産16.6%及びJLI社16.6%を予定しており、今般、4社間で株主間協定書を締結致しました。本年度中にCLNG社は最終投資決定(LNG年産約1,200万トン、総投資額90〜100億米ドル)を行うべく、鋭意取り組んで参ります。

■ 米国パイプライン事業者との使用契約
当社は、原料となる天然ガスを市場から調達し、パイプラインにて輸送のうえ、CLNG社に対して約400万トン/年の液化加工(LNG生産)を委託することを予定しております。今般、当社は、米国のパイプライン会社であるテネシー・ガス・パイプライン社(以下、TGP社)及びテキサス・イースタン・トランスミッション社(以下、TETLP社)それぞれと、LNG生産量と約同量の原料ガスを米国の主要シェール生産地全てから調達可能とするパイプラインの使用契約を締結し、バリューチェーンの構築に向け大きな進展が得られました。

■ LNG販売状況
本邦及び今後LNG需要の伸びが期待されるLNG新興需要国を中心にマーケティングを展開しており、複数社と既に交渉の最終段階を迎えつつあります。米国産LNGの安定的な供給を通じて、需要家のLNG調達ソースの多様化、及びLNG価格指標の多様化に寄与すべく、引き続き本プロジェクトの成功に向けて邁進致します。

プロジェクトスキーム図


2013年05月18日 asahi 

米、日本への液化天然ガス輸出を許可 中部電など購入権

  米エネルギー省は17日、テキサス州の液化天然ガス(LNG)会社「フリーポート」に対し、日本などへの輸出を承認したと発表した。同社の計画には中部電力と大阪ガスが加わっており、2017年にも日本への輸出が始まる見通しだ。

 米国では、シェールガスの採掘が活発になった影響でガス価格が急落している。液化と運搬の費用を加えても、現在日本で流通するガスよりも安くなる見込み。原子力発電所が相次いで停止された日本にとって、米国のLNGは大きなエネルギー源となる見通しで、日本政府も再三、米政府に輸出許可を出すよう要請していた。

 フリーポートは05年、LNGを海外から輸入してガスに戻す設備を完成させたが、米国内でガスの採掘が進んだため、10年にLNGの輸出基地に替えることを決め、エネルギー省に輸出認可を申請した。中部電力と大阪ガスがLNGを購入する権利を確保している。

 米国では、自由貿易協定(FTA)を結んでいない国に天然ガスを輸出するには政府の許可が必要で、今回が2件目となる。同省は、国内のエネルギー価格に与える影響などを考慮して審査を進めていた。フリーポートに対する輸出許可は、日本企業が関与する計画では初めてとなる。

 フリーポートのほかにも日本の商社や電力会社が参加する計画を含めて、さらに20件近くの申請がエネルギー省に寄せられている。同省は順次許可を与えていくと見られる。

May 17, 2013 Energy Department

Energy Department Authorizes Second Proposed Facility to Export Liquefied Natural Gas

The Energy Department announced today that it has conditionally authorized Freeport LNG Expansion, L.P. and FLNG Liquefaction, LLC (Freeport) to export domestically produced liquefied natural gas (LNG) to countries that do not have a Free Trade Agreement (FTA) with the United States from the Freeport LNG Terminal on Quintana Island, Texas. Freeport previously received approval to export LNG from this facility to FTA countries on February 10, 2011. Subject to environmental review and final regulatory approval, the facility is conditionally authorized to export at a rate of up to 1.4 billion cubic feet of natural gas a day (Bcf/d) for a period of 20 years. The Department granted the first authorization to export LNG to non-FTA countries in May 2011 for the Sabine Pass LNG Terminal in Cameron Parish, Louisiana at a rate of up to 2.2 Bcf/d.

The development of U.S. natural gas resources is having a transformative impact on the U.S. energy landscape, helping to improve our energy security while spurring economic development and job creation around the country. This increase in domestic natural gas production is expected to continue, with the Energy Information Administration forecasting a record production rate of 69.3 Bcf/d in 2013.

Federal law generally requires approval of natural gas exports to countries that have an FTA with the United States. For countries that do not have an FTA with the United States, the Natural Gas Act directs the Department of Energy to grant export authorizations unless the Department finds that the proposed exports “will not be consistent with the public interest.”

The Energy Department conducted an extensive, careful review of the application to export LNG from the Freeport LNG Terminal. Among other factors, the Department considered the economic, energy security, and environmental impacts - as well as public comments for and against the application and nearly 200,000 public comments related to the associated analysis of the cumulative impacts of increased LNG exports – and determined that exports from the terminal at a rate of up to 1.4 Bcf/d for a period of 20 years was not inconsistent with the public interest.

The full conditional authorization can be found HERE.

反対派は承認がが公共の利益に反するという証拠を示していない。
輸出は米国にとり net economic benefits となると思われる
承認で天然ガスが供給不足になったり、天然ガス価格上昇や著しい価格変動を起こすことも考え難い

The Path Forward on LNG Export Applications

The Energy Department will continue to process the applications currently pending on a case-by-case basis, in the order of precedence previously detailed. As further information becomes available at the end of 2013, including the EIA’s Annual Energy Outlook Report, the Department will assess the impact of any market developments on subsequent public interest determinations.

 

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大阪ガスと中部電力は2012年7月31日、米国のFreeport LNG Development との間で、天然ガス液化加工契約に関する契約を締結した。

Freeport LNGはFreeport LNG受入基地に、液化設備を新たに3系列(1系列あたり年間約440万トン)を建設することを計画しており、2017年に液化事業を開始することを目指している。

大阪ガスと中部電力は、同基地の第1系列の液化設備においてそれぞれ年間約220万トンずつの天然ガス液化能力を確保した。
これにより、シェールガスをはじめとした米国産天然ガスを自ら手当し、 同基地での液化を経て、LNGとして調達することが可能となる。