当社の石化の損益構造  

 問題点と対策 (PTC建設起業 説明資料)

                              1991/8/21

 

(以下において「石化」とは有機、樹脂、合成ゴム・MMA事業部の合計とする)

資料:別紙

 

1.            現状分析

1)            損益の推移   単位:億円

 

 

 売上

損益

基礎

部門

 

 

 

石化部門 基礎部門

    計

経常損益 修正

経常損益

SDM

1987

 

262

203

238

238

88

 

376

429

436

447

89

 

215

285

314

339

90

 

51

100

138

182

91

63

108

 

 

  注)修正経常損益は年金過去勤務分(決算で特別損失として処理)等を補正したもの

 

2)            1988年と91年とでは石化の売上損益は313億円悪化しているが、その差異は下記のとおり。(単位:億円)

  

 

有機

樹脂

ゴム

MMA

合計

1991年

41

12

11

-1

63

1988年

140

193

26

17

376

差 異

-99

-181

-15

-18

-313

原料用役差

-63

-107

-9

-5

-184

他社品購入差

-11

-23

-1

-2

-37

運賃差

-5

-10

-2

-4

-21

(小計)

(-79)

(-140)

(-12)

(-11)

(-242)

売価差

36

69

7

2

114

差引合計

(-43)

(-71)

(-5)

(-9)

(-128)

製造固定費

-21

-98

-12

-15

-146

本社固定費

-28

-62

-7

-14

-111

(小計)

(-49)

(-160)

(-19)

(-29)

(-257)

数量差

2

50

9

20

81

差引合計

(-47)

(-110)

(-10)

(-9)

(-176)

その他差

-9

0

0

0

-9

 

 

 

 

差異理由

原料価格、運賃等の上昇分の価格転嫁難航

 

原料用役価格アップ 184億円(ナフサ価格 @15,332/kl @23,549/kl

購入製品価格アップ   37

運賃値上げ合計       21

合計        242

 

売価アップ     114

差引回収不足   ▲128

   景気下降局面での需給緩和、SM国際市況の低落(SV,PS価格)による。

 

・製造固定費の大幅アップ  ▲146億円(41%アップ)

例えば千葉工場全体(大半が石化)で僅か3年前の1988年と比較すると

 補修費:70億円から108億円へ38億円(54%)増加

  (定修費用は平準化しているが、発生額でみると1991年は2年前と比べ20億円、44%増加している。)

  労務費:77億円から103億円へ26億円(34%)増加

  (決算では特別損失としている年金の過去勤務分が売上損益に含まれている。基礎部門で概算27億円、千葉ではうち7億円。1988年は営業外)

  償却費:80億円から143億円へ63億円(78%)増加

  (定率法への切り替えによる増加は約37億円。これまで出来なかったインフラ投資を集中的に実施しているが、これによる償却費増加が22億円ある。)

定率償却により今後の負坦は減少する。石化全体で既存資産の償却費は1995年には1991年比77億円減少。

 

・本社費の大幅アップ  ▲112億円

  いづれも労務費には上記の年金過去勤務分を含む。

  販売間接費:51億円から66億円へ15億円(30%)増加

  研究費:

    部門研究費は60億円から96億円へ36億円(38%)増加

     研究人員1988478人、91634人(156人増加)

    全社共通研究費の負担は17億円から33億円へ16億円(93%)増

     全社の43%を負坦。1989年の筑波完成により急増。

  金利:23億円から44億円へ21億円(91%)増加

  一般管理費:69億円から92億円へ23億円(34%)増加

    うち出向者労務費差額(負担額21億円、1988比5億円増)、

      システム部費(負担額24億円、198812億円増)

 

能力不足

    変動費アップも半分しか回収できない状況下で、固定費アップは拡販でカバーするしかないが、能力不足で拡販不可

   固定費アップ 257億円に対し、数量増による益は81億円。

   1988年は定期修理がなかったが1991年は実施するため、この影響もある。

その他

  棚卸資彦評価がLIFO低価法のためコストアップ分が全て当期損益となる。

 

3)            三菱油化との対比

1990年度の実質経常損益は以下の通り。(別紙 1-3-1

単位:億円

 

経常 

 損益

連結

 損益

償却 棚卸評価 エチレン

千t

SM

千t

当社石化

182

 

定率 LIFO低価法

358

312

NOC損益込みa

208

268

   

 

 

