2006-5-1

2015年3月19日 旭化成 

リチウムイオンキャパシタ事業の合弁解消について

旭化成は、FDKとの合弁会社の旭化成FDKエナジーデバイス(「AFEC」)でリチウムイオンキャパシタ(「LIC」)事業を運営しておりましたが、本日付で合弁事業を解消することに合意しましたので、お知らせします。なお、合弁事業の解消時期は6月30日を予定しております。

1.背景と経緯

AFECは、2011年10月に、当社とFDKの優位性あるLICの技術を融合し、事業開発のスピードを加速することを目的に設立され、LICの技術開発において一定の進展が見られております。しかしながら、様々な蓄電デバイスの中でLICの市場創出が想定より遅れているなどといった、昨今の事業環境の変化を踏まえ、両社で同事業の方向性について再検討を行った結果、今後は両社がそれぞれ独自の経営方針に基づいてLIC事業の運営をしていくことで一致し、このたび合弁事業を解消することで合意に至りました。

2.今後の運営について

 当社は、保有するAFECの全株式をFDKに譲渡します。今後、当社は独自の材料技術を中心として優位性のある蓄電デバイスの開発を継続していくとともに、すでに保有している蓄電材料技術とのシナジーを生かしながら、新事業の創出を進めてまいります。

<ご参考>

商号 旭化成FDKエナジーデバイス株式会社
Asahi Kasei FDK Energy Device Co., Ltd.
設立日 2011年10月3日
資本金 1,733百万円
本店所在地 静岡県湖西市鷲津2281
代表者 代表取締役社長 筒井 清英
主な事業 LICの開発・製造・販売
出資比率 FDK 50%、旭化成 50%
従業員数 82名

 FDK  乾電池・充電池およびエレクトロニクス関連分野の素材・部品の製造販売

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2011年4月27日

リチウムイオンキャパシタに関する合弁会社設立の基本合意について  ーーー2011年10月3日 設立

FDKと旭化成は、次世代の蓄電デバイスであるリチウムイオンキャパシタ(LIC)に関して、共同出資の新会社を設立し事業統合することに基本合意しましたので、お知らせします。

1. 基本合意の趣旨

LICは、大電流の急速な充放電が可能な蓄電デバイスで、従来のキャパシタである電気二重層キャパシタに比べ高容量かつリチウムイオン二次電池(LIB)より長寿命な特性から、電力の高効率利用など省エネルギーに向けた新しい蓄電デバイスとして、2015年以降には大きな市場を形成することが見込まれています。

FDKは、これまでLICを今後の成長製品と位置付け、早くから本製品の開発を進めLICセルからモジュールまでの一貫した量産体制を構築してきました。
一方、旭化成は、これまで培ったLIBの素材技術をベースにLICの開発に取り組んできましたが、内部抵抗の小さい高性能な製品を開発したことから、事業化の検討を進めてきました。

このようななか両社では、FDKのセル・モジュール技術および製造技術と旭化成独自のセル基本技術を組み合わせることで、製品開発力と供給力の一層の強化を図るため、両社のLIC事業の統合に向け協議を続けてきましたが、この度新会社の設立について基本合意に至りました。

2. 合弁会社の概要

 FDKおよび旭化成は、以下の事項について合意していますが、新会社の商号、役員等その他の具体的内容については、今後両社協議の上で決定します。
◇出資比率 FDK 51%、旭化成 49%
◇代表者 FDKより選任
◇主な事業 LICセルおよびモジュールの研究・開発・製造・販売
◇製造拠点 現FDK湖西工場(静岡県)
◇従業員数 約70名

2016年04月01日 中央日報

SKイノベーション・旭化成(Celgard) 間の「分離膜関連訴訟」終結

電気自動車用の二次電池やスマートフォン用バッテリーなどに入る核心素材のリチウム二次電池分離膜(LiBS、以下分離膜)をめぐる世界1位、2位の企業間での法廷争いが終わった。分離膜業界で世界2位の企業であるSKイノベーション関係者は31日「最近、業界1位のセルガード(現旭化成)と分離膜関連特許訴訟を決着させることで合意した」として「関連訴訟が一段落しただけに法律紛争にともなう負担を減らし、技術開発だけに力を注ぐことができるようになった」と明らかにした。両社の合意により和解条件などは公開しないことにした。

