2006-5-1

 

 

2016年3月15日 

日立化成株式会社
 

がん免疫療法を始めとする再生医療用細胞等の受託製造事業に参入
 

 日立化成は、再生医療等製品の開発を行っているCaladrius Biosciences, Inc.の子会社であり、再生医療用細胞の受託製造の分野で米国最大手の一社であるPCT, LLC, a Caladrius Company (本社:米国、ニュージャージー州、PCT)へ出資するとともに技術提携契約を締結し、再生医療用細胞等日本国内向けの受託製造(*1)事業に参入します。

 再生医療は、けがや病気で損傷した臓器および免疫の機能を回復させるため、細胞を体外で培養するなどして体に移植する治療法であり、がん免疫療法(*2)や、体性幹細胞(*3)・iPS 細胞(*4)等を用いた治療法があります。近年、特にがん免疫療法、体性幹細胞を用いた治療法の臨床応用例が急増しています。さらに日本での法規制緩和およびiPS 細胞の実用化等により、再生医療の急速な立ち上がりが期待され、周辺産業市場は2025 年頃から急拡大し、2030 年には5 兆円、2050 年には15 兆円の世界市場が見込まれています(*5)。
 なお、日本では、2014 年11 月、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」の施行により、細胞培養加工について、医療機関から企業への外部委託が可能となり、さらに「医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律(略称:医薬品医療機器等法)(*6)」の施行により、再生医療等製品(*7)の特性に応じた早期承認が可能となりました。これらにより、国内再生医療市場の急速な拡大が期待されております。

 このたび、日立化成はPCT へ出資するとともに、技術提携することで、PCT が行う米国における受託製造事業の経営に参画するほか、PCT から本事業に関する技術およびノウハウの供与を受け、再生医療用細胞等日本国内向けの受託製造事業に2018 年度をめどに参入します。
 また、PCT からの技術およびノウハウの取得に加え、日立グループの技術支援を受け、自動化設備等を備えた生産管理システムを開発することで、高品質・低コストの再生医療用細胞等の受託製造が可能となります。

 日立化成は、1981 年から診断薬を中心とした医療関連製品を手掛けています。医薬品医療機器等法の下での医薬品の臨床試験、薬事承認取得および製造販売で蓄積してきたノウハウを生かし、高品質と低コスト化を両立した、がん免疫療法用をはじめとする細胞の自動培養システムの確立および本事業の早期立ち上げをめざします。さらに、容器や試薬などの消耗材についても取り組んでまいります。


*1. 再生医療用細胞等の受託製造とは、製薬会社、病院および研究機関からの委託に基づき再生医療に使用する細胞を製造供給する事業形態です。
*2. がん免疫療法とは、免疫の力ががん増殖の力を上回るように、免疫細胞を体外で増殖、強化し体内に戻し、免疫の作用によりがんを攻撃する治療法です。
*3. 体性幹細胞とは、生体のさまざな組織にある幹細胞です。
*4. iPS 細胞とは、万能細胞の一種であり、幹細胞と同様に増殖して各種の細胞へと分化することが可能な細胞です。再生医療への応用が期待されます。
*5. 経済産業省「再生医療の実用化・産業化に関する報告書」(2013 年)参照。
*6. 医薬品医療機器等法とは、日本における医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器および再生医療等製品に関する運用などを定めた法律です
*7. 再生医療等製品とは、再生医療に用いる細胞加工物のうち、企業の責任の下で加工が施されたもののことです。

【PCT 会社概要】
(1) 社 名:PCT, LLC, a Caladrius Company
(2) 所 在 地:米国 ニュージャージー州
(3) 代 表 者:President, Robert Preti
(4) 設 立:1997 年

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カラドリアス・バイオサイエンスは米国のバイオテクノロジー企業。独自の細胞治療製品の開発に従事し、再生医療分野でのサービスを提供する。虚血に対処するための治療法の開発、急性心筋梗塞後の損傷した心筋を治療、免疫系の不均衡によって引き起こされる疾患を治療、テクノロジー再生医療プラットフォームなどがある。

