川崎汽船、商船三井、日本郵船、三菱造船、今治造船、ジャパン マリンユナイテッド、日本シップヤード

2028年以降の国際間大規模液化CO2海上輸送の実現に向けて
液化CO2輸送船の標準仕様・標準船型確立に向けた共同検討を開始

国際間大規模液化CO2海上輸送の実現に向けて、川崎汽船、商船三井、日本郵船、三菱造船、今治造船、ジャパン マリンユナイテッド、日本シップヤードは、液化CO2輸送船の標準仕様・標準船型の確立に向けた共同検討を開始

◆ 将来は、アンモニア燃料等脱炭素技術を活用した新燃料船の設計・開発・建造についての共同検討を行うことも視野

川崎汽船、商船三井、日本郵船の3社は、この度、三菱重工グループの三菱造船、今治造船、ジャパン マリンユナイテッド(JMU)、ならびに今治造船とJMUの共同営業設計会社である日本シップヤードと液化CO2輸送船(LCO2輸送船)の標準仕様・標準船型確立に向けた共同検討に着手いたしました。

国内で回収したCO2を貯留地に向け海上輸送する各種CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)プロジェクトにおいては、今後、LCO2輸送船の需要拡大が見込まれることから、本邦内で安定的にLCO2輸送船を建造、供給し、CCSバリューチェーンの実現と経済性向上を図る必要があります。このため、上記7社は、LCO2輸送船の標準仕様・標準船型の確立や建造サプライチェーンの確立が重要な課題であるとの共通認識の下、共同検討を行うことになったものです。

本検討は、LCO2輸送船を対象に進め、国内の他造船所での建造も可能にすることを目指します。また更なる展開として、LCO2輸送船のみならず実用化が期待される脱炭素技術(アンモニア燃料等)を活用した新燃料船についても、同じ課題認識を共有する他造船所を含め、業界関係者と広く連携する枠組みの構築など、業界一丸となって脱炭素社会の更なる進展に貢献していきたいと考えています。

ーーーーーーーーーーーーーーー

2023年3月28日 エンジニアリング協会、川崎汽船、日本ガスライン、お茶の水女子大学

NEDO実証事業 液化CO2輸送実証試験船進水

2023年3月28日、液化CO2輸送実証試験船の進水式が三菱造船下関造船所にて行われました。 

進水式では経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(「NEDO」)に加え船主の山友汽船など関係各社から参加者臨席のもと、本船の船舶管理・運航を担当する日本ガスライン石ア代表取締役会長御令室の石ア典子様により支綱切断が行われました。

本船は2023年後半に竣工予定で、NEDOが2021年度から実施している「CCUS 研究開発・実証関連事業/苫小牧における CCUS 大規模実証試験/CO2 輸送に関する実証試験/ CO2船舶輸送に関する技術開発および実証試験」において、エンジニアリング協会(「ENAA」)が研究開発を行う液化二酸化炭素の舶用タンクシステムを搭載し、液化CO2輸送実証試験に従事します。

 本実証事業船の研究開発・運航を担うENAAと川崎汽船、日本ガスライン、お茶の水女子大学の再委託事業者各社は、輸送実証に向けた準備と研究開発を実施しております。

ENAAは、液化二酸化炭素の舶用タンクシステムを搭載した実証試験船の運用開始に向けこれまで円滑に研究開発を推進しており、引き続き船舶による液化 CO2 輸送技術や舶用タンクシステムの研究開発・実証試験の企画、評価、解析及び船舶関連の総括を担います。
 
川崎汽船は、2022年度に実証試験船安全性評価の為のリスクアセスメントを実施し、実証試験船のオペレーションマニュアル策定の準備を進めています。
 
日本ガスラインは、実証試験船の船舶管理・運航のための計画立案を進めると共に、実証試験船での CO2の温度、圧力、流動等のデータ計測を実施するための準備として、自社所有LPG船でのデータ計測と分析を実施しております。
 
お茶の水女子大学は、CO2の状態および相変化制御に関する 基礎基盤研究を遂行し、安全な輸送検討に必要な情報を提供します。
 
ENAA、川崎汽船、日本ガスライン、お茶の水女子大学の 4 者は本実証事業を通じてカーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。

