トヨタとBMW 燃料電池車で全面提携

トヨタ自動車は、燃料電池車の分野で協業しているドイツのBMWに水素タンクなどの基幹部品を供給する方針を固め、協業を強化する。


トヨタとBMWは2012年から協業関係にあり、燃料電池車の分野では水素タンクやモーターなどの基本システムの共同開発を進めてきた。

関係者によると、両社は協業の範囲を拡大し、トヨタが水素タンクや燃料電池などの基幹部品をBMWに供給する方針。駆動システムなどEV技術を活用できる領域はBMWが主体となって手がける。



BMWは開発中の燃料電池車の実証実験を日本を含む各国で行っており、今後、トヨタからの部品供給を受けて量産車の市場投入を目指す。

両社は協業の強化に向けて基本合意書を交わし、来月はじめにも発表する見通し。

燃料電池車は、水素で発電して走行する際に二酸化炭素を排出しないことからクルマの脱炭素化に向けて、EVなどと並んで、自動車メーカーが開発に力を入れている。

ガソリン車に劣らない航続距離や水素の充てんにかかる時間が短いことが強みの一方、車両価格の高さが課題で、両社が協業関係を強化する背景には、生産コストを下げて燃料電池車の普及をはかるねらいがあるものとみられる。

 

2013年1月24日 BMWグループ、トヨタ自動車 

BMWグループとトヨタ、協業に関する正式契約を締結
― FCシステム、スポーツカー、軽量化分野での協業に着手、リチウム空気電池技術の共同研究も開始 ―

BMWグループとトヨタ自動車は、サステイナブル・モビリティの実現に向け、長期的な戦略的協業関係構築の一環として、本日、「燃料電池(FC)システムの共同開発」「スポーツカーの共同開発」「軽量化技術の共同研究開発」に関する正式契約を締結した。本契約は、昨年6月に締結した覚書に続くものである。加えて、両社は、昨年3月に開始した次世代リチウムイオンバッテリー技術に関する共同研究について、第2フェーズとして、ポストリチウム電池であるリチウム空気電池技術の共同研究を開始することで正式契約を締結した。

主な契約内容は以下のとおり。 
 
 
1. FCシステム

・BMWとトヨタは、ゼロエミッション社会の実現に向け、FC技術の普及を共通の目標とし、中長期的な協力を進めていく。

・2020年を目標に、両社の技術を持ち寄り、FC車の普及拡大を目指し、FCスタック・システムをはじめ、水素タンク・モーター・バッテリーなど、FC車の基本システム全般の共同開発を行う。

・また、FC車の普及に必要な、水素インフラの整備や規格・基準の策定に向け協力していく。
 

2. スポーツカー

・両社は、ミッドサイズのスポーツカーに搭載する共通のプラットフォームのコンセプトを決定するためのフィージビリティ・スタディを開始することで合意。お客様によりご満足いただけるよう、両社の技術と知見を高いレベルで融合していく。
  同フィージビリティ・スタディは、本年中に完了する予定。その後、両社は、スポーツカーの共同開発に向けた将来の更なる協力について検討していく。

3. 軽量化技術

・強化樹脂など先端材料を活用したボデー構造の軽量化技術の共同開発を行っていく。成果は共同開発するスポーツカーのプラットフォームや両社の他の車種にも織り込む予定。

4. ポストリチウムイオンバッテリー技術

・エネルギー密度や燃費の面で、現在のリチウム電池の性能を大幅に超えるリチウム空気電池を共同研究する。


 両社は2011年12月に、次世代環境車・環境技術における中長期的な協力関係の構築に合意。その際、BMWからトヨタ モーター ヨーロッパへのディーゼルエンジン供給についても合意している。
    BMWとトヨタは、長期的な戦略的パートナーとして、将来のサステイナブル・モビリティの実現に向け協力していく。