2008年9月14日 asahi
ノーベル賞前哨戦、米ラスカー賞に遠藤氏 臨床研究部門
米ラスカー財団は米東部時間13日(日本時間14日)、優れた医学研究者に贈る「ラスカー賞」の今年の臨床医学部門の受賞者に、遠藤章・東京農工大名誉教授(74)を選んだ。受賞業績は、血液中のコレステロール値を下げる物質「スタチン」の発見。治療薬として製品化され、心臓病の治療や予防に大きな進歩 をもたらしたことが評価された。
日本人の受賞は、利根川進・米マサチューセッツ工科大教授(87年基礎医学部門)らに次ぎ5人目。臨床医学部門では初めて。授賞式は26日にニューヨークである。
遠藤氏は製薬会社三共(現第一三共)の研究者だった73年、コメの青カビがつくるスタチンを発見。これが血液中のコレステロール値を下げることを動物実験で確認した。
その後、87年に米製薬会社メルクがスタチンを治療薬として製品化することに成功し、三共なども続いた。現在では高コレステロール血症や心筋梗塞(こうそく)などの治療・予防薬として、100カ国以上で販売され、3000万人が服用しているとされる。
ラスカー賞は米国で最も権威のある医学賞とされ、利根川教授ら受賞者の多くが後にノーベル賞を受けている。
遠藤氏は1933年、秋田県生まれ。東北大農学部卒。
Lasker Award
ラスカー賞は、ラスカー財団によって運営されている。Albert Lasker と、彼の妻Mary Woodard Laskerによって1946年に始まった。ただし、Special Achievement in Medical Scienceは1994年から始まった。
ラスカー賞はしばしば「アメリカのノーベル生理学・医学賞」とも呼ばれる。実際、ラスカー賞を受賞した人のうちの68人が、さらにノーベル生理学・医学賞を受賞した(2003年時点)。
日本人の受賞者
- 1982年 花房秀三郎(基礎医学研究賞)
- 1987年 利根川進(基礎医学研究賞)
- 1989年 西塚泰美(基礎医学研究賞)
- 1998年 増井禎夫(基礎医学研究賞)
2008年受賞
Albert Lasker Basic Medical
Research Award
アルバート・ラスカー基礎医学研究賞 Victor
Ambros |
Lasker~DeBakey Clinical Medical
Research Award アルバート・ラスカー臨床医学研究賞 Akira Endo For the discovery of the statins - drugs with remarkable LDL-cholesterol-lowering properties that have revolutionized the prevention and treatment of coronary heart disease. |
Lasker~Koshland Special
Achievement Award in Medical Science Stanley Falkow For a 51-year career as one of the great microbe hunters of all time ? he discovered the molecular nature of antibiotic resistance, revolutionized the way we think about how pathogens cause disease, and mentored more than 100 students, many of whom are now distinguished leaders in the fields of microbiology and infectious diseases. |