三菱油化

471

491

定額 総平均法

671

476

事業税補正b

520

540

       
差異 a-b

312

272

       

 

三菱油化との損益差異(312億円)の理由は以下のとおり。別紙 1-3-1,1-3-2

金利差    125億円  油化の財テクによる資金運用益(順次減少)

SM規模   121億円   好採算時のもの(本年度は15億円の差に減少)

償却方法    33億円    当社の定額法との差異

棚卸評価方法  30億円    当社の総平均法との差異(超概算)

その他     3億円  差なし

即ちエチレンなどの規模の差、製品構成差(別紙1-3-3)、決算期の差(3か月の差)、その他いろいろあるが、SMの差(本年は差がなくなる)と金融収支の差以外は実質的に両社の差はない。

シンガポール損益を入れると当社の状況は同社と比較し悪くはない。

(参考)三菱油化との財務状況ほか対比 別紙 1-3-4

 

. 今後の方策

1)            売上損益予想

既に承認済みの起業の効果や合理化劾果を折り込み、今後の売上損益を予想すると1991年価格水準のままの場合で以下の通りとなる。(詳細別紙 2-1-1

 1995年でみると、諸合理化、起業メリット合計約100億円と、定率償却による年金過去勤務分、げんか償却費の減少約100億円の合計200億円の改善を折り込んだがその他の固定費アップ150億円(製造固定費70億円増、本社費80億円増)で消され、1991年比で約50億円の改善に止まる。

 

石化売上損益予想(単位:億円)

 

1991

1992

1993

1994

1995

有機

41

45

27

47

36

樹脂

12

21

26

37

28

ゴム

11

12

9

9

8

MMA

1

4

19

22

24

合計

63

82

81

115

96

    ベース損益     42

 

前提

・売価  1991年の水準のまま(但し樹脂について異常値21億円を下方修正、この結果ベース損益を上記のとおり42億円とした)

・合理化 エチレン合理化、袖・ガスタービン導入、触媒廃液回収、コンパウンドの製法合理化その他1995年で19億円の改善を折り込み。(別紙2-1-2

・起業メリット 既に着工済みの起業の完成、操業アップにより95年で83億円の改善を折リ込み(詳細別紙2-1-3

製造固定費(1995年は91年比て30億円負担減少)

   年金の過去勤務分(本社費を含む):21億円減少(27億円が6億円に)

   既存設備の償却:77億円減少する。(いづれも定率法のため)

  他方以下のとおり68億円のコストアップがある。

   労務費アップ:16億円

   インフラ投資による償却増加:26億円

   補修費などその他経費のアップ:26億円  合計 68億円

本社費(1995年は91年比で80億円の負坦増加)(過去からの推移別紙2-1-4

     販売間接費:8億円増加(樹脂20人、MMA4人の増員折り込み)

   一般管理費:28億円の増加(中期計画ベースで9210%、以降6%のアップ)

     労務費(5%)の伸び以上の増加で、増え過ぎか。

   研究費:20億円の省加(PTC投資42億円、人員増年15人、計60人)

   金利:24億円の増加

 

 

2)            今後の方策

@環境

売価は、少なくともこの2−3年は韓国の大増設などの影響もあり、大幅な是正は難しい。

   変動費アップ分の転嫁不足、固定費アップの状況下で売価是正が必要。

   PSについてはSM国際市況の回復を待ち是正

   全般については全国需給の改善及び住宅等景気回復待ち。

・他方固定費の増加は(勢いは弛むにしても)依然続くと思われる。

この結果石化各社の損益は暫ら<の間は厳しい状況が続き、その中で設備投資、研究投資を続ける会社とそうでない会社とで2極分化が生じると思われる。

(既にその兆侯が現われており、コモディティ中心のPPメーカーの販売低下は著しい。)

当社は他社に対し販売力において強い立場にある。

   *有力な需要家群をもつ(PE/PPフィルム等)。

   *当社の技術力ヘの信頼感(自動車、家電など)

     PTC設置、研究強化で更にこれを高めたい。

    「住友」or「住友化学」への信頼感、総合力ヘの期待

    海外での協力体制(TPC,SPM特許)

      欧米コンパウンドについては他社に遅れをとっており、レジンJVで一気に挽回を図る。逆にこれら需要家は当社の今後の供給能力に不安をもつている状況にある。

日本の需要は一時的に減退しているものの、中長期的にはGNP並みの伸びが期待される。

韓国等からの輸入の影響

   コモデイテイ主体のメーカーは影響を受けるが、当社の場合高品質化、スペシヤルティ化や需要家との提携強化により販売面での影響は避けられる。(但し価格面では影響を受けることは必至)

