2010年1月26日

株式会社IHIと株式会社UMNファーマとの協業に関する基本協定の締結について 〜インフルエンザワクチン原薬の製造子会社を共同で設立〜

  株式会社IHI(以下「IHI」)と株式会社UMNファーマ(以下「UMNファーマ」)は、このたび、UMNファーマが開発する日本初の細胞培養法を用い たインフルエンザワクチン原薬の製造事業(以下「本事業」とします。)に関して、共同で事業運営を行うことを目的とした、基本協定(以下「本協定」としま す。)を1月25日に締結しました。

 本協定に基づき、IHIとUMNファーマは、
共同出資でワクチン原薬の製造子会社を設立します。尚、両社の関係強化と本事業の着実な推進のため、IHIは、UMNファーマに約5億円出資します。

 本件の詳細は下記のとおりです。

 IHIとUMNファーマは、共同出資による製造会社を平成22年4月を目標に設立する予定であり、ワクチン原薬製造設備を秋田県秋田市に建設し、平成24年の生産開始を予定しています。

本事業では、国内で初めて、細胞培養法によるインフルエンザワクチン原薬を安定供給するための生産体制を築いてまいります。

  現在、UMNファーマは、細胞培養によって産生される組換えタンパク製造技術を使用する、組換えインフルエンザHAワクチン(H5N1株)UMN- 0501の第II相臨床試験を実施しています。従来の発育鶏卵を用いて製造するインフルエンザワクチンは製造に少なくとも約6ヶ月かかるとされています が、UMN-0501では製造期間が約2ヶ月と、ワクチンが必要とされてから市場に供給できるようになるまでの期間を大幅に短縮できます。また、UMN- 0501の製造には、感染性のあるインフルエンザウイルスの使用が不要なこともあり、ワクチンを安全に短期間で大量生産することが可能となります。

  IHIグループとUMNファーマは、これまでもIHI横浜事業所における細胞培養によるワクチン製造技術の共同研究や、製造設備の設計、IHIの基盤技術 を活用したスケールアップの検討を実施してきました。そのため、ワクチン生産体制の構築に必要な培養技術や工業化開発などで、これまで相互に知見を蓄積し てきました。

 IHIは、本事業は社会の安全・安心の確保につながる社会的責任・意義の大きい事業であり、IHIグループの技術とUMN ファーマの技術が事業推進に不可欠と考え、本協定の締結と出資を行うことといたしました。本協定に基づくIHIからUMNファーマへの出資は、1月中に実 施する予定です。本事業は、IHIの中期経営計画である、「グループ経営方針2010」で成長・注力事業と位置づけている医薬プラント事業において、 IHIグループで蓄積しているエンジニアリング技術を中核に、細胞培養に係る製造技術や要素技術等の融合を図り、プラントの本体販売のみに留まらず高付加 価値な製品そのものの生産に拡げていきます。

 UMNファーマは、世界的な流行が懸念される高病原性鳥インフルエンザ (H5N1株) の流行に備え、UMN-0501の開発を着実に進めてまいります。また、今回のIHIとの提携により、原薬製造施設の建設を進め、短期間に大量にワクチン を製造できるメリットを活かし、UMN-0501や季節性インフルエンザワクチンUMN-0502を一刻も早く市場に安定供給できるよう努めてまいりま す。

<原薬製造会社の会社概要>

場所 秋田県秋田市、秋田新都市産業団地内
資本金 15億円(予定)
出資比率 UMNファーマ 50.25%、IHI 49.75%
設立予定年月日 平成22年4月1日
従業員数 約30名(当初)
事業内容 インフルエンザワクチン原薬の製造

2010年4月 原薬製造子会社設立
2011年3月 原薬製造プラント完成
2012年中  新型インフルエンザワクチン(H5N1) 販売開始予定
2014年中  季節性インフルエンザワクチン販売開始予定

株式会社UMNファーマ(英名UMN Pharma Inc.)

当社は、Unmet Medical Needsを満たすべく、問題意識や価値観を共有する専門家によって、平成16年4月に設立されました。大学・公的研究機関・ベンチャー企業のシーズの中 から、医薬品開発の豊富な経験とグローバルネットワークを活用し、将来の大手製薬企業への導出・提携をみすえつつ、成功確率の高いものを的確に選び出し、 動物実験・臨床試験をスピーディーに行ってまいります。
経営戦略上コアとなる事業は
BEVS技術により製造する新型インフルエンザワクチン「UMN-0501」及び季節性インフルエンザワクチン「UMN-0502」で、BEVS技術の強みを生かすため自社製造施設の建設を進めております。

設立年月日 2004年4月20日
資本金 2,074百万円(資本調達額3,816百万円)
従業員数 22名(2010年1月25日現在)
開発パイプライン
 UMN-0501 組換えインフルエンザHAワクチン(H5N1株、日本にて第II相臨床試験実施中)
 UMN-0502 組換えインフルエンザHAワクチン(季節性、日本では非臨床試験実施済み、
         米国ではProtein Sciences Corporationが申請しFDAが承認審査中)
 UMN-0503 組換えインフルエンザHAワクチン(H5N1株)新剤型(製剤設計中)
 UMN-02   急性膵炎・慢性膵炎治療薬(国内大学病院等で臨床研究を実施し、2007年8月POC取得)
 UMN-03  筋疾患、肥満症、II型糖尿病治療薬(試験用原薬製造中)