◆3年で法廷争い合意

分離膜は電気自動車用バッテリーだけでなくノートブックやスマートフォンなどに使われる核心部品だ。分離膜は3〜4マイクロメートル(100万分の1メートル)の薄い高分子フィルムの形で、バッテリーの陽極と陰極の間に入って爆発や発火のような異常作動を防ぎ電池の安全性を高める役割をする。

現在、世界の分離膜市場では日本の旭化成が世界1位(生産量3.1億平方メートル)、SKイノベーションが世界2位(1.5億平方メートル)だ。その後を日本の東レが追撃している。SKイノベーションは2004年、世界で3番目に分離膜を開発し2005年12月に初めて商業生産を始めた。今まで分離膜関連の累積売り上げは1兆ウォン台に達する。最近、電気車市場の成長と歩調をそろえて分離膜市場の成長の勢いはさらに急になるだろうという展望だ。

訴訟戦は当時、乾燥式の分離膜で1位企業だったセルガードが火ぶたを切って始まった。セルガードは2013年からSKイノベーションや日本の住友などを相手に「自社の分離膜技術特許を無断で使っている」として米国ノースカロライナ州地方裁判所などに特許侵害訴訟を起こし始めた。

01/30/2014 Celgard, LLC v. LG Chem, Ltd. et al 3:14-cv-00043 01/13/2016 NCWDC
04/26/2013 Celgard, LLC v. SK Innovation Co., Ltd. 3:13-cv-00254 08/29/2014 NCWDC
02/22/2013 Celgard, LLC v. Sumitomo Chemical Co., Ltd. 3:13-cv-00122 12/30/2013 NCWDC

2014/1
Polypore International and Sumitomo Chemical have entered into a Settlement and License Agreement which ends outstanding litigation between the two companies.

当時、新たに台頭する企業を牽制しようとする目的が強いと業界はみていた。引き続き日本や韓国でも特許侵害禁止、損害賠償請求訴訟など10件余りの訴訟が続いた。セルガードはLG化学を相手にした訴訟も起こした。だがLG化学は分離膜を直接生産するよりもこれを購入して使うぐらいで余波が大きくなかった。その後、退屈な法廷攻防が続いた。

状況が決定的に変わったのは昨年セルガードが日本の旭化成に買収されて訴訟関連の動力が小さくなってからだ。

Polypore International    バッテリーセパレータの製造、販売
Celgard, LLC    リチウムイオン電池用セパレータ
Daramic, LLC    鉛蓄電池用セパレータ

2015/2/26 旭化成、米電池素材会社Polypore International を買収   

また昨年、米国の裁判所などで「セルガードが被害事実を具体的に立証できずにいる」としてSKイノベーションの手を挙げた点も作用した。

SKイノベーションが分離膜に関連して競争企業と訴訟戦を行ったのは今回が初めてではない。SKイノベーションが2005年に商業生産ラインを完工して事業に拍車を加え、当時分離膜業界でトップだった日本の東燃(現東レ)は2006年ソウル中央地方裁判所に特許侵害訴訟を起こした。東燃との訴訟もやはり3年以上にわたり2009年5月になって最高裁がSKイノベーションの手を挙げて終了した。

SKイノベーションは訴訟戦が落ち着いただけに、より積極的に世界市場の攻略に乗り出す計画だ。SKイノベーションは毎年20%以上ずつ生産能力を広めている。2010年当時5つだった分離膜生産ラインは現在9つに増えた状態だ。現在SKイノベーションのグローバル分離膜市場占有率は26%だ。

SKイノベーション側は「世界のノートブックとスマートフォンの4台に1台は私たちの分離膜が入ったリチウム二次電池を使っている」として「自主開発したセラミックコーティング分離膜を踏み台に2020年までに分離膜市場のグローバル1位に上がる」と話した。


旭化成はリチウムイオン2次電池(LiB)向けセパレーター(絶縁膜)で、同業最大手の中国・上海エナジーと協業する。江西省高安市で2022年上期に合弁工場を建て、太陽光など再生可能エネルギーの大量導入にともなって需要急拡大が見込まれる定置用蓄電池(ESS)向けの乾式セパレーターを生産する。温暖化ガス排出量を実質ゼロに抑えるカーボンニュートラルへの取り組みの高まりでLiB市場を取り巻く環境変化のスピードが上がるなか、セパレーターの世界首位と2位が中国でタッグを組む。

2021/9/18 Nikkei Asia

Asahi Kasei enters tie-up to tap China's renewables boom

Asahi Kasei will start making separators for lithium-ion batteries in China with a local partner, betting that fast-growing renewable energy in that market will fuel demand for storage units.

