当社の石化事業の進め方

今後の議論のためのたたき台

19901119

 

問題点

    長期戦略は完成したが、それをどう具体化していくかについて検討が必要

    基本的には当社は現状では新規投資は借入で賄わざるを得ないことで、無条件な借入増加は出来ず、当然投資の取捨選択が必要になる。

このため石化への投資が当社の将来にとり意味があり必要であること、そのためにどのような行動をとろうとしているかの説明が必要

更に当面の資金難のなかで石化の投資のなかでの順位付けも必要

    問題の一つは石化の損益が悪化しつつあること

変動費一固定費のアップのなかで、需給関係から石油価格のアップ分(の一部)しか転嫁できない状態で、このままいけばジリ貧となるのは必至。

    今後予想される景気停滞、国内供給過剰、韓国・台湾・アセアンなどでの大増設、そのなかでの関税撤廃などのなかで、日本の石化がどうなるか、そのなかで当社がどう対応していくかが問題。

   このなかで生き残れるという案があって初めて、石化への投資がジャスティファイできる。

    当社の石化は当初トップグループに属していたが、順次地位は低下している。また千葉の立地上の制約から千葉における今後の展開には制限があり、他に次に展開できる立地ももっていない。

他方三菱グループは仮に(十分可能性あり)三菱油化と三菱化成が合併すれぱ、非常に強力な体制が確立できる。三井グループについても非常時がくれば大同団結の可能性がある。

当社としてどうするのか現時点で考えておく必要がある。

    更に当面の資金難のなかで戦略的視点で重要なものに重点的に投資する必要がある。上記の考え方のなかで、現在の製品それぞれをどのような位置付けにおくのかを検討し、投資の順位付けをすることが必要である。

    さきの長期戦略はこの問題意識のもとに作成したが、抽象的な表現にとどめたため分かりにくい点はある。

 

状況認識

1.日本の石化の問題点

石油ショックの際に苦況に陥った石化は産構法施行を機に黒字に転化し繁栄期を迎えた。最近になりコストアップを転嫁できないことから利益が減少しつつある。

・産構法施行による黒字転化を共販会社を理由にする見方があるが、これは正しくない。(もちろん値下がりの下支えとして若干の貢献はあるが)

・石油ショック時の苦況の原因は石油価格の高騰を機に供給過剰の状況が顕在化したことにある。各社がこぞって増設した結果需要をはるかに上回る供給能力となり、価格高騰による需要の減退もあって赤字体制となった。

産構法はこれに対処するためカルテルによる設備廃棄・休止と新増設の禁止により供給を需要見合いに落とした。サウジ・カナダなどの石化完成による輸入増加のおそれも欧米の好況・高関税などでほとんど影響を与えなかったのも幸いした。

・問題は過当競争体制はそのままで法律で一時的に能力を抑えたことで、国際競争力に劣る小規模メーカーが多数存在するという状況は変わらない。

弱肉強食による淘汰で小企業が食われ少数の大企業が残るというのが欧米の現在の姿であるが、結果的には強者の犠牲によ弱者の保護で全員を残すという日本的なやり方である。

産構法終了後の増設に当たってもこの精神が残されており、本来単独では新設できない会社に共同生産への参加で能力増の機会を与え、現状をそのまま拡大するという形をとっている。

・産構法終了後は各社競って旧設備の再稼働新増設を行ないつつあり、更に新規参入も計画されており、このままでは産構法以前の状態に戻るのは必至である。

これに加えて韓国など近隣諸国での新増設とその品質の高度化及び日本の関税撤廃の動きから、大量の輸入を覚悟することも必要である。

・このような需要と供給の長期動向が需要家の立場を強くしており、価格転嫁ができず損益が悪化しつつある原因である。

923年頃には世界的に景気停滞による需要減と各地で建設中のプラントの稼働による供給過剰で石化は不況を迎えることが予想され、日本では上記の理由からその影響は更に厳しいことになると思われる。その際、前回実施した産構法は採用できない。今度は各社が自らこれに対処することが必要になる。

・この段階で本当のRESTRUCTUREが行なれる。これを経て初めて日本の石化は国際競争力をもち、真の繁栄を迎λることとなろう。

 

2.住化の問題点

・上記の経過のなかで、当社は結果的により不利な立場になった。

・当社は旧設備を全て廃棄したため、産構法終了後再稼働する設備をもたず他社に遅れをとることとなった。他社が石化の戦力を温存せざるをえなかったのに対し、当社は他の部門をもっていたがために研究をはじめとして石化の戦力を縮小したため立て直しに時間かかかることとなった。更に増設に当たっても社内で慎重な意見が強かったこと、原料の能力不足・受け入れ体制の不足などからここでも他社に遅れをとることとなった。

・この数年間の新設で能力は増えたが、依然販売力に比して能力は小さく、業界での順位は下がりつつある。他方、三菱油化は休止設備の再稼働と率先した新増設で業界での地位を高めつつある。同社は明らかに来るべき石化不況のなかで他社を駆逐して生き残る作戦をとっている。