March 14, 2016

Caladrius Biosciences Subsidiary PCT, LLC Enters Into Global Collaboration and License Agreement with Hitachi Chemical

Caladrius Sells 19.9% equity stake in PCT for $19.4 million
Licenses cell therapy technology for certain Asian territories for $5.6 million and future royalties

Caladrius Biosciences, Inc., a leading cell therapy company combining an industry-leading development and manufacturing services provider (PCT, LLC, a Caladrius Company, or “PCT”) with a select therapeutic product pipeline, announces that Caladrius, through its subsidiary, PCT, has entered into a global collaboration with Hitachi Chemical Co., Ltd. (Hitachi Chemical) that includes licensing, development and equity components. Hitachi Chemical is a global conglomerate with a growing franchise in life sciences, including regenerative medicine.

As part of the collaboration, Hitachi Chemical has purchased a 19.9% equity interest in PCT for $19.4 million.  Caladrius will retain the remaining 80.1% ownership of PCT. Caladrius intends to use the acquired capital for continued expansion and improvements at PCT in support of commercial product launch readiness as well as for general corporate purposes.

In addition, PCT has licensed its cell therapy technology and know-how to Hitachi Chemical for cell therapy manufacturing in certain Asian territories, including Japan, where the Pharmaceuticals and Medical Devices Agency (“PMDA” 医薬品医療機器総合機構) has introduced more favorable legislation to stimulate the growth of regenerative medicine development in Japan. Under the license agreement, Hitachi Chemical is to make upfront and near term milestone payments of $5.6 million.  In addition, Hitachi Chemical will pay service fees and royalties on contract revenue in those territories.  Under the license arrangement, Hitachi Chemical is responsible for all capital and operational expenses associated with the establishment and operation of the Asian business on which PCT is entitled to royalty payments.

PCT and Hitachi Chemical have also agreed to explore the establishment of a joint venture in Europe.

“We are delighted about this collaboration with a company of the stature and global reach of Hitachi Chemical as it represents a clear validation of the PCT business model, technology and know-how.  Importantly, it now values our PCT business at approximately $100 million and provides non-dilutive capital that strengthens our financial position,” said David J. Mazzo, PhD, Chief Executive Officer of Caladrius. “Together, Caladrius, PCT and Hitachi Chemical are focused on building a global leadership position in cell therapy development and manufacturing with this transformative collaboration.”

“This partnership with Hitachi Chemical underscores the value of PCT’s expertise in cell therapy manufacturing and process development and will allow for the acceleration of our vision to create a global commercial enterprise with deep engineering expertise. Moreover, Hitachi Chemical’s investment in PCT shows its confidence in the growth of the cell therapy field as the field continues to shift towards Phase 2 and Phase 3 trials and into commercial distribution as regulatory approvals are obtained,” said Robert A. Preti, PhD, President of PCT.  “By leveraging this expanded footprint, our clients will gain global access to the cell and cell-based gene therapy markets of tomorrow, where we expect engineering solutions to process optimization and automation will play a seminal role.”

“Our aim is to establish global leadership in regenerative medicine and we believe this deep collaboration with PCT, through its veteran cell therapy manufacturing experts and global brand, can power that into a reality,” said Kazuyuki Tanaka, President and CEO of Hitachi Chemical Co., Ltd. “By leveraging PCT’s expertise and cell therapy technology, complementing PCT’s capabilities with our own and launching joint initiatives in new geographies, we will advance together towards that goal. In addition to using PCT’s support, Hitachi Chemical will receive technological assistance from Hitachi Group to develop a production control system, including automated facilities, to manufacture low cost yet high quality regenerative medicine cells, while also promoting consumable materials such as containers and reagents.”

