経営会議資料
61年10月14日
樹脂事業部
ポリプロピレン増設計画
1. 増設計画案
PPの増設に当たっては、起業の採算だけでなくポスト産構法(63年6月産構法期限切れ)をめぐっての業界事情を勘案する必要がある。(資料1参照)
産構法期限切れ後も産構法の精神を残し共販体制を継続するため、ユニオンポリマーグループの共同投資の形で増設することが望ましいが、共同投資でまとまるかどうか流動的である。
当社としては状況に応じ次のとおり弾力的に対応したい。
Case 1 ユニオングループの共同投資の形で当社千葉工場内で増設。
(なお、ユニオンのシェアが大きいため、又、チッソの特殊事情を勘案し、チッソ中心にもう1工場増設する可能性もある。)
Case 2 共販単位の共同投資がまとまらない場合でも何社かと共同で当社千葉工場内で増設。
(自社プロピレンを持たず、又、スクラップ可能の工場を持つ徳山曹達が有力な候補となる。)
Case 3 5CR増設。
現行ガス法実質1万t/Yを倍増し2万t/Yとする。(需要増見合い増設)
Case 4 他社の増設計画に参加。
共販体制維持のため枠の一部を供出し、必要があれば製品を引き取る。
この場合当社としては合わせて上記の5CR増強を行うCaseもある。(注1) 共同投資に当たってはユニオングループの他社も自社工場での増設を希望すると思われ(資料4参照)、最終的には建設費、コスト、品質、その他の要因を勘案し、立地及び技術を決定することとなる。
(注2) いずれのケースでも必要に応じ設備枠に関係のない手直しは実施する。
2. 全国バランス
(1) 需要
60年(実績) 65年(予想)
内需 1,247千t 1,446千t 伸び率年3%(過去5〜6%)
輸出 83 60
(計) (1,330) (1,506)
うち含有フィラー 50
差引レジン需要 1,456 以後、毎年40〜45千t増加
(2) 供給(資料2参照)
公称能力 1,332 他に休止能力 151千t
増産(含み能力、合理化) 200 15%
(計) (1,532)
90%操業 1,380
(3) 差引 65年で80千t不足。以降、毎年40〜45千t需要増。
(但し、休止設備を動かさない Case)
3. 当社バランス(65年詳細資料3参照)
(1) 需要
60年(実績) 65年(計画)
内需(レジンベース) 144千t 180千t 伸び率年4%
輸出 10 20
(計) (154) (200) 以後毎年10千t増加
(2) 供給
公称能力 144
64年能力 189
(3) 差引 65年(フルベース)で約 10千t不足。(特にブロックが不足)
以後毎年10千t需要増。
4. 増設計画
(1) 共同投資案(Case1及び2)
(A)計画概要
(イ)運営形態 共同投資(生産受委託、場合によりJ/V)
(口)時期 63年7月着工(63年6月産構法期限切れ)
64年8月完成
(ハ)立地 当社千葉工場袖U地区
(二)プロセス 当社ガス法
(ホ)能力 50千t/年 1系列
(へ)建設責 5,640百万円(プロピレン受入タンク800百万円を含む)
(ト)原料プロピレン 他社枠分は持ち込み
(チ)生産グレード 汎用ブロック(及び成形グレードホモ)
グレードは限定する。
(リ)製品引取 引取枠固定(固定費たて割り方式)
(B)採算試算(詳細 資料5、資料6、資料7)
(イ) 住化としての採算
増分損益(資料5) 財務損益(資料6)
売価 @157 @157
総原価 @115 @136
損益 @ 42 @ 21
(50千tfull時 2,096百万円 1,053百万円)
RO1 37%
*1 売価、原料価格とも現状(61年10月)ベース
(売価はサブ品込み平均)
* 2 当社損益はこの内引取枠見合い(口)参加会社採算(資料7)
売価 @157
引取コスト @117購入プロピレンベース
運賃 @ 13
販売費 @ 12 住化ベース販売費・一般管逗貰・運転金利
総原価 @142
損益 @ 15
* 住化ベースとの差異
触媒代(市価ベース)、用役(求償ベース)、技術科(仮5億円+2%)
土地賃借料、工場管理費(求償ベース)
(2) 5CR増強案(Case3)
(A)狙い
(イ)需要増見合い(ブロック不足)増強
(口)当社ガス法設備を増強し、技術の確立を図る。
(B)概要
(イ)能力 10千t/年増設
(口)建設費 10億円
