三菱UFJ、米国のMUFGユニオンバンクの個人・中小企業部門をU.S. Bancorpに売却、U.S. Bancorpに出資
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は2021年9月21日、傘下の米地銀、MUFGユニオンバンクの個人・中小企業部門を米地銀最大手のUSバンコープに売却すると発表した。対価として受け取る現金とUSバンコープの株式価値はあわせて8800億円になる。金利低下や店舗運営の負担増を踏まえ、米国事業の中核を担ってきた地銀事業の大半を売却することにした。
現金対価部分は、55 億米ドル
USB 株式対価部分は、USB 株式 2.9%分、44,374,155 株で、25 億米ドル相当他に、本株式譲渡実行前にMUFGユニオンバンクが予定している配当または自己株式取得額として約96 億米ドル
MUFGユニオンバンクのGlobal Corporate & Investment Banking と関連事業は三菱UFGに残る。
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MUFGユニオンバンク
1864年にBank of Californiaがカリフォルニア州に設立された。
1984年に三菱銀行が買収し、1988年に加州三菱銀行と合併し、Bank of Californiaとした。
一方、1975年に加州東京銀行がCalifornia First Bankに改称、1988年にUnion Bankを買収し、名称をUnion Bankとした。この2行が東京三菱銀行発足と同じ1996年4月1日に合併しUnion Bank of Californiaで発足した。
三菱銀行 Bank of California 買収、加州三菱銀行と合併し、Bank of Californiaと改称
東京銀行 加州東京銀行(→California First Bank)がUnion Bankを買収し、Union Bank と改称
三菱銀行と東京銀行が合併、東京三菱銀行、両社の米子会社が合併し、Union Bank of California
MUFGは別途、Morgan Stanleyに出資
金融危機の2008年9月21日に連邦準備制度理事会から金融持株会社への移行が承認され、翌週には三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と資本提携し、MUFG宛に90億ドル分の優先株を発行。
三菱はそのうち78億ドルを今回、普通株に転換して22.4%の議決権を握り、大株主としての発言力を強める。その後、Morgan の自社株買いで2018/4に24.53%まで上がった。
FRBに対し、三菱UFJが持てるモルガン・スタンレーの議決権株式の保有比率を24.9%未満に維持すると誓約しており、上限の24.9%未満に収めるため、定期的に売却する。2009年7月には米国において、コーポレートファイナンス業務や証券引受業務等に関する両社の高い専門性を活かした最高水準の金融サービスを提供するため、共同マーケティング会社であるMorgan Stanley MUFG Loan Partners, LLCを設立。アジア、欧州・中東・アフリカでも同様の業務で協働を進めている。
2010年3月30日には日本における証券会社の統合について発表
統合により発足した証券会社
(1) 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
(2) モルガン・スタンレーMUFG証券
2021
年9
月21
日
三菱
UFJ
フィナンシャル・グループ
MUFG Union Bank株式の譲渡契約締結およびU.S.
Bancorp株式の取得について
三菱UFJ
フィナンシャル・グループは、MUFG
の米国子会社である米州MUFGホールディングスコーポレーション(MUAH)を通じて保有する
MUFG
Union Bank, N.A.(MUB)の全株式をU.S.
Bancorp(
USB)に譲渡することについてUSBと合意し、本日開催の各取締役会の決議に基づき、株式譲渡契約を締結いたしました。本株式譲渡契約に基づく株式譲渡の実行により、MUFG
の子会社が異動することになります。なお、本株式譲渡の実行は、関係当局の承認等が条件となり、2022
年1-6
月中の完了を予定しております。
また、MUFG
および三菱
UFJ
銀行は、本株式譲渡の対価として、現金に加えて
USB
の発行済み株式の約
2.9%を受領するとともに、今後、USB
との間で業務提携契約の締結に向けて議論してまいります。
MUFG
は本株式譲渡後においても、引き続き米国市場をグループにとっての重要市場と位置付け、MUFG
の強みを生かせる法人取引に経営資源を集中するとともに、USB
との資本業務提携を通じて、新たな成長を実現することを目指してまいります。
1.
