2025/4/12 

 iPSで肺・肝臓がん治療  京大発新興 来年末にも治験

京都大学発新興のシノビ・セラピューティクス(旧:サイアス株式会社)(京都市)iPS細胞から免疫細胞を作り、肺や肝臓のがんをたたく治瞭法の臨床賦験(治験)2026年末にも国内で始める。備蓄してある細胞を使うため安く迅速に治療できる可能性がある。30年ごろに日本や米国での実用化をめざす。

治療法は京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の金子新教授が開発した。他人由来のiPS細胞を、がん細胞を攻撃する免疫珊胞「キラーT細胞」に育ててがん患者に投与する。

マウスを使った実験で良好な結果が出たという。キラーT細胞は異常な細胞を文宇通り殺すことから「殺し屋」と呼ばれる。

治験は肺がんと肝臓がんの重症患者から始める。安全性などを確認する第1段階の沿験に参加する人数は20人前後を目標とし、哀都大学医学部付属病院(京都市)、国立がん研究センター東病院(千葉県柏巾)、がん研究会有明病院(東京都江東区)3施設で実施する。

ーーー

シノビ・セラピューティクス(旧:サイアス株式会社)

自家iPS細胞由来の腫瘍抗原特異的キラーT細胞を用いた免疫細胞療法の開発

がんワクチンに応答性のある腫瘍抗原特異的キラーT細胞を末梢血から独自技術により単離し、iPS細胞製造技術を用いて、高いキラー活性を有するT細胞として再生する技術を開発。再生したT細胞を患者に輸注することによりがん等に対する治療効果をもたらす、自家養子免疫療法を確立し、提供する。

事業概要
再生キラーT細胞療法にかかる臨床試験に向けた応用研究を実施している段階にあり、既存治療からの再発や抵抗性のがんや、未だ治療法の確立されていない多くのがんに対する治癒を誘導する治療剤の開発を進めている。日本国内において希少がんでの臨床試験の実施し早期承認制度を活用して2024〜2025年よりの販売開始を目指している。販売開始前後より大手製薬企業や機器開発企業との協業で適応拡大を進めて行きたいと考えている。

技術・製品紹介・サービス紹介

特徴1
キラーT細胞は、リンパ球T細胞の一つで異物になるがん細胞やウイルス感染細胞を認識して破壊する。がんが拡大したり感染が慢性化した場合、キラーT細胞の攻撃性は低下し、がんや感染症が進展して重篤化してしまう。殺傷能力の低下したキラーT細胞を一旦iPS細胞へ初期化させてからキラー活性の高いキラーT細胞へ再分化(再生キラーT細胞)することで、がんやウイルス感染細胞への攻撃性を回復させることができる。
特徴2
自家移植療法であることからドナーとレシピエントの移植可能性を検証する必要がない。拒絶を受けない製品となる為、生体内に長期間留まる可能性が高く、薬効の持続が期待される。
特徴3
iPS細胞は無限に増すことができる。当社の治療剤は少量の検体からの細胞製造が可能で、多数回投与にも対応できるものである。また拒絶を受けることがないことも多数回投与を可能とする理由である。既存の細胞治療剤は多数回投与に対応できるものはない。一回の投与で腫瘍の殺傷が不十分な場合に威力を発揮できる。
特徴4
複数のクローンからなる腫瘍特異的キラーT細胞を材料に製造を行う為、得られる再生キラーT細胞は複数の腫瘍抗原・抗原部位を認識する。がんの既存治療剤抵抗性の主原因である腫瘍抗原の変異にも対処が可能な治療剤である。
特徴5
自己で自身を攻撃しないように教育を受けたキラーT細胞でかつ腫瘍特異性の高いキラーT細胞を材料としていることから、製造される再生T細胞は自己免疫反応の可能性が極めて低い。

 

沿革