<液化 CO2輸送の実証試験船イメージ>

(三菱造船提供)
 液化 CO2輸送船の主要項目】 
タンク容積 :1,450 ㎥ 
船長 :72.0m
船幅 :12.5m
喫水 :4.55m

下記参照
船名の「えくすくぅる」は、EXとCOOLを合わせた造語であるEXCOOLの日本語読みである「エクスクール」に由来するもの。


2023年11月28日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)

世界初、低温・低圧の液化CO2大量輸送に向けた実証試験船「えくすくぅる」が完成
―低コストでのCO2大量輸送を実現し、CCUSの社会実装を目指す―


図1 試験航行中の実証試験船「えくすくぅる」

NEDOの委託事業である「CCUS研究開発・実証関連事業」の一環で開発された、二酸化炭素(CO2)を輸送する船舶用カーゴタンクシステムを組み込んだCO2輸送実証試験船「えくすくぅる」が完成し、本日、命名・引き渡し式が行われました。NEDOから委託された日本ガスライン株式会社(NGL)や一般財団法人エンジニアリング協会(ENAA)などが、本船による実証試験や運航などを担当します。

「えくすくぅる=EXCOOL」は、CO2をCOOと読み替え、船舶の大型化に適した、低い温度の液化CO2輸送の安全なオペレーション技術を確立するという、強い思いを込めて命名されました。

今後、本船は試験運航後に、液化CO2の輸送実証試験を実施します。実証試験には、CO2の液化・貯蔵・荷役および船舶輸送のプロセスが含まれており、CO2の最適な船舶輸送条件を特定するため、主に本事業で建設した京都府舞I市と北海道苫小牧市の陸上基地間を温度や圧力などを変えた、さまざまな条件で繰り返し輸送する計画です。

NEDOは、実証試験を通じて、安全かつ低コストなCO2の船舶による大量輸送技術を確立し、CO2回収・有効利用・貯留(CCUS)技術の社会実装によって、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献していきます。

1.背景 

CCUS Carbon dioxide Capture, Utilization and Storageは、工場や火力発電所などから排出されたCO2が大気中に放出されることを大幅に削減し、脱炭素社会を実現する技術として国内外で高い注目を集めています。しかし、CO2の排出地と貯留地・活用地が離れていることが多く、CO2を安全かつ低コストで大量に輸送する技術の確立がCCUSの普及に向けた課題となっています。

このような背景の下、NEDOは、2030年頃までのCCUSの社会実装に向けて、工場や火力発電所などから排出されるCO2を、貯留地・活用地まで低コストで大量・安全に輸送するため本事業を実施し、CO2の液化・貯蔵・荷役および船舶輸送のプロセスを包括した船舶一貫輸送システム確立のための技術開発に取り組んでいます。その一環で開発された船舶用のCO2カーゴタンクシステム※3を組み込んだ本船が完成し、本日、命名・引き渡し式が行われました。

2.実証試験の概要

本船による実証試験や運航は、NEDOから委託されたNGLやENAAなどが担当します。本事業で開発したカーゴタンクに、さまざまな温度で液化したCO2を積載するとともに、圧力などを含めタンク内の状態を変更し、主に本事業で建設した京都府舞I市と北海道苫小牧市の陸上基地間を繰り返し輸送する計画です。これにより、陸上基地の荷役設備や貯蔵用タンクの機能性も併せて評価し、船舶一貫輸送に最適なCO2の輸送条件を特定することで、大量輸送技術の開発につなげます。

実証試験における液化CO2の低温・低圧状態(-50℃、0.6MPaなど)での船舶輸送試験は世界初の取り組みとなり、低コストでCO2を長距離大量輸送する成果が大きく期待できるものです。

             舞鶴基地と苫小牧基地間の輸送イメージ

3.今後の予定

NEDOは、本船による実証試験を通じて、船舶による安全かつ低コストなCO2の大量輸送を実現する技術を確立することでCCUSの社会実装を目指し、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献します。