・千葉工場は土地の制約・原料受け入れ・製品出荷の制約からこれ以上の拡大は望めず、日本には次に展開する立地をもたない。

・三菱グループー三井グループはいざとなれば集約し強大な体制をつくる相手をもっているのに対し当社はもたない。

 

当社の戦略(案)

1. 基本戦略

・遠からず不況がくること、その際には乱戦となることはやむを得ないという観点をもち、そのなかで積極策をとり生き残ることを考える。当社の販売力、研究開発力は十分競争力をもっている。上記の状況のもとでは当社にとっては不況時こそ拡大のチャンスであり、その際に積極姿勢をとることが必須である。

・共販体制は生き残りには役に立たない。共販の維持に注力するのではなく、共販体制を利用して当社の力を強化することを考える。

・乱戦のなかで当然敗退していく会社が出てくる。当社としてはこれを吸収(買収)することにより拡大する。

(当初の長期戦略のPEPP40万トン体制は全てを自ら増設して達成するとは考えておらず、他社能力の吸収を含んでいる。)

・次ぎの立地としては自身で新コンビナートをつくることは考えず、他社コンビナートに参加し、最終的には実力でその主導権をとることを考える。

シンガポールを分工場と考え、汎用品はTPCから輸入し、特殊品を千葉でつくるということも考える。

・シンガポールにおいては将来市場拡大が確実な東南ア・中国を対象に、又必要に応じ日本の能力不足を補填するため、日本の技術をもとに日本のコピーをつくる。米国及び欧州においては日本の後追いの市場であるPPで進出し、日本の技術を利用して拡大を図るとともに、世界戦略をとりつつある日本の自動車関連需要家への現地での供給を通じ、国内での販売力の強化にも役立たせる。

これら海外進出は国内で増大しつつある研究費を薄め、固定費を減らす効果ももつ

 

2. 製品戦略(樹脂)

・限られた資源のなかではセレクトが必要であるが、はっきりしたビジョンのもとに方向づけすることが必要。

また自ら全部をやるのかどうかも考える必要がある。(特に川下)

・基本的には当社はレジン中心で考える。川下は関係会社で考える。

(市場によりマーケティングのやり方、考え方を変える必要がある。)

・現在の日本の樹脂事業は当初の(及び現在の欧米の)汎用レジン販売とは異なり、需要家の必要とする機能を充足する事業である。このため製品も単純なポリマーではなく、コポリマー、コンパウンド、アロイが増えている。加工技術を中心とするPTCが必要となるのもこのためである。

このため今後は製品別の考え方から、需要家の分野別、機能別の考え方をとるべきである。

当社としては現在の中心分野であるフィルム分野と自動車・家電を中心とするインジェクション分野が今後も対象と考える。

・両分野において、PEPPを大きな柱としつつ、その周辺の製品およびそれらのコンパウンド、アロイを揃え、需要家の必要とする機能を充足する。各需要家にとっては新しい機能が必要な場合、住化にいけばなんとかなるという風な体制にもっていきたい。当社はその機能にもっとも適したレジン(及びコンパウンド、アロイ)を選び、使い方との組み合わせ(PTCで開発)で供給する。

このためには必要レジンをある程度揃えることが必要。

・この考え方によれば品揃えは以下のとおり

フィルム:PEPP、エチレン.コポリマー、EPMEBMなど

インジェクション:PPPS(原料としてBR)、PPEEPDMEPMABS、各コンパウンド、アロイなど

それぞれのレジンは生き残りに必要な最低限の能力をもたせる。

PEPPについては主力製品として海外も含め、世界的水準にもっていく。

*当初の長期戦略ではPEPPは各40万トン、PS20万トンとした。

・塩ビについては上記の考え方によれば対象外となる。但しこれだけの商権を捨てるのは惜しく、売却するには弱体すぎる(商権は消えてしまい価値がなくなる)。たまたま第一塩ビグループ他社も全て単独では存続が難しく、逆に一緒になればかなり強い立場になる(東西各20万トン合計40万トン体制が可能)ことから千葉工場内に建設中の第一塩ビ製造プラントを中心にこの方向での展開を考える。

*長期戦略では塩ビの将来については検討することとしている。

(当面の第一塩ビ製造での新設と菊本ペースト増設のみ入れた。ペーストについても将来の在り方は別途考える)

 

    加工製品については既存需要家と競合しない分野で成長が期待出来るものをあげたが、実施に当たり自社でやるか、関係会社にやらすかは別途考える。

 

3. 将来の提携候補

・提携コンビナートとしての第一の候補は東ソー・四日市である。同コンビナートは既存分についてもプロピレン系の自社消費がほとんどない状況で、増設案もエチレンは塩ビと(南陽での)出光からの購入からの切り換えが大半という不安定なもの。

個人的な感じは強いが先方よりエチレンでの参加(東ソー40万トンに対し15万トン参加して欲しいというもの)申し入れあり。更にLLについて合計10万トンを5050でよいからやりたいとの申し入れもある。

当社としてはエチレン・ソースとともに、関西地区にポリマー供給基地をもつという利点もある。

・理論的には昭電・大分が考えられる。

昭電はモノマー中心、当社はポリマー中心で組み合わせとしてはよい。但しこれまで各JVがうまくいかなかったように、両社の体質が合わない。