住化ハース(Rohm & HaasとのJV)                                 

 

Rohm & Haas社概要

1992/1/9 ドイツで Mr.Roem が MMA事業を開始 商標 Plexiglas
米国進出を図り、同郷出身で米国在住のMr.Haas と組み、米国にRohm & Haas を設立。米国でも Plexiglas 商標使用。

第一次世界大戦で Rohm & Haasは敵国資産として没収されそうになり、米国市民権を持つMr.Haas が100%所有権をとり(Plexiglas 商標権を含め)、米国法人とする。(終戦後 対価を支払い)
この結果、両社は資本関係はなくなり、北米、南米ではR&Hが、その他地域では西独Rohmが Plexiglasの商標を使用することとなった。
R&Hはその他地域では Oroglasの商標を使用。又、その他地域ではR&Hの名前も使えず、住化とのJVも「住化ハ−ス」とした。

第二次大戦後、Rohmは米国進出に際し、ACC(American Cyanamid) とのJVでCYROを設立、その後ACCが撤退し、現在(1992)はRohm 100% 。
 *当時R&Hとの提携が独禁法に触れるとして認められなかった。

その後 Rohmは Rohm家が57%、Hulsが43%所有となったが、1990(?)にHuls 100%となった。

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 1986/12 Rohm & Haasが来訪、超耐熱MMA樹脂、耐衝撃MMA樹脂の日本での合弁会社設立の提案があった。

R&Hの開発した新製法(W−2)で耐衝撃性MMA樹脂(DR)を製造販売すること、超耐熱MMA樹脂(KAMAX)を製造販売することが目的であった。
(* MBSでR&Hと提携している呉羽化学が住化を推薦した。)

 87/2月〜3月に同社担当者が来訪、協議した。
 同年5/12の経営会議でJV設立について了解をとり、7/1 覚書を締結。

 同年10月寺嶋常務と同社を訪問した。

(同社訪問前にDuPontを訪問。同社の日本での人工大理石事業に原料のアルミナを売り込む件。潜在的競争相手から買いたくないというのを説得し、販売の道をつくった)

10/12に同社のヘリコプターでSpringhouse研究所、Bristle工場を見学、翌日会議をもった。R&Hの本件トップはMr. Doyle (VP Corporate Business Director--Plastics)。
冒頭、寺嶋常務から住化の紹介を行い、第二次大戦の期間のライセンス料を戦後に支払った話(信用を重んじる例として)を出すと、R&Hも第一次世界大戦で Rohm & Haasは敵国資産として没収されそうになった時に、Mr.Haas が100%所有権をとり、戦後対価を支払った話をした。
R&Hから新製法のW-2のパイロットプラントを設置して欲しいとの要請が出たが、当時は社内に時期尚早との声が強かった為、同意しなかった。
 (JV設立後、R&Hの強い要請もあり、愛媛にパイロットを設置した)

 中山が残留し、法務部井原部長と二人でR&H本社でJV契約交渉を行い、ほぼ詰めた。
    *R&Hの法務担当(Miss Tanya Deyo) はアメリカインディアン。

 11月初めに日本で最後の交渉を行い、合意に達した。

 87/12/2 東京で調印式を行い、同月「住化ハース有限会社」設立。
          資本金100百万円、折半出資。

 88/1月営業開始

住化が販売を受託し、DRの輸入販売から始めた。
住化の耐衝撃グレードもJVに移した。
JVの目的は Phase-1が市場開発、Phase-2 が輸入販売、Phase-3 が製造販売となっており、Phase-2 から Phase-3への移行は需要、採算予想に基づき両社共同で決定することとなっている。

 88/4月 当社とダウ・ケミカルはポリカーボネート事業を住友ノーガタックで行うことに合意し、7月ダウは当初の資本参加を行った。

R&Hは超耐熱MMA樹脂(KAMAX)の競合品を住化が起業化するのを知りショックを受け、クレームをつけてきた。
当社からは当社のMMA事業とノーガタックでのPC事業とは両立するものとして説明し、一応の了解を得た。(R&Hでは最後までこだわっていた模様)

 90/10 Mr. Doyleが引退し Dr. Vassiliou が欧州駐在のまま兼務することの報告があった。
    (その後 Mr. Doyle逝去)

 R&H側より、イミド(商品名 KAMAX)を販売開始するにあたり専任をおいて欲しい(R&Hからも1人出したい)との提案があり、1991/4から新体制に入った。

 91年度(1990/11〜1991/10月) 決算は以下の通り。

売上高: 1,612 百万円
  DR   2,829 t   住化自消とクラレ向けが半分以上
  イミド    34 t
  住化品  739 t
純利益:  17 百万円
未処分利益:41 百万円

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この頃R&Hでは同事業で大きな問題を抱えていた。

・ R&Hが期待を抱いていたKAMAXが、その後の各社のPCの大増強による競争激化、価格低下から競争力を失った。米国で12千t設備が完成したが、販売は世界で1千t程度。

・ W−2技術は未完成で、耐衝撃性DRは旧法で生産しており、商業化までに多くの研究開発投資を必要とし、R&Hだけでは負担能力がない。

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 92/1/7 R&HとアトケムはP-MMA事業での全面提携を発表した。

R&Hはp-MMA事業でフランスのAtochem と全面提携する。

具体的には両社の成型材料、シ−ト事業を出し、下記の3つのJVを設立する。 
 ・米国JV ---- R&H:51%,アトケム:49%  
 ・欧州JV ---- R&H:49%,アトケム:51%  
 ・第三のJV--- R&H:50%,アトケム:50%  

第三のJVは米国、欧州以外の地域を担当すると共に、全体の統括の機能も果たす。税務上の理由でオランダに本社を置く。住化ハ−スのR&Hの持分はこのJVに移されることになる。
両社ともモノマ−もやっているが、モノマ−はJVの対象外。