本株式譲渡の背景・意義
MUFG
は、かねてより米国におけるリージョナルバンク事業をグループ戦略における重要な事業と位置付けてまいりました。一方で、MUB
を取り巻く事業環境は、デジタル化対応による
IT
投資の必要性などにより、競争力の維持・強化には一定のスケールが求められる状況です。
こうした状況に鑑み、MUFG
は、MUB
をより強固な事業基盤を有する米国大手銀行USB
に譲渡することが、お客さまおよびコミュニティーに対してより質の高い金融サービスを提供することに繋がり、MUB
の潜在的なフランチャイズ・バリューを実現するために最適な選択肢であると判断
しました。また、MUFG
にとって現中期経営計画で掲げている経営資源の最適配置の観点から、
米国においては、MUB
を売却し、法人取引を中心とした事業ポートフォリオへシフトすることが、資本効率を高め株主価値の最大化に資するとの結論にいたりました。
USB
は、米国大手銀行の
1
社であり、本株式譲渡後において米国で第
5
位の総資産規模となります。USB
の確固たる事業基盤や業績、決済サービス・デジタル分野の強みを鑑み、MUB
の売却先およびMUFG
の米国におけるパートナーとして最良と判断いたしました。
2.
本株式譲渡に伴うお客さまとの取引の移管等
MUFG
がUSB
に対して本株式譲渡を通じて譲渡する
MUB
の事業には、MUB
が現在営んでいるGCIB(Global
Corporate & Investment Banking)事業、GCIB
に関連する市場業務(対顧客・投資家取引)、および一部のミドル・バックオフィス機能等に関する資産・負債等は含まず、これらの事業および資産・負債等は、本株式譲渡に先立って三菱
UFJ
銀行の米国内支店または関連会社に移管する予定です。
MUFG
および
USB
の両社は、本株式譲渡の実行までの間に、本株式譲渡後一定期間におけるTransitional
Service Agreement(TSA)および
Reverse Transitional
Service Agreement(RTSA)を締結
することを予定しており、現在MUB
で行っているお客さまとの取引を、本取引後においてもMUBおよび/または三菱
UFJ
銀行にて円滑に継続し、さらに質の高い金融サービスを提供することが
出来るよう、今後両社で協働してまいります。
3.
本取引後のMUFG
米国戦略の概要
MUFG
における米国市場の重要性は不変であり、今後MUFG
は銀信証連携およびモルガン・スタンレーとの提携等を通じた法人取引や投資銀行業務に経営資源を集中することで、引き続き、米国における成長戦略の遂行および組織・体制の効率化を追求してまいります。
また、本株式譲渡の対価として、現金に加えてUSB
の発行済み株式の2.9%を受領するとともに、USB
との間で業務提携契約の締結を検討しております。かかる出資・提携を通じて
MUB
買収後のUSB
にて発現が期待されるシナジーの一部を享受していくとともに、USB
を通じた米国リテール
業務およびコマーシャル・バンキング業務(地場決済業務を含む)への間接的な関与の継続や
USBとのデジタル分野での協業、相互的な補完関係に基づく協働機会等を模索していく方針です。
7.
本取引の概要
(1)
本取引の対象となる事業の概要
@
対象となる事業:MUB
におけるリテールおよびコマーシャル・バンキング事業
•
総資産:約1,054
億米ドル/貸出金:約577
億米ドル
•
預金:約899
億米ドル/支店数:309
店舗
•
当期純利益:約593
百万米ドル[3]
A
対象とならない事業および資産・負債:GCIB
事業、GCIB
に関連する市場業務(対顧客・投資家取引)、および一部のミドル・バックオフィス機能等に関する資産・負債等
•
総資産:約226
億米ドル[2]
•
上記の事業および資産・負債等については、本株式譲渡の実行に先立って三菱
UFJ
銀行の米国内支店または関連会社に移管予定
(2)
取引総額・取引対価
@
本取引の取引総額は約176
億米ドルとなる見込みです。
内訳は、本株式譲渡においてUSBが支払う取引対価として約80
億米ドル、および本株式譲渡実行前にMUB
が予定している配当または自己株式取得額として約96
億米ドルとなる見込みです。
A
本株式譲渡において
USB
が支払う取引対価は、MUB
の本株式譲渡実行時の有形純資産簿価に、17.5
億米ドルを加えた額となります。
•
本株式譲渡実行時点の
MUB
の想定有形純資産簿価(62.5
億米ドル)を基準とした場合、取引対価は約80
億米ドルとなります。
o
配当または自己株式取得後の想定有形純資産簿価(62.5
億米ドル)の1.28
倍
o
売却対象事業の2021
年3
月期当期純利益(約593
百万米ドル)[3]の13.5
倍
B
本株式譲渡の取引対価は
MUB
株式の売主となる
MUAH
に対して、現金と
USB
株式を組み合わせて支払われます。
•
現金対価部分は、55
億米ドルとなる見込みです。
•
USB
株式対価部分は、USB
株式
44,374,155
株で、25
億米ドル相当となる見込みです
(本株式譲渡実行後のMUFG
のUSB
株式の保有割合は、2021
年9
月16
日時点のUSBの発行済株式総数を基準にすると、2.9%程度となる見込みです)[6]。