(C)採算(資料8)
増分損益
売価 @157
総原価 @110
損益 @ 47 ROI 47%
(10千tfull時 470百万円)
(D)5CR増強に際し設備枠が必要な場合、
1CRをパイロットプラント化しこの枠(11,000T/Y)を利用する。
以上
PP業界事情
PPの増設に当たっては、起業の採算だけでなく日本の業界事情を勘案する必要がある。なお、これはTPCのPP増設についてもあてはまる。
1.産構法(昭和58年、特定産業構造改善臨時措置法)
PP及びLDPE、HDPEのポリオレフィン製造業は58年6月産構法の下で構造改善すべき「特定産業」の指定を受け、次の諸策を実施し大きな効果をあげた。
@設備カルテル
設備処理(LDPE、HDPEのみ)
新増設(除S&B)の禁止(63年6月まで)
A共販会社の設立
(内容資料2参照)なお、共販会社の設立に際して公取委からこれが独禁法の精神に反するとのクレームがあったが、合理化の推進のため例外的に承認を受けた経緯があり、参加各社は次の約束をしている。
(a)競争阻害行為の排除。
(b)合理化計画の実行と合理化メリットの還元
当社の参加したユニオンポリマーは通産省に対し合理化計画を提出しているが、その中に「共同投資による投資の効率化」を挙げており、「計画」として宇部、住化、チッソ、徳曹による「PPの共同投資」を例示している。
2.ポスト産構法をめぐる動き。
産構法の期限切れ(63年6月)を控え種々の動きが出ている。
@産構法をめぐる論議産構法に基づく設備カルテル、共販会社が非関税障壁にあたるとの海外からの批判を受け、これらの解消を求める動きがある。
(a)設備カルテル
産構法では特定産業の要件が満たされなくなった場合、期限内であっても指定を取り消しうることとなっている。
要件:内外の経済的事情の著しい変化により
:設備能力の著しい過剰が長期継続し
:経営の著しい不安定が長期継続
石油化学についてはこれらの要件が全て満たされなくなっているとの指摘も一部にあるが、61年3月にエチレン製造業について共同行為の指示の取り消しがあっただけ(特定産業としての指示はそのまま、従って新増設は63年6月まで禁止のまま)で、ポリオレフィンについては通産省としても残す方向で努力している。
しかしながら、PPの新増設計画が読出したばあい、特定産業の要件が満たされているとの説明は難しくなり、指定取り消し問題が取り上げられる可能性が出てくる。(b)共販会社
共販会社は産構法に基づいてはいるが商法の規定の下で正式に設立された法人であり、産構法がなくなっても存続するものである。しかし設立に際し、公取委に対し「独禁法上の問題が明らかになった場合、共販の解消を含め公取委の指示に従う」旨約束している。
公取委としては共販会社の存続の為には約束した合理化を実行することが必要としており、通産省もこのままでは解散させられかねないとして共販会社の実質化と合理化計画の遂行を迫っている。(通産省はユニオンが率先して共同投資を行うことを希望)
今後のポリオレフィン事業にとり共販体制の維持は必須であり、各共販ともこれを守るべく組織の一本化、口銭制の採用etc.順次実施している。
PP共同投資については、通産省はこれを約束であるとしておりこれを実施せず個別に投資を行った場合、共販存続にどのように影響を与えるか懸念される。A業界の動き
(a)全般に「PPはまだ伸びる」「PPは儲る」との認識があり各社とも増設を希望しており、これまでやっていなかった東曹も進出を表明している。
(b)産構法期限切れにまだ時間がある内に、増設論議や増設計画、技術導入契約の発表等があった場合、特定産業指定打ち切り問題を生じかねない。
このため各社協議の結果、当面増設論議を塩づけにし増設計画の発表もしないこととしている。
(c)又、通産省とも協議し、カルテルの「63年6月まで新増設禁止」とは「63年6月まで着工禁止」であるとの合意を行った。
(d)産構法期限切れまで1年9ケ月となった現在、各社とも切迫感を深めており近い将来話し合いを始める必要がある。
(このように現在非常に微妙な状況にある。TPCのPP増設については海外でのprojectであり日本には持ち込まないことにしてはいるが、一般には当社のprojectとみられており、この時期に当社がこれを発表すれば、PP委員長会社として業界をまとめるのが非常に難しくなる恐れがある。)