 なお将来的には東南ア、中国の需要の大幅増加によりアジアの需給は好転する。

 

A対策

戦略的製品については設備増強による拡販、各製品の生産体制については一層の合理化によるコストダウンを図る。

   系列均強による専用化で増産と切り替えロスの低減を図る。

   既存小規模井系列のS&B及びコンパウンド供給体制の整備。

製法合理化及びグレード数の統合削減。

 

ポスト千葉(中長期的課題)

   用地の制約、原料受け入れ・製品払い出し面の制約などから、千葉での拡大には限度があり、ポスト千葉構想の検討が必要。

      一時的にはPCS,TPC2期計画により補完

      他のグループとの提携の検討

 

研究の成果を生かして、グローバリゼーションによる連結損益増大を図る。

(研究を更に強化し、グローバリゼーションにおける研究センターとする。)

     米国PPレジン、コンパウンド計画

     欧州コンパウンド計画

     PCS,TPC2期計画

 

3.      研究体制

1)            現状

1991年の基礎部門の研究費は以下のとおり。

  部門研究費      107億円(うち石化96億円)

  全社共通費負担   40億円 (     33億円) 全社の52%(43%)を負担

  合計        147億円(    129億円)(うち樹脂 74億円)

  売上高比      3.3% (     3.3%  )(         5.5% 

参考)

  三菱油化(全社)の研究費は有価証券報告書ベースで152億円、売上高比 3.5%

  石化の研究人員は1988年に478人であったのを順次増員を図り、現状634人となっている。(うち樹脂は74人増の378人)

 

  ポリオレフィンの研究体制を他社と比較すると以下の通り。

   当社は専門職に人数が少ない。

 

専門職

一般

Plastic Technical Center
住化

118

156

274

PTC 93完成予定
三菱油化

135

79

214

工業材料開発センター 四日市

包装材料開発センター 四日市

90/6完成

同上

三井石化

217

88

305

加工研          千葉

Market Development

    Center        名古屋

89完成

 

計画中

昭和電工

128

94

222

川崎樹脂研究所 79完成
三菱化成

(エンプラ ?) 

192

87

279

PTC      茅ヶ崎

フィルム加工研  水島

87/4完成

88 完成

 

 

2)PTCの必要性

@市場のニーズの変化

  コモディティからスペシアルティヘの移行に伴い、需要家の必要とする「機能」の充足が重要となり、下記の点が必要となる。

     高機能のレジンの供給

     コンパウンド、アロイの供給(機能の付加、向上)

     機能を果たすことの確認

     加工技術の開発

A当社の体制

  当社の樹脂、ゴムの製品系列はこの流れに沿つたもので、フイルム、インジェクションの2大分野について品揃えを行なうとともに、総合力を生かし原料自製による最適製品の供給を行なっている。(別紙3-2

  また住友プレスモールド(SPM)法という加工技術も開発し、販売に寄与している。

 BPTCの効果

  現在:需要家での評価待ち(受け身の体制)

  将来:注文の品を機能を確認して供給(最適品の供給)

     需要家の二一ズを先取りする製品の開発及び新規加工法の開発

      この過程を通じてグレード数の縮減も可能となる。

  これにより需要家との関係を深め、当社の地位を強化する。韓国等からの輸入に対抗する手段、海外進出のための武器ともなる。

3)研究費負坦

  PTCの設置、要員増加により研究費負坦は増大するが、この成果を生かし、国内のほか海外での事業を拡大することにより、連結損益の拡大を図る。

  即ち日本を今後のグローバリゼーションにおける研究センターとし、海外では日本で開発した技術をべ一スにして、ローカルニーズに合わせてファイン・チューニングを行なう。

  PE,PPの場合、今後の研究対象の製品能力は以下のとおり合計155万tで、これにより今後持ち分として100万tの売上を可能とする。

 

 

PE

(持分)

PP

(持分)
国内 197 +(LL 60/80) = 277 (257) 188 +40/80   = 268 (228)
TPC 147 (+190)     = 337 (185)

55%

150 +45(+120)= 315 (173)

55%

USA         240 (+120)    = 360 (126)

35%

合計     614 (442)     943 (527)

                                                                  

  以上