三菱ケミG、製鉄用コークス子会社株売却 神戸製鋼所に   炭素事業の構造改革の一環

三菱ケミカルグループは9月
30日、製鉄用コークス(蒸し焼きの石炭)を手がける子会社の関西熱化学(兵庫県尼崎市)の株式を神戸製鋼所に売却すると発表した。保有する51%全てを10月末に売却する。売却額は非公表だが業績への影響は軽微とする。8月にも自社のコークス生産能力削減を決めており、事業構造改革を強めている。

関西熱化学は神戸製鋼所の製鉄所近くで生産しており、三菱ケミカルが51%、神戸製鋼所が24%を保有していた。製鉄用コークスは鉄鋼需要の落ち込みなどで収益が悪化し、三菱ケミGの炭素事業は赤字が続いている。

今回の株式売却で製鉄用コークスの生産はグループ全体で香川事業所(香川県坂出市)のみとなる。8月には同事業所での生産能力の4割削減も決めており、生産体制を見直し黒字化を目指すと同時に炭素事業の中長期的なあり方も検討する。

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三菱ケミカルG、製鉄用コークス縮小 生産能力4割減

三菱ケミカルグループ
は8月1日、製鉄用のコークス(蒸し焼きの石炭)の生産能力を4割削減すると発表した。鉄鋼需要の落ち込みなどで収益が悪化しており、コークスを主力とする炭素事業は赤字が続いている。販売や生産体制を見直し、2026年3月期に同事業の黒字化を目指す。

製鉄工程に使うコークスは香川事業所(香川県坂出市)で生産し、現在の生産能力は年間約250万トン。25年3月末までに生産能力の4割にあたる設備での生産を止める。従業員は事業所内で再配置する方針だ。

生産体制最適化の詳細・日程
(1) 対象工場所在地:香川事業所
(2) 事業内容:コークスの製造
(3) 生産能力:現有のコークス炉 250 門を 150 門に縮小
(4) 時期:2025 年3月末までに対象となる 100 門での生産を終了

コークスは中国を中心に鋼材需要が伸び悩んでいる影響で市況が低迷している。24年3月期の炭素事業の売上収益は前年同期比17%減の3037億円、本業のもうけを示すコア営業利益は194億円の赤字に転落していた。同日発表した24年4〜6月期も83億円の赤字だった。

今回の生産能力の縮小で売上収益は数百億円の減少を見込む。市況に左右されやすいスポット販売の割合を下げるほか、追加の合理化策も検討し26年3月期にコア営業利益での黒字化を目指す。縮小に伴い24年7〜9月期に約70億円の固定資産減損損失を計上するほか、撤去費用なども今後計上予定だ。

炭素事業は24年3月までの前社長体制では23年度中の売却を目標としていた。「カーブアウト(事業切り離し)方針を大きく転換するというわけではなく、赤字の状況を続けるわけにはいかないという切迫感で大胆な決断をした」(木田稔最高財務責任者=CFO)とし、まずは事業としての黒字化に向け生産、販売面を再構築する。