*Atochem は Orkem(CdF Chimie)の時代に本体で m-MMA、子会社 Altulorでp-MMA を製造、更にオランダのシ−トメ−カ−の Casolith を買収。
1989に Orkemは、PEを Enimontに出すのと交換に、Enimont からイタリアのMMAメーカー(monomer & polymer)の Vedril をもらった。
1990年に Atochemが Orkemの石化部門を吸収。

*現状能力      Atochem     R&H
     m-MMA    (120 千t)    ( 315 千t) JV対象外
     p-MMA      87        135     JV対象

 92/1/22  R&H(A.H.Caesar:Global Business Director)が来訪、住化ハースについて提案があった。

R&H提案
住化ハ−スの当初のビジョンの実現は疑問視される。解散も含め、どうするか考えて欲しい。
住化ハ−ス存続の場合は、@住化ハ−スのR&H持株を新JVに移管することを承認して欲しい、A少なくとも暫くの間、住化ハ−スのテリトリ−を日本に限定して欲しい、B4月末予定の共研を数か月延期して欲しい。

会談要旨
R&H(Caesar):

MMA業界は需要家の自動車業界の国際化を受け、国際化が進んでいる。特にICIが欧州と米国で積極的。(米国の K-S-H, Continental Polymer買収)
これに対しR&Hは米国では強いが、欧州、アジアで弱く、どうするかが問題であったが、アトケムとの提携がまとまった。
この両社は、R&Hが米国に強くアトケムは欧州に強いこと、R&Hが成型材料に強くアトケムはシ−トに強いことで、互いに補完的である。

住化ハ−スについては状況の変化から当初のビジョン達成は疑問。今後どうするか考えるべき時である。
すなわち、KAMAXはPCに対抗しうるコストは無理となり、特殊分野に限定され、生産はジャスティファイ出来なくなった。コストが上がったことと、PCの価格ダウンによる。PCについては住化の自製:competitorになることで、利害 conflict も生じる。
W−2については英国での生産が延期となった。プロセスの問題は解決したが、考えていた新製品をやれる可能性が少ない。DRはこれによらずにも生産できる。このため、W−2でMMAをやるのは?マ−ク。
住化からは他の分野でのW−2利用アイデアがでているが、これについては別途ライセンスなどのアレンジが考えられる。

住化:

DRは計画時の予想以上のペ−スで進んでいる。
KAMAXは当初からPCとの競合は問題となっており、状況が悪化したのは確かだが、今の時点で悲観的になる必要があるかどうか疑問。今これを止めるというのでは開発に当たってきた住化の信用問題(対顧客)にもなる。
R&Hとしてどう考えているのか?

R&H:

昨年1年間かけKAMAXの将来予想をした。操業度、原単位、原料価格など最善の状態で計算しても、日本でのコストを加えると日本向けは赤字になる。米国では他の用途向け販売などあり、なんとか黒字。
日本でも特殊分野では黒字の可能性もあるが、非常に少量。
R&HではKAMAXをやめるとは決めていない。開発は進める。
   
住化ハースについて潜在的な問題が三つある。
@アトケムが入ることにより、R&H/住化の技術協力がややこしくなる可能性。  (技術コンタミ)
A日本以外での住化ハ−スの実績が無いので、新JVが自分でやりたい、住化ハ−スのテリトリ−を削れと言い出す可能性。
B住化がKAMAX対抗品のPCをやっていることについてアトケムが不快に思う可能性。

住化:

住化ハ−スの運営はR&Hと協議して決めてきた。一昨年には専従者を置いてはとの提案を受け入れ、これらを通じ、住化ハ−スも力をつけてきた。
海外については実績無いが、これは海外での需要がまだ小さいことから、限られた資源を日本に優先して投入したためで、合理的判断である。今後どうするかは協議事項。

またPCに関しては、住化がやったから市況がどうこうということでは無い。
PC進出でMMAには資源を投じないのではないかという点については、そういうことは無い。実情を見て欲しい。巾広く樹脂をやることにより、個々の樹脂の競争力が高まるという考えでやっている。

R&H:

住化の考え方は分かる。
但しR&HやアトケムのようにMMAだけでやっているところは、それしかないので必死にやるが、いろいろやっているところは他の製品を優先するのではとの懸念をもってしまう。

住化ハ−スを残すという結論になった場合は、下記の点を考慮して欲しい。
  @住化ハ−ス株主のR&Hから新JVへの移管の承認
  A少なくとも暫くの間、住化ハ−スのテリトリ−を日本に限って欲しい。
  B4月末予定の研究会議を数か月延期して欲しい。<当方本件は了承>

 92/3/9 R&H来訪 再度協議した。

住化:

住化ハ−ス存続が住化だけでなくR&H(及びアトとの新JV)のためにもベタ−として存続を主張。

R&H:

R&Hとしては最大の問題は自社汎用品を売るのに特殊品を扱えないのが障害になる。日本は諦めるにしても、ASEAN、韓国、台湾の住化ハ−スのテリトリ−を非独占にして欲しい。特殊品で組みながら汎用品ではコンペティタ−であることで、JV設立時に失念していた。
これさえ認めてくれればJV存続に異議ない。但しKAMAXは損益面から短期的に儲かるものだけに縮小するし、W−2も工場建設は中断し再開の目途なし。続けるにしても今後の進展をモニタ−する。

 92/3/31 

ASEAN,韓国、台湾をどうするか一時混乱したが、R&Hから、日本は独占、ASEAN/韓/台は非独占との確認があった。
この結果JV継続を前提に、テリトリ−の変更及び住化ハ−ス株主をR&Hから新JV(AtoHaas)に移すことに同意する旨の返事を行った。