 


2017年9月29日 日立化成                            

協和メデックスの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

日立化成は、協和発酵キリンとの間で、協和発酵キリンの100%子会社で、高脂血症*1や糖尿病等を検査する体外診断用医薬品(診断薬)を開発・製造・販売する協和メデックスの株式66.6%を日立化成が取得する契約を締結しましたので、下記のとおりお知らせいたします。

また日立化成は協和発酵キリンとの間で、日立化成の診断薬開発・製造・販売事業を、協和メデックスに事業譲渡することに合意いたしましたので、併せてお知らせいたします。なお、日立化成は協和発酵キリンとの間で、協和発酵キリンが継続保有する株式33.4%を、株式譲渡実行時から3年後を目途に買い取る権利を保有することに合意しています。

日立化成は、2018年度を最終年度とする「2018 中期経営計画」の中で、ライフサイエンス事業について「材料技術および診断薬事業を基に将来の基盤事業へ育成」を基本方針としています。ライフサイエンス事業のうち診断薬事業では、アレルギー診断薬等を開発・製造・販売していますが、事業基盤を強化するため、M&Aによる経営リソースの拡充を検討してまいりました。一方協和メデックスは、高脂血症、糖尿病、がん、腎臓病を検査する診断薬等、幅広い製品ラインアップを有し、日本国内を中心に事業を展開しています。特に高脂血症、糖尿病の分野では国内で高いシェアを有しています。

今回の株式取得により日立化成は、協和メデックスの有する幅広い診断薬製品を取り入れ、ラインアップを拡充することで、診断薬事業の基盤強化を図ります。また日立化成グループの米国、欧州および東南アジア等の販売網を活用して協和メデックスの製品をグローバルに展開するとともに、協和メデックスの国内販売網を活用した日立化成の診断薬の販売促進を通じ、事業の拡大を進めます。また日立化成の診断薬開発・製造・販売事業を協和メデックスに事業譲渡することにより、両社が保有する診断薬技術の融合、リソースの有効活用等を進め、ライフサイエンス事業の強化を進めていきます。

*1
血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)やトリグリセライド(中性脂肪)が多すぎ、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が少ない状態を高脂血症といいます。高脂血症は動脈硬化の原因となり、進行すると心筋梗塞や脳卒中などの深刻な病気を引き起こす場合があります。

 

協和メデックス 概要

(1)社名 協和メデックス株式会社
(2)所在地 東京都中央区晴海一丁目8番10号
(3)代表者 代表取締役社長 小野寺 利浩
(4)設立年月日 1981年4月1日
(5)資本金 450百万円(2016年12月31日現在)
(6)事業内容 体外診断用医薬品(診断薬)の開発・製造・販売
自動分析装置の開発・製造・販売
マイコトキシン分析などの受託分析サービス業務
(7)大株主および持ち株比率 協和発酵キリン株式会社 100%
(8)売上高 12,097百万円(2016年12月期)

日程

(1)契約締結日

2017年9月29日
(2)株式譲渡実行日 2018年1月4日(予定)

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2018年10月1日 
 
協和メデックスの社名変更のお知らせ

協和メデックスは、2019年3月開催予定の定時株主総会の決議を経て、下記の通り社名変更することをお知らせいたします。
 
1.変更の理由
当社は本年1月、日立化成株式会社の連結子会社となったことを機に、日立化成ブランドの下、同社グループの診断薬事業の中核会社として一層の競争力強化に取り組むために、社名変更することといたしました。
 

2.社名変更の概要

新社名:日立化成ダイアグノスティックス・システムズ株式会社(英文:Hitachi Chemical Diagnostics Systems Co.,Ltd)
変更予定日:2019年7月1日

 

3.会社概要
 
本社:東京都中央区晴海一丁目8番10号
事業内容:体外診断用医薬品(診断薬)の開発・製造・販売
     自動分析装置の開発・製造・販売
出資比率:日立化成 66.6%、協和発酵キリン 33.4%

 

 