Asahi Kasei will team with Shanghai Energy New Materials Technology 上海恩捷新材料科技股彬有限公司 to build a factory in the southeast province of Jiangxi next year, President Hideki Kobori told a business briefing Friday. The Chinese partner -- the global leader in separators -- will take a 51% stake while Asahi Kasei will own the rest.

The new factory will produce low-cost separators for large storage systems starting in the first half of 2022, with plans to increase annual capacity from 100 million sq. meters initially to 1 billion sq. meters by 2028.

Shanghai Energy boasts strengths in cost-conscious production and local marketing while Asahi Kasei will offer the manufacturing technology of U.S. subsidiary Celgard, a specialist in separators for storage systems. The arrangement will enable the Japanese company to catch new trends in China, the world's biggest market, early and use that knowledge for product development.

Global separator shipments will jump to 6.1 billion sq. meters in 2026 from 4 billion sq. meters in 2020, Japan's Yano Research Institute projects. The market has been driven by demand among electric vehicle and electronic device industries. Increasing use of solar and wind energy is expected to fuel further expansion of the separator market.

 


2022年02月21日

AGC、次世代パワー半導体材料開発のノベルクリスタルテクノロジーに追加出資

― 酸化ガリウムウェハの実用化を更に加速 ―

AGCは、次世代パワー半導体材料開発会社である潟mベルクリスタルテクノロジー(本社:埼玉)が2月21日付で実施した、第三者割当増資(AGCを含む7社に総額11.2億円)の一部を引き受けました。

 

パワー半導体は、サーバー・自動車・産業用機械・家電製品など様々な電気・電子機器に組み込まれ、電力の制御を行う電子部品です。パワー半導体の性能は電力制御モジュールの省エネルギー化、軽量・小型化に直結するため、要求性能は年々上昇しており、既存材料であるシリコンよりも電力損失が少なく、耐電圧特性、大電流特性に優れた半導体材料が求められています。

酸化ガリウムはシリコンと比較し、3000倍以上のパワー半導体性能指数*1を有する次世代パワー半導体材料です。また、他の候補材料であるSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)と比較して、更に高電圧・大電流で使用できる可能性があることから、高い注目を集めています。

ノベルクリスタルテクノロジーは現在100mmまでの酸化ガリウムウェハの開発・製造・販売に成功しており、100%に近い世界シェアを有しています。AGCはノベルクリスタルテクノロジーの高い技術力に加え、当社がガラス製造で培った高温溶解、研磨加工、洗浄などの無機材料量産技術を活かすことで、酸化ガリウムの早期量産化を実現できると考え、2018年から共同開発に取り組むと共に出資を行ってきました。3度目となる今回の追加出資により、酸化ガリウムウェハの開発をさらに加速し、2023年の実用化を目指します。

AGCグループは、経営方針 AGC plus 2.0 のもと、エレクトロニクス事業を戦略事業のひとつと位置付けています。今後も大きな需要の伸びが見込まれる半導体関連事業に対し積極的な開発・投資を実施し、半導体産業の発展に貢献していきます。
 

<参考>

■ノベルクリスタルテクノロジー社に関して

ノベルクリスタルテクノロジーは、株式会社タムラ製作所からのカーブアウトベンチャーおよび、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の技術移転ベンチャーとして2015年6月に設立されました。パワー半導体材料である、酸化ガリウム単結晶基板とエピタキシャルウェハの開発・製造・販売およびパワーデバイスの開発を行っています。2017年11月には、タムラ製作所との共同で、世界初の酸化ガリウムエピタキシャル膜を用いたトレンチMOS型パワートランジスタの開発に成功するなど、世界に先駆けて酸化ガリウムを用いたパワー半導体の実用化に向けた取り組みを進めています。
https://www.novelcrystal.co.jp/