食品残留基準のポジティブリスト制度 中国産ロイヤルゼリー、「ポジティブリスト」に苦慮
厚生労働省が食品衛生法に基づいて残留農薬基準を設定しており、残留農薬基準を超えるような農薬が残留している農産物は、食品衛生法により販売禁止などの措置がとられるが、我が国で残留農薬基準が設定されている農薬等は約250農薬に過ぎない。
(残留してはならないものを示すネガティブリスト制度)
* ネガティブリスト制では,原則規制が無く,規制するものをリスト化(ネガティブリスト)し,リストに記載された農薬のみに残留基準が定められました。残留基準が定められた農薬のみが残留することを許されませんでした。 このため,残留基準が定められてない農薬では,残留が検出されても基本的に規制対象外となり流通することが出来きました。例えば,輸入農産物に、国内で使用されていない農薬の残留があってもリストに無い農薬であれば,流通を規制することが出来ませんでした。
不検出(検出されてはいけない物質): 2,4,5-T、アミトロール、カプタホール、カルバドックス(キノキサリン-2-カルボン酸を含む)、クマホス、クロラムフェニコール、クロルプロマジン、ジエチルスチルベストロール(DES)、シヘキサチン及びアゾシクロチン、ジメトリダゾール、ダミノジット、ニトロフラン類、プロファム、メトロニダゾール、ロニダゾールの15物質 |
厚生労働省は2003年に食品衛生法を改正し、基準が設定されていない農薬等が、一定量を超えて残留する食品の流通を原則禁止するポジティブリスト制度に、3年以内に移行することを決定した。→2006/5/29から施行
規制の対象
規制対象物質 …
農薬、動物用医薬品、飼料添加物
規制対象食品 … 加工食品を含むすべての食品
ポジティブリスト制では、国内や海外で使用されるすべての農薬や動物薬、飼料添加物(799成分)について、国際基準であるCodexや農薬登録保留基準、先進諸外国の基準を参考として暫定的に基準値(暫定基準)が設定され、基準値をオーバーする食品(加工食品を含む)については流通が禁止される。
(例)米の残留基準(単位:ppm)
農薬等 現行基準 H18.5.29以降
の基準2,4,5-T 不検出 不検出 2,4-D 0.1 0.1 アセフェート 基準なし 基準なし→0.01適用 アセキシノル 基準なし 0.02(暫定基準)
対象外
亜鉛、アザジラクチン、アスコルビン酸、アスタキサンチン、アスパラギン
β−アポ−8−カロチン酸エチルエステル、アラニン、アリシン、アルギニン、アンモニウム、
硫黄、イノシトール、塩素、オレイン酸、カリウム、
カルシウム、カルシフェロール、β−カロテン、クエン酸、グリシン、
グルタミン、クロレラ抽出物、ケイ素、ケイソウ土、ケイ皮アルデヒド、
コバラミン、コリン、シイタケ菌糸体抽出物、重曹、酒石酸
セリン、セレン、ソルビン酸、チアミン、チロシン、
鉄、銅、トウガラシ色素、トコフェロール、ナイアシン、
ニームオイル、乳酸、尿素、パラフィン、バリウム、
バリン、パントテン酸、ビオチン、ヒスチジン、ヒドロキシプロピルデンプン、
ピリドキシン、プロピレングリコール、マグネシウム、マシン油、マリーゴールド色素、
ミネラルオイル、メチオニン、メナジオン、葉酸、ヨウ素
リボフラビン、レシチン、レチノール、ロイシン、ワックス
「人民網日本語版」2006年9月14日
日本産輸入食品に問題続出 加工品・冷凍品など
今年6月に深セン検験検疫局で日本から輸入された魚肉ソーセージに基準値を上回るソルビン酸が検出されて以来、広東、山東、遼寧、天津、上海など各地の出入境検験検疫部門で、品質に問題がある日本産輸入食品が約30件みつかった。国家質量監督検験検疫総局(品質管理部門)が13日明らかにした。
深セン検験検疫局は、日本の株式会社元大が生産した魚肉ソーセージから基準値を上回るソルビン酸を数度検出。含有量は中国の最高基準値の17.3倍に当たる、1キロ当たり1.3グラムに達しており、重大な基準値超過といえる。深センではこのほか、九州地方で生産された大根の漬物からも基準値を上回るソルビン酸を検出した。ソルビン酸は防腐剤の一種で、多量かつ長期間食用すると肝臓や腎臓の機能障害をもたらす。
8月4日、山東省の検験検疫機関で、日本から輸入された冷凍タチウオから微量のリステリア菌が検出された。リステリア菌はヒトや家畜に敗血症、脳膜炎、単核細胞の増加などを引き起こすなど、人々の安全を脅かす。これより以前には、天津市の検験検疫局で基準値を超える細菌を含む日本産コーヒーが見つかった。また8月28日には、遼寧省の検験検疫局で、日本からの冷凍タコ1181ケースから黄色ブドウ球菌が検出された。
同じく8月28日には、広東省の検験検疫局で日本製ケーキから基準値を上回るアルミニウムが検出された。これより前には日本製のデンプン粉18トンから基準値を大きく上回る二酸化硫黄が、冷凍カキから基準値の約5倍のカドミウムが検出されている。
質検総局はこうした問題について、日本政府の主管部門と駐中国大使館に書簡を送り、日本の関連部門が対中輸出食品の管理を強化し、中国の国家基準に合致させることを保証するよう求めた。また同局は各地の検験検疫機関に通知を出し、日本からの輸入食品の検査を強化し、食品の安全を確保するよう求めている。
日本経済新聞 2006/9/15
中国検疫総局 「日本製化粧品に禁止物質」
新華社によると、中国の国家質量監督検験検疫総局は14日、日本から輸入された化粧品から中国が化粧品への使用を禁止している物質が検出されたと明らかにした。同総局は13日にも日本産食品で品質上の問題が発見されたと発表している。日本政府による残留農薬規制の強化に対抗し、日本製品への検査を厳格化している可能性が高い。
同総局によると、P&Gジャパングループのマックスファクターが生産する「SK-U」のクリームや乳液など複数製品からネオジミウムとクロムが検出された。同総局では日本政府に対中輸出化粧品の管理強化を要請し、中国各地の検疫当局には日本産化粧品の検査を厳格化するよう通知したという。
国家質量監督検験検疫総局
中国全土で販売される商品全般の品質検査・管理、輸出入衛生検疫、輸出入動植物検疫、認証認可、品質管理の基準化作業などを行う国務院の直属機関。英語訳は General Administration of Quality Supevision and Quarantine of the People's Republic of China (AQSIQ)。なお、中国語の「質量」は、「質」「品質」の意。
国家品質技術監督局(CSBTS)と国家輸出入商品検験検疫局(CIQ)が統合されて2001年4月に誕生した。認証認可と基準化行政管理は、同局管轄下の中国国家認証認可監督管理委員会、中国国家基準化管理委員会がそれぞれ担当する。
また03年5月1日には、「強制認証制度(CCC)」に基づく「強制的製品認証管理規定」を公布。「長城マーク」「CCIBマーク」という2つの認証制度が並立していた状況を改善し、製品安全認証制度の統一を図った。