20191126

日立製作所、再生医療の普及に向け、細胞の3次元培養法の自動化技術を開発

細胞の最適な製造方法を提案する自動製造プロセスの構築支援サービスの提供を開始


 心筋分化効率:iPS細胞から心筋細胞へ分化した細胞の割合。本データでは心筋トロポニンTタンパク質の発現量の計測により算出した。

日立製作所は、日立のiPS細胞大量自動培養装置を用いて、従来の課題を解決できる3次元培養法(細胞を容器底面などに接着させず、細胞の凝集塊を形成させることで3次元的に増殖させる培養方法の自動化技術を新たに開発しました。

2次元培養法3次元培養法をともに自動化したことで、ニーズに合わせて心筋細胞などのさまざまな細胞を自動で大量に製造することができます。

本技術は低分子化合物を用いて培地コストを低減した、iPS細胞の心筋分化培養技術に強みを持つ潟}イオリッジとの共同研究の成果です。

また、細胞の製造自動化を検討している顧客に、細胞の最適な製造方法を提案する自動製造プロセスの構築支援サービスの提供を2019121日から開始します。

本サービスでは、マイオリッジとの共同研究における自動培養技術開発の知見を生かし、顧客の細胞製造プロセスを精査して、重要なパラメータを抽出し、最適化方法を提案します。

近年、失われた組織や臓器の機能を、細胞を用いて回復させる再生医療の普及が期待されています。

再生医療には大量の細胞が必要ですが、再生医療等製品の製造における細胞培養は、ほぼ熟練者による手技で行われており、製造できる細胞の数には限りがあります。

再生医療の普及に向け、細胞を一定の品質で大量に供給できる自動培養技術の開発が求められています。

日立は、iPS細胞を大量に製造するための自動培養技術の開発に取り組み、20176月に研究用として自動培養装置を開発しました。

この自動培養装置は、培養容器や培地ボトルの無菌接続が可能な流路モジュールを用いた完全閉鎖系を採用しており、無菌環境で細胞の播種、培養、観察を行えるため、品質の高い細胞を大量に製造することができます。

20193月にはGCTP省令の適合に必要な機能を有した、日本初の装置として、iPS細胞大量自動培養装置iACE2を製品化し、販売しています。

今回、日立はマイオリッジとの共同研究により、培地コスト低減、シェアストレス(培地を撹拌した際などに発生する波による細胞に対するせん断応力)低減、培地交換作業の簡易化の3点を実現する新たな3次元培養法を自動化しました。

従来の3次元培養法は、培養容器内で高さ方向に培養させるため、多量の培地を必要とすることや培地の撹拌(かくはん)によるシェアストレス、培地交換作業が複雑、などの課題がありました。

日立は、2018年10月からマイオリッジと共同研究を行い、2次元培養法向けの大量培養容器に細胞凝集塊を均一かつ高密度に分布させる3次元培養法の自動化技術を開発し、手技より高効率な心筋細胞の製造自動化を実現しました。

本技術は心筋細胞以外の細胞にも適用できると考えられ、さまざまな細胞の製造自動化が期待されます。

また、日立は本開発の知見を生かし、2次元培養法や3次元培養法による細胞の製造自動化を検討している顧客に対し、自動培養装置による自動製造プロセスの構築支援サービスを提供します。

再生医療などに用いる細胞の製造プロセスは細胞によって異なっており、自動化には細胞に合わせて自動培養装置の細胞懸濁液の送液速度や大量培養容器の揺動角度などのパラメータを最適化する必要があります。

本サービスでは、顧客の細胞製造プロセスを精査し、重要なパラメータを抽出、最適化方法を提案します。本サービスの提供により、顧客の細胞製造の自動化を支援します。

日立グループは、今後も自動培養装置、自動培養プロセスの構築支援サービス、細胞製造施設、関連機器類、製法開発や受託製造サービスなどをトータルで提供し、再生医療の普及に貢献します。